HOME > コラム > 相続問題 > 相続法改正ポイント1 [相続問題]

コラム

< 臨時休業のお知らせ【平成31年3月21日(祝日)】  |  一覧へ戻る  |  相続法制の改正ポイント2 [相続問題] >

相続法改正ポイント1 [相続問題]

広島市の弁護士仲田誠一です。

 

民法(相続法)の改正がありました。2019年71日から順次施行されます。

 

ということで、相続法の改正点についてご説明しないといけません。今後、次かいつまんで説明させていただこうと思います。

 

【相続による権利変動に対抗要件が必要なことが明記された】

改正民法899条の2のお話です。相続により相続財産の相続人等への権利移転が生じますね。これを第三者に主張する場合の規定です。
想定できるのは、他の相続人が遺言や遺産分割結果を無視して法定相続分に応じて相続登記をして自分の持ち分を第三者に譲渡した場面、遺言があるあるいは遺産分割協議が成立したにもかかわらず登記をしていない間に他の相続人等が相続登記を代位登記して差押等をした場面でしょうか。
遺産に属する動産類の譲渡も理屈上はその範疇に入りますね。

 

権利の変動を第三者に主張するには対抗要件が必要です。
対抗要件とは、両立しない物権変動がある場合の優劣を決めるものです。不動産であれば登記、普通乗用車であれば登録ですね。
典型例は、二重に不動産が譲渡されたがどちらが所有者になるのか、という問題で、先に登記を得た方が勝ちます。

 

現在は、最高裁判例に従って、

遺産分割方法の指定(「相続させる」)旨の遺言による権利取得には対抗要件が必要ない

遺産分割や遺贈(「遺贈する」旨の遺言)による権利変動は対抗要件が必要である

とされています。

遺言書の書き方によって扱いが違うのです。相続させる旨の遺言による権利の承継は、登記をしなくても第三者に主張できていたのです。
他の相続人が勝手に法定相続分を譲渡してもそれは無効と言えるというわけです。

 

今回の改正では、遺言の場合も遺産分割の場合も統一して、相続分を超える権利の承継については対抗要件を備えなければ第三者に対抗できないとしました。
取引の安全を考慮したものと言われています。

 

改正相続法の施行により、「相続させる」旨も遺言があっても、登記をしないで放っておくのは危険になります
相続人
1人が相続共有登記を行いその持ち分を第三者に譲渡して登記をしてしまえば、受け継ぐはずであった不動産の一部が他人に渡ってしまいます。債権者が共有登記をして債務者の持ち分を差し押さえるということも考えられます。損害あるいは損失を被った分は当該相続人に請求できるのは当然ですが。

遺言がある場合も安心しないでできるだけ早く相続登記をするべきでしょう。

勿論、相続に限らず登記をしないで放置することは百害あって一利なしです。

 

債権を相続した場合も同様です。

 

可分債権(数字で分けられる債権ですね。金銭債権は基本的に可分債権です。)は相続開始と同時に法律上当然に分割されるという判例があります。


なお、預貯金も預貯金債権という債権の一種で可分債権ですが、特殊な扱いを受けます。
少し前までは、預貯金は当然分割されるから遺産分割の対象とはならない(審判で判断してもらえない)という不都合が生じていました(逆に、遺産分割が完了していなくても各相続人法定相続分に応じた預貯金の払戻請求権が認めらるという便宜はありました)。
しかし、最高裁は、預貯金債権については遺産分割の対象となる旨の判例を出しました。平成29年のことで、実務上影響が大きい判例でした。

 

預貯金債権以外の可分債権、例えば貸金返還請求権は、そのままの扱いとなります。

上記のとおり、すべての場合に法定相続分を超える権利の承継を主張するには対抗要件が必要となるわけです。

 

ここで問題がります。債権の第三者対抗要件は、譲渡人からの債務者に対する確定日付がある譲渡通知あるいは債務者からの承諾になります。

相続の場合に譲渡人に当たるのはすべての相続人です。でも皆で出せないことがありますね。

そこで、改正民法では、相続分を超える債権を承継する相続人が遺言あるいは遺産分割の内容を明らかにして単独で債務者に通知をすることで足りると手当をしています。

 

