旧コラム

現在のコラムはこちらから

破産直前の財産の現金化 [借金問題]

広島県広島市の弁護士仲田誠一です。

 

債務整理のうち自己破産と直前の現金化のお話をさせていただきます。

 

自己破産で現金化というと、クレジット枠の現金化も頭に浮かんできます。
クレジット枠の現金化は免責不許可事由と扱われています。違法な行為ですが、宣伝されていることもあって、よく目にする行為です。

程度が軽いと同時廃止で済んでいる傾向にありますが、金額・回数によっては管財事件になります。

追い詰められてクレジット枠の現金化に走るぐらいなら、弁護士に債務整理を相談してくださいね。

 

今回お話しする現金化は、自己破産申立直前に、保険の解約、定期預金の解約、車の売却、不動産の売却等、資産を売却・解約して現金化したケースのお話です。

 

なぜ現金化が問題となるのでしょう。

財産を隠匿・費消しやすくなるからですね。

場合によっては、不当な財団価値減少行為として免責不許可事由となり得ます。

 

広島本庁では、自己破産申立ての際、2年以内の財産処分について報告を求められています。
処分の内容と処分代金の使途の報告ですね。
直前の現金化はあまりお勧めできない行為であることは確かです。

 

当該処分の妥当性はよくよく吟味されます。申立時にはきちんと説明をします。

説明が不十分あるいは合理的な説明ができない場合には、管財事件になり、破産管財人がその当否を判断することになります。

特に不動産の任意売却が絡むケースでは管財事件になるケースが多いですね。
勿論、何年か前に住宅ローン債権者に促されて自宅を売却して残債が残っているというようなケースでは同時廃止で済んでおります。

 

一方、有用の資として利用するための現金化は相当の範囲内で許容されます。

有用の資とは、破産申立費用(弁護士費用含む)、必要な生活費、医療費、転居費用、葬儀費用、学費、公租公課の支払いなどですね。

どうしても必要な費用、あるいは債権者共同の利益になる費用です。

 

特に、申立費用、転居費用、明渡し費用を捻出するために資産を処分するということはよくします。
勿論、弁護士に関与してもらい、お金も管理してもらった方がベターです。

当職の場合は、後に裁判所にきちんと説明するために、売買なら値段設定や契約書作成から関与し、換金額が大きければお金を当職が管理し、有用な資と確認できる限りで依頼者にお金をお渡しして領収書等をもらう、ということまでやっております。
処分の結果として、後述の同時廃止基準の適用により同時廃止事件での処理が可能になるケースもあります。

 

不動産、車など日常生活に必要な物は、親族間での売買をすることも多いですね。

その場合には裁判所への説明により神経を使うことになります。資産隠し、低廉譲渡ではないかと疑いの目で見られますからね。

適正価格であることを説明できる資料を用意して、お金の管理も必ず弁護士が行うようにしています。
弁護士が関与する以上、きちんと説明できるようにしていただきます。
弁護士と裁判所との信頼関係にも繋がります。弁護士があまり無茶なことをすると破産裁判所の信頼を失ってしまうのですね。
弁護士の信頼は依頼者のために維持しないといけません。

 

なお、同時廃止基準(同時廃止事件と管財事件の振り分け基準)には、財産評価額の基準があります。

広島本庁では現金・預貯金は50万円、個別の財産は20万円の評価額を各超えると、管財事件になります。
ちょっと前までは財産全体で60万円を超えるかの基準だったのですが、全国的に基準を合わせてきているようです。

例えば、保険ぐらいしか財産がない場合、保険の解約返戻金が30万円だと、解約して預金化すれば基準上は同時廃止、保険のままだと管財事件となってしまいます。
資産を換価して預金の形にして(かつ有用の資に充てて)、同時廃止事件として申し立てることを考えないわけにはいきません。

 

保険の解約や契約者貸付を受けて同時廃止事件として自己破産を申し立てることは許容される傾向にあります(あくまでも広島本庁です)。
他の財産はどこまで許容されるかどうかはケースバイケースでしょう。

なお、あくまでも現金化前の財産として評価する裁判所もあるようです(その場合でも前述のとおり弁護士費用等有用の資に充てれば評価額は下がります)。

破産法上財産の基準時は開始決定ですから、開始決定時の財産の形で取り扱うべきだとは思っておりますが。

 

自己破産も法的手続ですから、法的な申立て方によって、選択される手続や問題視される行為が変わってくることは致し方ないことです。
当職のスタンスとしては、あくまでも破産法で許容される範囲内ですが、依頼者に有利な行為が可能である限りはその実現をサポートしたいと考えています。

 

イレギュラーなことをする場合、余計な説明や手間がかかることは仕方がありません。
破産裁判所が
OKを出しやすいようにきちんと資料を添付して説明をすることが大事ですね。
「〇〇弁護士は変なことはしない。」と評価されつつチャレンジすることを心掛けています。

 

債務整理(任意整理、民事再生、自己破産等)のサポートはなかた法律事務所にご用命を。

 

広島の弁護士 仲田 誠一

なかた法律事務所

広島市中区上八丁堀5-27-602

https://www.nakata-law.com/

 

https://www.nakata-law.com/smart/


アーカイブ 全て見る
HOMEへ
082-223-2900

PCサイト