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会社運営と定款自治1 [企業法務]

広島市の弁護士仲田誠一です。

今回は広島大学で開催していた経営者向けの勉強会でお話ししたことを基にしてコラムを書きます。

企業法務の話です。

会社法の改正が以前にあり、機関設計の自由化、定款自治の拡充がなされたことをご存じでしょうか。
その背景は、外圧あるいは性善説による事後規制への移行(結局、トラブル発生は民事の問題として裁判で解決しろ、自己責任だよということです)にあるようです。
我が国の会社法が大会社から社長1人の零細企業までを幅広く対象としているため、改めて会社の規模に応じた規制を行わなければならなかったということもあるのでしょう。

会社の機関設計や定款(会社のルール)がより自由になったという事態に接した中小企業は、何を考えればいいのでしょうか。

それは、
①機関設計、定款を戦略的な経営の武器にすること、
かつ、
②生じるリスクに対処をする、
ということです。

経営の武器とするという意味は、自由になった会社の設計により、中小企業の強みである機動力強化(ヒトの力)をより発揮できるようにするということですね。
一方、自由は責任を伴います。自己責任ですね。リスクの管理はよりしていかないといけません。

また、会社運営・定款自治は、事業承継対策にも直結します。
中小企業は、人が大事です。「和」に基づく身の丈に合った自治を行うことになるでしょう。
引き継ぎやすい会社にするため、あるいは事業承継対策そのものとして、考えないといけない事柄です。

そこでまず、機関設計のお話しをします(株式会社を念頭にお話しします)。

譲渡制限会社の制度設計は原則として定款自治に委ねられます。
身の丈に合った機関設計、すなわち、スリム化、機動力確保を狙って戦略的な設計が必要でしょう。

必須なのは株主総会と取締役です。
そのほかは、いろいろなバリエーションが認められます。
単語だけ並べると、
取締役会、監査役(会計参与)、監査役の監査範囲の制限、監査役会、会計監査人、
委員会設置会社(取締役会+指名委員会、監査委員会、報酬委員会+会計監査人)、
監査役会設置会社委員会設置会社制度
等です。

会社の規模により取締役会、監査役は被設置の会社にした方がいいでしょう。複雑にしてもいいことはありません。

取締役会を設置しなければ、各取締役が代表権を有し、株主総会の権限が拡大しますので、旧有限会社型の会社となるでしょう。

もちろん、機関設計は組織運営とは違います。機関設計とは別に組織運営も考えないといけません。

スピード、機動力、経営方針の一貫性が強みである中小企業では、できるだけフラットな組織がよいでしょう。

リスク管理に必要なのは
保険で対応できるリスクは保険をかける、
あとは、分離とチェック(ルーティン化できるプロセス)と記録化の仕組みづくりです。

実際の訴訟等を経験している弁護士等の専門家の助言に従って、一度簡単な仕組みづくりさえしておけばいいのです。
中小企業はリスク管理にコストはかけられません。ただ、やっていないと、大変なことになります。
中小企業は大きな契約1つでもトラブルが生じたら、資金繰りがひっぱくし、あるいは経営継続にも支障を来します。
中小企業こそリスク管理を考えないといけません。

ピラミッド型組織は必要ありません(従業員に肩書きだけを与えるのは別の話です)。
社員のやる気は、賃金体系の整備で対処するのが得策でしょう。

次回、次々回は続きの話をします。

顧問弁護士のご用命は是非なかた法律事務所に。

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なかた法律事務所
弁護士 仲田 誠一

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