【可分債務の扱いの明文化】

改正民法902条の2の問題です。可分債務の扱いの明確化です。

 

可分債権の対概念の可分債務(数量的に分けられる債務ですね)も、可分債権と同様、共同相続人間で法定相続分に応じて分割承継されるとされます。
相続人の借金等、相続債務である金銭支払債務は基本的に可分債務です。

相続人に1000万円の相続債務があって相続人が子2人の場合、遺産分割をしなくても500万円の債務を承継していることになります。怖いですね。

 

遺言や遺産分割によって債務の分割割合を指定あるいは合意したとしても、債権者には対抗できません。債権者は当事者の合意に拘束されずに請求することができます。
一方、債権者から分割割合の指定あるいは相続人間の合意の内容に従って請求することも許されるとされていました。

 

改正民法902条の2はその考え方を明文化した規定です。

 

債権者は、その気になれば法定相続分に応じた弁済を各相続人に要求できます。
遺産分割協議を進めるにあたっては、この点を前提としなければなりませんね。
債務の整理をどうつけるか、それに応じて資産の配分をどうするのか、意識して合意をしておかなければなりません。

 

遺言、遺産分割、遺留分減殺、相続放棄等、相続問題のご相談はなかた法律事務所へ。

 

広島の弁護士 仲田 誠一

なかた法律事務所

広島市中区上八丁堀5-27-602

 

http://www.nakata-law.com/

 

http://www.nakata-law.com/smart/


カテゴリ:

< 臨時休業のお知らせ【平成31年3月21日(祝日)】  |  一覧へ戻る  |  相続法制の改正ポイント2 [相続問題] >

同じカテゴリの記事

相続法制の改正ポイント2 [相続問題]

広島市の弁護士仲田誠一です。

 

2019年71日から順次施行される改正相続法(民法)のお話をさせていただいております。

 

遺留分制度の話です。2回に分けてお話します。

 

簡単に申し上げますと、遺留分とは、各相続人に最低限の遺産を承継する権利を認めたものです。生前の財産の処分は勿論、被相続人が遺言で自由に財産を処分することは自由です。しかし、相続人には一定の相続分を保障し(これが遺留分です)、意思表示をすれば遺留分を侵害する遺言や贈与について侵害する部分の効力を失わせて財産を取得させるというわけです。

 

単純なようで、実務上、計算や解決には苦労をする問題ではあります。

 

改正民法1042条から1049条のお話です。

 

【改正民法1042条】

遺留分割合は現在の解釈と変わりません。解釈の明確化のための条文です。

遺留分は、「遺留分を算定するための財産の価額」×遺留分割合です。

 

遺留分割合】

遺留分割合は、直系尊属(父母あるいは祖父母等)のみが相続人である場合は3分の1、それ以外の場合は2分の1です。これが全体の遺留分になります。

相続人が数人いる場合には、各相続人遺留分は上記割合に自己の法定相続分の割合を乗じたものになります。健在である父母のみが相続人である場合、父母は各3分の1(全体の遺留分)×2分の1(各父母の相続分)の6分の1(各遺留分)ですね。配偶者と子2人が相続人である場合、配偶者は2分の1×2分の1の4分の1、子は各2分の1×4分の1の各8分の1ですね。

 

なお、兄弟姉妹は遺留分を有さないことは変更がありません。

そのため、お子さんがいないご夫婦が一方配偶者に自宅不動産等の財産を相続させる旨の遺言を書いておけば、一方配偶者が被相続人配偶者の兄弟姉妹との相続争いに巻き込まれることはありません。

 

遺留分算定のための財産の価格】

遺留分を算定するための財産の価額」は次のとおりの計算式で算出します。

 

「被相続人が相続開始の時において有していた財産の価額」 

+ 「贈与した財産の価額」

- 「(被相続人の)債務の全額」

ここも現行法とは変わりません(改正民法1043条1項)

