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旧コラム 借金問題 8ページ目

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個人再生における債権者の反対 【借金問題】

広島市の弁護士仲田誠一です。

債務整理のうち個人再生のお話です。

当職は、広島では相対的に、個人再生を多く申し立てていると思います。
個人再生には、個人再生委員としても関わっております。

住宅資金特別条項(住宅ローン特則)を利用したい場合は勿論ですが、免責不許可事由の度合いが大きい場合も個人再生の選択を検討しますね。
破産の資格制限にひっかかるケースもありますね。
中には、相談者がいくらかの返済を希望されて個人再生の選択をする場合もあります。

個人再生は、免責不許可事由がない、資格制限がない、住宅ローンを支払いながら住宅を維持することが可能などの特徴があります。
一方で、自己破産にはない手続要件もあります。

個人再生には、小規模個人再生と給与所得者等再生があります。

小規模個人再生は、頭数あるいは債権額の過半数の債権者が反対した場合には再生計画が認可されません。
要するに手続きが無駄になります。
その場合、改めて給与所得者等再生か自己破産を申し立てることになります。
当事務所はそこまでお付き合いをしています。

小規模個人再生と異なり、給与所得者等再生は、再生計画に認可に債権者の書面決議は必要ありません。
しかし、家族構成によって異なりますが、多くの場合、給与所得者等再生の方が小規模個人再生よりも最低弁済額が大きくなります。
また、給与所得者等再生は、債権者の同意が必要ない分、要件が少し厳しくなり、裁判所も厳しく吟味をしてきます。
そこで、個人再生を考える場合でも、小規模個人再生の選択を優先して考えるのが一般的です。

ただ、小規模個人再生の場合には、債権者の構成を気にしないといけませんね。
1社のみの債権者、あるいは1社のみが飛びぬけて大きい債権額である場合など、仮に当該債権者に反対をされたら即再生計画が認可されないようなケースでは、給与所得者等再生の選択も検討せざるを得ません。
もっとも、反対された時はその時だとということで、小規模個人再生のまま申立てることが多いでしょうか。

少し前までは、公的な金融機関以外、よっぽどのことがない限り反対はしませんでした。
反対して自己破産されるよりは民事再生で少しでも回収した方が経済的合理性があることから理解ができます。
債権者が1社だけであっても、小規模個人再生で解決できたこともあります。

ところが、最近ちらほら反対する債権者が増えてきたような気がします。
勿論、まだ大多数の債権者はよほどのことがない限り反対はしてきません。
反対する債権者の意図がわかりません。自己破産されるよりは個人再生の方がいくらかは回収できるはずです。

直近では、債権者の反対によりせっかく個人再生を申し立てたのに再生計画が不認可になり、すぐに自己破産に切り替えて申立てをし直し、無事免責決定を得た事例もありました。
その場合は、免責不許可事由の点で個人再生を選んだ場合でも、債権者の反対により個人再生ができなかったという事情があるが故に、後の自己破産は割合スムーズに進む印象があります。

いずれにせよ、小規模個人再生を申し立てるときは、債権者の反対の可能性をこれまで以上に考慮に入れないといけなくなりました。

債務整理(自己破産、民事再生、任意整理)のサポートはなかた法律事務所にご用命を。

  

広島の弁護士 仲田 誠一

なかた法律事務所

広島市中区上八丁堀5-27-602
 

https://www.nakata-law.com/

 

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自己破産における管財基準 [借金問題]

広島市の弁護士仲田誠一です。


債務整理のうち、自己破産のお話です。

 

個人破産手続には、管財事件と同時廃止事件があります。
法人破産は、すべて管財事件となります。

 

同時廃止事件は清算すべき財産がないため破産手続開始と同時に手続廃止となるもので、裁判所に納める費用が低額です(郵券と官報費用ぐらいです。通常1万数千円です)。
裁判所に出頭するのも通常は免責審尋期日への出頭1度で済みます(広島本庁)。

管財事件は、裁判所から破産管財人が選任される手続で、費用が多額になります(予納金が20万から30万円となるケースが多いです)。
勿論、管財事件は説明等のために破産管財人弁護士の事務所に何度か行かないといけませんし、裁判所へ出頭する回数が増えたりする等、手続の手間も増えます。

裁判所には管財事件と同時廃止事件の振り分け基準があります。
破産法上、管財事件が手続の原則なのですね。
基準に適合する場合には同時廃止手続で進めるという理屈です。

 

広島本庁では最近、両者の振り分け基準が変わりました。
例えば、財産の点ですが、従前は全体で60万円が基準となっていました。
現在では、現金・預貯金50万円、個別の項目の財産が各20万円に基準に変わりました。

