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「ペットとマンション」  【消費者問題】

弁護士の仲田誠一です。catface

 

 

 

今日はクリスマスですね。xmas昨晩はよいクリスマスイブを過ごされましたでしょうか。私は,家族とトマト鍋を食べただけです。

前回,クリスマスイブとは関係のない熱帯魚飼育の話をさせていただきましたね。

そういえば,以前に,よくあるマンショントラブルとして管理費問題をお話させていただきました。覚えていますか?滞納者が自己破産しても新しい所有者から回収できるなどお話しました。

今回は,熱帯魚の話をさせていただいたついでに,よくあるマンショントラブルの続きとして,「ペットとマンション」の問題をお話させていただこうと思います。dogcat

 

 

◆ ペット飼育禁止の規約は守らないといけない?
ペットブームといわれて久しいですね。
ペット飼育OKの分譲マンションも増えてきたように思います。

ただ,まだまだ,ペット飼育禁止の規約があるケースが多いでしょう。たとえば,小鳥・魚類以外の動物の飼育の禁止や,他の居住者に迷惑・被害を及ぼす恐れのある動物の飼育禁止が,管理規約などで定められているのではないかと思います。

そのようなペット禁止規約は守らないといけないのでしょうか?
「自分のマンションだからいいじゃないか」と思いたくなりますよね。

実際に争われた事件もあります。
裁判所は,その中で,そのようなペット禁止規約の有効性を認めています。ペット禁止規約は,マンションでの平穏な生活の維持などのために合理的理由があるという理屈です。

したがって,ペット禁止規約は,守らなければなりません。

 

 

◆ ペット禁止規約に違反する住人に対して何が請求できる?
まずは,話し合うことになるでしょう。直接迷惑がかかっている居住者からは言いにくいので,管理組合として注意するのがいいでしょう。

おそらく,違反している居住者は,ペット禁止規約を知りつつ飼っている確信犯です。また,ペットを捨てろ,ペットを殺せというのか,とペットの命をかたに反論し,話し合いで解決しないかもしれません。
かといって,例外を認めてしまうと,規約がなし崩しになってしまい,ほかにも問題が生じるかもしれません。

では法的には何が請求できるのでしょう?

裁判所は,ペット禁止規約違反に対しては,厳しい態度をとっているようです。
違反行為に対して,禁止命令や損害賠償請求を認めたケースがあります。

そこで,あくまでも程度問題ですが,話し合いで解決できない住民に対しては,飼育禁止命令や損害賠償を請求することができることになります。

また,鳴き声,糞尿,悪臭などの程度が著しいケースでは,「共同の利益に反する行為」として,専有部分(つまり居室)の使用禁止なども請求できます。この点は,ペット飼育が認められているマンションも同様です。

 

 

◆ 「共同の利益に反する行為」とは?
先ほど触れた「共同の利益に反する行為」は,マンショントラブルの説明には欠かせない言葉ですので,ここで簡単に説明しておきます。

所有権者はその物を自由に使用・収益・処分できるのが原則です。この所有権の概念は,封建制度を否定した(何重もの土地支配を否定したなど)という歴史的意義があります。

でも,みんなが所有権の自由を主張すると,社会に混乱が生じて(たとえば隣地所有者の争いが多発します),社会生活が成り立たないのも現実です。そ こで,所有権自由の原則は,あくまでも原則であり,社会生活を維持するために一定の制限が加えられることは当然だと考えられています。

その所有権の制限が,分譲マンションにおいて顕在化しているのが,区分所有法6条1項であり,そこで,「区分所有者は,」「区分所有者の共同の利益に反する行為をしてはならない。」と定められています。

そして,区分所有法は,「共同の利益に反する行為」を行った区分所有者に対しては,差止請求,使用禁止請求および競売請求の3つの裁判上の請求ができるとも定めています。

なお,区分所有法上,「共同の利益に反する行為」をしない義務は,区分所有権者以外の専有部分の占有者(賃借人など)にも課されています。賃借人が義務に違反する場合にも同様な請求ができることになります。

 


◆ 最後に
次回には,マンションに関するトラブルでまだお話していないものを,ご紹介させていただこうと思います。


PS.先日,中学1年生の甥っ子が私のコラム,ブログを読んでくれていると聞きました。励みになりますね。happy02


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