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コラム

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破産と否認 [借金問題]

広島市の弁護士仲田誠一です。

 

債務整理のうちの自己破産における否認についてお話をします。

 

否認とは破産管財人否認対象行為の効力を否定して財産を取り戻すこととイメージしてください。

 

否認権は破産管財人が行使するものですが、自己破産申立て準備の際には、否認対象行為と見られる行為があるかどうか、あるいは否認対象行為と見られないようにはどのような説明・準備をするべきか、よくよく吟味しなければいけません。

当職も、破産管財人として否認権を行使することはありますし、申立代理人としては否認対象行為と見られないように財産処理や説明を工夫することはよくしていることです。

 

否認の要件は細かいので、機会があればまた説明しますが、弁護士に自己破産個人再生を相談する場合には、資産を譲渡、贈与等移転している事実があれば必ず報告してくださいね。
また、親御さんが既にお亡くなりになって遺産分割が済んでいない場合、離婚をしたい場合、資産の整理をしようと思う場合などにも、必ず弁護士の意見を聞いて進めるようにしてください。
否認対象行為になるかどうか判断してもらわないといけません。

 

個人破産の場合、否認対象行為が疑われる場合には、それ自体で管財事件の扱いになることがある点にも注意してください。
なお、法人破産あるいは経営者の個人破産は管財事件になります。

 

否認には、狭義の詐害行為の否認と、偏頗行為の否認とがあります。

 

狭義の詐害行為否認は、その行為による破産財団の減少分取り戻す趣旨の否認です。

破産法160条、161条に規定されています。

①破産者、受益者とも債権者が害することを知ってした行為、②支払停止または破産手続開始の申立て後にした債権者を害する行為(受益者が当該事実を知っていたときに限ります)、③過大な代物弁済、④無償行為、⑤破産法161条規定の要件のもとでの相当な対価を得てした財産の処分行為、です。

 

偏頗行為の否認は、債権者間の平等を図る趣旨の否認です。

破産法162条に規定されています。

 

問題となることが多い点をかいつまんでお話していきます。

 

【経済的危機状態での資産処分行為】

破産直前の財産処分が問題となるのが破産法162条です。

勿論相当対価を得ているということが前提となっています。

財産の隠匿、無償の供与その他債権者を害する処分に該当しないか吟味されます。
破産者の特定関係人が取引相手である場合には、要件の推定規定があり否認しやすくなっています。

 

不動産、車、機械、事業譲渡、保険名義変更など、法人破産の会社整理の過程でよく出てくる話です。
勿論、個人破産の場合も例外ではありません。様々な相談を受けます。
破産法上問題なしと判断される見込みが相応にある限りで(そういう形で行えるのであれば)協力もさせていただいております。

 

後の破産手続を考えると、破産直前の財産処分は、弁護士に関与をしてもらって、相当な価格であること、有用の資に充てる目的等合理的な行為であることを弁護士が説明できるように行うべきです。

かつ、処分代金は散逸しないように弁護士が管理し、有用の資(破産申立費用、生活費、医療費、転居費用、学費、公租公課の支払、資産整理費用等)に充てるだけとするのが基本となります。

 

離婚に伴う財産分与慰謝料もこの点に絡んでくるでしょうか。

抽象的には、相当な財産分与慰謝料否認の対象とはならないと言えるでしょう。
相当な範囲を超えると否認され得ます。
しかし、具体的な進め方も大事です、必ず弁護士に相談して進めてください。

なお、偽装離婚ではないかと必ず疑われます。個人的には経済的破綻を機に離婚をするということは決して不自然ではないと思っていますが。

 

【贈与等無償行為】

無償行為の否認もよく出てきます。

無償行為は、基本的に債権者を害する行為ですから、

破産者の詐害性を要件としない、

支払停止等の前6か月まで否認の対象が拡大されている、

受益者の悪意を要件としない、
など
軽減された要件で認められます。

 

親族への贈与行為、無償の営業譲渡などが問題となります。

仮にどうしても行う必要がある場合にはそれなりの理由があるはずです。

法的に問題がないと説明できるかどうか弁護士と事前に打ち合わせをして実行しなければなりませんね。

 