それを超えると管財事件になります。
金額が下がり、かつ各財産の項目毎に判断をする必要が生じます。

なお、退職金は、退職時期が差し迫っている例外的な場合でない限り、自己都合で辞めたと仮定した場合の退職金支給見込額の8分の1が財産額として評価されます。
保険の解約返戻金も20万円の基準によくひっかかります。契約者貸付を受けている場合にはそれを解約返戻金から借入額を控除した金額です。
自動車も引っかかることがあるかもしれませんね。

勿論、管財事件か同時廃止事件かは財産的な基準だけで決められるわけではありません。

5年以内に会社の代表者(あるいはそれに準じる経営者)あるいは個人事業主であった場合にも原則として管財事件になります。法人破産の場合は通常連帯保証債務を負っている代表者も破産をします。その場合には同じ破産管財人により同時に手続が進められます。
例外的に、いわゆる一人親方的な、設備等を使わずに決まった取引先から報酬を得ている場合には、実質的に給与所得者と変わらないということで管財事件にならない扱いもあります。

また、免責不許可事由の程度が大きい場合(破産管財人には免責に関する意見を出す役割もあります。)や、否認の対象となる行為が悪質あるいは金額が大きい場合には、管財事件とされる場合があります。

 

中には、事前に問題のない範囲で資産を現金化する、有用の資に充てる等、申立て方によって管財事件を回避することもできるケースもあります(もちろん裁判所に認められる方法の限りです。明らかに破産法に反する行為はできません)。
また、管財事件が見込まれる場合には、費用を用意する段取りも考えないといけません。

自己破産をお考えになる場合には、同時廃止事件になるのか管財事件になるのか、裁判所の費用がどれだけかかるかを早めにご相談いただだき、アドバイスに沿った準備をしてください。

 

債務整理(民事再生、自己破産、任意整理等)のサポートはなかた法律事務所にご用命を。

 

広島の弁護士 仲田 誠一

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会社の債務整理で考えること [借金問題]

広島県広島市の弁護士仲田誠一です。

株式会社、有限会社をはじめとする法人の債務整理のお話をさせていただきます。


例年、年末にかけてそういった相談が多いように思います。

 

世の中に存在する事業をなくしてしまうのは、当職としても偲びないところです。

そこで、当職は、まずは、事業継続の可能性あるいは
MAによる承継を考えます。

 
資金繰りの問題だけであれば資金繰りの手当てだけできればいいわけです。

金融債務の返済をストップすれば資金繰りが回るのであれば、金融機関にリスケをお願いし、その中で、経営改善を図ることを考えます。


資金繰りが回るとは、最低、金融機関への利息支払いのみで事業が継続できるだけの資金繰りの目途が立つかです(債務過多が主な経営不振の原因の場合)。

事業計画を出せば金融機関も無下に会社を潰しません。
当職は、認定経営革新等支援機関でもありますので、そこら辺のお手伝いもしております。


なお、単純に資産を切り売りして債務を圧縮する、あるいは経費を削減するための事業所の閉鎖は危ないと考えております。
事業継続があっての企業再生です。収益力が大事です。

遊休資産の売却や完全に不採算な営業所や事業所の閉鎖は勿論するべきですが、安易な事業用資産の売却や営業の縮小により、事業継続を危うくする資産の切り売りをして破産の道へ辿った例を破産管財人として見てきております。

 

勿論、経営者の覚悟が必要な話です。
仮に、経営者に気力が残っていないのであれば、
MAの道も検討します。
従業員さんを守るために考える経営者の方も多いです。

ただし、売却金で債務を完済できるのは稀ですので、適正価格での売却が可能か慎重に検討することになります。
債務が残れば、後の破産手続にてM&A取引の妥当性を説明しないといけません。

一方、事業継続の見込みの見極めを行っった結果、継続の見込みが立たない、今後さらに状況を悪化させていくだけであるという場合には早めの法的整理をお勧めしています。

経営者様は、従業員さん、取引先等の利害関係人のことを慮り、なかなか決断ができないものです。責任がありますからね。
そのため、苦しい中で何年も何十年も頑張って来られてきた経営者の方をたくさん見てきました。
ご自身の役員報酬もほとんど取れずに長年頑張って来られたような非常に気の毒なケースもございます。

早期に整理をするという決断も大事な経営判断です。

ご自身、ご家族の生活の再建も早めに考えないといけません。

ご決断をしていただければ、微力ながら、できるだけのサポートをさせていただきます。

まずは、事業継続(企業再生)の可能性も含めて、ご相談いただければと思います。

当職にご相談に来られる際は、既に破産しか途がないという段階の会社さんが多いです。ぜひ、早めにご相談くださればと思います。

 

事業継続の見込みが立たないということになると、自己破産か民事再生を選択することになるでしょう。

法人の法的債務整理には、事前の準備と整理が必要です。

従業員さんのこと、取引先との関係のこと、在庫のこと、資産処分のこと、賃貸物件のこと、売掛金の回収のこと等々、慎重に進めなければなりません。
破産等に絡めて事業譲渡等を行うこともあります。