 

【贈与した財産の価額】

遺留分を算定するための財産の価額」に算入される「贈与した財産の価額」について定めるのが、改正民法1044条です。

 

相続人以外の者に対する贈与については、相続開始前の1年間にしたものに限り、その価額が算入されます。ここは現行法から変更がありません。

相続人に対する贈与については、原則として、相続開始前10年間にしたものに限り、その価額(婚姻もしくは養子縁組または生計の資本として受けた贈与の額に限り-要するに「特別受益」ですね。)が算入されます。ここが変わりました。

 

いずれも、遺留分権者に損害を加えることを知って行われた贈与については贈与の時期の制限はありません。ただ、そのような事情が認められるケースは稀です。

 

相続人に対する贈与については、相続開始前10年以内にした贈与であっても特別受益に該当しない限り算入されません。扶養的な贈与などですね。

 

現行法の解釈として、相続人に対する特別受益は、判例で、特段の事情がない限り、期間の制限なく遺留分減殺の対象となっていました。それが相続開始前10年間のものに限定されました。取引の安全を考慮したということのようです。

 

なお、少し難しい話ですが、持ち戻し免除の意思表示は遺留分の規定に違反できず遺留分の計算においては効力を有しません。この点は現行法と変わりません。

 

さらに、「遺留分を算定するための財産の価額」の参入は相続開始前10年間の特別受益に限定されていますが、「遺留分侵害額」の算出においては特別受益の時期は限定されていないと説明されています。ややこしいですね、実際の計算方法はよくよく確認しないといけません。

 

改正民法1045条は、負担付き贈与の場合、贈与目的の価額から負担の価額を控除した残額を「遺留分を算定するための財産の価額」に参入することとしています。

また、不相当な対価をもってした有償行為(典型的な事例は、不動産を非常に安く売買した場合です。)については、当事者双方が遺留分権利者に損害を与えることを知ってしたものに限り、当該対価を負担の価額とする負担付き贈与とみなすと規定しました。

1000万円の不動産を100万円で売買した場合、遺留分侵害について双方悪意である場合ですが、負担付き贈与として扱い、贈与の目的1000万円から負担の価額100万円を控除した900万円を「遺留分を算定するための財産の価額」に算入するということです。

いずれも、解釈に争いがあった点を明文化した規定です。

 

遺留分に関してほかにも改正があります。次回に続きます。

 

遺言、相続、遺留分減殺、相続放棄等、相続問題のご相談はなかた法律事務所へ。

 

広島の弁護士 仲田 誠一

なかた法律事務所

広島市中区上八丁堀5-27-602

 

http://www.nakata-law.com/

 

http://www.nakata-law.com/smart/


相続人がわからない、知らない人の場合 [相続問題]

広島市の弁護士仲田誠一です。

 

相続人がわからない場合はどうしたらいいのかのお話です。

 

相続人がわからないと言っても、いろいろなケースがあります。

 

勿論、相続人が誰かはすぐわかるケースがほとんどです。
しかし、稀に、戸籍を取ってみたら前婚時のお子さんがいたというような話も聞きます。どうせ銀行等の相続手続において被相続人の出生から亡くなるまでの戸籍を用意しないといけません。早めにとって一応の確認をする方がいいでしょう。

 

数次相続(父、母など相続が続いておりまとめて相続手続が必要な場合でなくなった順番により相続人が変わり得ます)、代襲相続(推定相続人が被相続人よりも先に亡くなっている場合)、養子縁組、相続放棄などにより法律上誰を相続人として扱っていいかわからない場合も簡単ですね。
戸籍を持って(できれば簡単でも相続関係図をお持ちいただいた方がいいですが)、弁護士に相談すれば教えてくれます。

 

戸籍上相続人の存在が確認できるが、交流のない人で連絡先もわからない、あるいは行方不明で生死もわからないというケースがあります。

 

遺産分割協議は相続人全員の同意がなければ成立しません。
遺産分割調停、審判においても相続人全員が当事者になることが必要です。

 