この点では遺産分割協議も問題となりますね。
遺産分割は財産行為ですから、否認の対象となります。
遺産分割が終わらないまま放っておいた事例を何件も扱っております。問題視は確実にされますが、説明の仕方によってはセーフの場合もあります。
必ず弁護士に相談して進めてください。

これに対し、相続放棄否認の対象とはなりません。

 

【偏頗行為】

偏頗行為の否認は破産法162条です。

偏頗行為は、不公平な弁済、担保提供行為等です。典型的なものは一部の債権者だけに弁済をする偏頗弁済行為です。

支払不能状態または自己破産申立後の弁済行為等は、否認の対象となります。

支払停止後行為があった場合には要件が緩和され(受任通知が出された後はこれに該当します)、支払不能であったと推定されます(申立前1年以内のものに限ります)。

また、受益者が支払不能等について悪意あることが要件ですが、受益者が一定の関係者である場合には悪意が推定されます。

 

なお、所有権留保自動車の場合、所有者名義登録の仕方によって債権者に返すと否認対象行為として問題になることがあります。
かといって、財産として計上すると管財事件になるケースもあり、悩ましい問題です。

 

一方、個人再生では否認というものがありません。

ただし、否認対象行為がある場合、典型的には偏頗弁済がある場合には、その金額を清算価値に計上することになっております。
最低弁済額が大きくなることがありますね。
個人再生委員が選任されてその辺を吟味することもあります。

 

破産には細かいルールがあります。できるだけ早めに、破産に詳しい弁護士に相談をして準備を進めてください。

 

債務整理(任意整理民事再生自己破産等)のサポートはなかた法律事務所にご用命を。

 

広島の弁護士 仲田 誠一

なかた法律事務所

広島市中区上八丁堀5-27-602

http://www.nakata-law.com/

 

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破産弁護士 [借金問題]

広島市の弁護士仲田誠一です。

 

三菱UFJ銀行が通帳の発行を原則取り止めるというニュースがありましたね。

破産にあたっても通帳がないネット専用口座を見ることが多くなりました。

自己破産申立てにあたっては、通帳の写しを出すことになっています。ネットで取った取引明細を出すようにしていますが面倒ですね。
特にスマホでしか見ていない方では、なんとか紙ベースで打ち出してくれとお願いをしないといけません。
また、借入のある銀行は受任通知後インターネットバンキングが使えないようになることも多く、銀行から取引明細書を取ってもらわないといけないこともあります。

 

さて、離婚弁護士、刑事弁護士っていう言葉は聞いたことがあるのではないでしょうか。

離婚事件、刑事事件を専門的に扱っている弁護士ですね。

もっとも、弁護士の数が相対的に少ない地方の弁護士はいろいろな仕事を扱わなければなりませんので、特定分野だけを扱っている弁護士は稀でしょう。

個人的には、いろいろな分野を扱ってこそ、専門的な分野についても造詣が深くなるのだろうと思い、様々な案件を扱わせてもらっています。

 

ほかにも〇〇弁護士という言葉は耳にします。

 

業界用語かもしれませんが、「破産弁護士」という言葉もあります。

あまり馴染みがないかもしれませんね。

破産等手続を業務の柱の1つにしている弁護士のイメージですね。

 

自己破産事件、民事再生事件の申立代理人、あるいは破産管財人、再生委員の仕事は職人的です。倒産法では独特なルールや段取りがあります。

また、資産の整理等、弁護士がいつもしている訴訟代理行為と色彩の違う業務もこなす必要が出てきます。豊富な知識と経験を要するのですね。

 

さらに、その時々の破産裁判所の傾向、考え方も事件処理の方向性に影響すると感じています(やや言い過ぎかもしれませんが)。
少なくとも、その辺も把握しなければ適切な対応ができません。

 

職人技の典型例は法人破産の申立代理業務、あるいは法人破産の破産管財業務ですね。

 

法人破産の申立代理であれば、申立準備は勿論のこと、資金繰り、事業廃止・受任通知のタイミング、資産・契約関係の整理等、様々な段取りを考えないといけません。
いたるところで決断を要します。決算、会計に関する知識も必要ですね。

利害関係人も多く色々な課題が出てきます。それらの問題を紐解きながら、最終的にシンプルに整理した形で申し立てるイメージですね。

法人破産の破産管財人も、細かい手続に則りながら、資産の把握・整理、契約関係の解消等、整理に向けた様々な活動をしなければなりません。税務申告をすることもあります。
一通りの業務を経験するためにはたくさんの管財事件をこなさないといけません。

