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旧コラム 借金問題: 2018年12月

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破産と不動産賃貸の審査 [借金問題]

広島県広島市の弁護士仲田誠一の借金問題コラムです。

 

債務整理(自己破産、個人再生、任意整理等)を行うと、個人信用情報機関にその旨の情報が登録され(所謂ブラック情報)、個人信用情報を基にして審査をする金融機関からお金を借りたり、保証人になったりはできません。

 

法律上の制度ではないので、はっきりわかりませんが、外部から窺う限りでは、自己破産、個人再生の情報の保存期間は5年か10年です。
7年説もあったのですが。
自己破産等の債権者であった金融機関は一生貸付をしないようです。
独自の信用情報を保管していますからね。

5年経過で借りられるようになったケースもありますが、できれば10年とお考えになって、自己破産後は緊急の事態に備えて貯蓄に励まれることをお薦めします。
5年経ったら借りられたという話も、2度目の自己破産のご相談で聞く話です。


再度の借入れのタイミングは、経験上、スーパーなどでポイントカード兼用のクレジットカードの申し込みに勧誘されて申し込んだら審査に通ったという場合が多いようです。
 
仮にもう一度借りてしまって返せなくなると、前回自己破産の免責確定後7年間はもう一度免責を受けることは原則できません。
その間、小規模個人再生だけは可能です。


その期間を過ぎていても、2度目の自己破産は厳しく見られ、場合によっては管財事件になります。
ただし、2度目の自己破産でも同時廃止で終わるケースはたくさん経験しています。
諦めなくていいです。

 

自己破産後の不動産賃貸の審査はどうでしょうか。
 

通常のケース(大家さんとの間で親族等の連帯保証人を立てて物件を借りる場合)では、自己破産は審査に関係ありません。
大家さんや不動産仲介業者は、加盟金融機関でないでしょうから個人信用情報を照会できません。

 

最近増えてきた、保証会社を入れる賃貸借契約の場合は様相が異なります。
保証会社によっては、個人信用情報機関の加盟会社であって信用情報を照会することができるようです。
審査に引っかかる可能性があるということです。

 

賃貸の申込みに際してクレジットカードの作成を条件とされるケースもあったようです。
カード会社の審査を通じて信用情報を間接的に確認するためですね。

 

自己破産をしたという事実からは、もう借金がないと推認できるわけで、自己破産の事実から家賃滞納の可能性が高いとは一概に言えないはずなのですが。

 

債務整理(任意整理、個人再生、自己破産等)のサポートはなかた法律事務所にご用命を。

 

広島の弁護士 仲田 誠一

なかた法律事務所

広島市中区上八丁堀5-27-602

https://www.nakata-law.com/
 

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孤独死と相続放棄、連帯保証債務 [相続問題]

広島県広島市の弁護士仲田誠一です。

 

今回の相続問題コラムでは、相続問題と債務整理にまたがる、孤独死にまつわるお話をします。


孤独死が社会問題化して久しいですね。そのような相談を受けることがあります。
その多くは、相続放棄あるいは不動産賃貸借契約の連帯保証債務に関する債務整理の相談です。

 

孤独死の場合、運悪く一定期間見つからなかった場合、腐敗等が進み原状回復費用が膨大な金額になります。

場合によっては、床、壁、水回り、電気設備すべてを取り換える必要があるケースもあります。
一旦スケルトンにして原状回復するのですね。


それらの損傷は、貸主負担となるべき経年劣化、通常損耗による損傷ではありません。
補修の必要性が認められる限りですが、それらの修繕費用も原状回復義務の範囲になります。

自殺の場合はある程度仕方がないとは思いますが、自然死でも原状回復義務が莫大な金額になり得るということは非常に怖いです。

 

最近、やや借主側に厳しい裁判例が出ています。
数百万円を超える原状回復義務が認められました。
ますます怖いことになっています。

 

ご相談者が単なる相続人である場合は、相続放棄を勧めれば済むことです。
相続放棄をすれば亡くなった方の原状回復義務を引き継ぐことはありません。

 

