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旧コラム 不動産問題: 2019年1月

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オーバーローンの共有不動産の分割請求 [不動産問題]

広島県広島市の弁護士仲田誠一です。

 
今回の不動産問題コラムは共有不動産の分割請求のお話です。


不動産は、結婚・離婚や相続により共有状態になることが多いでしょうか。
 

民法上、共有状態は異例な状態との位置づけであり、共有者はいつでも共有物の分割を請求できることが原則です。
共有物分割請求といいます。

  

共有物分割請求は、調停、訴訟ができます。訴訟で折り合いが付かなければ最終的には換価分割の判決が出る可能性があります。
勿論、現物で分けられる場合には現物分割もありえますが、実際には不動産を2つに割るのは難しいですね。
競売で換価して分けるというおそろしいことになり得ます。

通常、共有物分割請求では、お金で清算する、あるいは共同で売却して代金を分けるという和解的解決が図られます。
それが利害関係人共通の利益だと思います。合理的な解決ですね。

ただ、感情も入り、合理的な和解解決ができないこともありますね。
そういう場合は判決、競売もやむを得ないということになります。


ところで、オーバーローンの場合はよく考えないといけないことがあります。
オーバーローンというのは、不動産に担保が付いており、被担保債権が当該不動産の価値を上回っている状態です。
ローンがオーバーしている状態ですね。

離婚によって、オーバーローンの共有不動産が作出される場合が典型でしょうか。

共有物分割は、最終的には判決による解決、かつ換価分割が原則になるということは上述しました。


しかし、オーバーローンの場合、共有不動産を分割するために競売をすることはできません。そういう判例があります。

仮に、訴訟をして換価分割の判決を貰っても、執行ができなければどうしようもないですね。

 

じゃあ、オーバーローンの場合に和解的解決ができない場合はどうするかという問題があります。

ここで、全面的価格賠償による解決が出てきます。
全面的価格賠償とは、所有権を一方に認めるが他方にお金を払えという形のやや例外的な判決で、これを認めた裁判例もあります。
金銭解決ですね。

勿論、オーバーローンでない場合にも、あり得る判決です。

ただ、当事者の反対意向がなく単独所有権を取得する当事者に支払能力がある場合でないと出ない判決です。

価格賠償の判決が出る可能性があるのであれば、オーバーローンでも共有物分割請求訴訟をやって意味があるということになりますね。

 

理屈で言ったら不動産に価値が残っていない以上、価格賠償はゼロでもいいような気がしますが、そうはいかないでしょう。
離婚後のケースで、ローンの負担状況や居住利益等も含めた総合考慮により価格賠償額が決められた例もあります。

総合考慮だと金額の見通しはなかなかつけられないことになりますが。


不動産に関するご相談はなかた法律事務所にご用命を。

 

広島の弁護士 仲田 誠一

なかた法律事務所

広島市中区上八丁堀5-27-602

https://www.nakata-law.com/
 

https://www.nakata-law.com/smart/


不動産の時効取得と税金 [不動産]

広島県広島市の弁護士仲田誠一による不動産問題コラムです。

 

不動産の問題を解決するにあたり、取得時効の援用を行うケースがあります。

 

例えば、隣地との境目の争いがあり占有部分の所有権を確定させるケースがありますね。

あるいは、自宅が曽祖父などの名義のままになっており相続人が分散して話し合いでは解決できそうもないケースも多いです。
今更、枝分かれした多数の他の共同相続人全員から合意を取り付けることは難しいことが多く、訴訟提起して解決するのですね。

 

不動産の時効取得が認められて登記を変更できた場合、所得は把握されるのでしょうか。
今回は、どんな税金がかかるかというお話です。

無償で不動産を取得することになるので贈与税が課税されるかというとそうではありません。

時効取得が、一時所得として所得が把握され課税されます。
 

課税対象は、時効援用時の当該不動産の時価になります。

民法上は時効の援用の効果は占有開始に遡るのですが、一時所得の課税時は時効援用時とされています。
遡ると税金が時効でとれないということがあるからでしょうか。

 

一時所得なので、所謂2分の1課税です。
ただし、収入が時価の2分の1で大きいかもしれません。
かつ、収入から控除できる「直接要した費用」はあまり認められません。
弁護士費用などは駄目なのですね。
そのため、相応の所得が発生する可能があります。

 

このように、不動産の時効取得により所得が把握されるということは気を付けてください。

不動産登記の名義変更をするので、時効取得の事実を税務署は容易に把握することができます。

 

そうであれば、仮に売買などの別の主張が認められそうであれば、あるいは遺産分割等他の方法で解決できるならば、税金がかからない方法を優先するという検討も必要になります。

例えば、過去の売買が認められると課税されないのは当然です(買主なので譲渡所得税はかからないですね)。

過去の遺産分割が認められた場合も相続税の話になり時期的にもはや相続税課税が難しくなるでしょう。

売買や遺産分割等の証拠があるのであれば、まずはそちらの主張を前面に出して、時効取得は予備的に主張することになるでしょう。

時効で解決できるからといって簡単に時効取得に飛びついてはいけないことになります。

勿論、時効取得を検討する案件では、他の主張が認められることが難しいから時効取得を主張しているということが多いのですが。

その場合は仕方がないですが、仮に和解の場面が出てきたら、課税関係を意識して臨まないといけません。

 

時効取得に限らず、紛争の解決には税金の検討の必要が伴う場合が多いです。
紛争の解決方法としてお金や物が動くと非課税所得等ではない限り何かしらの税金がかかる可能性があります。
思わぬ落とし穴があるかもしれません。

 

不動産に関するご相談はなかた法律事務所にご用命を。

 

広島の弁護士 仲田 誠一

なかた法律事務所

広島市中区上八丁堀5-27-602

https://www.nakata-law.com/

 

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