 

勿論、個人破産、個人再生においても、職人技が発揮されます。

近年は個人破産等も細かく吟味される傾向にあり、ポイントを外すと大失敗しかねない点が増えた感があります。否認の問題、相続の問題、離婚の問題、免責不許可事由の問題等、事前に対策、見通しを立てないと受任できない案件は珍しくありません。

破産管財人個人再生委員をやっていて、「申立代理人弁護士等がもう少し上手くやっていればOKだったのになあ」と思うこともあります。

個人破産の破産管財人個人再生委員も、場合によっては法人破産よりも大変なケースがあります。破産管財人個人再生委員が選任された理由に依ります。

 

また、破産等では生活設計のご相談にも乗ることになりますね。

経済的更生のための自己破産個人再生ですからね。そうした経験も必要になります。

 

なお、破産管財人個人再生委員を豊富に経験すると、申立方がわかってきます。ポイントを押さえて、「準備はここまでで十分だろう。」、あるいは「このような説明をすればこのような行為をしても大丈夫だろう。」、という勘所ですね。

申立ての際にある程度の見込みを立てて準備をしないと、申立後に裁判所から宿題をたくさん出されて混乱を来す、あるいは問題視をされる可能性が高くなってしまいます。

 

手前味噌ながら、当職も、広島市の破産弁護士と言えると思います。

自己破産個人再生も申立件数が相対的に最も多い部類に属しますし、法人破産の申立てもコンスタントにしております。破産管財人個人再生委員も継続的に受けており、裁判所からややこしい案件も頼んでいただいているのではないでしょうか。破産裁判所と弁護士会の定期的な協議会のメンバーとして様々な意見交換も行っております。

 

自己破産等をお考えの場合には、実際に弁護士と会って、色々な疑問点や不安点をぶつけてみてくださいね。
その上でご依頼された方が後悔がありません。
なお、複数の弁護士とお話するとどの程度の知識経験を有しているかよりおわかりになるのだろうと思います。

 

債務整理(任意整理民事再生自己破産等)のサポートはなかた法律事務所にご用命を。

 

広島の弁護士 仲田 誠一

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個人再生の流れ [借金問題]

広島市の弁護士仲田誠一です。

 

前回、債務整理のうち、個人の自己破産の流れ、スケジュール感をお話しました。

今回は、個人の民事再生個人再生)のお話をさせていただきます。

自己破産のお話と同じく、広島本庁での申立てを前提としていると思ってください。

 

自己破産にならって、1契約、2受任通知、3申立準備、4申立後開始決定まで、5開始決定後支払開始まで、の流れでお話しします。

 

1 契約

2 受任通知
 

契約、受任通知の流れは、自己破産でお話したところとほぼ同じですね。

そちらをご覧いただければ幸いです。

 

法テラスの民事法律扶助をご利用される場合には、弁護士費用が自己破産よりも設定金額が高めになっています。手続が煩雑なためでしょうか。

個人的には、自己破産の方が弁護士の負担が大きいのではないかとは思っておりますが。

 

給与天引きで共済借入等が控除されて返済になっている場合がありますよね。受任通知を出しても通常止まりません。

自己破産の場合はあまり言われないのですが、理屈上は偏頗弁済となります。個人再生の場合には、清算価値(個人再生には清算価値保障原則というルールがあり財産=清算価値以上の金額は弁済しなさいということになっています。)に弁済分を計上するルールです。受任通知後はできるだけ早く申し立てないといけない場合がありますね。

 

なお、住宅資金特別条項(住宅ローン特則)を利用する場合には、住宅ローンは従前どおりお支払い続けていただきます。

 

3 申立準備
 

個人再生の準備期間は、通常、自己破産よりも1カ月ほど延びます。家計収支表を3か月分提出しないといけないからです。

また、個人再生を選択する場合には、収入がある程度あり、自己破産のケースよりも法テラスを利用できない方が多いですね。
分割で弁護士費用をお支払いいただくために準備期間が長くなる傾向もあります。

 

