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法人破産のための準備など1 [借金問題]

広島県広島市の弁護士仲田誠一です。

 

現在複数の法人破産申立て準備を並行して行っていることもあり、法人破産についてご質問が多い点などを五月雨式に説明させていただこうと思います。

 

法人の自己破産時の準備は多岐にわかります。かつ、ケースバイケースの判断が必要になります。

やるべきこと、やっていいこと、やってはいけないことの判断をしながら進めることになります。弁護士もスキル・経験が必要な分野ですね。

 

法人破産を決断される経営者の方々は非常に苦労をされてきています。
簡単に自己破産をしたいとおっしゃる方はいらっしゃいません。万策尽きて弁護士に駆け込まれる方が多いです。

 とはいえ、法人破産の準備は多岐にわたり大変です。経営者の方々にはもう一踏ん張りしていただくことになり恐縮です。

弁護士に早期に相談され、弁護士のサポートを受けながら頑張ってください。

 

2回に分けてお話ししますね(それでも話は尽きませんが・・・)。

 

◇ 従業員関係

(解雇・退職)

事業廃止日が決まれば、従業員の方々を解雇する、あるいは従業員の方に退職していただかなければなりません。
規模が割合小さい会社であると自主的に退職していただけるケースも多くあります。

 

従業員さんの生活のことを考えるとできるだけ早くお話をした方がいいでしょう。解雇をする場合には30日間の解雇予告をするのが通常です。

一方で、あまり早く事業廃止のことを伝えると業務に支障を来すことも予想されます。
給与あるいは解雇予告手当を支払って最後まで働いていただくことが理想ではありますが、悩ましいです。
法人破産はある程度資金が必要であり、資金繰りとの関係でケースバイケースの判断になりますね。

 

なお、破産準備のため「この人がいないと困る。」という経理担当の方などがいらっしゃる場合もあります。
その場合には、引き続きお手伝いをいただき、ある程度の報酬を支払う、あるいは退職時期をずらしてもらうこともあります。

 

賃金等の未払いが残った場合にはどうなるのでしょうか。
破産財団からの支払いができるか、労働福祉事業団立替制度(約6か月分の未払い給与と退職金の80%かつ限度額以内を受けられる制度)の問題になります。
手続に時間はかかりますが、破産管財人に引き継ぐことになります。

なお、賃金台帳、対三カード、就業規則はきちんと弁護士に引き継いでください。

 

(その他)

社会保険の異動手続、住民税の異動手続、ハローワークの手続をしていただかないといけません。

 

◇ 税金関係

税金の支払いをどうすればいいかも悩みます。

差押えをされても困るところですが(破産をするといっても差し押さえてきます!)、資金繰りを睨んでの対応となりますね。

仮に資金手当てができるのであれば、税金の支払いは基本的にはOKです(一般の破産債権よりも優先される財団債権であればという意味です)。
弁護士と相談ですね。資金捻出状況との兼ね合いで決めています。

 

◇ お金の管理

法人破産の場合は、事業を廃止する以上、事業廃止のタイミングあるいはその直前かけて、弁護士が管理をすることが通常です。

もちろん、ある程度のお金は保管していただき、必要な支出に対応していただきます。

その場合、収支を明確にするため、現金出納帳を作成していただき、ごみ処理などの領収書なども保管していただきます。

資産を換価したお金も含めて、弁護士費用、申立費用、どうしても支払う必要がある費用に支出していきます。

 

◇ 売掛金の回収

売掛金台帳、納品書・請求書綴り、注文伝票綴りは整備・保管することを求められます。
ただ、そこまでできない場合も多いのです。

事業廃止時点での売掛金リストを作成してもらい、それで管理をしていくことが多いでしょう。
 

借り入れのある銀行の法人口座は受任通知により凍結されます。
法人破産の場合の凍結後の入金は金融機関が引き出しを拒むでしょう(破産法上相殺は許されませんし、破産管財人からの引き出しの要求は拒めないはずなのですが)。
振込先を借り入れのない銀行口座に変更してもらう、現金で集金する、あるいは弁護士口座に直接振り込んでもらうなどの対処をしなければなりません。
金融機関への受任通知のタイミングも弁護士とよくよく相談しないといけません。

 

◇ 買掛先への対応

買掛先リストを作成してもらい弁護士が受任通知を出します。

それでも仕入先からの返品要請などが来ることがあると思います。弁護士に回してもらい対応します。基本的には返品には応じられません。

取り付け騒ぎの可能性もあります(窃盗行為なのですが・・・)。営業所等のセキュリティーはきちんとしてもらいます。
弁護士名での張り紙をすることもありますね。

 

なお、買掛先に限らず、債権者はすべて弁護士に報告してください。
請求書などが来る都度報告してもらえれば受任通知を出します。

 

◇在庫の処理

事業廃止に向けて在庫は圧縮してもらいます。

棚卸台帳、納品書・請求書綴り、注文伝票綴りは整備保管することを求められます。
こちらもきちんとできない場合は珍しくなく、最終的には簡単な在庫リストを作成してもらうことが多いです。

 

破産申立て前に、弁護士関与の下、適正価格(もちろん通常の販売価格では処分できませんが)で在庫処分をすることもあります。
保管場所の明渡しのため、今すぐになら売却できる、といった事情がある場合などです。勿論、生鮮食品等、劣化するものは早期の処分が必要ですね。
破産管財人が最終的判断した方がよさそうなものはそのまま引き継ぎます。

処分をしたものについては、勿論記録を残さないといけません。

 ごみとして処分するべきものも記録を残した上で廃棄になります。

 

◇ その他各種契約

法人の営業をしていると様々な契約を伴います。
法人破産の場合は、申立て前にすべて契約関係を解消してもらうのが原則です(簡単に解約できるものはという意味です)。
契約書と解約関係書類は保管して弁護士に引継ぎます。

それにより違約金等が発生する場合には債権者に追加します。逆にお金が返ってくる場合にはそのお金はきちんと管理しないといけません。

 

◇ 公共料金

営業所の水道、ガス、電気、電話などですね。

ガスや電話は事業廃止に伴いすぐに止めていいことがほとんどでしょう。勿論、自宅兼事務所の場合は別です。
 

水道、電気はタイミングを図って止めます。
事業廃止後も整理などで立入りが必要です(倉庫のシャッターやクレーンが電動で整理するためには通電が必要というケースもありました)。

そのため、水道・電気は止めないままで破産管財人に引き継ぐことも多いです。

次回も続きをお話しします。

  

債務整理(任意整理、民事再生、自己破産等)のサポートはなかた法律事務所にご用命を。

 

広島の弁護士 仲田 誠一

なかた法律事務所

広島市中区上八丁堀5-27-602

https://www.nakata-law.com/

 

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