• 刑事事件
  • 所属弁護士
  • 用語集
  • よくある質問
  • コラム
  • リンク集

HOME > 旧コラム > アーカイブ > 借金問題: 2019年5月

旧コラム 借金問題: 2019年5月

現在のコラムはこちらから

破産弁護士 [借金問題]

広島県広島市の弁護士仲田誠一です。

 

三菱UFJ銀行が通帳の発行を原則取り止めるというニュースがありましたね。

破産にあたっても通帳がないネット専用口座を見ることが多くなりました。

自己破産申立てにあたっては、通帳の写しを出すことになっています。ネットで取った取引明細を出すようにしていますが面倒ですね。
特にスマホでしか見ていない方では、なんとか紙ベースで打ち出してくれとお願いをしないといけません。
また、借入のある銀行は受任通知後インターネットバンキングが使えないようになることも多く、銀行から取引明細書を取ってもらわないといけないこともあります。

 

さて、離婚弁護士、刑事弁護士っていう言葉は聞いたことがあるのではないでしょうか。

離婚事件、刑事事件を専門的に扱っている弁護士ですね。

もっとも、弁護士の数が相対的に少ない地方の弁護士はいろいろな仕事を扱わなければなりませんので、特定分野だけを扱っている弁護士は稀でしょう。

個人的には、いろいろな分野を扱ってこそ、専門的な分野についても造詣が深くなるのだろうと思い、様々な案件を扱わせてもらっています。

 

ほかにも〇〇弁護士という言葉は耳にします。

 

業界用語かもしれませんが、「破産弁護士」「倒産弁護士」という言葉もあります。

あまり馴染みがないかもしれませんね。

破産等手続を業務の柱の1つにしている弁護士のイメージですね。

 

自己破産事件、民事再生事件の申立代理人、あるいは破産管財人、再生委員の仕事は職人的です。倒産法では独特なルールや段取りがあります。

また、資産の整理等、弁護士がいつもしている訴訟代理行為と色彩の違う業務もこなす必要が出てきます。豊富な知識と経験を要するのですね。

 

さらに、その時々の破産裁判所の傾向、考え方も事件処理の方向性に影響すると感じています(やや言い過ぎかもしれませんが)。
少なくとも、その辺も把握しなければ適切な対応ができません。

 

職人技の典型例は法人破産の申立代理業務、あるいは法人破産の破産管財業務ですね。

 

法人破産の申立代理であれば、申立準備は勿論のこと、資金繰り、事業廃止・受任通知のタイミング、資産・契約関係の整理等、様々な段取りを考えないといけません。
いたるところで決断を要します。決算、会計に関する知識も必要ですね。

利害関係人も多く色々な課題が出てきます。それらの問題を紐解きながら、最終的にシンプルに整理した形で申し立てるイメージですね。

法人破産の破産管財人も、細かい手続に則りながら、資産の把握・整理、契約関係の解消等、整理に向けた様々な活動をしなければなりません。税務申告をすることもあります。
一通りの業務を経験するためにはたくさんの管財事件をこなさないといけません。

 

勿論、個人破産、個人再生においても、職人技が発揮されます。

近年は個人破産等も細かく吟味される傾向にあり、ポイントを外すと大失敗しかねない点が増えた感があります。否認の問題、相続の問題、離婚の問題、免責不許可事由の問題等、事前に対策、見通しを立てないと受任できない案件は珍しくありません。

破産管財人、個人再生委員をやっていて、「申立代理人弁護士等がもう少し上手くやっていればOKだったのになあ」と思うこともあります。

個人破産の破産管財人、個人再生委員も、場合によっては法人破産よりも大変なケースがあります。破産管財人、個人再生委員が選任された理由に依ります。

 

また、破産等では生活設計のご相談にも乗ることになりますね。

経済的更生のための自己破産、個人再生ですからね。そうした経験も必要になります。

 

なお、破産管財人や個人再生委員を豊富に経験すると、申立方がわかってきます。ポイントを押さえて、「準備はここまでで十分だろう。」、あるいは「このような説明をすればこのような行為をしても大丈夫だろう。」、という勘所ですね。

申立ての際にある程度の見込みを立てて準備をしないと、申立後に裁判所から宿題をたくさん出されて混乱を来す、あるいは問題視をされる可能性が高くなってしまいます。

 