法人破産には様々な費用もかかるため資金繰りの管理、事業閉鎖のタイミングの見極めも必要ですね。


法人破産は段取りが大事です。
弁護士と相談しながら準備をなさってください。

当職も、できるだけ早く受任をして、会社のお金の管理や資産整理から弁護士が携わることを心がけています。


会社の継続を諦める前に、あるいは諦めそうになったらすぐに、ご相談してください。

 

借金整理、民事再生、自己破産のサポートはなかた法律事務所にご用命を。

 

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生活保護受給者の自己破産 [借金問題]

広島市の弁護士仲田誠一です。

久しぶりのコラム更新となりました。
今回は債務整理の話です。
 
生活保護を受けていらっしゃる方の債務整理の相談もよく受けます。
 
ところで、生活保護費から借金は返してはいけない建前となっております。
当職が調べた限りでは法律上明文で規定されているわけではなさそうですが、借金の返済は最低限度の生活保障という生活保護の趣旨に反するからでしょう。

なお、勿論生活保護受給者が借金をすることも許されていません。基本的に収入認定されてしまいます。
 
そのため、生活保護受給者が借金を抱えていることが分かった場合、ほぼ例外なく生活保護の担当課から借金の整理を指導されます。市役所の相談課からそのような方の相談を承ることもよくあります。

生活保護を受給している方からの債務整理のご相談を受けた場合には、
ご本人がどうしても任意整理をしたいとおっしゃらない限り、
あるいは借金の金額がおよそ自己破産をすることが考えられない金額ではない限り、
自己破産を申し立てる方向で助言をいたします。
生活保護費から借金の返済をしてはいけない建前だからです。
勿論、生活保護費から返済していくのは厳しいはずですし。

そして、生活保護受給者であれば、数十万の借金でも自己破産が認められる傾向です(広島本庁ですが)。
中には10万円を切る借金でも認めてもらったことがあります。
最初は、借金額が小さいことを裁判所に指摘されていましたが、何件か頑張るうちに金額が小さくでも自己破産をすんなり認めてくれるようになってきました。
 
そして、費用の面です。
生活保護受給者は、実質的に費用をかけずに弁護士に依頼して自己破産を申し立てることができます。
法テラスの民事法律扶助という制度を利用します(もちろん当事務所にてその手続は行います)。
そうすれば、弁護士費用、予納金は法テラスが立て替えてくれ、しかも、生活保護を受けている限り、立替金の猶予、免除を受けることができるのが通常です。
その意味で実質的に費用負担はありません。
 
生活保護を受給している場合で借金を抱えている方は、このような支援制度がありますので、費用のご心配をなさらずに、ぜひご相談ください。
 
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自己破産、民事再生で車はどうなるか [借金問題]

広島県広島市の弁護士仲田誠一です。

債務整理のうち、自己破産、個人再生をお考えになる方の中で、どうしても車がないと困るとおっしゃると相談されることが多いです。

住んでいる場所、仕事の関係あるいは介護の関係で、どうしても車がないと困る場合ですね。

まず、債務整理のうち任意整理ではあまり問題とならないですね。
財産を処分される場面はないですし、
所有権留保のオートローンを債務整理の対象から外せばいいだけです。

そこで、今回は、自己破産、個人再生における自動車の取り扱いについてお話します。
 
まず、車が所有権留保物件なのかどうかが問題となります。

所有権留保とは、代金や立替金を支払うまで所有権をクレジット会社が保有する形の担保です。

自動車の場合には車検証の所有者名義がご本人ではないケースです。

自己破産、個人再生では、一部の債権者を対象から外すことはできません。

車が所有権留保物件であれば、支払いをストップする以上、法律上返還義務があります。
債権者が車の返却を受けることを引き揚げといいます。

所有権留保物件の車の中には、価値が全くないため引き揚げをしないと債権者が所有権を放棄するケースもあります。

なお、銀行のオートローン、マイカーローンの場合には所有権留保がなされていないことが通例です。

所有権留保物件でも車を残したい場合もあります。

その場合には残債額で親族等に買い取ってもらう例もありますね。
その方法は複数あり、債権者と相談して決めることが多いです。

破産者の財産からお金を出したのではない限りは、問題視されないことが多いです。
ただし、仮に残債よりも価値が高い車であれば、その差額が問題となりますね。

要件が厳しいのであまり使わなない方法ですが、個人再生で別除権協定を結んで所有権留保物件を残すということも考えられます。

ただし、所有権留保物件の車を債権者に車を返却する場合には注意が必要です。
 
登録が対抗要件(担保として誰にでも主張できる要件)となっている普通自動車は簡単に返してはいけません。

車検証上、クレジット会社が所有者として記載されているのならばいいのです。
しかし、販売会社等が記載されている場合は、対抗要件がない担保になる可能性があります。

そのまま返してしまうと後の法的手続で、否認対象行為として見られ、それだけで管財事件になる可能性があります。
民事再生上も類似の問題が生じます。

販売店が所有者として記載されている場合であっても、最近の契約書では、対抗要件を備えた担保として見られるケースもあります。
難しい言葉ですが、法定代位構成の保証方式の契約書で最高裁が認めました。
弁護士に確認してもらわないといけません。

