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旧コラム 仲田 誠一: 2011年1月

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「浮気をされて離婚されたら踏んだりけったり?」【相続家庭問題13】

弁護士(広島弁護士会所属)の仲田誠一です。


最近は,ちょくちょく料理を作ったり,皿洗いをしたりしています。やってみると,気分転換ができていいですね。昨晩はチャーハンを作りました。おいしくできました。

昨晩もそうだったのですが,私が炊事を手伝うのは,自分が仕事で疲れているときが多いです。仕事で疲れていらいらしている時ほどリフレッシュできます。

さて,今回は,久しぶりに離婚の話です。

以前に裁判離婚のお話をさせていただきました。その際に有責配偶者からの離婚請求について少しだけ触れたと思います。今回はそのお話をしたいと思います。


◆ 以前お話した内容

「裁判離婚の話」で,裁判離婚には「法定離婚原因」が必要だ,その「法定離婚原因」には4つの「具体的離婚原因」と「その他婚姻を継続しがたい重大な事由」という「抽象的離婚原因」があるとお話しました。

そして,不貞行為をしたなど婚姻関係破綻に責任がある配偶者からの離婚請求を,「有責配偶者の離婚請求」と呼び,有責配偶者が「婚姻関係が破綻したから別れたい」と言っても簡単に認められるものではない,ともお話しました。


◆ 踏んだり蹴ったり判決

他の女性の元に走って家を出た夫が,別居後十数年後に,もう婚姻関係が破綻したとして,妻に対して離婚を請求する訴訟を提起したとしましょう。
すでに長期間別居して婚姻関係はすでに破綻し,回復する見込みもないと考えてください。

ところで,抽象的離婚原因である「婚姻を継続し難い重大な事由」がある場合とは,「婚姻が破綻して回復の見込みがない」場合です。

客観的に見て,婚姻関係が破綻して回復の見込みがないのなら,「婚姻を継続し難い重大な事由」があり,したがって離婚を認めるべきだと思うでしょうか(積極的破綻主義と呼ばれます)?

確かに,形式だけの(実質を伴わない)婚姻関係に人をしばるのは,無意味だとも思えます。

しかし,有責配偶者の離婚請求を認めるのは,やはりすっきりしません。公平ではない,卑怯だ,と考えるもの人の自然な感情ではないでしょうか。

落ち度のない妻が離婚を望んでいない以上,不誠実な夫の請求なんて認める必要はないとも考えられます。

最高裁も当初はそのような立場でした。
夫の請求を認めると,妻は,「踏んだり蹴ったりだ」という理由であったため,「踏んだり蹴ったり判決」と有名です。浮気されて,しかも離婚されて,踏んだり蹴ったりだということですね。


◆ 条件付に離婚が認められるようになった現在

「踏んだり蹴ったり判決」から時代がだんだん下るにつれ,最高裁の態度は徐々に緩和されて来ています。現在では,不貞行為を行った夫または妻(有責配偶者)からの離婚請求であっても,条件付では認められるようになりました。

道徳で人を縛るのは現代的ではないということでしょうか。

その最高裁の事例は,別居後35年を超え,夫婦の間には子がいなかったケースでした。

理屈をご紹介します。

まず,有責配偶者の離婚請求は,信義誠実の原則(以前にも出てきました)に照らして許されるものでなければならない。

そして,その判断は,有責配偶者の責任の程度,相手方配偶者の婚姻継続の意思や感情,相手方配偶者の精神的・社会的・経済的状態,夫婦間の子の監護・教育・福祉の状況,別居後に形成された生活関係,これらに与える時の経過の影響,などの諸事情を考慮して,なされる。

有責配偶者からの離婚請求であっても,別居が年齢および同居期間に比して相当の長期間に及び,その間に未成熟子がいない場合には,特段の事情がない 限り,許される。その特段の事情とは,離婚すれば相手方配偶者が苛酷な状態におかれるなど,離婚請求を認めることが著しく社会正義に反する事情である。

というものです。

時代の流れに乗って,最高裁が離婚を認める事案の別居期間が,徐々に短くなって来ております。10年未満の別居期間であるケースも出てきています。

もちろん,離婚請求が認められるかどうかは,期間だけで決まるわけではありません。
最高裁は10年を一応の目安にしているのではないかなどと言われていますが,上に挙げた諸事情が総合考慮されますので,期間だけで目安をつけるのは無理な話です。

有責配偶者に有利な事情としては,毎月きちんと相手方配偶者に送金している,相手方配偶者に多額の財産分与を申し出ている,夫婦の子が成人になった,といったものがあります。
それらの事情があれば離婚が認められやすいようですが,それも一概には言えません。


