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旧コラム 2019年1月 3ページ目

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2度目の自己破産 [借金問題]

広島市の弁護士仲田誠一です。

2度目の破産のご相談を承ることも珍しくありません。今回の借金問題コラムは、2度目の自己破産について解説させていただきます。

2度目の自己破産は、前回破産の免責決定確定から7年を経ているかどうかで大きく扱いが変わります。


Ⅰ 前回免責から7年以内の場合

前回の破産での免責決定が確定してから7年間は、基本的にもう一度破産免責を受けることはできません。1度目の破産の免責審尋の際に説明を受けていらっしゃると思います。

理屈上、前回破産免責決定から7年を経ていないことが免責不許可事由に当たります(破産法252条1項10号)。他の免責不許可事由では、裁量免責が原則とっていいほど裁量免責を認めてくれる運用なのですが、この免責不許可事由については裁判所が容易に裁量免責を認めません。再び裁量免責を得るにはよほどの事情が必要です。

1度目の免責決定確定から7年以内の場合の債務整理方法は、基本的には、小規模個人再生か任意整理から選択します(給与所得者等再生も選択できません)。

Ⅱ 前回免責から7年を超える場合

一方で、1度目の免責決定の確定から
7年を経ていれば、再度の破産による免責許可を得ることも十分に可能です。

勿論、2度目では裁判所の見方が厳しくなります。
広島地方裁判所でも、かつての一時期は、2度目の破産は原則として管財事件にするという運用であり、予納金の工面も考えなければなりませんでした。

しかし、現在では、2回目の破産だからといって直ちに管財事件にされることはありません。同時廃止で終わるケースがむしろ多いです。
ただし、開始決定前に債務者審尋が入って事情を聞かれる、あるいは個別の免責審尋期日が入って面談される、ということはあります。


2回目の自己破産の申立てにあたって重要なのは、再度の申立てに至った事情の説明です。最初の自己破産と同じ理由なのか、違う理由なのか(例えば同じ浪費行為が原因ということであればなかなか厳しく見られます)、なぜ度目で懲りなかったか(やむを得なかった事情があったのか)、丁寧にかつ筋道を立てて説明します。

仮に1度目の破産と同じ破産原因を作っている場合は2度目は管財事件の扱いにされる可能性があります。これに対し、1度目と2度目で理由が違う場合や、2度目の借金にやむを得ない事情がある場合には、仕方がないと見て同時廃止になる傾向があります。1回目の破産からどれだけ時を経ているか、再度の借入れの時期も重視されます。

 

なお、従前は、2回目の破産の際、1回目の破産の際の開始決定書、免責決定書の提出を必ず求められました。しかし、広島地裁の扱いが変わりました(2022年7月)。現在では、前回の破産免責決定確定から7年間を超える申立てのケースでは、前回破産時の決定書の提出は求められません。これに対し、前回の破産免責決定確定から7年以内のケースでは引き続き前回決定書の提出を求められます(手元になければ1度目の破産裁判所に謄写申請をしなければなりません)。

以上、2回目の破産についてお話をさせていただきました。


あきらめる必要はありません。ただし、それなりの準備が必要です。無理のない、かつ納得できる説明をしてください。


自己破産、個人再生などのサポートは、豊富な経験、専門知識を有する当事務所に、ぜひご用命ください。

 

広島の弁護士 仲田 誠一

なかた法律事務所

広島市中区上八丁堀5-27-602

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相続放棄と時効援用の関係 【相続問題】

広島県広島市の弁護士仲田誠一による相続問題コラムです。

相続放棄を考える際に悩むケースの1つとして、
相続財産は多少ある、
それよりも大きい債務がありそうだが古い債務なので時効援用できるかもしれない
という場合があります。

 
相続放棄と消滅時効援用の関係を考えないといけないケースですね。

 

被相続人に借金と財産があり、借金の多くが消滅時効にかかっている可能性が高いとしましょう。
 

相続放棄をすれば借金を引き継ぎませんが、財産も引き継げません。


一方、借金の多くが消滅時効を援用して債務を消せるのであれば、その結果財産の方が大きくなることもあります。
そうであれば相続放棄する必要がありませんね。

 

ただ、相続人による消滅時効の援用にはリスクがあります。

消滅時効援用通知行為は、それ自体が単純承認行為(相続を受けたとされる行為)と解釈されていますようなのです。


そうであれば、時効援用通知を送ってみたところで、相続人の知らない時効中断事由(支払督促、裁判、返済などの承認行為等)があって時効が完成していない場合、困りますね。

債権者から時効援用の事実を突きつけられると、相続放棄の効果は否定され、債務を引き継ぐ可能性があります。

 

そのため、相続放棄の可能性がある限り、消滅時効の援用は慎重に検討しなければなりません。

被相続人の債務の調査ということで、単純承認行為とならない形で、時効中断事由があるかどうかを債権者に確認することになるでしょうか。

時間がかかるのであれば、家庭裁判所に熟慮期間の伸長を申し立ててじっくり調査をすればいいですね。

財産が小さくて相続放棄ができるのであれば、時効の援用など考えずに相続放棄をすることでいいとは思います。

 

遺言、相続、遺留分相続放棄等、相続問題のご相談はなかた法律事務所へ。

 

広島の弁護士 仲田 誠一

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不動産の時効取得と税金 [不動産]