申立準備期間は、本当に個人再生ができるか見極める期間でもあります。

数か月いくらお金が残るか試してみて、やはり一定の弁済原資が確保できそうもないという場合には、自己破産に方針を変更せざるを得ないことになります。
個人再生認可決定を得ても、途中で弁済を継続できなければ債権者の申立てにより取り消されてしまいます。
もし確実に支払いを継続できる自信がない場合には最初から自己破産を選択する方がベターです。申立てまで方針は変更できますから。

 

個人再生申立ての場合、滞納租税公課があるのであれば、役所と弁済方法について協議をしていただかなければなりません。その結果と履行状況は報告します。

税金を払った上で、再生計画どおりの弁済を継続できるか見られるわけです。

 

他の必要書類などは、自己破産とほぼ同じになります。

 

4 申立後開始決定まで
 

こちらも自己破産とほぼ同じですね。

宿題のような補正連絡が来て(来ないこともありますが)、補正報告に答えて予納金を納めれば開始決定です。

予納金等申立費用は3万円以内で収まるかという感じで、自己破産よりも高くなっています

自己破産でいう管財事件と似たようなものとして、個人再生では、個人再生委員という弁護士が選任されることがあります。

その場合、予納金が別に20万前後(最近は21万6000円でしょうか)かかります。

個人再生委員のお仕事は以前のコラムでも書かせていただきました。簡単に言えば、個人再生開始要件のチェック、及び再生計画案等に対する助言とチェックをする役割でしょうか。

個人再生委員が選任されるのは、書類上さらりと流して手続を進めることに躊躇がある場合ですね。

破産でいう否認対象行為が顕著で清算価値に計上すべき金額の判断が必要なケース、財産の評価が正しいか吟味する必要があるケース、本人申立や弁護士が代理人となっていない場合にきちんとした報告が裁判所いなされないあるいは本人が手続を理解できていないケース、などでしょうか。

個人再生委員が選任される場合には、開始決定に際して意見を貰う等のために開始決定が遅くなります。

 

5 開始決定後支払開始まで
 

開始決定が出ると手続進行予定表がもらえます。

大まかにいうと 開始決定 ~ 再生計画提出 ~再計計画認可 ~支払開始の流れです。

 

再生計画案提出期限は、開始決定から2か月ちょっと先のイメージです。

それに合わせて、家計収支表の作成継続(必ずしも指示されるわけではないですが)と試験積立(計画案どおり弁済できるかテストするための毎月の積立)を行ってもらいます。
再生計画提出時に家計収支表や積立通帳の写しを裁判所に提出します。

 

試験積立というのは、将来の再生計画案どおりの弁済ができるかどうか(履行可能性)のテストのため、通帳に毎月一定額を入金し貯めてもらうものです。
試験積立のタイミングですが、申立前、申立後、開始決定後のいずれでも大丈夫です。

わたしは、開始決定後にお願いすることが多いでしょうか。開始決定後の試験積立は清算価値に計上が必要ないからです。

 

再生計画を提出してから認可決定までは1カ月ちょっとのイメージです。

 

小規模個人再生の場合、債権額の過半数、あるいは債権者の頭数の半分以上が反対してきたら、不認可決定が出ます。
債権者数が少ないとき、あるいは一部の債権者の債権額が突出しているときには注意ですね。

その際には、改めて自己破産あるいは給与所得者等再生を申立てします(勿論私はそこまで付き合います)。
債権者も経済的には反対しない方がいいような気がするのですが(自己破産されるよりは回収できるという意味です)、少数ながら反対をしてくる債権者がいます。

 

再生計画の認可決定がでたとして、実際の支払開始は、認可決定の1か月後から2か月後です。
官報掲載のタイミングによります。

 

弁済方法は、通常、3か月ごとの返済にしています。毎月弁済だと手間と振込手数料が大変ですからね。

試験積立をしているはずですので、第1回の返済(3か月分)は問題なくできるはずです。

 

まとめ

個人再生自己破産よりも手続がいくらか煩雑ですが、それは主に弁護士事務所にとってです。依頼者さんにとってはそうでもありません。

ただ、同時廃止自己破産と比べれば長丁場でしょうか。申立てから再生計画認可まで5カ月前後、受任からだと8カ月程度かかるのがスタンダードでしょう。

 

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自己破産の流れ [借金問題]