◆ 最後に

諸事情を総合考慮して判断される点が争いになっている事件については,訴訟の見通しが難しいところですね。

いろいろな事例を探して,それとの対比で見込みをつける必要がありますが,当然に事件はそれぞれに違い,似たケースというものがない場合もあって,なかなか難しいです。

なお,裁判所は,原則を大事にして,事実の面であれ,評価の面であれ,例外ケース(「特段の事情」)をなかなか認めないなと感じることがあります。もちろん,一概には言えませんが。

 

じっくり話し合い、問題解決に導く法律のプロ 弁護士仲田誠一の取材記事はこちら!
(http://pro.mbp-hiroshima.com/nakata-law/)


「親子じゃないのに子が相続?」【相続家庭問題12】

弁護士(広島弁護士会所属)の仲田誠一です。

 

昨晩の食事は,もやし鍋でした。市販される鍋のつゆの種類が最近増えてきましたね,昔はキムチとちゃんこぐらいしかなかったように思います。カレー 鍋が出てきたあたりから急に増えてきたような気がします。鍋は野菜をたくさん食べることができるので,週に1度は食べています。

 

 

今回は,最近,法律雑誌に載っていたおもしろい裁判例を題材にお話をさせていただこうと思います。


◆ 親子関係が存在しない戸籍上の子には相続権がない

親子関係が存在しない戸籍上の子とは,どのようなケースでしょうか?

親族などから子を譲り受ける形で,虚偽の出生届を出し,実子として育てる例があります。これは,「藁(わら)の上からの養子」と呼ばれる慣行です。その出生届は虚偽のため無効であり,また出生届は縁組届の形式をとっていないため養子縁組としての効果も生じません。

珍しい例としては,産院で乳児が取り違えられた例もあります。

もちろん,戸籍上「子」と記載されていても,事実の方が優先します。

「子」は,第一順位の相続人ですが,親子関係がない以上は,戸籍の記載があっても,相続人の資格はありません。

他の相続人などの利害関係人から,親子関係不存在確認訴訟によって親子関係が否定されると,相続を受けられないことになります。


◆ 最近の裁判例

最近出た控訴審判決の中に,このような事例がありました。まだ,結論が出ていない事案のようなので,事例自体はデフォルメさせていただいております。

産院で取り違えられて長男として戸籍上の記載があるYさんは,戸籍上の父母と実親子同様の関係で生活していました。ところが,戸籍上の父母の死後, 戸籍上の弟Xさんらと相続をめぐって対立しました。そして,その遺産争いを直接のきっかけにして,XさんらがYと戸籍上の父母の親子関係不存在確認訴訟を 提起しました。

Xさんらの請求は認められるでしょうか?

DNA鑑定でYさんが戸籍上の父母の子ではない事実は確認されています。事実である以上,親子関係がないことの確認が認められるべきだと思われるで しょうか?実の子であるXさんらからすれば,実子ではないYさんが,相続において,自分たちと同じ「子」として平等に扱われるのは許せないかもしれませ ん。

もちろん,理屈はそうです。真実の親子関係と戸籍の記載が異なる場合には,親子関係が存在しないことの確認を求められることが原則です。
第一審はその原則どおりに考えたようです。

一方で,実の親子と同様に育った事実は無視していいのでしょうか?Yさんには落ち度はありません。遺産相続争いという財産争いのために,これまで築いてきたYさんの人生を否定してもいいのでしょうか?血縁関係がないといっても,日本では養子も認められていますよね?

例外的に,Yさんを保護してあげないといけないケースがあるような気がしますよね。


◆ 裁判所の判断

上のように,第三者(Yさんと戸籍上の父母との親子関係については実の子は第三者です)から,戸籍上の子と親の間の親子関係不存在確認訴訟が提起されたケースについては,5年ほど前の最高裁の判例がありました。

最高裁判例の事例は,「藁の上からの養子」のケースだったようです。

最高裁は,具体的な事情を考慮して,実親子関係の不存在を確定することが著しく不当な場合には,その確認請求は権利の濫用として許されないと判断しました。

そして,考慮される事情としては,
①実の親子と同様の生活実体の長さ
②不存在確認を認めることによって戸籍上の子が被る精神的・経済的不利益
③改めて養子縁組の届けをして嫡出子の身分を得ることができる状況か(父母が死んでいたらもう養子縁組ができない)
④第三者が不存在確認を請求する経緯,動機・目的
⑤不存在を確認できないことによって第三者以外に不利益が及ぶか
等の諸般の事情を挙げています。

実の親子として何十年も暮らしてきた,そのため本人のショックが大きいし遺産をもらえないのも酷だ,戸籍上の父母が亡くなっているから改めて養子縁 組できない,第三者が訴訟を提起したのは遺産目的・財産目的だ,戸籍を直さなくても他に支障はない,といった事情があれば,実親子関係の不存在確認は許さ れない可能性が高くなります。