しかし、ご相談者が不動産賃貸借契約の連帯保証人である場合は困ります。
相続放棄をしても連帯保証債務は残るからです。

自己破産をして連帯保証債務を免れるか、保証人の責任の範囲を正面から争うかになります。
ただ、裁判で争うとなると、場合によっては上述のとおり厳しい判断が出る可能性があります。

自己破産ができない方については、ある程度の金額で折り合いが付くのであれば示談をして解決するのも妥当かもしれません。

不動産賃貸借契約の連帯保証人になる際には、数百万円を超える責任を負う可能性があるなんて想像していませんよね。
上述の裁判例の判断は妥当なのかと疑問です。
そのような議論もされているようです。

 

不動産賃貸借の連帯保証人になっている方は、極論を言えば、1~2週間隔で生存確認をしないと怖いことになります。
非現実的ですよね。


一方、家主側も修繕義務を負担することは納得いかないのが当然でしょう。

また、家主が負担すべきとなると、単身高齢者に賃貸住宅が供給されなくなるかもしれません。

本来は、だれが負担するかの問題ではなく、そういう場合に適用できる保険を用意して対応すべき事柄ではないかと思います。
そのような保険もあると聞きます。

勿論、孤独死が発生しないような世の中になることが理想ではございますが、今後増えることはあっても減ることはなさそうです。
身近な問題となっていくかもしれません。

 

自己破産などの債務整理、遺言、相続、遺留分、相続放棄等、相続問題のご相談はなかた法律事務所へ。

 

広島の弁護士 仲田 誠一

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ショッピング枠の現金化と破産 [借金問題]

広島県広島市の弁護士仲田誠一の借金問題コラムです。

 

債務整理、特に自己破産において問題となる行為にショッピング枠の現金化というものがあります。

 

ショッピング枠の現金化は違法な行為です。詐欺行為とも評価できます。

 

業者が貸付の目的で、利用者にクレジットカードを利用させ(ビー玉等価値のない物を高い価格で購入させる例が典型です)、利用者には高額の手数料を差し引いたお金を振り込むような行為です。違法な業者が広告を出しておりますね。


クレジットカードで、換金目的で新幹線のチケットやアマゾンギフトなどを購入して業者に売却して現金を得る行為もクレジット枠の現金化と言えるでしょう。

 

自転車操業に陥っている債務者の方が、お金が借りられないがクレジットのショッピング枠が残っているということで、返済や生活費のために手を出してしまうことが時々あります。

そのような目的でクレジットカードを利用することは契約上許されていません。
そのため、通常の借入れではなく、詐欺行為とも評価しうる行為となるのです。

 

自己破産においては、実務上、これらの行為は免責不許可事由に該当すると扱われています。

自己破産申立ての際には、それらの行為を報告する必要がありますし、場合によっては免責を与えていいか調べるために管財事件になることがあります。

そのため、ショッピング枠の現金化の回数、金額が多いときは、管財事件となるあるいは免責不許可になるリスクを回避するために個人再生を選択することもあります。

 
勿論、回数や金額が債務総額に比して大きくなく、かつやむを得ない事情があったことなどを説明すれば、同時廃止で自己破産手続が終了する例も珍しくありません。
諦める必要はありません!

また、債権者からも免責不許可意見が出ることはほとんどありません。

 

ショッピング枠の現金化に手を出すくらいでしたら、いち早く自己破産や個人再生を決断してください。
ショッピング枠の現金化は、債務の解決には全くならず、さらに資金繰りを悪化させるだけです。
自己破産の支障にもなる行為です。

 

既にショッピング枠の現金化に手を出した方は、弁護士に自己破産を相談する際にはきちんと説明をしてくださいね。
後でわかると困ることがあります。
弁護士に、正確に、かつ影響が小さいように、説明をしてもらってください。
なんとかなるケースが多いですから。

なお、クレジットカードで本当に購入した物品を購入と近い時期に売却することも問題視され得ます。
契約上、クレジット債務を支払うまでは、所有権が留保されており、横領行為とも見られ得るのです。
気を付けてくださいね。

 

債務整理(任意整理、個人再生、自己破産等)のサポートはなかた法律事務所にご用命を。

 