普通自動車と異なり、軽自動車は引き渡しが対抗要件です。
基本的には占有改定という引渡しが認められるので、返却の際には神経質に考える必要はありません。
 
次に、あなたが車の完全な所有権を持っている場合(所有者登録があなたの名義の場合)、車を処分する必要があるかどうかが問題となります。
 
処分しないといけないかどうかは、状況によって異なります。
 
自己破産ではどうでしょうか。
 
自己破産においては、広島本庁では、初年度登録後6年以上経っているのであれば、価値はないと評価してくれ、原則として処分は必要ありません。

通常は残すことができます(破産管財人によってはそれでも時価を調査することはあります)。

ただし、外車や高級車等古くても価値が出そうな車の場合には話が別です。

管財事件になり処分をされることもあります。

また、車が借金の原因になっているような場合は処分を勧奨された経験もあります。
 
そこまで古くない車の場合はどうでしょうか。

管財事件の場合には破産管財人による処分の方向に進みます。

もっとも、処分の代わりに価値相当の現金を入れる方法もありますし、車がどうしても必要な事情があれば自由財産の拡張も可能でしょう。

同時廃止事件では処分しなくても大丈夫です。

ただ、車の価値がある場合には、管財基準(広島本庁では財産20万円が基準)により、それだけで管財事件になることがあります。
 
自己破産ではなく個人再生ではどうでしょうか。
 
勿論、所有権留保物件は返却が必要なことは個人再生と自己破産とで異なりません。

所有権留保物件ではない場合には、個人再生においては、車の価値が清算価値にのってきます。

個人再生の返済額は、
債権額の5分の1(多くの場合です。債務額によって基準が変わります)
清算価値(財産額)
100万円
のうち一番大きい金額といった基準で決まります(小規模個人再生の場合)。

給与所得者等再生では、可処分所得の2年分という基準が加わります。

車の価値によっては清算価値が大きくなり、返済額が増えてしまうということがありえます。

ただ、処分をする必要はありません。

 なお、先ほどの所有権留保物件で登録がクレジット会社とずれて対抗要件がない普通自動車についても、その価値が清算価値に加算されます(その場合、車を返す必要があるのかは解決されていない問題ですが、返還をしないという理屈が十分成り立ちます)。
 
以上、自己破産、個人再生における車の取り扱いについて簡単にお話しました。

結局はケースバイケースでよく考えないといけない問題ですので、お早目に弁護士にご相談ください。
 
借金整理(自己破産、個人再生、任意整理等)のサポートはなかた法律事務所にご用命を。
 
広島市中区上八丁堀5-27-602
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管財事件になるケース、同時廃止ですむケース [借金問題]

広島県広島市の弁護士仲田誠一です。

自己破産の手続についてお話します。


個人の自己破産には、管財事件と同時廃止事件があるってご存知でしょうか。


大きな違いは、破産管財人が就くかどうかです。


管財事件は、財産調査、換価・配当、免責調査のため、破産管財人が裁判所から任命されます。
破産管財人は、財産の調査・換価、債権調査・配当、免責調査などを行います。一定の財産を残すための自由財産拡張手続も必要になります。

そのため、多額の予納金がかかります(管財人の報酬等になります)。
予納金の額は、20万円ちょっとから、不動産がある場合は30万円がスタンダードでしょうか。
ケースによって増減します。

ほかに、郵便物が管財人に転送され開封される、管財人(弁護士です)の事務所に打ち合わせのために何度か足を運ぶ必要がある、といった留意点もあります。

なお、法人破産は常に管財事件です。
予納金も100万円が基準と高額です(ケースによって減額してもらえます)。


同時廃止事件は、破産手続費用(管財人の報酬など)を支払える財団が形成できる見込みがない、すなわち財産がない場合に、破産手続開始と同時に破産手続を廃止する手続です。

