コラム

別居、離婚にともなう自宅不動産の退去・明渡し請求 [離婚問題]

広島県広島市の弁護士仲田誠一による離婚問題コラムです。
 
別居あるいは離婚しても自宅不動産の所有者が自宅を出て他方配偶者が自宅に居住し続けるということは珍しくありません。
 
今回は、そのような場合、不動産を所有する夫または妻は、他方配偶者に対して「家から出て行け。」と法的に請求することができるのか、
逆に、他方配偶者は不動産を所有する夫または妻からのそのような退去請求に応じなければならないか、のお話しです。
 
離婚の前と後で分けます。
その後、第三者名義の不動産の場合を補足します。


【別居中のケース】
別居中ということは婚姻中ということになります。

民法は、夫婦の同居、協力、扶助の義務を定めています。
同居義務などから、所有者ではない配偶者にも住居の使用権原、居住権が認められています。
 
婚姻関係が破綻していても基本的には同様です。
 
不動産を所有する配偶者からの所有権に基づく退去・明渡し請求は、請求を正当とすべき特段の事情がない限り、認められません。
 
また、使用貸借関係(無償での貸借関係)があるという理由で退去・明渡しが認められなかった例もあります。
別居開始時点において居住目的の使用貸借契約の黙示の成立を認め、別居時点では使用貸借の目的が消滅していない、あるいは解約は権利濫用だとするわけです。
 
実質的な夫婦共有財産だという主張もあり得ますね。
 
ということで、離婚が成立するまでは退去・明渡し請求は認められないと思った方がよろしいでしょう。
 
ただし、他方配偶者が居住権を主張することがDV等により許されるべきではないケースでは、居住権の主張が権利濫用に当たる、あるいは婚姻関係が破綻した同居義務による使用権原は認めないなどとして、例外的に請求が認められているようです。
 
なお、他方配偶者の使用権原が認められた場合、不動産を所有する夫または妻は、賃料相当損害金の請求も認められません。
婚姻費用の算定に考慮されるだけとなります。
 

離婚後のケース】
離婚が成立すると夫婦の同居・協力・扶助義務はなくなります。

離婚後までも居住を許す使用貸借の成立も認められないのではないでしょうか。
 
原則として、退去・明渡し請求が認められるでしょう。
 
ただし、離婚に至った事情等から、場合によっては退去請求、明渡し請求が権利濫用として排斥されることはあるでしょう。
 
勿論、財産分与で、他方配偶者が少しでも不動産持ち分を取得したのであれば退去・明渡し請求は認められません。
共有者には、使用権原が認められますから当然です。
 
その場合は、共有物分割請求による共有関係の解消あるいは賃料相当損害金の請求のみできることとなります。
 

【第三者名義の場合】
自宅不動査が夫あるいは妻の会社、親などの第三者の所有であった場合には、夫婦の同居・協力・扶助義務は表に出てきません。
 
使用貸借関係の趣旨・目的から貸借関係の終了あるいは解約が認められるかの問題となります。
事情により権利濫用として第三者からの請求が排斥された例もあります。
 
なお、配偶者名義であった不動産が別居中に売却されてしまうこともありますね。
勿論、通常は、人が住んでいたら売却できませんね。
 
仮に、売却されると第三者所有の物件となってしまいます。
 
売買の事情によっては、第三者からの明渡請求が権利濫用として排斥されるでしょう。
 
また、そうなる危険がある場合には、処分禁止の審判前の保全処分を申し立てることも検討してもいいでしょう。
 
離婚婚姻費用養育費財産分与等、離婚問題のサポートはなかた法律事務所にご用命を。
 
広島の弁護士 仲田 誠一
なかた法律事務所
広島市中区上八丁堀5-27-602
https://www.nakata-law.com/
 
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