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夫婦が債務整理するときの住宅資金特別条項 [借金問題]

広島県広島市の弁護士仲田誠一です。

今回の謝金問題コラムは、個人再生における住宅資金特別条項(いわゆる住宅ローン特則)のお話です。


住宅ローンを支払い続けて住宅の維持をされたい場合の債務整理は、個人再生を選択して住宅資金特別条項を利用するのがスタンダードです。

ただし、夫婦共に債務整理をする際には、各夫婦がケースバイケースで各手続の選択を考えないといけません。
ご夫婦とも債務過多になっており同時に債務整理をすることが必要なケースは多いです。
パターンによっては住宅資金特別条項が利用できないケースもあります。

配偶者が他方配偶者の住宅ローンの保証人や連帯債務者にもなっていない、かつ不動産の所有権持分も持っていないというケースでは、単純に住宅ローン債務者の配偶者が住宅資金特別条項を利用して個人再生を進めればいいだけです。
そのような例も多いですね。
住宅ローンには保証会社が付いていますので、配偶者を保証人等にするのは、借入金額が大きく収入を合算しないと審査に通らなかった場合や不動産が共有である場合に限られている傾向があります。

配偶者が連帯保証人や連帯保証人になっているケースではよくよく吟味しなければいけません。
細かいですが、場合分けをして説明します。

 

1 夫名義の住宅の場合(妻の場合もありますが逆に読んでください)
 

【妻が連帯保証人の場合】

住宅ローン抵当権の債務者が夫だけの場合は(通常そうなっています)、妻が個人民事再生を選択しても住宅ローン特則が使えません(勿論夫は利用できます)。

妻の債務整理は、任意整理をするか、自己破産あるいは個人民事再生を選択した上で住宅ローン債権者と交渉することになります。
妻の自己破産あるいは個人再生により、夫の住宅ローンの期限の利益を喪失されないようにしなければなりませんから。
連帯保証人の自己破産、民事再生申立てが期限の利益喪失条項に挙げられているのが一般的です。

この場合、交渉により期限の利益を喪失しない扱いにしてくれることも多いです。

 

【妻が連帯債務者である場合】

住宅ローン抵当権に夫妻両名が債務者とされている場合でも、所有者である夫しか住宅ローン特則の利用ができません。
 

妻は、住宅資金特別条項付きの個人再生を利用できませんから、上述の連帯保証人となっているケースと同様のことをしなければなりません。

 

2 夫婦共有の住宅の場合
 

【妻が連帯保証人の場合】

理屈は難しいところですが、夫婦が同時に個人再生を申し立てる場合は、夫婦ともに住宅資金特別条項が使えるとされています。
そうでないと、住宅資金特別条項の制度趣旨に反するからです。

 

【夫婦が連帯債務者である場合】

住宅ローン抵当権に夫妻両名が債務者とされている場合には、夫婦とも住宅ローン特則が利用できます。

 

【夫婦がそれぞれ個別に住宅ローンを負担している場合】

ペアローンと呼ばれますね。
それぞれの住宅ローン抵当権に夫、妻が債務者と登記されているのであれば双方とも住宅ローン特則が利用できます。
ただし、この場合も夫婦が同時に個人再生申立てをしなければいけません。

 

整理をすると上述のような感じになります。

一般的に、夫婦の連帯債務の場合は住宅資金特別条項を利用できる可能性は高いでしょう。

片方が連帯保証人である場合や、夫婦が同時に申し立てられない事情がある場合には、住宅資金特別条項が使えないケースが出てきます。

 

個々に挙げたほかにも、ペアローンの場合の保証関係など、住宅資金特別条項の利用にあたっては細かい議論があるところです。
 

住宅資金特別条項が使えるかどうかは他の要件にも関わりますので、必ず弁護士に相談の上で検討してください。
住宅ローン特則が使えない場合には、別の方法を早めに検討しなければなりません。

その際は、ローンの契約書と登記簿謄本を忘れずに持って行ってください。
そうでないと弁護士も判断ができません。

 