広島本庁の場合は、裁判所に1回行くだけの手続で済みます(免責不許可事由などの問題がある場合には2回ほど行くこともあります)。

この場合の予納金は、1万円ちょっとの低額になります。
官報公告費用です。


破産法上は破産手続は管財事件として処理されることが基本なのですが、消費者破産者の増大などを背景として、同時廃止という簡便な手続が認められるようになりました。


各裁判所、支部によって、同時廃止になるか管財事件になるかの一応の目安(振り分け基準)が決まっていますが、最終的にはケースバイケースで判断されます。


広島本庁では、

1 現預金は50万円、その他の財産は項目毎に20万円の基準額を超える場合

保険解約返戻金や退職金(自己都合退職の支給見込額の8分の1が財産評価の原則です。)で引っかかるケースが多いです。

一つ一つの項目が基準額内であっても、全体で相応の財産がある場合には管財事件になり得ます。

例えば保険解約返戻金が大きいときに、解約や契約者貸付を受けて基準内の納めて同時廃止事件として申し立てるなど、形式的に数字を変えて申し立てることもある程度許容されます。

2 5年以内に事業を営んでいた、会社を経営していた場合

会社経営の場合には代表者が対象となります。単なる取締役は含みません。

確定申告をしている事業主の場合でも、小規模である、あるいはいわゆる一人親方のように労務提供だけをしているケースでは、同時廃止事件としての扱いが可能です。

3 オーバーローンではない不動産がある場合

そのような不動産がある場合には、田舎の畑や山林などで換価性がないとみられる場合以外は管財事件になります。

住宅ローン付の不動産がある場合は、その価値と住宅ローン債権との対比で(計算のルールがあります)オーバーローンと認められれば同時廃止が可能となります。

4 免責不許可事由の悪質性が高い場合

免責不許可事由があるだけで管財事件になるわけではありません。
その悪質性の程度が高い場合に管財事件になります。

例えば、2回目の自己破産でも、同時廃止で済むケースは珍しくありません。
ショッピング枠の現金化やスマホの不正購入等の事実があっても直ちに管財事件になるわけではありません。

以上のケースなどに管財事件となります。
 

管財事件にされてしまうと、それが本来の手続であるため、弁護士が反対しても受け入れてもらうのは難しいところです。

自己破産を検討する場合には、予想される手続が同時廃止事件か管財事件かを見極めた上で、申立準備や申立費用の用意をする必要があります。


スムーズに手続を進めるためには、お早目に専門家に相談してください。

 

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借金の整理と自宅不動産2 [借金問題]

広島県広島市の弁護士仲田誠一です。

前回に引き続き、債務整理、すなわち自己破産、個人再生、任意整理に絡む自宅をどうするかという問題です。


【住宅ローンの他には多額の借金がない、かつ売却金で住宅ローンを完済することができる場合】

任意売却するのであればOKですね。
ただ、そのような状況で自宅不動産を売却しないといけない状況になることは稀です。

むしろ、住宅ローンのリスケジュール(条件変更)を行って、その間に他の債務を整理(任意整理)することを選択する方が多いのでしょう。

そうすれば自宅の維持は可能ですね。


【売却金で住宅ローンを完済できず残債が残る場合】

簡単に売却してはいけません。

残債の返済計画が立つかどうかを検討するのが先です。


残債を債権者との合意で無理なく返済できるのであれば任意売却でもいいでしょう。
ただし、賃貸物件に転居する場合の家賃を考慮に入れなければなりません。


残債がかなり残るということであれば、家賃プラス残債の返済に耐えることができるのかという問題になります。

自己破産も検討する必要がありますので、残債が残る場合には安易な任意売却は慎むべきです。

また、破産手続では妥当な取引だったか等を検証されます(それ自体で管財事件にされる可能性もあります)ので、弁護士に相談してからの方がいいですね。

 

【他の借金も整理する必要がある場合】

住宅ローン以外の借金も相当額ある場合には、自宅の任意売却だけで解決ができるわけではありません。
売却金をローン返済に充ててもかなりの余剰が出て他の借金も返済できるのであれば別ですが、そのような例は稀でしょう。

他の借金を整理して生活再建を図るためには、他の借金も含めて任意整理、個人再生、自己破産を選択するべきです。

法的手続をとる可能性があるのであれば、任意売却は弁護士に相談してからにすることをお勧めします。
 

残る借金を任意整理(元金を数年で分割する交渉を行います)で返済できるのであれば、任意売却と任意整理のセットでよろしいでしょう。

ただ、無理な計画を立てて途中で返済に行き詰ると無駄になってしまいます。

個人再生、自己破産も検討しなければなりません。

まずは、個人再生を選択して住宅を維持できるか検討することになります。


一定の継続収入があり、残る借金を全部返済することはできないが、住宅ローンのほかに月々ある程度なら返済することができる、というのであれば、住宅資金特別条項(住宅ローン特則)を利用した個人再生の選択を検討します。
 

具体的には、住宅ローンを返済しつつ、他の借金の一定額を、一定期間(原則3年から最長5年間)で分割返済ができるか、検討します。

一定額というのは、小規模個人再生では、他の債務の5分の1(債務総額によって基準は異なりますが多くは5分の1のケースです)、清算財産額(財産の額だと思ってください)、100万円の一番大きい額です。

