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「成年後見ってなぜ必要?」 2  【相続問題】

弁護士の仲田誠一です。catface
 
 
 
高齢者問題はこれから噴出する問題かもしれません。高齢者の数が増えているだけではなく,一人っ子が増え,さらに独身を通す人も増えています。高齢者を家族が支えていくという構図はますます崩れていきますね。

また,不景気が続いているからでしょうか,親のお金を当てにした人が起こす犯罪やトラブルも増えているような気がします。

公的年金も期待できませんし,これからの時代は老後について自己防衛をしていかないといけませんね。

さて,前回は成年後見の必要性について途中までお話いたしました,今回はその続きです。



◆ 将来の相続財産争いを防ぐ
将来の相続財産争いを防ぐために成年後見制度を利用するケースも多いでしょう。

相続争いの中でよく問題になるものとして,本人の判断能力に疑いがある時期の預金の引き出しや遺言の作成があります。

近い親族が,よくわかっていない本人を囲い込んで,自分に有利な遺言を書かせたり,預金の管理の名目で勝手に預金を引き出す例が,本当によくあります。
いざ,相続が発生すると,他の相続人は納得いきません,親族間の財産争いになります。

この点,成年後見制度を利用すると,裁判所の監督の下で,財産管理がされます。本人の判断能力がないなと感じたら,早めに成年後見制度を利用すると,一部の親族によるそれらの勝手な行為を防ぐことができます。結局,相続争いを防ぐことになるのです。



◆ 悪徳業者への対抗として
判断能力のない,あるいは乏しい高齢者を狙って,高価なものを次々と買わせたり(次々販売),だましてお金を取ろうとする詐欺行為が後を絶ちません。

そのような場合,成年後見制度(あるいはそれよりも程度の軽い保佐制度)を利用していたら,簡単に効力を否定することができます。

もちろん,それらの制度を使わなくても対処する方法はあるのですが,利用していた方が安心でしょう。



◆ 借金が見つかった!
認知症になった父に多額の借金があるのがわかったから自己破産などの債務整理をしたい,と言っても,本人に判断能力がなければどうしようもありません。

その場合には,成年後見人を選任してもらって,自己破産など債務整理をすることを考えます。



◆ 後見人は誰がなればいいの?
多くの場合は,親族や弁護士などを後見人候補者として予め決めてから,家庭裁判所に後見人選任を申し立てます。
候補者は親族でも,弁護士などの専門家でも結構です。

ただし,最終的には裁判所が後見人を選任することになります。推定相続人間で争いがある場合は,候補者を親族と予め決めておいても,第三者的な弁護士が選任されるケースが多いでしょう。



◆ 後見人になると大変ですか?
後見人は裁判所の監督に服します。だからこそ,本人の財産が適切に保全されるのです。
そのため,後見人は裁判所に対して各種報告書を提出する必要があり,その事務負担は軽いとは言えません。

なお,最近,本人の親族である成年後見人が,本人の財産を私消したため,業務上横領罪により逮捕されたという報道もありました。後見人は本人の財産を適切に管理する義務があり,自分のために勝手に使ってしまうと,業務上横領罪が成立し得るのです。



◆最後に
今回は制度の詳細までは説明できませんでした。細かい話は機会を見てお話します。

ご家族の現在あるいは将来のご本人の生活がご心配な方は,早めに弁護士などの専門家に相談されることをお勧めします。chickdash

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