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他人の所有・賃貸物件、社宅に居住の自己破産等の注意点 [借金問題]

広島県広島市の弁護士仲田誠一です。

今回の借金問題コラムは、自己破産や個人再生をする際に、他人が所有するあるいは賃貸する物件に居住しているケースや社宅に居住しているケースの注意点をお話しします。

債務整理のうち、自己破産、個人再生を申し立てる場合には、裁判所が指定する必要書類がございます。
中には「なんでこのような書類が必要なのか」聞かれるものもあるのですが、必要書類だから必要だとお答えするほかありません。

必要書類の中で、居住証明に関する書類があります。
居住の証明は住民票だけでいいではないかと言われそうなのです。
しかし、提出書類の1つなので仕方ありません。

居住証明として必要とされる書類は、原則、賃貸借契約書(賃貸している場合)あるいは所有不動産の登記簿謄本(所有物件の場合)です。

しかし、ご自身では賃借していない物件、あるいは他人所有の物件にお住いの場合もあります。

社宅にお住まいの場合もありますね。

そういう場合には、どういう書類を出せばいいのかということになります。

第三者の所有物件あるいは第三者契約名義の賃貸物件にお住まいの場合には、原則として、当該所有者あるいは賃貸借契約の名義人から「居住証明書」をいただかなければいけません。

居住証明書に、不動産登記簿謄本あるいは賃貸借契約書を添えて提出することが原則なのですね。
その手間があることをご注意ください。


勿論、同一世帯の近しい親族が所有者あるいは賃貸契約名義人の場合には、賃貸借契約書あるいは謄本の提出だけでいいでしょう。

社宅に居住している場合は説明に困ります。

借上げ社宅の会社名義の賃貸借契約書は持っていないことがい多いですね。

また、会社に居住証明書をもらうことは難しいですね。

そういう場合は、社宅利用許可証、社宅費天引きの給与明細等社宅を利用していることがわかる書類を提出し説明を尽くすことで許されることが多いです。

債務整理(任意整理、民事再生、自己破産等)のサポートはなかた法律事務所にご用命を。

 

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自己破産、個人再生でのネット専用口座の提出書類 [借金問題]

広島県広島市の弁護士仲田誠一です。

 

今回の借金問題コラムは、自己破産や個人再生の際のネット専用口座の扱いなどを解説します。

債務整理のうち、自己破産、個人再生は法的債務整理手続ですね。
裁判所への申立必要書類に通帳(提出するのは写し)があります。


しかし、最近は通帳が発行されないネット専用口座も多いですね。

その場合には通帳がないので、ネット上で打ち出した取引明細や郵送でお願いした取引明細を出すことになります。

広島本庁では自己破産、個人再生の申立時には、最低直近1年間の通帳の写しを提出しないといけません。
それに応じて、ネット専用口座も1年間の取引明細を出さないといけません。

また、普通預金以外の預金がないことがわかるような画面(保有口座が一覧となる最初の画面等)も必要でしょう。

 

ところが、ネット専用口座のある銀行のカードローン等の債務がある場合、受任通知を送るとインターネットバンキングが使用できなくなることがよくあります。
そのため、受任時には、予め取引明細を取っておくよう願いしています。

スマホでしかみられない方には面倒ですがなんとか紙ベースにしてもらっています。

ただし、裁判所から自己破産あるいは民事再生の申立て直前までの取引明細を要求される場合もあり、その場合は銀行に郵送でお願いしてもらわなければならないです。

他にも、色々なところでペーパーレス化が進んでいます。

クレジットの利用明細、請求書、給与明細、源泉徴収票、各種規定などですね。

紙ベースで提出しないといけないケースもあるので、書面化に苦労をしていただくケースもあります。

自己破産、個人再生の書類の準備も少しずつ様変わりしています。

 

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自己破産、個人再生と相続関係【借金問題】

弁護士の仲田誠一です。

債務整理のうち法的手続である自己破産、個人再生に関するお話です。

自己破産、個人再生の申立ての際には、実方の父母の相続関係を報告しないといけません。
父母が亡くなっている場合には、相続財産の有無や生前の居住形態の報告も求められます。