不存在確認が許されないということは,結局,戸籍上の子はそのまま相続できるという結果になります。

そのため,「親子関係のない戸籍上の子が相続する」ことが実質的に認められることになります。

最近の控訴審の裁判例でも,上の最高裁判例と同様な判断枠組みで判断しました。最高裁の「藁の上からの養子」(戸籍上の父母は知っていた)事例ではなく,産院での取り違え(戸籍上の父母も知らなかった)の例でも,同じ枠組みで判断したところが新しいところです。

同裁判例は,①Yさんは戸籍上の父母と46,7年間という長きにわたり実親子関係同様の生活実体を形成してきた,②戸籍上の父母が亡くなっており新 たにYさんが養子縁組をすることができない,③不存在確認を認めるとYさんに重大な精神的損害・少なからぬ経済的損害を与えること,④Xさんらの訴訟提起 は遺産争いを直接の契機としている,⑤不存在を確認できなくてもXさんら以外に不利益を受ける人はいない,などの事情を考慮して,Xさんらの親子関係不存 在確認訴訟は権利濫用として許されないとしました。


◆ 最後に

親子関係がないのに実質的に相続を受けられるという例を紹介しました。意外だったのではないでしょうか。

法律は,法的安定性(継続している事実状態を尊重するという姿勢)を重視します。継続する事実状態が容易に覆されると,それを前提に形成されてきた社会関係が混乱してしまうからです。前々回お話した時効制度も事実状態の尊重がその根本にあります。

上のような親子関係不存在確認訴訟も,形成されてきた生活実体を重視し,血縁主義や戸籍は正確でなければならないという要請の例外を認めたものだと思います。

 


「だれが相続人になる?」 【相続・家庭問題11-2】

弁護士(広島弁護士会所属)の仲田誠一です。

さっそくですが,前回の相続人の話の続きをお話いたします。

 

◆ 同時死亡の推定

事故などで,数名の人が亡くなり,そのうちある人が死亡した時点で他の人が生存していたかわからない場合には,法律上,同時に死亡したものと推定されます。これが同時死亡の推定です。

推定ですから,反証(証拠を出して覆すこと)はできます。

同時死亡とされる場合には,それらの者相互の間では相続が生じません。遺贈の効力も発生しないことになります。
例えば,祖父A,祖母B,父であるABの子C,母であるCの妻D,CDの子Eがいるケースを考えましょう。AとCが事故で亡くなったとします。

まず,Aが亡くなったら,相続人は妻Bと子Cですね。Cが亡くなったら,相続人は妻Dと子Eですね。
次に,Aに不動産があるとして,Aが先 に,次いでCが亡くなったら相続はどうなるでしょう。不動産の相続者は,まずAの妻B・子Cが1/2ずつでAを相続して,さらにCの妻Dと子EがCを1 /2ずつ相続します。結局,不動産は,祖母B1/2,嫁D1/4,E1/4の共有状態となります。
父Cが先に,次いで祖父Aが亡くなったらどうでしょう。Aの不動産の相続人は,Aの妻であるBが1/2,Aの孫Eが既に亡くなったCの代襲相続人として1/2を相続します。結局,B1/2,E1/2の共有状態となります。仮に,Eがいないとすると,Bがすべて相続します。
このように,死亡の先後によって相続の結果は大きく変わります。

そのため同時死亡の推定により,反証がない限り,その間では相続の関係がないものとして公平に扱うのです。
AとCとの間で相続の関係が生じないということは,Aの財産は,本来B1/2・C1/2で相続されるはずですが,Cがいないので,前回お話しした代襲相続により1/2をCの子であるEが相続します。Cの財産は,もちろん,DとEが1/2ずつ相続します。


◆ 遺言を破棄すると相続人でなくなる-相続欠格

民法では,一定の行為をした者は相続権を剥奪されると定めています。それが,相続欠格の制度です。

遺言の破棄は,その相続欠格事由の1つです。

相続欠格事由には,
1 被相続人,あるいは相続について先順位・同順位にある者に対する殺人・殺人未遂の刑を処せられた
2 被相続人が殺害されたことを知って,告訴・告発をしなかった
3 詐欺や強迫により,相続に関する被相続人の遺言作成・取消し・変更を妨げた
4 詐欺や強迫により,相続に関する被相続人に遺言作成・取消し・変更をさせた
5 被相続人の相続に関する遺言書を偽造・変造,破棄・隠匿した

相続欠格は,前回お話した代襲相続の原因となります。相続欠格者に子がいれば欠格者に代わって相続人となることになります。

相続欠格制度は,相続人の著しい非行行為を理由に,相続資格を法律上当然に剥奪する制度です。したがって,なんらの手続も要りません。


◆ 放蕩息子に相続させたくない -廃除

相続欠格ほどの非行や不正がなくても,被相続人が特定の推定相続人にその財産を相続させたくない場合,その意思によって相続資格を奪う制度が廃除制度です。

以前にお話したように,兄弟姉妹を除く相続人には,遺留分の権利がありますから,遺言を作成して特定の者に相続させないようにしても,限界がありま す。生前贈与で他の推定相続人に財産を移転させる場合も,税金の問題が生じますし,遺留分の問題もやはり残ります。しかし,推定相続人に対して相続させた くないという被相続人の意思に客観的に合理的な理由がある場合にまで,遺留分を保障する必要はないですよね。そのため,一定の要件の下で,裁判所が許可し た場合に限り,遺留分を有する推定相続人の相続権を奪う廃除制度があるのです。