広島市の弁護士仲田誠一です。

 

しばらく租税法のお話ばかりしていました。久しぶりに債務整理関連のお話をします。

 

自己破産の相談の際、どれだけ時間がかかるのかといったスケジュール感を聞かれることが多いです。

そこで、今回は個人の自己破産の流れをお話します(広島本庁のお話だと思ってください)。

 

1契約、2受任通知、3申立準備、4自己破産申立後開始決定まで、5開始決定後免責決定まで、の流れでお話しします。

 

1 契約

まずは弁護士と契約をしていただきます。

ただ、法テラスの法律扶助を利用する場合にはすぐには契約ができません。
まずは法テラスの必要書類を持って来ていただき、法テラスに申請書類を出します。平均で2週間前後に弁護士の元に契約書類が届きます。

 

2 受任通知

契約をすれば、原則として、すぐに弁護士受任の通知を出します。

金融機関である債権者が弁護士受任の事実を認識すると本人宛の督促が止まります。

事情によっては受任通知を遅らせるケースもあります。

また、法テラス利用の場合は契約まで時間がかかります。その間に督促電話に出られた際には「弁護士に依頼しているが法テラス利用のため時間がかかる。」旨と弁護士名・連絡先を伝えてもらいます。金融機関はそれで待ってくれます。金融機関からは私のところに確認の電話がかかってくることもありますね。


なお、受任通知を出すと他に次のようなことが生じます。

・ 債権者である銀行の口座凍結、相殺

・ 保証会社への代位弁済

・ 所有権留保物件である車などの引き揚げ要請

などです。

 

3 申立準備

契約時に申立て予定日を決めます。通常2か月~3か月後でしょうか。

その間に、自己破産申立てに書類などを用意していただくことになります。広島本庁では自己破産の場合、2か月分の家計収支表が必要です。

弁護士はその間に債権調査等をすることになります。

2か月分の家計収支表の作成が完了し、かつ債権調査も終わった、というタイミングが申立てのスタンダードですね。

 

勿論、それよりも早く自己破産申立てをしないといけない場合もありますね。給与等差押えがなされている場合などです。
申立てを急ぐ事情がある場合には、家計収支表も1カ月分でいいとされています。

 

逆に、自己破産申立てを遅らせなければならない事情がある場合もあります。

弁護士費用の準備、予納金の準備、あるいは申立て前にすしなければならない整理のため時間が必要なケースです。

金融機関は受任通知後少なくとも半年ぐらいは訴訟をせずに待ってくれるのが通常です。半年ほど経ると進捗確認の連絡が来ます。
あまりにも申立てが遅いと訴訟提起などがされることになります。ただし、一部の債権者は動きが早いのでご注意を。

必要がない限り、自己破産申立てを遅らせることは避けたいです。

 

ご本人の準備がなかなか進まない場合もあります。稀に連絡が取れなくなることもあります。
申立てが遅れると訴訟提起のリスクが高まりますし、弁護士も一定期間を経た後は辞任をせざるを得ません。
弁護士から辞任されると百害あって一利なしなので、打ち合わせたスケジュールに沿って準備をしてください。

 

4 自己破産申立後開始決定まで

自己破産を申し立てると、裁判所から1~3週間後に補正連絡が弁護士に来ます。

宿題ですね。事情の報告や追加書類の提出を求めるものです。

 

同時廃止の場合、補正連絡に対応して報告書を出すと自己破産手続の開始決定が出ます。

補正連絡がないケースもあります。その場合には草々に開始決定が出ることになります。

 

管財事件の場合には、予納金を納めないと開始決定が出ません。
開始決定のタイミングは、債務者審尋(裁判所で破産管財人候補者と会います)を開くときはその日、開かないときには裁判所が予納金の納入確認をしたタイミングになります。

なお、予納金を一度に納められない場合でも分納は認められていません。申立時に用意をしておくことが基本です(事実上、一定期間待ってくれることはあります)。

 

5 開始決定後免責決定

同時廃止事件の場合には、開始決定時に免責審尋期日が指定されます。

だいたい3か月後前後でしょうか。複数の日程が提示され、選択できます。

その後は、免責審尋期日をひたすら待つだけです。

ただし、集団免責審尋ではなく個別免責審尋を指定された場合には、宿題が出されることがあります。
免責審尋のため裁判所に行った日に免責決定がでるのが通常です。
 

 

