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旧コラム 借金問題: 2010年12月

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破産って恐い? 2  【借金問題】

弁護士の仲田誠一です。
 
朝のニュースで嵐とAKBで年間シングルオリコンチャートを独占したという話を聞きました。
ネット配信等でCDが売れなくなったと聞いて久しいですが、ネット配信等をあまり利用しない若年層がCDを買っているのかもしれませんね。
オリコンチャートはどのようにして作成されているかはわかりませんが。
 
さて、今回は前回の「破産って恐い?」の話の続きをお話します。


◆ 破産をするとみんなに知られてしまう?

破産手続き上,債権者には裁判所から通知が行きます。しかし,借金に関係のない職場や親族には連絡は行きません。

もちろん,破産手続の中で,破産者の住所氏名等が「官報」に載ります。「官報」とは政府が発行する新聞のようなものなのですが,見たことないですよね?普通 の方は見ないものです。また誰かが見ようと思っても,破産者はたくさんいらっしゃるので,いつ出るかわからなければ,なかなか見つけられるものではありま せん。
ただ,職場に一定年数以上勤務されている方は,退職金の見込額を裁判所に報告する必要があります,もしかしたらその関係で職場に協力をお願いする必要が出てくるかもしれません。
また,破産申立書類の準備にご家族の協力が必要な場合もあるケースもあるかもしれません。

私は,ご家族に関しては,(依頼者がどうしてもいやだとおっしゃるなら別ですが,)ご家族には相談するようお奨めしています。依頼者に経済的に立ち直ってもらうためには,ご家族に事情を知っていただき,協力していただいた方がいいと思うからです。

結論を申し上げますと,職場や家族に知られずに破産をすることは可能なのです。


◆ 破産をすると仕事を続けられない?

答えは原則としてNOです。
通常の会社員であれば破産の影響はありません。

ただ,一部の仕事だけ「資格制限」と言うものがあり,破産手続中はその仕事に就けません。
どのような仕事に就けないかは,細かく法律等で決まっています。
保険外交員や警備員など,人のお金を預ったりする職業が多いようです。

もっとも,一部の職業に資格制限があるといっても,それは破産手続が終わるまでです。破産手続が終わると法律上の制限は消えます。

自分の職業が資格制限に該当するかは,専門家にご相談ください。





◆ 破産をするとみんなに迷惑がかかる?

こちらも,答えは原則としてNOです。
もちろん,債権者には迷惑をかけることにはなります。ここで「みんな」とはご家族のことを念頭に置いています。

破産によって直接ご家族に迷惑がかかることはありません。
法律上,ご家族といっても別人格と扱われますので,あなたが破産をしてもご家族に債務が移るということはありません。
ただ,あなたがご家族等の借金の保証人になっている場合,あるいはご家族等があなたの借金の保証人になっている場合は,別です。

あなたが破産をする際には保証債務も債務として手続に乗せる必要があります。具体的には保証している相手方(たとえばお父さんの銀行からの借金に保証をして いる場合にはその銀行)に通知をすることとなり,(先の例では銀行からお父さんに対し)新たな保証人の追加などを要求されることもあります(銀行とお父さ んが交渉することになります)。
また,あなたが破産をするということは,当然,あなたの保証人に対し債権者から請求が行くことになります。



さらに,不動産をご家族と共有している場合には話が複雑になるでしょう。不動産の維持は,非常に込み入った話になり,ケースごとに判断する必要があります。弁護士などの専門家とじっくりご相談してください。







◆ 最後に

みなさんが思っているほどは,破産は恐くないということをお話しました。

もちろん,破産を積極的に勧めているわけではありませんからね。



ただ,破産でしか救われない方もたくさんいらっしゃるのが現実です。



借金でご苦労されている方は,是非早く弁護士等にご相談ください。あなたにあった解決策を考えましょう。


 


みなさんが思っているほど「弁護士も恐くない」ですよ。

 


破産って恐い?  1 【借金問題】

弁護士の仲田誠一です。
 
 
昨日は,久しぶりに高校の同級生が2人大阪と千葉から広島まで遊びに来てくれました。高校時代の同級生兼バンド仲間です。
懐かしかったです。高校の仲間と会うと,すぐに高校生に戻った気分になりますね。
 
さて,昨日の中国新聞に、クレジットカード・信販会社の消費者向け貸付残高が1年で1兆円減った、消費者金融も含めた新規貸付額もかなり減った、現金化業者やソフトヤミ金が後を経たない,との記事が載っていましたね。

ご存知のとおり「総量規制」の導入(年収によって貸付額を制限する)を含む貸金業法の改正があり、新規貸付がなかなかできなくなり資金業者の経営は悪化してきています。また,武富士の経営破たんをきっかけに,心配した消費者から過払金返還請求が急増し、経営環境がさらに悪化して新規貸付に慎重になっているようです。貸付が減っているということは、他から借りて借金を返してやりすごす自転車操業ができなくなっているということで、弊事務所でも返済に行き詰った方のご相談が増えてきています。

また、弊事務所でも過払金返還請求事件を多く抱えていますが、貸金業者の経営悪化に伴い、回収率 (計算上の過払金と実際に取り戻せる金額の比率)は急激に悪化しています。早々に、第2、第3の武富士が出てくるかもしれません。消費者金融などの高い金利で借入している方、あるいは借入していた方は、できるだけ早めに相談してください。