交流もなく連絡先もわからないというケースでは、遺産分割協議からお助けすることがありますね。
戸籍の附票を調べて住所を確認し、お手紙を出して交渉を始めます。

 

戸籍を調べてみると、相続人になるはずであった人が既に亡くなっているケースがあります。
その場合には、その方の相続人が当事者となります、数次相続ですね(戸籍により推定相続人を調べて連絡をさせてもらいます)。
稀に、皆さんが相続放棄をして誰も相続人がいないということもあります。そうであれば、理屈上、家庭裁判所に相続財産管理人の選任を申し立てて、相続財産管理人を相手に交渉、調停等をするしかありません。
基本的には法定相続分に応じたあるいは準じた解決しかできないでしょう。融通は利きません。

 

皆が皆住民登録をきちんとしているわけではありません。
調べた住所にお手紙が届かない場合もあります。その場合には、行方不明として扱うほかないですね(勿論、住所にお手紙が届かないというだけではなく現地調査等によりそこに住んでいないという疎明も必要になるケースが多いです)。家庭裁判所に不在者財産管理人選任の申立てをして、不在者財産管理人を相手に交渉、調停等をするしかありません。
基本的には法定相続分に応じたあるいは準じた解決しかできないでしょう。融通は利きません。

 

生死不明の場合もあります。前婚のお子様が住民登録をかなり前から更新していない、ご家族に確認しても行方不明と言われた事例を実際に経験したことがあります。

 

その場合には、失踪宣告の話になります。
家庭裁判所から失踪宣告を取得し(ご家族のご了解を得た上で事実上当方により手続をするほかありません)、ご家族を代襲相続人として遺産分割協議、調停等を進めることになります。

失踪宣告は、通常使う普通失踪の場合は、7年間不在者の生死が明らかではないときに認められます。
失踪宣告により、失踪期間7年間)の満了時に死亡されたものとみなされます。

ただ、後に、失踪者が生存すること、または死亡とみなされた時期と異なった時に死亡したことが証明された場合には、失踪宣告が取り消されます。
そういうことがないと見込まれるケースでの利用になるでしょう。

  

遺言、相続、遺留分減殺、相続放棄等、相続問題のご相談はなかた法律事務所へ。

 

広島の弁護士 仲田 誠一

なかた法律事務所

広島市中区上八丁堀5-27-602

 

http://www.nakata-law.com/

 

http://www.nakata-law.com/smart/


相続不動産を独占されている場合 [相続問題]

広島市の弁護士仲田誠一です。

 

相続が発生し遺産分割協議は終わっていない状態で、1人の相続人により相続不動産を勝手に使われているという相談をよく承ります。

 

相続が発生すると、遺産に属する不動産は、相続人間の遺産共有状態になります。遺産分割協議、遺産分割調停、遺産分割審判で確定的に遺産分割が決まるまでその状態が続きます。

遺言がある場合は別ですが、それでも遺留分減殺請求を行った場合にも共有状態が作出されることがありますね。

他の相続人からしてみると、単独で遺産である不動産を使用収益していることが納得できないことになります。

 

典型的な事例は、

賃貸不動産の管理を相続人の1人が独占し賃料も受け取って独占している場合、

あるいは

相続人の相続不動産に1人の相続人が住み続けている場合、

ですね

 

この2点についてお話ししようと思います。

 

【賃貸不動産の管理を相続人の1人が独占し賃料も受け取って独占している場合】

 

遺産から生じる賃料は、法律上、遺産の果実との扱いを受けます。遺産の管理や利用等によって生じる収益ですね。

 

遺産である賃貸不動産を使用管理した結果生ずる金銭債権たる賃料債権は、遺産とは別個の財産というべきであって、各共同相続人がその相続分に応じて分割単独債権として確定的に取得することになっています(最判H17.9.8)。

 

確定的に取得するのですから、後に遺産分割がなされても影響がありません。相続分というのは遺言がない限りは法定相続分と思っていただいて構わないでしょう。

 