手前味噌ながら、当職も、広島市の破産弁護士と言えると思います。

自己破産も個人再生も申立件数が相対的に最も多い部類に属しますし、法人破産の申立てもコンスタントにしております。破産管財人、個人再生委員も継続的に受けており、裁判所からややこしい案件も頼んでいただいているのではないでしょうか。破産裁判所と弁護士会の定期的な協議会のメンバーとして様々な意見交換も行っております。

 

自己破産等をお考えの場合には、実際に弁護士と会って、色々な疑問点や不安点をぶつけてみてくださいね。
その上でご依頼された方が後悔がありません。
なお、複数の弁護士とお話するとどの程度の知識経験を有しているかよりおわかりになるのだろうと思います。

 

債務整理(任意整理、民事再生、自己破産等)のサポートはなかた法律事務所にご用命を。

 

広島の弁護士 仲田 誠一

なかた法律事務所

広島市中区上八丁堀5-27-602

https://www.nakata-law.com/

 

https://www.nakata-law.com/smart/


個人再生の流れ [借金問題]

広島県広島市の弁護士仲田誠一です。

 

前回、債務整理のうち、個人の自己破産の流れ、スケジュール感をお話しました。

今回は、個人の民事再生(個人再生)のお話をさせていただきます。

自己破産のお話と同じく、広島本庁での申立てを前提としていると思ってください。

 

自己破産にならって、1契約、2受任通知、3申立準備、4申立後開始決定まで、5開始決定後支払開始まで、の流れでお話しします。

 

1 契約

2 受任通知
 

契約、受任通知の流れは、自己破産でお話したところとほぼ同じですね。

そちらをご覧いただければ幸いです。

 

法テラスの民事法律扶助をご利用される場合には、弁護士費用が自己破産よりも設定金額が高めになっています。手続が煩雑なためでしょうか。

個人的には、自己破産の方が弁護士の負担が大きいのではないかとは思っておりますが。

 

給与天引きで共済借入等が控除されて返済になっている場合がありますよね。受任通知を出しても通常止まりません。

自己破産の場合はあまり言われないのですが、理屈上は偏頗弁済となります。個人再生の場合には、清算価値(個人再生には清算価値保障原則というルールがあり財産=清算価値以上の金額は弁済しなさいということになっています。)に弁済分を計上するルールです。受任通知後はできるだけ早く申し立てないといけない場合がありますね。

 

なお、住宅資金特別条項(住宅ローン特則)を利用する場合には、住宅ローンは従前どおりお支払い続けていただきます。

 

3 申立準備
 

個人再生の準備期間は、通常、自己破産よりも1カ月ほど延びます。家計収支表を3か月分提出しないといけないからです。

また、個人再生を選択する場合には、収入がある程度あり、自己破産のケースよりも法テラスを利用できない方が多いですね。
分割で弁護士費用をお支払いいただくために準備期間が長くなる傾向もあります。

 

申立準備期間は、本当に個人再生ができるか見極める期間でもあります。

数か月いくらお金が残るか試してみて、やはり一定の弁済原資が確保できそうもないという場合には、自己破産に方針を変更せざるを得ないことになります。
個人再生認可決定を得ても、途中で弁済を継続できなければ債権者の申立てにより取り消されてしまいます。
もし確実に支払いを継続できる自信がない場合には最初から自己破産を選択する方がベターです。申立てまで方針は変更できますから。

 

個人再生申立ての場合、滞納租税公課があるのであれば、役所と弁済方法について協議をしていただかなければなりません。その結果と履行状況は報告します。

税金を払った上で、再生計画どおりの弁済を継続できるか見られるわけです。

 

他の必要書類などは、自己破産とほぼ同じになります。

 

4 申立後開始決定まで
 

こちらも自己破産とほぼ同じですね。

宿題のような補正連絡が来て(来ないこともありますが)、補正報告に答えて予納金を納めれば開始決定です。

予納金等申立費用は3万円以内で収まるかという感じで、自己破産よりも高くなっています

自己破産でいう管財事件と似たようなものとして、個人再生では、個人再生委員という弁護士が選任されることがあります。

その場合、予納金が別に20万前後(最近は21万6000円でしょうか)かかります。

個人再生委員のお仕事は以前のコラムでも書かせていただきました。簡単に言えば、個人再生開始要件のチェック、及び再生計画案等に対する助言とチェックをする役割でしょうか。