管財事件の場合には、単純な免責調査型では、第1回債権者集会が3か月後ほどに開かれ、その日に免責決定が出るということになります。
資産の処分に時間がかかる、配当がある等で時間がかかるときは、免責決定が出るのもその分遅れてしまいます。1年を超えるときもあります。

なお、法人破産と同時に申立てた場合には、通常、法人破産手続の進捗に合わせて事件が進行します。
法人破産手続きが廃止になるまで個人の破産手続きも続きます。

 

以上が簡単な自己破産の流れです。

同時廃止事件では、スタンダードなスケジュールとしては、受任から6か月~7カ月かかるイメージですね。
管財事件の場合は、ケースバイケースです、早くて受任から6~7カ月、遅い場合には1年以上ということもあります。

                   

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法人破産のための準備など1 [借金問題]

広島市の弁護士仲田誠一です。

 

現在複数の法人破産申立て準備を並行して行っていることもあり、法人破産についてご質問が多い点などを五月雨式に説明させていただこうと思います。

 

法人の自己破産時の準備は多岐にわかります。かつ、ケースバイケースの判断が必要になります。

やるべきこと、やっていいこと、やってはいけないことの判断をしながら進めることになります。弁護士もスキル・経験が必要な分野ですね。

 

法人破産を決断される経営者の方々は非常に苦労をされてきています。
簡単に自己破産をしたいとおっしゃる方はいらっしゃいません。万策尽きて弁護士に駆け込まれる方が多いです。

 とはいえ、法人破産の準備は多岐にわたり大変です。経営者の方々にはもう一踏ん張りしていただくことになり恐縮です。

弁護士に早期に相談され、弁護士のサポートを受けながら頑張ってください。

 

2回に分けてお話ししますね(それでも話は尽きませんが・・・)。

 

◇ 従業員関係

(解雇・退職)

事業廃止日が決まれば、従業員の方々を解雇する、あるいは従業員の方に退職していただかなければなりません。
規模が割合小さい会社であると自主的に退職していただけるケースも多くあります。

 

従業員さんの生活のことを考えるとできるだけ早くお話をした方がいいでしょう。解雇をする場合には30日間の解雇予告をするのが通常です。

一方で、あまり早く事業廃止のことを伝えると業務に支障を来すことも予想されます。
給与あるいは解雇予告手当を支払って最後まで働いていただくことが理想ではありますが、悩ましいです。
法人破産はある程度資金が必要であり、資金繰りとの関係でケースバイケースの判断になりますね。

 

なお、破産準備のため「この人がいないと困る。」という経理担当の方などがいらっしゃる場合もあります。
その場合には、引き続きお手伝いをいただき、ある程度の報酬を支払う、あるいは退職時期をずらしてもらうこともあります。

 

賃金等の未払いが残った場合にはどうなるのでしょうか。
破産財団からの支払いができるか、労働福祉事業団立替制度(約6か月分の未払い給与と退職金の80%かつ限度額以内を受けられる制度)の問題になります。
手続に時間はかかりますが、破産管財人に引き継ぐことになります。

なお、賃金台帳、対三カード、就業規則はきちんと弁護士に引き継いでください。

 

(その他)

社会保険の異動手続、住民税の異動手続、ハローワークの手続をしていただかないといけません。

 

◇ 税金関係

税金の支払いをどうすればいいかも悩みます。

差押えをされても困るところですが(破産をするといっても差し押さえてきます!)、資金繰りを睨んでの対応となりますね。

仮に資金手当てができるのであれば、税金の支払いは基本的にはOKです(一般の破産債権よりも優先される財団債権であればという意味です)。
弁護士と相談ですね。資金捻出状況との兼ね合いで決めています。

 

◇ お金の管理

法人破産の場合は、事業を廃止する以上、事業廃止のタイミングあるいはその直前かけて、弁護士が管理をすることが通常です。

もちろん、ある程度のお金は保管していただき、必要な支出に対応していただきます。

その場合、収支を明確にするため、現金出納帳を作成していただき、ごみ処理などの領収書なども保管していただきます。

資産を換価したお金も含めて、弁護士費用、申立費用、どうしても支払う必要がある費用に支出していきます。

 