どのような場合に廃除できるかは,法律で決まっています。推定相続人に,被相続人に対する「虐待」「重大な侮辱」「著しい非行」がある場合です。そ の判定は,家庭裁判所が行うのですが,被相続人の感情など主観面からではなく,あくまでも客観的に判断されます。簡単に認められるものではありません。

有名な例では,年少時代から非行を繰り返し,暴力団員との交際・元組員との結婚,反対したにもかかわらず親の名前で招待状を出す,などの行為があっ た場合に認められたものがあります。否定されたものでは,過去に少年院に入ったが現在は更生した男性と親の反対を押し切った結婚した例などがあります。

廃除をするには,被相続人の請求が必要になります。被相続人が家庭裁判所へ調停・審判を申し立てる方法か,遺言によって意思表示をして,その死亡後に遺言執行者が家庭裁判所に廃除請求をする方法があります。

なお,一旦廃除しても,素行を改めたなどの理由で,その取消しをすることもできます。


◆ 相続人がいない場合は?

調査の結果,相続人がいるようだが行方がわからない場合と,調査の結果,相続人が本当にいないとわかった場合に分けてお話します。

相続人に行方不明者がいる場合は?
生死不明の状態が7年以上の場合には家庭裁判所に失踪宣告をしてもらえば,行方不明者が死亡したものとみなされますので,その時点と被相続人の死亡時の先後を見て,必要であれば行方不明者の相続人と遺産分割協議を行えばいいことになります。
生死不明の状態が7年以上続いているとは言えないような場合には,家庭裁判所に不在者財産管理人を選任してもらって,不在者財産管理人と協議,調停などを行えばいいことになります。

相続人がいない場合は?
戸籍上推定相続人となるべき者がいないか全員が相続放棄をした場合には「相続人不存在」の状態となります。
その場合には,利害関係人などが請求して選任される相続財産管理人が,相続財産から債務の弁済を行ったうえで,特別縁故者の請求があれば財産分与を行ったり,残りを国庫に帰属させます。

◆ 相続人に未成年者がいるとき

相続に未成年がいる場合に,困ることがあります。

父親がなくなり,相続人は母親と幼い子3人だとしましょう。親権者は母親であり,母親は子の法定代理人なのですが,母親が子を代理して行った遺産分 割協議は,法的には無効です(子が成年になって追認しない限り)。客観的には,母親と子は共同相続人として利害相反関係にあると見られ,利害相反ある代理 は本人の同意がない限り無権代理行為として無効だからです。

そのような場合は,法的には,家庭裁判所に対して,それぞれの子について特別代理人を選任してもらって,その特別代理人と遺産分割協議をする必要があります。

◆ 最後に
相続の話は,みなさんに身近なお話ですし,一般の方向けの書籍も多数あります。当事務所へ相談に来られる方も,ある程度の知識を持って相談に来られますし,自分で手続などを始めている方も少なくありません。

ただ,相続に関する話は,奥が深く,ある程度の知識だけでは対応できないものだと感じています。知識の誤解や感情的な主張や言動によって,手続を誤った方向に進めていたり,いたずらに対立を激化させているような例も少なくありません。

そのようなことにならないようご注意ください。

 


「だれが相続人になる?」【相続・家庭問題11-1】

弁護士(広島弁護士会所属)の仲田誠一です。

寒ブリが記録的豊漁みたいですね。氷見では去年の25倍の大漁らしいです。
生物の異常発生などの異常気象は地球温暖化の影響で起きたと言われるのが近年の定番であるところですが,この寒ブリ豊漁の原因は違うみたいです。
日本の冬の寒さ,日本海の海水温の低下が原因らしいですね。
いずれにしても,寒ブリが昨年の半値ぐらいのようです。今年は,寒ブリが食卓に並ぶ頻度が高くなりそうです。個人的には,照り焼きが一番おいしいと思います。

さて,これまで,相続問題についていろいろなお話をさせていただいたところですが,「だれが相続人になるのか?」という基本のお話をさせていただいていませんでした。

そこで,2回にわけて,相続人の範囲や相続人が見つからない場合について説明させていただこうと思います。

相続人の範囲を把握することはもちろん大事です。
遺産分割協議は,相続人全員の合意によらなければ成立しませんし,遺産分割調停なども他の相続人全員を相手に申し立てる必要があります。
また,相続放棄をしようとする場合でも,通常は相続人が居なくなるまで相続順位に応じて順次相続放棄をする必要があります(以前にも書かせていただきました)。
相続人を把握することがこれらの手続の出発点です。