 

なぜかというと、未分割の相続財産は法定相続分に応じて財産になるからです(多いのが亡くなった父母名義の不動産)。
未分割遺産の報告漏れが多いため、相続の事実の有無、父母の不動産所有の事実の有無が確認されるのです。

 

自己破産においては、一定の額の未分割遺産があれば(不動産がある場合は直ちに)、管財事件になります。
相続分が破産財団に組み入れられ、破産管財人により換価処分されることになります。共同相続人に購入を求めることが多いでしょうか。
遺産不動産の価値がほとんどなく換価も難しい物件である、あるいは実質的に分割がなされていて登記だけされていないだけだった等の場合は、例外的に管財事件として扱わないで同時廃止で済むケースもあります。
ただし、ケースバイケースの判断がなされます。
例外的な扱いを認めてもらうためには、少なくとも申立てにあたって適切な説明や事前の準備が必要です。

個人再生においては、仮に未分割遺産があったとしても換価処分されるわけではありません。
どのくらい清算価値に載せるべきかの問題になります。
ただ、相続分の評価額が大きいと、清算価値が大きくなり、最低弁済額が大きくなり、場合によっては大きくなりすぎて個人再生ができないということもあり得ます(清算価値保障原則)。

なお、既に遺産分割が完了しているケースでも、破産法上問題が生じないという説明が必要なケースもあります。
申立てに近い時期の不利な遺産分割などは、場合によっては否認対象となりますので。
否認対象となり得る行為は個人再生でも問題になります。否認されるべき金額を清算価値に計上することになります。
遺産分割に至った事情をきちんと説明しなければなりません。

 

破産管財人や個人再生委員をやっていると、自己破産や個人民事再生の申立てにおいて未分割相続財産の存在の事実の把握あるいは直前の不利な遺産分割の事実の把握が漏れていたというケースが偶に見受けられます。
自己破産や個人再生を依頼される場合は、相続関係のこともきちんと予め話をしておかないといけません。

また、特に田舎で多いのかもしれませんが、父母の相続が起きて、とりあえず父あるいは母の相続まで遺産分割を待っておこうと放置しているケースが少なくありません。
共同相続人の1人が債務整理をすることになると問題になるというリスクは承知していただかなければなりません。
相続手続を後回しにすることはお勧めいたしません。

 

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自己破産、個人再生での退職金の扱いと必要書類 [借金問題]

広島市の弁護士仲田誠一です。

 

債務整理のうち、自己破産、個人再生における退職金の扱いをお話しします。


自己破産、個人再生において、退職金は、退職金支給が近いという例外的な場合でない限り、その支給見込み額の8分の1が財産とみなされます。
申立時現在の「自己都合」退職の場合に出る退職金「見込額」の8分の1です。

なお、既に受け取った退職金は現在の形で財産評価をされます。

退職が決まっている等の場合には、差押え禁止財産との関係で、最悪4分の1評価で抑えることもできます。

自己破産の場合には、退職金見込額によってはそれだけで管財事件になることがあります。

広島地方裁判所(本庁)の場合、財産とみなされる額(退職金は見込額の8分の1)が20万円を超えると管財事件となります。

現金化できない財産なのですが、そういう決まりなのです仕方がないですね。
例外も許容するルールにはなっていますが、なかなか認められません。
バーが低いので引っかかる方は多いです。
管財事件になると、予納金が20万円~余分にかかりますね。

一方、個人再生であれば手続はかわりません。
退職金見込額の8分の1の額を清算価値(財産評価額)に計上することになります。
清算価値は、
再生計画における最低弁済額を画する一つの基準です。清算価値保障原則ですね。
他の財産が大きいなどで清算価値が100万円を超える場合には、最低弁済額が大きくなる可能性があります。
ただし、清算価値からは、自己破産における自由財産拡張対象財産を99万円まで控除することが可能です。

 