賃料を独占している相続人に対しては、(賃料額-経費)×相続分を請求できることになります。経費は遺産管理費用と呼ばれますが、どこまでが算入されるか自体争いになることが多いでしょう(経験上、その相続人が払った所得税が難しいですね。他の所得もあるわけですから)。

 

遺産の果実の分配は、理屈上、遺産分割ではありません。

相手方が請求に応じなければ訴訟で解決することになるのが基本です(ただし、調停を先に起こすという調停前置主義の対象にはなります)。訴訟する理屈は、不当利得返還請求あるいは不法行為に基づく損害賠償請求になります。

 

ただし、それでは面倒ですね。遺産分割協議においては勿論、相続人全員の同意があれば調停等の遺産分割手続で解決することもできます。

 

遺産分割の段階では、預かり敷金・保証金の扱いも忘れてはいけません。物件を引き継ぐ=賃貸借契約を引き継ぐ=敷金返還債務を引き継ぐ、相続人との調整が必要ですね。

 

【被相続人の相続不動産に1人の相続人が住み続けている場合】

 

明渡請求ができるかどうかが気になるでしょう。

 

まず、使用貸借(無償での貸借)契約の成立が問題となります。成立したと認められるケースであれば、当然、使用貸借の期間満了まで明け渡しを請求することはできません。

 

判例(最判H8.12.17で、相続前から被相続人の許諾を得て遺産である建物において被相続人と同居してきたときは、特段の事情のない限り、被相続人と同居の相続人間で、被相続人が死亡した後も遺産分割により上記建物の所有関係が最終的に確定するまでの間は、引き続き同居相続人に無償で使用させる旨の合意があったものと推認されるとされています。

 

判例のようなケースだと原則遺産分割までには明渡請求が認められないことになります。
使用貸借が認められるかどうかはケースバイケースの判断なのでしょう。当然認められるわけではありません。

 

使用貸借契約の成立が認められない場合でも、理屈上、無条件に明渡請求は認められません。

 

居住している相続人にも共有持分がありますね。民法上、共有者はその持ち分に応じて共有物の全部を使用することができます。
共有物の管理行為は持ち分の過半数で決定されるので、過半数持分の相続人による明渡請求は認められそうだとは思いますが、裁判例では認められていません。
共同相続人の間の占有の変更は管理行為ではなく給油者全員の同意が必要な変更行為(民法251条)と考えられているようです。

 

そうであれば、明渡請求ができないので(勿論遺産分割等で所有関係が確定する前のことです)、他の相続人ができることは金銭請求の途しかないということになります。

 

使用貸借が認められるケースでなければ居住相続人は他の相続人の持ち分について無権原占有者です。
共有不動産を使用=居住することはできるが、無権原で使用する部分についてはその利益を賠償・返還するべきとういうことになります。


具体的には、不動産を単独で占有する共有者に対しては、不当利得返還請求権あるいは不法行為に基づく損害賠償請求権として、賃料相当額×相続分を請求することができます。
勿論、賃料相当額がいくらかということはなかなか難しいのですが・・・。

なお、居住相続人が遺産の管理費用(固定資産税等)を支払っている場合には、賃料料相当額からそれを控除して請求する、あるいは控除するよう反論されることになります。

 

先にも書きましたが、遺産収益に関する訴訟は、調停前置です。まずは家事調停を申し立てることが原則です。
ただ、既に揉めているケースがほとんどでしょうから(遺産分割の話がまとまらないから単独占有の問題が顕在化します)、話し合いの余地がないとしていきなり訴訟をすることも認められるケースもありますし、実際に裁判所から何も言われなかったこともあります。

 

遺産分割協議、調停・審判は出来るだけ早く進めるべきです。それと並行して、遺産の果実の問題等が出てくるというお話でした。

 

遺言、相続、遺留分減殺、相続放棄等、相続問題のご相談はなかた法律事務所へ。

 