なお,弁護士にとっても,相続人の範囲を確定するのは骨が折れる作業になることがあります。何代も前の先祖の名義の不動産が残っている場合などは, 数十人にものぼる相続人を戸籍で追跡する必要があります。また,戸主制度である旧法(明治民法)が適用される相続もあったりすると,さらに複雑になりま す。

◆ 配偶者は常に相続人となる

被相続人が亡くなったら,その生存配偶者は常に相続人となります。

もちろん,被相続人よりも配偶者が先に亡くなっていたり,離婚したりして,被相続人がなくなった時点では既に婚姻関係が解消されているなら,相続人ではありません。


◆ 内縁関係の夫あるいは妻は相続人とならない

内縁関係の場合(実質的に夫婦同然の関係であるが,婚姻の届出をしていない場合)には,被相続人の内縁の夫あるいは妻には相続権がありません。
そのため,財産を内縁相手に残そうとするには,生前贈与,生命保険,遺言により対処する必要があります。

なお,内縁の相手でも,被相続人に相続人がいない場合には,居住用建物の借家権を承継することができたり,特別縁故者として財産を承継することはあります。
もちろん,共有理論などの民法の一般理論での保護も考えることができます。


◆ その他の相続人(血族相続人)の順位,代襲相続

血族相続人は,
第1順位 子(代襲相続人,再代襲相続人を含む)
第2順位 直系尊属(父母や祖父母)
第3順位 兄弟姉妹(代襲相続人を含む)
の順で,配偶者とともに,あるいは配偶者がいないときには同順位者だけで,相続人になります。

配偶者とともにする相続の際の相続分は,直系卑属が1/2,直系尊属が1/3,兄弟姉妹が1/4です

「子」は,実子あるいは養子縁組をした子です。前妻・前夫との間の子や,他家に養子縁組した子(実家との縁が切れる特別養子のケースを除きます)も,「子」に含まれます。
非嫡出子(被相続人と婚姻関係にない母との間に生まれた子)も「子」に含まれますが,相続分は嫡出子の1/2になります(法律婚の尊重のためですが,平等原則に反していないか議論があるところです)。
なお,胎児も相続については既に生まれたものと扱われます。

「直系尊属」は,父母や祖父母です。子などの第1順位の相続人がいないか,その全員が相続放棄した場合に,相続人となります。当たり前ですが,直系尊属の中では,親等の近い方(父母は1親等,祖父母は2親等)が優先します。

「兄弟姉妹」については,第1順位,第2順位の相続人がいない,いなくなった場合に,配偶者とともにあるいは兄弟姉妹だけで,相続人となります。
父母の一方だけを同じくする兄弟姉妹は,父母の両方を共通とする兄弟姉妹の1/2の相続分となります。
なお,兄弟姉妹は,遺留分の権利がない点で他の相続人とは大きく異なります。そのため,遺言により兄弟姉妹の相続権を完全に排除することができることは,以前にお話させていただきました。

◆ 代襲相続について
子,兄弟姉妹については,「代襲相続」という制度があります。

相続発生以前(「同時死亡の推定」の場合も含みます)に,子が亡くなっている場合には孫が「子」の代わりに(「代襲相続」),孫も亡くなっている場合には曾孫が「子」と孫の代わりに(「再代襲相続」),相続人となります。

相続発生以前に,相続人であるべき兄弟姉妹が亡くなっている場合には,その子である「おい・めい」が兄弟姉妹に代わって(代襲相続),相続人となります。
兄弟姉妹の代襲相続は,子の場合と異なって1代限りです。「おい・めい」までしか相続を受けることはできません。

正確には,代襲相続が認められるのは,相続発生以前に相続人となるべき者が亡くなられていた場合だけではありません。子や兄弟姉妹に相続「欠格事由」がある場合,子や兄弟姉妹が「廃除」された場合も,代襲相続が認められます。欠格,廃除については次回にお話します。

一方,子や兄弟姉妹が相続放棄をした場合には,それらの子に代襲相続は認められません。

◆ 例を挙げると
被相続人の関係者には,妻A, Aとの子B・C,Bの子(孫)D,前妻E,Eとの子F,母親G,姉H,なくなった妹の子であるめいI,がいるとしましょう。

まず,妻のAは無条件に相続人となります。血族相続人は,第1順位である子B・CとEです。法定相続分はAが1/2,B・C・Fが各1/6です。前妻との子は非嫡出子ではありませんのでご注意を。

被相続人と子Bとが同じ自動車に乗っていて大きな事故で同時に亡くなった場合にはどうでしょう?同時死亡の場合にはその両名の間には相続が発生しません。ただし,代襲相続が認められています。結局,DがBに代わって相続することになります。

