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知られずに自己破産、個人再生ができるか [借金問題]

広島県広島市の弁護士仲田誠一による借金問題コラムです。
 
今回は、自己破産、個人再生といった法的債務整理手続が、家族や職場に内緒でもできるケースがあるといったお話です。
基本的には内緒でできるが、協力を仰ぐ必要があるケースでは難しい場合もある、というお話です。
勿論、家計の建て直しには、ご家族の協力があった方がいいのですが。
 
まず、債務整理であっても、任意整理であれば、原則として、誰にも知られることなく債務整理をすることができます。
弁護士と業者間で交渉するだけですからね。
 
ただし、任意整理でも個人信用情報機関に所謂ブラック情報が登録されて、一定期間金融機関の審査に通らなくなります。
近々に家族が車を買う、家を買うなどで家族の連帯保証人を頼まれるようなことがあれば、説明に困ります。
また、月々返済に必要なお金を確保するためには、家族にそれ相応の説明が必要なケースもあるでしょう。
 
次に、債務整理のうち、法的手続である自己破産、個人再生となると、手続との関係で家族や職場の協力が必要かどうか検討しなければなりません。
 
家族の協力はどうでしょうか。
自己破産や個人再生では、配偶者や同居人が働いている場合には、源泉徴収票や給与明細が提出書類となっています。
その限りで家族の協力が必要なケースがあるのですね。
なお、市県民税課税台帳記載事項証明書の提出も求められますが、これは同一世帯であれば、お一人で全員分のものがとれるはずです。
 
また、家計収支表の提出もしなければなりません。
家計が同一であればその家計全体の収支を記載しなければならず(いろいろな説明の仕方がありますので、弁護士と作成方法をよく相談してください。)、ご自身が家計を把握していない場合には家族の協力が必要ですね。
 
さらに、公共料金等の支払いをしている家計の主口座が家族名義である場合には、その写しの提出も求められます。
 
こうしてみると、家族に内緒で進められる典型的なケースは、奥様の自己破産で、夫の収入資料を保管し、あるいは保管場所を把握していて、家計も管理しているというケースですね。
 
なお、自己破産の場合、管財事件になると、郵便物が破産管財人に転送されてしまいます。郵便物が来ないので、家族におかしいなと思われるでしょう。
 
勿論、家族(特に配偶者)には、事情をお話しできるならした方がいいです。
自己破産や個人再生は経済的な立ち直りのために行うものですね。
多かれ少なかれ、家族の協力が必要なものです。
 
親族の協力はどうでしょうか。
 
親族との関係では、同居していない限り協力を乞う必要はありません(同居している場合には収入資料が必要です)。
勿論、債権者である親族に対しては裁判所から通知がいきます。
 
なお、稀なケースですが、親族名義あるいは親族が借りている居宅に間借りしている場合には、居住証明書の提出を求められます。
 
勤務先の協力はどうでしょうか。
 
勤務先との関係では、仮に借金がある場合には通知が行きますのでわかってしまいます。
そのような場合には、自己破産、個人再生を申し立てるのも躊躇してしまいますね。
別のコラムで書かせていただきましたが、勤務先からの借金をなくすことを検討します。自己負担金等給与から控除されているものも債務ですのでご注意を。
 
また、一定期間以上(広島本庁では5年以上)働いている正社員の場合には、退職金見込額証明書あるいは就業規則や退職金規程等、退職金見込額を説明することができる資料を提出しなければなりません。
 
見込額証明書を貰うケースは稀で、通常は説明できる資料を提出します。
勤務先に伝えるのは躊躇されますからね。
現在自己都合で退職したとしたら退職金がいくら支給されるかの説明です。
退職が決まっている等の事情がない限り、退職金支給見込額の8分の1が財産として評価されます。
 
退職金制度が最近は複雑になっており、毎回、何を提出するか悩みます。
金額が明確に説明できるよう、就職時期、退職金の計算方法、計算の基礎となるポイントや倍率がわかるものなどを提出します。
手元にない方も多く、その場合は、勤務先からそのような資料も貰わなければいけません。
 
さらに、給与明細の控除欄の中に、資産性があるかもしれない積立や保険・共済等がある場合、残高や契約内容を説明する資料の提出を求められます。
手元にない場合がほとんどなのですが、場合によっては勤務先にお願いせざるを得ないケースもあります。
 
最後に、官報公告というものがあります。自己破産あるいは個人再生をすると、官報に名前と住所が公告されます。
普通の方は見たこともないでしょうが、公告により、金融業者などからダイレクトメールが来ることもあります。
 
家族、親類あるいは勤務先が官報を逐一チェックしていることはなく、直接官報から申立ての事実がわかってしまうことはないでしょうが、完全に秘密にはならないということはご承知おきください。
 
債務整理(任意整理、個人再生、自己破産等)のサポートはなかた法律事務所にご用命を。
 
広島の弁護士 仲田 誠一
なかた法律事務所
広島市中区上八丁堀5-27-602
https://www.nakata-law.com/
 
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