広島の弁護士 仲田 誠一

なかた法律事務所

広島市中区上八丁堀5-27-602

 

http://www.nakata-law.com/

 

http://www.nakata-law.com/smart/


相続から長期間経った相続放棄 [相続問題]

広島市の弁護士仲田誠一です。

 

最近被相続人が亡くなってから長期間(20年以上)経った相続放棄申述をお手伝いしました。

 

相続放棄の申述は、自己のために相続の開始があったことを知った時から3か月以内(「熟慮期間」といいます。)におこなわないといけません、事前に申請をすれば3か月の期間を伸長してくれます(民法915条)。

 

「自己のために相続の開始があったことを知った時」というのは、判例上、相続人が相続開始の原因たる事実の発生、かつそのために自己が相続人となったことを覚知した時を指します(死亡かあるいは先順位相続人相続放棄ですね)。

相続人が何人かいるときは、各人がそれぞれ相続人となったことを覚知した時になります。誰かが知っていたとしてもその人が知らなければ関係ありません。

 

かつ、判例で、さらに緩和されています。

3か月の熟慮期間は、相続人が相続財産の全部または一部の存在を認識した時、または通常これを認識しうべき時から起算されるとされているのです。
相続人となったことを知った時から3か月を経ていても相続放棄ができるケースが認められているのです。

 

亡くなったことは知っていたけど、遺産も債務もわからないし放っておいたところ、急に債権者から相続人に対する督促状が来た場合が典型例です。
実務上も、珍しくありません。その場合には、督促状が来てから3か月以内に相続放棄をすれば家庭裁判所が相続放棄申述を受理してくれます。
勿論、その辺の事情を説明しないといけませんし、督促状などの資料も提出します。イレギュラーな事例なので弁護士に代理してもらった方がいいかもしれません。

 

相続人が被相続人の事情をどの程度知っていれば相続放棄申述が制限されるかは、ケースバイケースかつ微妙な問題です。
典型的な、同居もしておらず、何も相続手続をしていない例では、これまで問題なく相続放棄申述が受理されています。

 

ただし、理屈上は、相続放棄申述受理証明を貰えれば解決するということではありません。実は、相続放棄の法的効果は相続放棄申述受理によっては決まらないのです。

放棄の法的効果は、債権者が放棄した相続人に対して、貸金返還請求訴訟などの訴訟を提起した際に、その中で判断されることになります。

 

だからリスクは残るのですね。
ただし、相続放棄申述が受理した旨を債権者に通知すると、通常はそれ以上突っ込んでくることはありません。
そのため、実務上、あまり細かい所が問題になることはありませんし、ひっくり返されるリスクが大きいとも言えません(なお、当職は今まで1度も債権者から突っ込まれたことはありません)。

 

勿論、相続財産の処分行為など、これは相続放棄ができないなという事例もあります。そうでない限りは、とりあえず相続放棄申述受理をしてもらえればいいという意味です。

 

冒頭の事例は、被相続人が死去されて20年以上とめったにお目にかかれない期間経ていた事例でした。

 

実家とは疎遠で、被相続人が亡くなったことも御存じなく、他の相続人相続放棄をしていて、今になって突然役所から被相続人の固定資産税の滞納金の請求が来た例でした。

 

何が困ったかというと全く資料、記憶もない点でした。役所からの通知内容を基に、何とか最低限の提出資料を揃えることができました。

 

また、理屈上は、相続放棄申述が許される事例ですが、事実上あまりにも相続発生から長期間経ているため、手続がスムーズに進むのか危惧がありました(かつ、遠方の家庭裁判所でしたので来てくれと言われると大変だなと思っていました)。

 

この点は、事情をきちんと裁判所に説明する書面を作成し、スムーズに相続放棄申述受理証明書をもらうことができました。

 

少し変わった事例でしたのでお話をさせていただいた次第です。

 

遺言、遺産分割、遺留分減殺請求、相続放棄、等相続問題のご相談はなかた法律事務所へ。

 

広島の弁護士 仲田 誠一

なかた法律事務所

広島市中区上八丁堀5-27-602

http://www.nakata-law.com/

 

http://www.nakata-law.com/smart/

 