A,BおよびCが被相続人の借金が多いことを知って相続放棄をしたらどうでしょう?
相続人は,Fだけです。Bの子Dは相続人とはなりません。相続放棄では代襲相続が発生しないからです。

ではFも相続放棄をしたらどうでしょう?
そうすると第一順位の血族相続人である「子」がいなくなりますから,第2順位の「直系尊属」である母Gが相続人となります。

さらに,Gも相続放棄をすると?
第1順位に続いて,第2順位もいなくなりますので,第3順位である,兄弟姉妹が相続人となります。姉Hと亡くなった妹を代襲相続するめいIが相続人となります。相続分は,各1/2です。

◆ 最後に
次回は,今回のお話に出てきた,「同時死亡の推定」,「欠格事由」,「廃除」という言葉について簡単に説明させていただくとともに,もう少し突っ込んだお話をさせていただきます。


「債務はどう相続されるの?」【相続・家庭問題10】

弁護士(広島弁護士会所属)の仲田誠一です。

水槽がいよいよ凄いことになって来ました。白コリドラスが増え続けていますし,オトシンクルスネグロの赤ちゃんまで登場してきました。
みんなが大きくなったら水槽を増やさないといけないなと頭が痛いです。


さて,相続のご相談を受ける中で,個人の借金がある場合の相続のされ方や遺産分割協議での扱いについて,ご存じない方や誤解されている方が多くいらっしゃると感じています。

そこで,今回は,故人(「被相続人」といいます)に債務がある場合の,債務相続のルール,それを踏まえて遺産分割ではどう扱ったらいいのか,についてお話しようと思います。

 

◆ 債務の相続についてのルール

被相続人Aさんが亡くなり,その相続人が妻のBさんと子のC,Dさんだったとしましょう。AさんにはE銀行から借りた1000万円の借金を残しました。これだけなら相続放棄をすればいいのですが,そこそこの財産があったため,皆が単純承認しました。

債務はどのように相続されるのでしょうか。

借金は「可分債務」です。
例えば,「車一台」を引き渡す義務など分割できない(分割して車の一部を引き渡されても意味がないですね)債務を「不可分債務」,借金のように金額・数量などで分割できる債務を「可分債務」と言います。

相続が発生すると,「可分債務」は,各相続人に,法定相続分に従って,当然に分割して承継されます。上の例では,Aの相続に関し,相続人の各法定相 続分は,Bが1/2,C,Dが各1/4です。したがって,可分債務であるAの1000万円の借金は,Bが500万円,CとDが各250万円とに分割して受 け継がれることになります。

E銀行の方から見ると,遺産分割を待たずに相続人に対して請求することができる一方,Bに対して500万円,C・Dに対して各250万円しか請求することができないことになります。

もちろん,BがAの借金の保証人であった場合には,Bは保証人として1000万全額の債務を負いますが,それは相続とは別の話です。

 

◆ 遺産分割協議での取り扱い

借金は各相続人にその法定相続分に応じて「当然に」承継されます。

そのため,遺産分割が終了していなくてもE銀行は各相続人に返済を請求することができます。

では,相続人BCDの話し合いで,債務はすべてCだけが引き受けるという遺産分割協議を成立させることはできるでしょうか。

実は,そのような遺産分割協議は相続人BCD間だけで有効になるだけで,債権者E銀行には主張できません。「可分債務」である借金は,法定相続分に したがって「当然に」分割承継されますし,もし債権者にも対抗できるとすると財産・収入がない相続人に債務を集められて債権者が損失を被ってしまいかねな いからです。

財産を多く受け継ぐ相続人が債務も引き継ぐという遺産分割協議を行うことは稀ではないと思います。商売をされている方の相続は特にそうでしょう。

そのような内容の遺産分割協議が債権者に対抗できないということは,次のように困った事態が生じえます。
Cが財産を多く引き継ぐ代わりにE 銀行の借金も承継する内容で遺産分割を行って,E銀王に対して事実上返済を続けていたとしましょう。その後,Cがなんらかの事情で返済をできなくなりまし た。E銀行から,B・Dに対して,その法定相続分に応じて,返済要求をされました。B・Dは遺産分割の結果をE銀行に主張することはできませんから,返済 要求を拒めません。という事態です。

B・Dからすれば,遺産は多くCに取られにもかかわらず,借金は法定相続分に応じて支払わされるという,矛盾した結果を受け入れることになるかもしれません。

 

◆ どうすればいいか?