給与所得者等再生では、可処分所得の2年分という基準も加わります。

上述の他の借金の一定額を返済できる計画が立つのであれば、住宅資金特別条項付の個人再生手続を選択し、自宅不動産は維持しながら他の借金の一定額を返済します。


自宅を維持しながら他の債務の元金をカットして整理ができるのです。

ただし、借入の方法あるいは自宅に付いている担保の関係で、住宅資金特別条項を使えない場合もあります。
住宅ローンがある方はまずこの途を選択できるのか、弁護士に相談したらよろしいかと思います。
相談時には登記簿謄本、住宅ローン契約書をお持ちいただいた方がいいです。


最後に、住宅ローンを支払いながら他の借金の一部でも返済できる見込みがない場合、自己破産を選択することになります。

もちろん、無駄に任意売却をせずに自己破産の選択でしょう。

自己破産が必要であるが、住宅を維持したいというケースもあります。
基本的に難しいのですが、当職の経験では、息子さんあるいは親族が抵当権者が納得する適正価格で不動産を購入する方法で自宅を維持したことはあります。
そのような際には、弁護士が関与した方がいいでしょう。破産手続できちんと説明できるように段取ります。
 

なお、債務整理の手続選択は、他の事情も考慮して決めないといけないことは勿論です。

早めに弁護士に相談して、どうすればあなたの生活が再建できるのか一緒に考えてもらいましょう。


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借金の整理と自宅不動産1 [借金問題]

広島県広島市の弁護士仲田誠一です。

債務整理である自己破産、個人再生、任意整理に絡む自宅をどうするかという問題を2回に分けてお話します。


借金問題でお悩みの方が自宅不動産を所有している場合、自宅を維持するのか、処分するのか(任意売却するのか)、処分するのであればどのタイミングで処分するのかは、必ず悩む問題です。


どういう風に考えたらいいのかをお話する前に、簡単に、自宅不動産の任意売却のメリット、デメリットに触れておきます。

ちなみに、住宅ローンなどの抵当権が付いている住宅の任意売却には、抵当権者の同意が必要となります。
抵当権を抹消してもらわなければ事実上売却できませんから。


【メリット】

自分のタイミングで転居することができる。

抵当権者との交渉によって引越費用の捻出がしやすい。

じっくり高く売ることができる可能性がある。

固定資産税負担がなくなる。

売却相手を選ぶことができる。
適正価格であれば親族に売却することも可能ですので自宅の事実上の維持も可能です。


【デメリット】

自宅を処分してしまうと転居先の家賃の負担が発生してくる。

住宅ローンを売却金で返済しきれなければ債務が残り、生活再建の妨げとなる。

住宅ローン以外の借金の解決にはならない(余剰資金が出れば別ですが)。

後に自己破産等法的手続をとる場合、売却行為の妥当性が吟味される。

抵当権者の求める売却金額では売れない可能性がある。
抵当権者の同意を取り付けなければならないので事前の打ち合わせが必要なんですね。

売却費用がかかる。
 

場合によっては譲渡所得税が発生する。

任意売却のメリット、デメリットはこのようなものでしょうか。


ただし、任意売却のメリット、デメリットを並べただけではどの債務整理手続を選択していいかわかりません。

住宅を維持するべきかどうか
住宅を維持することができるか

それらを踏まえて、任意整理、自己破産、個人再生という債務整理のどの方法を選択すればいいのか

は、あなたの生活状況、資産負債状況によって変わってきます。


そこら辺を次回にお話しします。

なお、任意売却をする場合、当事務所では、懇意の不動産業者を紹介した上で、抵当権者との交渉や後の債務整理手続に備えたお手伝いをさせていただいております。


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「債務整理をしたいけど・・・」 4 【借金問題】

弁護士(広島弁護士会所属)の仲田誠一です。catface

今回は,破産について補足をさせていただきます。
以前にも破産の話をさせていただいているところですが,そこでお話できなかったことを書かせていただこうと思います。

免責不許可事由とは?
破産制度は,多重債務によって支払不能状態(返済を続けられない状態)にある方の,経済的更生を図るために法律が認めた制度です。

他方,債権者には多大な損失を負わせることになってしまう制度です。

そこで,法律は,誠実な債務者に対してのみ,「免責」(借金をちゃらにすること)を許可するということになっています。

何が誠実な債務者なのか?というと,具体的には,「このような場合には免責をすることはできないですよ」というように「免責不許可事由」が法律で定められています。

そのような免責不許可事由がない破産者は,「権利として」免責を受けることができます。免責不許可事由がある破産者については,裁判所が事情を考慮した上で仕方がないと判断したに限って「裁量で」免責を与えてくれることになります(裁量免責)。