広島県広島市の弁護士仲田誠一による不動産問題コラムです。

 

不動産の問題を解決するにあたり、取得時効の援用を行うケースがあります。

 

例えば、隣地との境目の争いがあり占有部分の所有権を確定させるケースがありますね。

あるいは、自宅が曽祖父などの名義のままになっており相続人が分散して話し合いでは解決できそうもないケースも多いです。
今更、枝分かれした多数の他の共同相続人全員から合意を取り付けることは難しいことが多く、訴訟提起して解決するのですね。

 

不動産の時効取得が認められて登記を変更できた場合、所得は把握されるのでしょうか。
今回は、どんな税金がかかるかというお話です。

無償で不動産を取得することになるので贈与税が課税されるかというとそうではありません。

時効取得が、一時所得として所得が把握され課税されます。
 

課税対象は、時効援用時の当該不動産の時価になります。

民法上は時効の援用の効果は占有開始に遡るのですが、一時所得の課税時は時効援用時とされています。
遡ると税金が時効でとれないということがあるからでしょうか。

 

一時所得なので、所謂2分の1課税です。
ただし、収入が時価の2分の1で大きいかもしれません。
かつ、収入から控除できる「直接要した費用」はあまり認められません。
弁護士費用などは駄目なのですね。
そのため、相応の所得が発生する可能があります。

 

このように、不動産の時効取得により所得が把握されるということは気を付けてください。

不動産登記の名義変更をするので、時効取得の事実を税務署は容易に把握することができます。

 

そうであれば、仮に売買などの別の主張が認められそうであれば、あるいは遺産分割等他の方法で解決できるならば、税金がかからない方法を優先するという検討も必要になります。

例えば、過去の売買が認められると課税されないのは当然です(買主なので譲渡所得税はかからないですね)。

過去の遺産分割が認められた場合も相続税の話になり時期的にもはや相続税課税が難しくなるでしょう。

売買や遺産分割等の証拠があるのであれば、まずはそちらの主張を前面に出して、時効取得は予備的に主張することになるでしょう。

時効で解決できるからといって簡単に時効取得に飛びついてはいけないことになります。

勿論、時効取得を検討する案件では、他の主張が認められることが難しいから時効取得を主張しているということが多いのですが。

その場合は仕方がないですが、仮に和解の場面が出てきたら、課税関係を意識して臨まないといけません。

 

時効取得に限らず、紛争の解決には税金の検討の必要が伴う場合が多いです。
紛争の解決方法としてお金や物が動くと非課税所得等ではない限り何かしらの税金がかかる可能性があります。
思わぬ落とし穴があるかもしれません。

 

不動産に関するご相談はなかた法律事務所にご用命を。

 

広島の弁護士 仲田 誠一

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給与差押えをされた場合の破産 [借金問題]

広島県広島市の弁護士仲田誠一による借金問題コラムです。

 

債務整理のご相談に来られる中で、既に給与等の差押えをされている方がいらっしゃいます。

本来は、そのようなことが生じるまでに債務整理をしなければならないのですが、なかなか踏ん切りがつかないことがありますね。

債務整理の相談をなかなかできず、訴訟あるいは支払督促を経て給与差押えまで事態が悪化したところで、自己破産等のご相談に来られた方も多いです。

給与差押えによって生活ができなくなった、あるいは差押えを受けた勤務先から債務整理を促されたというケースです。

 
給与差押えは弁護士が介入したからといってすぐには止まりません。


弁護士は、受任後、
1 受任通知時に取り下げを要請する。

2 自己破産を急いで申立て破産開始決定後、強制執行の中止の申立てをする。

3 再度、取り下げを要請する。

ということをします。

1では取り下げてくれない債権者も多いです。
2で強制執行手続が中止となった場合には、取り下げてくれる業者が多いと思います。

 
弁護士が自己破産を受任した旨の受任通知を債権者に送ると、たとえ強制執行で回収したとしても、当該回収金は、自己破産手続が管財事件になった際には否認の対象となります。
強制執行による回収も偏頗弁済行為になり、債権者平等原則の観点から、破産管財人が弁済行為を否認してお金を財団に取り戻すことができるのです。
私も、破産管財人の立場で否認請求をした経験があります。


そのため、弁護士からの受任通知があればすぐに取り下げてもいいようなものだと思うのですが、すぐに取り下げる債権者はあまりいないですね。

 

なお、強制執行の中止は、破産開始決定後に執行裁判所に申し立てることになりますが、それにより進んでいる強制執行が取消・無効になるわけではありません。
したがって、給与からの天引きは続きます。

しかし、第三債務者である勤務先が差押債権者には支払ってはいけなくなり、天引き分を自社でプールしておいてもらいます。
最終的には、自己破産手続において免責決定が確定した段階で、プール金は債務者である従業員さんに支払えることになります。

  

給与等の差押えがなされたら、まずは破産開始決定をとるために(それにより中止の申立てができます)、自己破産申立てを一刻も早く行うことになります。
申立て準備も急いでもらわないといけません。

 

給与等差押えがなされたら、すぐに弁護士にご相談されてください。

勿論、支払督促、訴訟がなされたら、後の給与等差押えが予想されます。
できれば、遅くともその段階で相談してください。

 

債務整理(任意整理、民事再生、自己破産等)のサポートはなかた法律事務所にご用命を。

 

広島の弁護士 仲田 誠一

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