◇ 売掛金の回収

売掛金台帳、納品書・請求書綴り、注文伝票綴りは整備・保管することを求められます。
ただ、そこまでできない場合も多いのです。

事業廃止時点での売掛金リストを作成してもらい、それで管理をしていくことが多いでしょう。
 

借り入れのある銀行の法人口座は受任通知により凍結されます。
法人破産の場合の凍結後の入金は金融機関が引き出しを拒むでしょう(破産法上相殺は許されませんし、破産管財人からの引き出しの要求は拒めないはずなのですが)。
振込先を借り入れのない銀行口座に変更してもらう、現金で集金する、あるいは弁護士口座に直接振り込んでもらうなどの対処をしなければなりません。
金融機関への受任通知のタイミングも弁護士とよくよく相談しないといけません。

 

◇ 買掛先への対応

買掛先リストを作成してもらい弁護士が受任通知を出します。

それでも仕入先からの返品要請などが来ることがあると思います。弁護士に回してもらい対応します。基本的には返品には応じられません。

取り付け騒ぎの可能性もあります(窃盗行為なのですが・・・)。営業所等のセキュリティーはきちんとしてもらいます。
弁護士名での張り紙をすることもありますね。

 

なお、買掛先に限らず、債権者はすべて弁護士に報告してください。
請求書などが来る都度報告してもらえれば受任通知を出します。

 

◇在庫の処理

事業廃止に向けて在庫は圧縮してもらいます。

棚卸台帳、納品書・請求書綴り、注文伝票綴りは整備保管することを求められます。
こちらもきちんとできない場合は珍しくなく、最終的には簡単な在庫リストを作成してもらうことが多いです。

 

破産申立て前に、弁護士関与の下、適正価格(もちろん通常の販売価格では処分できませんが)で在庫処分をすることもあります。
保管場所の明渡しのため、今すぐになら売却できる、といった事情がある場合などです。勿論、生鮮食品等、劣化するものは早期の処分が必要ですね。
破産管財人が最終的判断した方がよさそうなものはそのまま引き継ぎます。

処分をしたものについては、勿論記録を残さないといけません。

 ごみとして処分するべきものも記録を残した上で廃棄になります。

 

◇ その他各種契約

法人の営業をしていると様々な契約を伴います。
法人破産の場合は、申立て前にすべて契約関係を解消してもらうのが原則です(簡単に解約できるものはという意味です)。
契約書と解約関係書類は保管して弁護士に引継ぎます。

それにより違約金等が発生する場合には債権者に追加します。逆にお金が返ってくる場合にはそのお金はきちんと管理しないといけません。

 

◇ 公共料金

営業所の水道、ガス、電気、電話などですね。

ガスや電話は事業廃止に伴いすぐに止めていいことがほとんどでしょう。勿論、自宅兼事務所の場合は別です。
 

水道、電気はタイミングを図って止めます。
事業廃止後も整理などで立入りが必要です(倉庫のシャッターやクレーンが電動で整理するためには通電が必要というケースもありました)。

そのため、水道・電気は止めないままで破産管財人に引き継ぐことも多いです。

次回も続きをお話しします。

  

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債務整理と給与差押え [借金問題]

広島市の弁護士仲田誠一です。

 

債務整理と給与差押えの関係について改めてまとめておきたいと思います。

 

◇ 金融債務延滞と給与差押え

金融債務を延滞すると、まず督促状が来て、その後約款に基づいて期限の利益が喪失されます。

期限の利益の喪失とは、支払期限の約束(債務者の利益ですから期限の利益です)がなくなり、一括請求されることです。


保証会社がある場合には代位弁済をされた上で、支払督促あるいは訴状が届き、判決等の債務名義(強制執行ができる文書のこと)が取られ、給与等に強制執行がなされます(なお、執行認諾文書のある公正証書を作成されている場合には法的手続なしに差押え可能です)。


強制執行が申し立てられると、裁判所から勤務先に通知が届き、給与が差し押さえられます。その後は、給与から税金・社会保険を控除した額の4分の1(ただし、33万円を超える部分は全額)の支払いを受けられなくなります。通常、給与明細上控除されます。