免責不許可事由で,よく問題になる行為を簡単に説明します。
次のような行為に注意してください。
○ 債権者を害する目的で財産の隠匿など財産を不当に減少させるような行為
破産申立に近い時期の財産処分行為などが問題となります。
○ 特定の債権者に対する不公平な返済などの行為
親族など特定の債権者だけに返済する行為がよく問題となります。
○ 浪費や賭博行為により借金を作る行為
ギャンブル,遊興費,高額な商品の購入,投機行為で作った借金がよく問題となります。
○ 詐欺的な債務負担行為
名義貸しやショッピング枠の現金化などがよく問題となります。

上記のような行為があっても,上に書いた「裁量免責」を受けられる途がありますので,弁護士とよく相談してください。

また,免責不許可になるような行為を続けるとだんだん免責を受けられる可能性が小さくなってしまいます。泥沼にはまってしまう前に,早くご相談ください。

万が一,免責が不許可になった場合には(私の経験ではまだ不許可になった例はありませんが),免責不許可事由がない民事再生などを検討することとなります。

◆ 破産の手続って?
管財事件になるか,同時廃止事件になるか,の違いが重要です。

管財事件とは,簡単に言うと,裁判所が弁護士から破産管財人を選任し,その管財人が,破産者の財産の整理や免責をしていいかの調査をする破産手続です。

同時廃止事件とは,裁判所が管財人を選任しないで手続を進める破産事件です。

両者の違いで何が一番大きいかというと,裁判所に納める予納金が,管財事件になると多額になるという点です。

債務者の財産が少なく破産手続費用も出ないような場合には,原則として同時廃止手続になります。

管財事件になるケースは,一定額以上の財産がある場合(広島地裁では60万円が一応の目安のようです),個人事業者や会社代表者の場合,免責不許可事由が存在し免責していいか調査が必要な場合,負債額が大きい場合,価値のある不動産を所有している場合,などです。

同時廃止事件になるか,管財事件になるかは,最終的には裁判所が決定するのですが,微妙なケースもあり,弁護士とよく相談して見込みを把握し,管財事件になる見込みがあれば費用の準備をしていく必要があります。

なお,財産がないとおっしゃる方も,調べてみれば財産があったということは稀ではありません。退職金見込額の一定割合が財産と見られますし,保険の 解約返戻金があったり(実際に解約はしなくてもいいのですが),過払金が返ってきたりするケースもあります。よく相談してください。

◆ 自己破産をするにもお金がかかる?
残念ながらお金はかかります。
自己破産にかかる費用は,弁護士費用と裁判所に納める印紙代・切手代・予納金です。

弁護士費用は,事務所によって異なります。ただ,見かけにはだまされないでください。重要なのはトータルでいくらかかるかです。

裁判所に納める費用は,個人の破産で管財人が入らない手続であれば15,000円程度あれば足りると思います。管財人が入る手続になってしまうと,15万から40万はかかります。

お金がないから破産をするのにお金なんか用意できない!と思われるかもしれません。

どのようにお金を用意するのでしょうか。

まず,換金できる財産がある場合には,換金して裁判費用等に当てることはある程度許されています。また,どこかの債権者から過払金が回収できる場合も回収した過払金を費用に充てればいいのです。

次に,月々の収入がある方には,費用が貯まるまで,月々積み立ててもらうことになります。良心的な法律事務所では,一括で支払えとは言わないでしょう。
一定の条件の下では,法律扶助制度を利用して弁護士費用を立て替えてもらうこともできます。

さらに,全く収入がない方については,生活保護を受けられている場合であれば,法律扶助制度を利用した上で,弁護士費用等の立替金の返還を猶予・免除される制度もあります。

このように,費用のことが心配でも解決方法はあります。とにかく相談してください。

◆ 法人の破産について
会社などの法人の破産の特徴は,個人の破産に比べてお金がかかることと(必ず管財人が入ります),破産にとりかかるタイミングが重要なことです。

弁護士費用を相当額支払う必要があるだけではなく,裁判所費用がかなりかかります。ケースによって裁判所に納める必要がある予納金(費用に当てられる)の額は異なりますが,最低100万円は確保したいところです。

また,法人の破産はタイミングが重要になります。まず,申立書類の準備は大変です(経理の知識ある従業員さんなどの協力を得られる方がベターで す)。また,取引先などの債権者に対する対応や従業員さんに対する手当ても慎重に準備する必要があります。さらに,法人の破産には一定の現預金が必要とな るため,資金繰り上,タイミングを図る必要がありますし,裁判所へ納める予納金を少なくするためには事務所の退去の手当てなど事前の準備も欠かせなくな ります。

もちろん,法人を破産させる場合には,保証債務などを負っている代表者なども自己破産を検討する必要があります。

法人の資金繰りにお悩みの方は,個人の破産よりもより早い段階で,弁護士への相談を検討する必要があるのです。

◆ 最後に
自己破産に負のイメージを持たれている方は多いと思います。

それは,ある意味,健全なことだと思います。債権者に多大な迷惑をかけてしまうからです。

しかし,反面,自己破産は,負債に苦しむ方に経済的に立ち直ってもらう,前向きな制度でもあります。破産者の経済的更生を目的にわざわざ法律が認めている制度ですから,自己破産は「悪」ではありません。「自己破産は悪いことだから」と諦める必要はないのです。