さらに、周りに相談できない、配偶者などに知られたくない、どこに相談したらいいかわからない、といったような方の中には、新聞記事にもあったように現金化業者に頼って、あるいはクレジットカードで商品を買ってすぐに売ることにより現金を得て、一時しのぎをする方が多いようです。それでは、何の解決にもなりません。借金を増やしてしまうだけです(クレジット利用も「借金」です。高い手数料分借金が増えてしまいます)。それだけでなく、以前にも書きましたが、いよいよ追い詰められて破産をする際には、その行為が問題視されてしまいます。

なお「ソフトヤミ金」と呼ばれる業者は、「ソフト」と呼ばれていても悪質な違法業者です。「ソフト」と言っても、借り手に警察や弁護士に駆け込まれないように、督促に手心を加えるだけです(個人的には呼び方が不適切だと思います)。絶対に借りてはいけません。人生が狂ってしまいますよ。


◆ 破産って恐い?
やっと本題に入りますが、みなさん「破産」って恐いでしょうか?
多重債務のご相談にこられる方の中には、最初に「絶対に自己破産はしたくない」という方がかなりいらっしゃいます。
その中にも自己破産を選択されるのが適切な方もいらっしゃるわけでして、そのような方には自己破産の制度を説明します。その際、そもそも自己破産について、今までの生活ができなくなる、子供など周りに迷惑をかけてしまう、など誤解している方が多いように感じます。
そこで、「破産は皆さんが思っているほど恐くない」ことをご紹介しようと思います。
 テーマ上、個人の自己破産のお話になりますが、法人の自己破産のお話はまたの機会にさせていただこうと思っています。


◆ 破産すると身ぐるみを剥がされる?
答えはNOです。自己破産をしても身ぐるみを剥がされるわけではありません。
なぜでしょうか?

それは、破産制度(個人の破産制度)は、破産者の経済的更生を図るための制度だからです。経済的に立ち直れないような制度であればその目的が達せません。
法律的に説明するとややこしいのでここではざっとしか説明できませんが、現預金,家財道具や価値のない(古い)車、解約返戻金の大きくない保険等、総額99 万円までの財産なら(原則として)残す途が用意されています。また,賃貸物件にお住まいの方であれば、そこを出る必要もありません。

少なくとも,破産自体によって生活ができなくなるということはないのです。


私が本題に入るのが遅く、長くなってしまいました。
次回に今回話せなかったことについて書かせていただきます。

「近況報告、個人関係、特にショッピング枠の現金化」

弁護士の仲田です。近況報告をさせていただきます。
<本日は個人関係のお仕事の近況をお話します。法人関係の近況は次回に書きますね。
個人関係の仕事といえば、やはり相続、離婚、債務整理(特に自己破産)が多いです。
悪徳商法等消費者問題にも積極的に取り組んでおります。

お仕事以外では、マンショントラブルについて最近2回にわたり毎日新聞にコラムを書かせていただき、また現在シニア層向けのフリーペーパーである「CHIC・シック」に遺言・成年後見・相続について記事を連載させていただいております。
最近、自己破産で特に問題となっているのが「ショッピング枠の現金化」の問題です。よく報道もされていますね。
「ショッピング゙枠の現金化」というのは、まず、業者(ヤミ金まがいの業者が多いです)から価値のない、あるいはほとんどない物をクレジットカード゙で高額で購入します(インターネットで簡単に手続ができます)。そしてクレジット会社から業者に払われる立替金(購入代金)から業者が高率の手数料を差し引いた現金を依頼者に渡すというものです(もちろん依頼者は立替金全額の返済義務があります)。貸金業法改正の影響で新たな借入れができなくなった方が勧誘され、藁をもつかむ思いで利用してしまうケースが増えてきています。

「ショッピング゙枠の現金化」の問題点
依頼者から見れば高金利でお金を借りた(高額の手数料が引かれた現金を手にするので)のと同じように感じてしまいます。
法外な手数料をとるそれ自体が問題なのですが、実はこれは犯罪といって言い行為であり、後に行き詰って(ここまで追い詰められると行き詰るケースがほとんどです)自己破産をする場合に支障もきたします。
価値を偽ってあるいは商品の購入実態がないのに信販会社へ立替金を請求するということでクレジット会社に対する詐欺になりうるのです。
もちろん依頼者にとっては追い詰められてしてしまった行為です。
しかし、裁判所はこのような行為に厳しいです(破産法で、このような場合には借金を棒引きにしてはならないと定められている免責不許可事由の1つに該当します)。
その場合に、破産(正確には免責)が全くできないわけではないですが、裁判所に免責を認めさせて困った依頼者をお助けする際に大変苦労をします。

私が日弁連の会合に出席した際、警察担当者の方が、 業者の実態がつかみにくいことと詐欺罪で立件すると利用者が犯罪の共犯となってしまい処理が難しいこともあって、摘発が難しいとおっしゃっていましたが、最近は業者の摘発を頑張っているようです。

なお、破産に支障をきたすのは、クレジットを返済する前にクレジットで購入した品物を質屋さん等に売却してしまうケースも同様です。
通常クレジットで購入したものは返済するまで所有権は購入者にはなく、クレジット会社等にあります。そのため、商品を勝手に売却すると、それも犯罪的行為となってしまうのです

ご相談に来られた方にそのような行為をされた方がいらっしゃると、もっと早めに相談していただければ先を見据えたアドバイスができたのにと残念に思うところです。
他にも破産法上やってはいけないことは多々あり、借金でお困りの方は問題を拡げる前にご相談いただければ助かります。

それは、借金問題に限りません、追い詰められる前に、争いを複雑化してしまう前に、お困りごとを弁護士に相談していただければと思います。

次回は、法人関係の近況をお話します。


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