相続財産管理人とは [相続問題]

広島市の弁護士仲田誠一です。

 

相続財産管理人をご存知でしょうか。

 

相続財産管理人の選任の例が増えているようです。身寄りのいない人が増えてきているのだろうと思います。

 

相続財産管理人とは、家庭裁判所に選任さえた相続財産の管理をする者です(民法957条)。相続財産につき、法定代理人として管理、清算することになります。

 

相続人のあることが明らかではない」ときに、「利害関係人」または検察官の請求によって家庭裁判所が選任します。

 

当職も何件か家庭裁判所に選任されて相続財産管理人になったことがあります。

 

どのような場合に選任が請求されるのでしょうか。

 

典型的な例では、相続人がいない方が亡くなった場合、あるいはすべての相続人相続放棄をして相続人がいなくなった場合です。相続財産に利害関係がある特別縁故者や債権者などが利用するケースが多いでしょう。
成年後見人が被後見人の死去の引継ぎとして申し立てた例も経験しました。

 

相続人のあることが明らかではないとき」とは

相続人の存否が不明なことをいいます。

典型例は、戸籍上相続人がいない、あるいは皆が相続放棄した場合ですね。

ほかにもいろいろなケースで相続財産管理人選任ができるかどうかの議論があるところです。

なお、相続人がいるが行方不明な場合は、不在者財産管理人の選任あるいは失踪宣告の手続になります。
 

「利害関係人」とは

利害関係人とは、相続財産の帰属について法律上の利害関係を有する者です。

特別縁故者、相続債務者、相続債権者、担保権者、事務管理者(遺産を管理している人などです)、受遺者、遺言執行者、相続財産の共有持分権者、被相続人が相続分を有する遺産の共同相続人、国・地方公共団体などが挙げられています。

 

相続財産管理人の仕事とは、

いろいろあります。

まず、財産目録を調整して家庭裁判所に提出しなければなりません(民法953条)。選任後1カ月以内ということで忙しいです。相続放棄をされた方など関係者のご協力が必須です。関係者との面談や現地調査も必要です。銀行の調査もしないといけません。

そして、財産の管理をします。財産の把握が大変なケースもあります。田舎の山林・田畑の位置確認等が大変だった経験があります。何度か現地調査をしたり、近隣の親戚の方に教えてもらったりしました。


時には売買などの処分行為もすることになりますが、その際には家庭裁判所の許可が必要です。経験した例では、売買だけではなく、古家の解体をしたり、道路にはみ出ていた物を撤去するような仕事もしました。田畑は大変ですね、農業委員会に問い合わせるなどして誰か引き継いでくれないか探すことになります。


相続債権者に対しては、請求申出の催告を公告あるいは知っている債権者に対しては個別にしないといけません(民法927条)。

相続人捜索の公告の申立ても家庭裁判所にします(民法958条)。相続人捜索の公告満了後特別縁故者からの分与申立てがあった場合には、その対応もありますね。


財産を処分して、相続債務を返済しても、特別縁故者に分与しても、残余財産がある場合には、国庫に帰属させることになります。

基本的には、現金化して国庫帰属をするのですが、処分できない不動産はそのまま財務局に引き継ぎます。昔は財務局がなかなか引き取ってくれず、不動産を残したまま手続を終了させる形が多かったようですが、最近は、お墓がある、所有関係が明確ではないといった不動産以外は引き取ってくれるようになりました。


けっこう大変な仕事ですよね。


そのため、申立ての際の予納金は数十~50万円程度かかる例が多いようです。
勿論、相続財産管理人の想定される仕事量、被相続人の財産額に照らし、ケースバイケースで判断されることになります。

 

遺言、相続、遺留分減殺、相続放棄等、相続問題のご相談はなかた法律事務所へ。

 

広島の弁護士 仲田 誠一

なかた法律事務所

広島市中区上八丁堀5-27-602

 

http://www.nakata-law.com/

 

http://www.nakata-law.com/smart/


このページのトップへ