個人再生委員が選任されるのは、書類上さらりと流して手続を進めることに躊躇がある場合ですね。

破産でいう否認対象行為が顕著で清算価値に計上すべき金額の判断が必要なケース、財産の評価が正しいか吟味する必要があるケース、本人申立や弁護士が代理人となっていない場合にきちんとした報告が裁判所いなされないあるいは本人が手続を理解できていないケース、などでしょうか。

個人再生委員が選任される場合には、開始決定に際して意見を貰う等のために開始決定が遅くなります。

 

5 開始決定後支払開始まで
 

開始決定が出ると手続進行予定表がもらえます。

大まかにいうと 開始決定 ~ 再生計画提出 ~再計計画認可 ~支払開始の流れです。

 

再生計画案提出期限は、開始決定から2か月ちょっと先のイメージです。

それに合わせて、家計収支表の作成継続(必ずしも指示されるわけではないですが)と試験積立(計画案どおり弁済できるかテストするための毎月の積立)を行ってもらいます。
再生計画提出時に家計収支表や積立通帳の写しを裁判所に提出します。

 

試験積立というのは、将来の再生計画案どおりの弁済ができるかどうか(履行可能性)のテストのため、通帳に毎月一定額を入金し貯めてもらうものです。
試験積立のタイミングですが、申立前、申立後、開始決定後のいずれでも大丈夫です。

わたしは、開始決定後にお願いすることが多いでしょうか。開始決定後の試験積立は清算価値に計上が必要ないからです。

 

再生計画を提出してから認可決定までは1カ月ちょっとのイメージです。

 

小規模個人再生の場合、債権額の過半数、あるいは債権者の頭数の半分以上が反対してきたら、不認可決定が出ます。
債権者数が少ないとき、あるいは一部の債権者の債権額が突出しているときには注意ですね。

その際には、改めて自己破産あるいは給与所得者等再生を申立てします(勿論私はそこまで付き合います)。
債権者も経済的には反対しない方がいいような気がするのですが(自己破産されるよりは回収できるという意味です)、少数ながら反対をしてくる債権者がいます。

 

再生計画の認可決定がでたとして、実際の支払開始は、認可決定の1か月後から2か月後です。
官報掲載のタイミングによります。

 

弁済方法は、通常、3か月ごとの返済にしています。毎月弁済だと手間と振込手数料が大変ですからね。

試験積立をしているはずですので、第1回の返済(3か月分)は問題なくできるはずです。

 

まとめ

個人再生は自己破産よりも手続がいくらか煩雑ですが、それは主に弁護士事務所にとってです。依頼者さんにとってはそうでもありません。

ただ、同時廃止の自己破産と比べれば長丁場でしょうか。申立てから再生計画認可まで5カ月前後、受任からだと8カ月程度かかるのがスタンダードでしょう。

 

債務整理(任意整理、民事再生、自己破産等)のサポートはなかた法律事務所にご用命を。

 

広島の弁護士 仲田 誠一

なかた法律事務所

広島市中区上八丁堀5-27-602

https://www.nakata-law.com/

 

https://www.nakata-law.com/smart/


自己破産の流れ [借金問題]

広島市の弁護士仲田誠一です。

 

しばらく租税法のお話ばかりしていました。久しぶりに債務整理関連のお話をします。

 

自己破産の相談の際、どれだけ時間がかかるのかといったスケジュール感を聞かれることが多いです。

そこで、今回は個人の自己破産の流れをお話します(広島本庁のお話だと思ってください)。

 

1契約、2受任通知、3申立準備、4自己破産申立後開始決定まで、5開始決定後免責決定まで、の流れでお話しします。

 

1 契約

まずは弁護士と契約をしていただきます。

ただ、法テラスの法律扶助を利用する場合にはすぐには契約ができません。
まずは法テラスの必要書類を持って来ていただき、法テラスに申請書類を出します。平均で2週間前後に弁護士の元に契約書類が届きます。

 

2 受任通知

契約をすれば、原則として、すぐに弁護士受任の通知を出します。

金融機関である債権者が弁護士受任の事実を認識すると本人宛の督促が止まります。

事情によっては受任通知を遅らせるケースもあります。

また、法テラス利用の場合は契約まで時間がかかります。その間に督促電話に出られた際には「弁護士に依頼しているが法テラス利用のため時間がかかる。」旨と弁護士名・連絡先を伝えてもらいます。金融機関はそれで待ってくれます。金融機関からは私のところに確認の電話がかかってくることもありますね。


