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訴訟を提起された場合と自己破産 [借金問題]

広島市の弁護士仲田誠一です。
 
債権者に訴訟を提起されたこと(支払督促が申し立てられたこと)をきっかけに債務整理のご相談に来られる方がいらっしゃいます。

また、自己破産を選択して受任通知を出した後に、債権者から訴訟を提起されるケースもあります。

今回は、そういった自己破産と訴訟との関係をお話しようと思います。
 
まず、債権者に訴訟を提起されたこと(支払督促が申し立てられたこと)をきっかけに債務整理、特に自己破産を決意される場合です。
 
基本は、急いで受任通知を送ります。
また、訴訟の場合には裁判所には委任状と答弁書、支払督促の場合は異議申立書と委任状を送ります。
いずれも期限があるので気を付けてください。支払督促の場合は特に短いです。

そうすれば、債権者が訴訟(支払督促の場合は異議申し立てによって訴訟手続に移行します)を取り下げてくることが多いです。

取り下げない場合には、急いで自己破産申立を行います。
通常は債権調査を行うのですが、それを省いてでも早く申立てることが多いです。
また、家計収支表は、広島本庁では2ケ月分必要ですが、申立てを急ぐ場合には1か月分でいいこととされています。
 
どうして急ぐかというと、強制執行が怖いからですね。
特に給与等差押えです。
理屈上、破産開始決定を得ると債権者は判決を取っても強制執行ができません。
債権者が破産申立の事実を知ると、通常は訴訟を取り下げます。
訴訟をできるだけ時間稼ぎしておいて、その間に自己破産申立てを急ぎ、早期に破産開始決定を取ることを考えるのです。
 
勤務先を債権者が知らない場合には、通常調べることはできないですし、調べる手間もかけません。
その場合には、預貯金の差押えが怖いぐらいでしょうか。動産執行などは原則してきません。不動産がある場合には差し押さえられても直ちに換価されるわけではないので、自己破産を考えている限りでは、あまり怖くありません。

預貯金で困るのは、給与口座、年金口座、生活保護受給口座の差押えですね。
年金、生活保護を受ける権利自体は差押え禁止財産ですが、入ってくる口座自体は差押えが可能です。それが有効かどうかはまた別の議論があり争うことができますが、お金が一時的にでも引き出せなくなることには変わりがありません。
債権者が債務者の預金口座の所在を調べられるわけではありません。債権者に振り込んだ銀行・支店名、融資金を振り込んだ口座ぐらいしかわかりません。
ただ、ゆうちょ銀行口座と自宅近辺の代表的な金融機関の支店へ差押えをかけてくることがあります。
遠方の銀行あるいは支店であれば債権者の差押えがヒットしないでしょう。
年金受取口座等を念のため変更してもらうことがあります。

やはり、訴訟提起、支払督促申立てがなされている場合には、申立てを急いだ方が無難でしょう。
 
これに対し、弁護士が受任通知を出した後に、訴訟提起をしてくる債権者もいます。
 
典型的なケースは、自己破産申立て準備が遅れ、債権者が待ちきれずに訴訟提起をしてくる場合です。

受任通知から数か月経つと、債権者から進捗確認の連絡が弁護士宛に来ます。
それでも申立てがなされずに半年を優に超えるような状態になると、債権者から法的手続を進めるとの連絡が来ます。
当然、弁護士も依頼者様に準備を促すのですが、中にはなかなか連絡が取れなくなる方もいらっしゃいます。

急かされて準備を頑張ってくれる方は急いで申立てをするのですが、準備を進めてくれないあるいは連絡が取れなくなる方については、弁護士も辞任をすることになります。

弁護士が辞任をすると、期限の利益が喪失された(一括請求されて遅延損害金も発生している)状態で、代理人がいないことになります。督促もされますし、訴訟提起もされます。
自己破産の申立て準備を遅らせることは百害あって一利なしなので、お気を付けください。

勿論、敢えて申立てを遅らせる必要があるケースでは、きちんと債権者に弁護士が説明をします。たいていの債権者は待ってくれます。
 
ところが、中には、受任通知後間もないのに訴訟提起をしてくる債権者もいます。
2,3社の名前が挙がりますが、具体名はここで挙げません。

債権者がそのような対応を取った場合には、できるだけ訴訟の進行を遅らせ、その間に自己破産申立て、破産開始決定を取るほかありません。
受任通知後1~2か月で訴訟提起をされたことが2回あります。
債権者にとっても自己破産されてしまうと訴訟費用と手間が無駄になるだけだと思うのですが、特定の債権者はそのような対応をすることがあります。
 
債権者から訴訟が提起された、あるいは支払督促の申立てがなされたときは、他の督促状や訴訟予告と異なり、裁判所から書類が来ます。
裁判所から書類が届いたら、すぐに、弁護士に相談する、あるいは依頼している弁護士に渡す必要がありますね。
 
債務整理(任意整理、個人再生、自己破産等)のサポートはなかた法律事務所にご用命を。
 
広島の弁護士 仲田 誠一
なかた法律事務所
広島市中区上八丁堀5-27-602
https://www.nakata-law.com/
 
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