パート、アルバイト、契約社員あるい勤続5年未満の正社員は、そもそも退職金見込額を報告する必要はありません
退職金はないものとして扱ってくれます。

正社員5年以上であれば、退職金がない場合にはないとわかる資料、退職金がある場合にはその見込額がわかる資料を提出する必要があります。
退職金制度がない場合には、ないことがわかる就業規則等の書類を提出します。
退職金制度があって、退職金見込額証明書の発行を会社に頼めない場合には、退職金規程、辞令等、退職金支給見込額が計算ができるような書類を出すことになります。
ケースバイケースで何を出せば説明ができるか判断します。
ポイント制を導入している会社が多く、しかも累積ポイントが分からない場合などは苦労します。

 

なお、退職金類似の性質であっても、従業員の方の場合の中小企業退職金共済(中退共)や事業主の方の小規模企業共済は、財産とみなされません。
それらは、法律上、差押え禁止財産であり、破産手続では自由財産になるからです。

その場合も、加入の事実、場合によっては現在の積立額を説明する資料の提出が必要です。

 

まだもらっていない退職金が財産として扱われて手続も変わるかもしれないということは盲点かもしれません。
よく弁護士にご相談ください。

 

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離婚と自己破産 【借金問題】

広島市の弁護士仲田誠一です。

債務整理の話、その中で自己破産と離婚との関係です。

自己破産申立てに伴って離婚をされるご夫婦もよくいらっしゃいます。
経済的破綻が離婚の理由になったケースですね。

 

ところが、自己破産申立て直前の離婚で、かつ財産分与や慰謝料の支払いを伴う場合、破産手続において問題視されます。
財産隠し、破産財団からの財産の散逸を疑われるのです。場合によっては偽造離婚も疑われます。

 

経済的破綻が離婚の引き金になった場合、どうしても離婚が自己破産申立て準備(受任通知による支払停止や経済的危機状態)に近接して行われますね。
タイミングが悪くても仕方がないではないか(不自然ではない)と思うのですが、破産法の理屈上は仕方がないです。

 

財産分与・慰謝料等の離婚時給付は、贈与等無償行為とは扱いが異なります。
贈与等無償行為は時期にも依りますが、簡単に否認されてしまいます。
否認されると、破産管財人から返還を求められます。
これに対し、財産分与は夫婦共有財産の持ち分が顕在化した結果の清算です。
また、慰謝料発生原因が存在するのであれば慰謝料支払債務も発生します。
これらは、直ちに否認されるわけではありません。

 

基本は、不相当な(正当な理由がない、あるいは過大な)財産分与や慰謝料が否認される(受領者が返還を求められる)と考えていいのでしょう。

もっとも、慰謝料支払債務については、相当な原因があり相当な金額であっても、元配偶者に対してだけ債務を支払ったとして、別途偏頗弁済が問題となり得ます。
ここまで言われるときついのですが。

自己破産直前の離婚は、そこら辺を調査するために管財事件になることが比較的多いかもしれません。
申立時にどれだけきちんと説明できるかにもよります。

自己破産申立の直前の離婚でも、財産分与や慰謝料支払いがなく養育費支払いのみという場合は、基本的に同時廃止で終わっています。

 

管財事件になると、破産管財人による調査がなされます。
別れた配偶者等に事情を聞かれることもあります。

申立代理人として、あるいは破産管財人として、離婚と自己破産の問題を数多く扱ってきましたが、必ず突っ込まれることです。
離婚の仕方、財産分与の仕方、慰謝料の支払方法によっても、説明が異なってきます。
判断も変わってきます。

後々問題にならないよう、あるいは問題になっても傷口が浅くなるように、お早めに弁護士に相談された方がいいです。

 

このように、離婚が絡む自己破産はかなり神経を使うことになります。

 

なお財産分与が管財人に否認されなくとも、財産分与の結果として共有になった不動産がある場合には、破産管財人から一緒に売却する、あるいは持分の買取り等を要求されます。
その限りで他方配偶者も自己破産手続に関わってくることにご注意を。

また、養育費は非免責債権であり通常はそのまま支払われますが、財産分与、慰謝料を分割払いにしている場合には破産債権となり免責対象となることもご留意ください。

 

債務整理(任意整理、民事再生、自己破産等)のサポートはなかた法律事務所にご用命を。

 

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