債務はCが引き継ぐ遺産分割協議の結果を借金にも及ぼそうとすれば,債権者との合意がどうしても必要です。そのような協議は,債権者の合意が得られてから成立させる必要があるでしょう。

具体的には,BCDが,E銀行との間で,Aの債務はCだけが引き受けるという契約(免責的債務引受契約)を締結すればいいのです。免責的債務引受契 約とは,引き受ける人が債務を負い,引き受けてもらう人は債務を免れるという契約です。そうすれば,Cがもし借金を支払えなくなっても,BDがCに代わっ て支払う必要がなくなります。

その際,BDが,保証人になったり,「重畳的債務引受契約」(引き受けてもらう人と引き受ける人が重ねて債務を負う契約)を締結したら,あまり意味がありません。


◆ 最後に

以上のように,遺産分割協議を行う際には,財産だけではなく,被相続人の債務の取り扱いが今後どうなるのかも考慮に入れて行う必要があります。

なお,保証債務の相続のご相談もよくあります。

保証債務も,法定相続分に応じて分割承継されます(なお,故人が代表者包括根保証を入れている場合には,保証人の地位は相続されませんが,すでに発生している債務については分割承継します)。

保証債務の場合は,その存在がわかりにくいこともあって,知らずに相続を受けたり,それを考慮せずに遺産分割をするケースもあります。気をつけて下さい。


「遺言書が見つかったらどうしたらいい?」 【相続問題】

弁護士(広島弁護士会所属)の仲田誠一です。

週末から非常に寒かったですね。雪が少しでも降ると,慣れてない分,滑らないように歩くのに気を使いますね。

さて,遺言作成がなぜ必要かについては以前にお話しましたところです。今回は,故人が遺言を残していたことが,亡くなられてからわかった場合にどうしたらいいのかをお話したいと思います。

◆ 自筆証書遺言の形式をとった遺言書が見つかった場合

自筆証書遺言が見つかった場合には,家庭裁判所において検認の手続をする必要があります(しなくても遺言の効力には影響しませんが,過料に処されると法律で決まっています)。

検認手続とは,遺言書の存在や内容の保存を確実にして,後日の隠匿や変造を防ぐ手続です。遺言の有効性を確認するものではありません

なお,封印がある遺言書の場合には,勝手に開封してはいけません。家庭裁判所で開封する必要があります(反した場合,過料に処されると法律で決まっています)。
また,遺言書を変造・破棄した人は,相続欠格者となり,相続人としての資格を失います。

なお,公正証書遺言の場合には,検認手続は要りません。隠匿や変造の危険がないからです。

◆ 遺言書が見つかったのが遺産分割をする前だったら

相続人全員の合意(遺贈がある場合には受遺者も含みます)があれば,遺言と異なる遺産分割をすることはできます。ただし,遺言で遺言執行者が定められている場合には,遺言執行者との関係で問題が生じます。

なお,遺言の執行に関しては,遺言執行者が遺言で決められていない限りは,一部の内容の遺言を除いて,相続人が執行をすることができます。

もちろん,遺言執行者を家庭裁判所に選任してもらうこともできます。

◆ 遺産分割をした後に遺言書が見つかったら

遺産分割後に遺言が見つかった場合も,次の理屈ですでに行った遺産分割の効力を考えることになります。

遺産分割は,相続人等の遺産分割協議当事者の1人でも欠けると無効になります。また,遺産が実はなかったということだと当然に無効になります。
さらに,遺産分割協議の前提となる重要な事項について錯誤(そのことを知っていたら合意しなかった)がある場合も無効とする余地があります。そんな遺言があったなら,あんな分割合意はしなかったと主張するのです。

少し説明すると,以下のようになります。

◆ 相続人資格に変更がある遺言があった場合は?

認知,排除またはその取消しが遺言に書かれていた場合には相続人資格に変更があります。そのため,分割協議は有効だが金銭で賠償しないといけなくなる,分割協議が無効となる,などの事態を招きます。

◆ 遺贈がある場合は?

遺贈(遺言による贈与)があった場合には,それが全ての財産の遺贈であれば分割協議の対象となる財産が存在しないことになり,すでに行った遺産分割協議は無効です。
相続人ではない第三者に割合的(遺産の2分の1など)遺贈をした場合には,遺産分割の当事者が欠けていたことになります。そのため,すでになされた協議が無効となります。
相続人に対してそのような遺贈があった場合には,遺言があったらそんな不利な内容で合意しなかったという相続人から錯誤無効を主張できることになります。
特定の財産の遺贈があった場合は,その財産は遺産分割協議の対象から外れますので,その限りで遺産分割協議が無効となります。もちろん,それ以外の部分も,錯誤無効の話が出てきます。

◆ 「相続させる」旨の遺言があった場合は?

特定の相続人に対して,「包括的」に,「割合的」に,あるいは「特定」の財産を,「相続させる」との遺言があった場合です。その性質は,遺産分割方法の指定だとされています。
不動産を「相続させる」旨の遺言を残しておくと,単独申請で移転登記できるため(遺贈だとすると登記義務者である相続人との共同申請になります),このような遺言がさせているという事情があります。

包括的な場合には,全ての財産の遺贈と同じく,遺産分割協議は無効となるでしょう。
割合的な場合には,当該相続人が錯誤無効を主張できます。
特定の財産の場合には,相続人に対する特定遺贈の場合と同様に,その限りで遺産分割協議は無効となるでしょう。もちろん,それを前提に行った協議については錯誤無効の話が出てきます。

◆ その他の内容の遺言があった場合は?