もっとも,破産は,それが債権者に多大な迷惑をかける以上,先ほど説明した免責不許可事由を始め,手続上あるいは法律上,様々なことを考えて行う必要がある制度です。

借金に苦しまれている方は,自己破産も選択肢の一つとして,信頼できる専門家に早めに相談してみてください。

債務整理のお話は,今回で一旦お休みにさせていただきます。債務整理に関する個別の問題点など,もっと細かいお話は,これからも機会を見つけてさせていただきます。

 


「債務整理をしたいけど・・・」 3 【借金問題】

弁護士の仲田誠一ですcatface(広島弁護士会所属)。

今年は,干支の組み合わせでは「申卯」の年だそうです。「申卯」は,「かのと・う」とか「しんぼう」とかと読むみたいです。

日本証券新聞のHPを見ると,「申」「卯」の年は,株の世界では縁起の良い年とされているようです。「卯」は跳ねる,「申」は新生,革新,を表すそうで,過去の株式相場の成績もおおむね良好なようです。
期待したいですねup
前回の「申卯」の年は,1951年,サンフランシスコ講和条約締結により日本が国際社会に復帰した年だそうです。

一方,地元の神社へ初詣に言った際には,神主さんから,今年は「しんぼう」の年だから,新しいことには挑戦せずに力を蓄えるよう言われて帰りました。
日々の研鑽を頑張って力を蓄えようと思います。scissors

さて,前回,前々回と,債務整理についてざっと眺めてきました。
今回には任意整理,次回には自己破産について,もう少し詳しいお話をして,一旦,債務整理のお話はお休みにしたいと思っています。

◆ 法定金利を超える借入期間があれば残高は減る
以前にも書きましたが,法定金利を超える金利での取引期間があった以上は,過払金が出ないケースでも,法定金利で引き直して計算した結果として残った残債務を返済していくことになります。

過払金を回収するには,諸般の事情から,こちらで計算した過払金の100%を任意で回収するのは難しいところなのですが,残債務が残るケースでは100%差し引けるので,逆に効率的とも言えます。

時効にかかった過払金返還請求権の扱い
10年以上前に完済し,数年経って同じところから借り始めたケースでは,以前に書かせていただいたとおり,前の取引によって生じた過払金返還請求権は消滅時効にかかっています。

しかし,諦めてはいけません。
時効が完成した過払金返還請求権でも,今残っている残債務との相殺に使える場合があります。その場合は,新しい取引で残った残債務と時効にかかった過払金の差額を返すことになります。

◆ 遅延損害金,将来の利息はどうなるのか?
以前は,弁護士が入れば,ほぼ例外なく遅延損害金や将来利息をカットした形で和解ができました。

現在では少し状況が変わってきています。そのような形では和解をしてくれない業者も出てきています。業者の経営が悪化したり,身売りが続いて債権回収会社ばりの経営をする会社が出てきたためです。

もともと多重債務に苦しむ方の経済的更生を図るために先輩弁護士が築き上げてきたルールなのですが,それに応じない業者が出てきているため,現在,弁護士がそのような業者と戦っている状況です。

◆ 過払金が回収できた場合の扱い
当事務所では,過払金が回収できたら,よほどの事情がない限りには,他の残った債務の返済に回してもらっています。
任意整理は借金問題を解消するため,経済的に更生を図ってもらうためにやるものです。
回収できた過払金を返済に回して借金総額を減らすことがその目的に適うのです。

おそらく,一般的な法律事務所の扱いなのではないでしょうか。

◆ 弁護士費用
費用が恐いから債務整理をするのを躊躇した,お金がないから依頼するのを躊躇した,などのお話を聞くことが多いです。

心配しないで下さい。
良心的な弁護士であれば費用は柔軟に対応してくれます。
弁護士が受任すると一旦返済をストップさせるので,分割で弁護士費用を払うことが可能なケースが多いです。
また,一定の条件の下,弁護士費用を立て替えてくれる民事法律扶助制度を利用することもできます。
さらに,過払金が返る見込みが高い場合には後払い的な支払方法もできます。
まずは,相談してみることです。

◆ 最後に
今回は,任意整理について補足をさせていただきました。

債務整理を文章で説明すると,簡単なようでなかなか難しいところがあります。個々のケースに応じた対応が必要だからです。
債務整理を機械的な仕事だと考えて弁護士がろくに対応しない事務所も残念ながら存在するのですが,それは依頼者さんにとって不幸なことだと思います。

結局は,信頼できる弁護士選びが大事です。confident


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