なお、理屈上は、支払督促あるいは訴状提出の前に仮差押えという手続きを採ることも考えられますが、あまり見受けられません。


勤務先が知られている債権者に対して延滞が発生した場合には、できるだけ早く債務整理を行った方が得策です。給与差押えの危険が伴います。

 

◇ 任意整理と給与差押え

任意整理で解決することは困難です。

既に債務名義を取られているので、債務全額に加え執行費用の支払いをするしかないのが基本です。

分割払いの交渉に応じてくれる例はほとんどないと考えていいです。

 

◇ 自己破産と給与差押え

(相談時に既に差押えがなされている場合)

できるだけ急いで自己破産を申し立てることになります。そして、裁判所からの宿題に答える等して破産開始決定を得ます。裁判所にできるだけ早い開始決定をお願いすることもあります。
 

破産開始決定が出て、それが管財事件の場合は、強制執行手続が失効することになります。
給与を全額貰えるようになるわけです(もちろん新得財産となり裁判所に取られることはありません)。


同時廃止事件の場合は、申立人側から強制執行の中止の申立てをすることになります。
ただし、強制執行が中止されても、差押え自体がなくなるわけではありません。免責許可が確定したときに強制執行が失効します。
勤務先はその間は、差押え額をプールして(債権者への支払いを留保して)、免責許可が確定したときにプール金を破産者に渡すことになります。複数の債権者から差押えがある場合には勤務先は供託をしないといけないので大変ですね。

 

もっとも、強制執行中止の申立てをすると(中には、受任通知時、あるいは破産申立て時のこともあります)、債権者は強制執行を取り下げることが多いです。弁護士からも取下げを促します。


(相談時にまだ差押えがなされていない場合)

弁護士が受任して自己破産の準備をしている間は、債権者は法的手続を取ることを待つのが通常です。

最近は、あまり待たずに法的措置をとるようになった債権者もいますので注意してください。そうでない債権者でも受任後半年経てくると問い合わせが弁護士のところに来ます。申立予定が決まっていないと、たいてい法的手続を進める旨伝えられます。
 

弁護士に依頼する場合には弁護士からスケジュールを示されるはずです。弁護士に自己破産申立てを依頼して受任通知を出してもらって安心してはいけません。きちんとスケジュールに従って準備をしてください!遅くなると給与差押えのリスクが高まります。


訴訟等がなされると弁護士が時間稼ぎをしてくれることもありますが、限界があります。
また、差押えは受任通知後の偏頗弁済となり(破産管財人否認することもできる行為になり)、金額によっては管財事件になる可能性が高まります。


なお、訴訟等がなされる段階になってまだ準備が進んでいないとなると、弁護士から辞任をさせることも多いでしょう。弁護士も依頼者さんが準備をしてくれないと困りますから。

 

◇ 個人再生と給与差押え

(相談時に既に差押えがなされている場合)

個人再生の場合、再生手続開始決定により強制執行は中止されます。

そして、最終的に再生計画の認可決定が確定した場合に失効します。
 

なお、申立て後に強制執行の中止命令を裁判所が出せる制度、差押えの取消しにより留保分を受け取れる制度もあります。裁判所に認められる必要がありますが。


個人再生の場合には、差押え分を偏頗弁済として清算価値(清算価値保障原則により最低弁済額を画するものです)に計上されて、他の財産状況によってですが最低弁済額が大きくなるリスクがあります。。
 

給与差押えとは違いますが、給与天引きでの共済借入金弁済などは天引きが開始決定まで止まらないことがほとんどです。この場合も清算価値に計上するということがあります。

 

(相談時にまだ差押えがなされていない場合)

自己破産の場合と同じです。弁護士に示されたスケジュールに従ってきちんと準備をしてください。遅くなると給与差押えのリスクが高まります。
 

なお、差押えをされている場合、弁護士費用に困ってしまう場合があります。よく弁護士と相談してください。法テラスの基準を満たしていればいいのですが、収入基準を超えていて法テラスは利用できない、しかし給与差押えにより弁護士費用を捻出することが難しい、という事態もあり得ます。その場合は弁護士費用の支払い方法も柔軟に考えないといけません。

 

債務整理(任意整理民事再生自己破産等)のサポートはなかた法律事務所にご用命を。

 

広島の弁護士 仲田 誠一

なかた法律事務所

広島市中区上八丁堀5-27-602

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