その他の内容が定められた遺言が見つかった場合も,はじめに書かせていただいた理屈で考えていくことになろうかと思います。

◆ 最後に
今回は,少し難しいお話かなと思います。
遺言が見つかった場合,このように少しややこしい話になりかねません。
お早めに弁護士にご相談ください。

 


「亡くなった父の借金が見つかった!」 【相続問題】

弁護士(広島弁護士会所属)の仲田誠一です。

「冬晴れ」という季語の印象が強いからでしょうか,冬にはすっきりと晴れる日が多いようなイメージを持っています。
ところが,この冬はからっと晴れる日が少ないですね。

そのため,洗濯物が乾きにくいようで,私のタンスの中の衣類はどんどん減っていって,中身がすかすかになっています。

猛暑の昨夏はあれだけ憎らしかった太陽が,今は恋しいものです。

 

さて,前回は,相続放棄などについて簡単にお話をしましたが,今回はその補足です。

◆ 遺産がなく負債があるだけなら,相続放棄すればいいの?
単純にそうとも言い切れません。

以前に,過払金返還請求を説明させていただきました。

例えば,被相続人が10年以上も前からずっと消費者金融からお金を借りていた場合には,引直し計算をすると過払金が発生している可能性が大きいです。
外見上は「負債」を負っているようでも,実際には過払金返還請求権という「債権」を持っていることもあるのです。

過払金返還請求権は遺産です,負債が大きいからといって相続放棄をすると,それも引き継ぐことはできません。

「単純承認」をすると,被相続人の過払金返還請求権は,法定相続分に応じて各相続人に分割して帰属することとなります(もちろん請求し取り立てることができます。)。

過払金がでる可能性が高ければ,早めに弁護士等の専門家に相談し,熟慮期間中に過払金の存否の調査をしてもらってから,相続放棄の要否を検討するのもいいでしょう。

◆ 父の相続人は子の私1人だけですが(祖父母もいません),自分だけ相続放棄すればいい?
相続放棄をすると,初めから相続人ではなかった扱いになります。

ところで,相続が発生すると,被相続人に配偶者がいれば常に相続人となり,それとともに,子(第1順位)→子がいなければ直系尊属(第2順位)→子も直系尊属もいなければ兄弟姉妹(第3順位)の順で,相続人になります。

同順位の相続人の全員(子ならすべての子)が相続放棄をした場合には,その順位の相続人が最初からいなかったことになり,後順位の推定相続人が相続人となります。

ということは,あなたが相続放棄をすれば,第1順位の相続人がいないことになり,第2順位の直系尊属(父方の祖父・祖母)もいないから,第3順位の兄弟姉妹(あなたから見ると叔父叔母)が相続人となります。

第3順位の推定相続人である兄弟姉妹がすでに亡くなっているが,その子(あなたから見るといとこ)がいる場合には,代襲相続によって,いとこが相続人となります。

あなたの後順位に推定相続人がいなければ,あなただけが相続放棄をすると,もはや相続人がいなくなることになって,それでお終りです。
一 方,あなたの後順位の推定相続人がいる場合には,あなたが相続放棄をすると,後順位の推定相続人(いとこまで)が負債を相続してしまうことになります。通 常は,後順位の推定相続人も相続放棄をする必要があるでしょう。あなたが相続放棄をする場合には,後順位の推定相続人への配慮も必要になります。

◆ 親戚に相続放棄を依頼できない場合は?
例えば,被相続人の負債が大きく,残された妻と子にも財産がなく支払える見込みがないというケースで考えてみましょう。

妻と子が相続放棄をした場合は,上に記載したとおり,後順位の推定相続人が負債を相続します。そのため,後順位の推定相続人に対し,「子の相続放棄によってあなたが相続人となってしまうから相続放棄の手続をとってもらいたい」旨,お願いする必要があります。

一方,母と子が一度相続を受けて(単純承認),その後母と子が自己破産をした場合には,どうなるでしょう?
負債は単純承認した母子が引き継いだことになりますので,実際に相続人となっていない後順位の推定相続人は債務を相続することはありません。
その母子が自己破産をするだけで,結局は債務を免れることができます。後順位の推定相続人に対して相続放棄の依頼をする必要はありません。

どうしても親戚に迷惑をかけられないという場合には,ここら辺のことも,参考として考えていいかもしれません。

◆ 最後に
相続放棄は,簡単なようですが,法律的に難しい問題もあります。戸籍の取り寄せなどの手続も意外に大変だったりします。

弁護士等の専門家に相談・依頼されることをお勧めします。


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