なお、受任通知を出すと他に次のようなことが生じます。

・ 債権者である銀行の口座凍結、相殺

・ 保証会社への代位弁済

・ 所有権留保物件である車などの引き揚げ要請

などです。

 

3 申立準備

契約時に申立て予定日を決めます。通常2か月~3か月後でしょうか。

その間に、自己破産申立てに書類などを用意していただくことになります。広島本庁では自己破産の場合、2か月分の家計収支表が必要です。

弁護士はその間に債権調査等をすることになります。

2か月分の家計収支表の作成が完了し、かつ債権調査も終わった、というタイミングが申立てのスタンダードですね。

 

勿論、それよりも早く自己破産申立てをしないといけない場合もありますね。給与等差押えがなされている場合などです。
申立てを急ぐ事情がある場合には、家計収支表も1カ月分でいいとされています。

 

逆に、自己破産申立てを遅らせなければならない事情がある場合もあります。

弁護士費用の準備、予納金の準備、あるいは申立て前にすしなければならない整理のため時間が必要なケースです。

金融機関は受任通知後少なくとも半年ぐらいは訴訟をせずに待ってくれるのが通常です。半年ほど経ると進捗確認の連絡が来ます。
あまりにも申立てが遅いと訴訟提起などがされることになります。ただし、一部の債権者は動きが早いのでご注意を。

必要がない限り、自己破産申立てを遅らせることは避けたいです。

 

ご本人の準備がなかなか進まない場合もあります。稀に連絡が取れなくなることもあります。
申立てが遅れると訴訟提起のリスクが高まりますし、弁護士も一定期間を経た後は辞任をせざるを得ません。
弁護士から辞任されると百害あって一利なしなので、打ち合わせたスケジュールに沿って準備をしてください。

 

4 自己破産申立後開始決定まで

自己破産を申し立てると、裁判所から1~3週間後に補正連絡が弁護士に来ます。

宿題ですね。事情の報告や追加書類の提出を求めるものです。

 

同時廃止の場合、補正連絡に対応して報告書を出すと自己破産手続の開始決定が出ます。

補正連絡がないケースもあります。その場合には草々に開始決定が出ることになります。

 

管財事件の場合には、予納金を納めないと開始決定が出ません。
開始決定のタイミングは、債務者審尋(裁判所で破産管財人候補者と会います)を開くときはその日、開かないときには裁判所が予納金の納入確認をしたタイミングになります。

なお、予納金を一度に納められない場合でも分納は認められていません。申立時に用意をしておくことが基本です(事実上、一定期間待ってくれることはあります)。

 

5 開始決定後免責決定

同時廃止事件の場合には、開始決定時に免責審尋期日が指定されます。

だいたい3か月後前後でしょうか。複数の日程が提示され、選択できます。

その後は、免責審尋期日をひたすら待つだけです。

ただし、集団免責審尋ではなく個別免責審尋を指定された場合には、宿題が出されることがあります。
免責審尋のため裁判所に行った日に免責決定がでるのが通常です。
 

 

管財事件の場合には、単純な免責調査型では、第1回債権者集会が3か月後ほどに開かれ、その日に免責決定が出るということになります。
資産の処分に時間がかかる、配当がある等で時間がかかるときは、免責決定が出るのもその分遅れてしまいます。1年を超えるときもあります。

なお、法人破産と同時に申立てた場合には、通常、法人破産手続の進捗に合わせて事件が進行します。
法人破産手続きが廃止になるまで個人の破産手続きも続きます。

 

以上が簡単な自己破産の流れです。

同時廃止事件では、スタンダードなスケジュールとしては、受任から6か月~7カ月かかるイメージですね。
管財事件の場合は、ケースバイケースです、早くて受任から6~7カ月、遅い場合には1年以上ということもあります。

                   

債務整理(任意整理、民事再生、自己破産等)のサポートはなかた法律事務所にご用命を。

 

広島の弁護士 仲田 誠一

なかた法律事務所

広島市中区上八丁堀5-27-602

https://www.nakata-law.com/

 

https://www.nakata-law.com/smart/


1

« 借金問題: 2019年4月 | メインページ | アーカイブ | 借金問題: 2019年6月 »

このページのトップへ