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協議離婚の話 1  【離婚問題】

弁護士の仲田誠一です。catface
 
 
先週,私の尊敬する先輩弁護士と忘年会をやりました。

その先輩弁護士が「上海帰りのリル」って曲を歌われていたのですが,カラオケの映像に出てくる上海が今の上海とまったく違う風景でした。karaoke
 
今年,仕事も兼ねて上海に行ったのですが(万博も見てきました),本当に大都会ですね。東京に住んでいた期間が長い私ですが,その都会振りには驚きました,日本の比ではないです。
車も高級車ばかり走っていました,上海ではナンバーを取るだけでかなりお金がかかるらしく,お金持ちしか車に乗れないという話を現地ガイドから聞きました。でも,その「お金持ち」が大渋滞するほど多いんです。
なお,残念ながらドイツ車が多いような気がしました。上海ではVW社がいち早く入っていたようですね。

ところで,まだ離婚について何もお話していないなと気づきました。もっと上海の話をしたいのですがまたの機会にします。

離婚には,ポピュラーなところで,協議離婚,調停離婚,裁判離婚があります。
今回は,協議離婚について簡単にお話しましょう。


◆協議離婚をするにはどうしたらいい?
 
「そんなの知っているよ」と言われるかもしれませんが、協議離婚とは、その名のとおり当事者の協議による離婚です。

協議離婚には、①離婚意思の合致と、②届出、が必要です。つまり、当事者が離婚について合意し、その合意に基づいて離婚を届けます。
日本人には当たり前のような制度ですが、世界的に見るとそうではないんですよ。

実は,西欧ではキリスト教の関係で長らく離婚が認められなかった国もあるようです。神の許しで結婚したから別れちゃ駄目って理屈ですかね。

一方,日本では,近時の研究で,江戸時代に既に,離婚がわりと簡単に認められていたとわかってきたようです。いわゆる「三行半」って言っても,男性からの一方的なものだけではなく,今で言う協議離婚がポピュラーだったようです。日本は離婚に寛容な国のようです。


離婚届を作成したらもう覆すことはできない?
そうではないんです。
これは意外にご存じない方がいらっしゃるのですが,協議離婚に必要な離婚意思は,届出書作成のときだけでなく,届出時にも必要です。

したがって,一旦,離婚届書を作成しても,その後,一方が届出前に翻意すれば,その届けは法律上無効となります。
もっとも,相手に届出をされてしまうと後が面倒になります。そのような場合には,役所に離婚届を受理しないようにお願いできる「不受理申出制度」があります。それを利用してください。


◆ 協議離婚をする際に決めておくことは?
財産分与,養育費,子の面接交渉等々いろいろあります。簡単には説明できませんし,ケースによって決めることは違います(長くなるので,またの機会の個別にお話ししますね)。

別れたい一心で不利な約束をする方もいらっしゃるのが現実です。できれば,当人同士では決めず,弁護士等の専門家に相談してください。
また,必ず,離婚届を出す前にすべてきちんと決めてください。後でもめることになりかねませんし,「その条件なら離婚しない」っていう交渉のカードを失ってしまいます。


離婚協議書は公正証書で作成した方がいい?
公正証書で作成する意味は,証拠をより確実なものにする目的と,養育費等が支払われない場合に簡単に強制執行ができるよう手当てする目的にあります。
もちろん公正証書で作成した方がいいでしょう。


◆ 別居期間中の生活費はもらえる?
離婚協議をする段になると既に別居している方も多いでしょう。収入が相手よりも低い,あるいは子供を養っているという場合には,別居中の生活費を請求できます。
別居期間中の生活費を請求することを「婚姻費用分担請求」と言います。

夫婦双方の収入の差によって,子供の年令及び人数によって,ある程度相場が決まっています。婚姻費用は,一般的な感覚からすると十分ではないと感じてしまう金額なのですが,請求はできますので忘れずに。

支払ってもらえないときは,調停を申立て,それでも合意できない場合には審判に移ります。調停あるいは審判で決まれば,払ってもらえない場合に強制執行をすることができます。

ここで気をつけて欲しいのは,婚姻費用は別居時に遡って請求することが原則としてできないということです。それが認められるケースもあるのですが,なかなか難しいことです。
ですから,弁護士に早めに相談してください。



◆ 最後に
当事者の協議が整わない場合には,調停に進むこととなるでしょう。
法制度上,いきなり離婚訴訟をするのではなく,その前に調停を申立てることが原則となっています。
もっとも,そもそも調停を申し立てるのが意味があるか判断に迷うケースもあります。

次回以降に,調停離婚と裁判離婚について簡単にお話しようと思います。
 

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