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旧コラム 仲田 誠一: 2019年2月 2ページ目

現在のコラムはこちらから

差押えの取下げと消滅時効 [借金問題]

広島県広島市の弁護士仲田誠一です。

 

放っておいた借金の債権者から突然督促状が来て、驚いてご相談に来られる方も多いです。

 

はじめから消滅時効援用のご相談に来られる方だけではなく、債務整理をしたいというご相談の中で消滅時効援用により解決できるのではないかとアドバイスをする方もいらっしゃいます。

 

消滅時効はご存知でしょうか。
債権は一定の時効期間を経過し、かつ時効中断事由がなければ、消滅時効にかかります。
債務者が消滅時効を援用(具体的には消滅時効の援用通知を送ります。)すれば、支払義務から免れることになります。

 

一定の期間というのは、商人である銀行や貸金業者から借りている場合は5年間です。商人以外から借りている場合は10年です。
改正民法が施行されると期間は変わりますが。


しかし、時効中断事由があれば、それまで進行した時効期間がリセットされ、時効中断事由が終わってから再度時効期間が経過します。
判決等の場合は時効期間が10年に延びるということにもなります。

 

時効中断事由は、改正前の現行民法では、請求、差押え・仮差押え・仮処分、承認です(民法147条)。
請求には裁判上の請求と裁判外の請求(催告)があり、裁判外の請求については特殊で時効完成の猶予というイメージで捉えた方がよろしいです。
一番多いのは承認です。少額でも返済したら時効は中断します。

 

時効中断事由には様々な議論があるのですが、今回は差押えについてお話しします。

 

差押えがなされる場合には、判決あるいは支払督促等の債務名義によりなされますが(基本的には時効が判決等から10年に伸びている)、判決から10年経っており、その間に預貯金等の差押えがなされたが結局取下げられている、差押えからは時効期間が経過していないが、判決から10年経過していることをもって消滅時効の援用が認められるか、という事例に接したことがあります。

 

民法154条は、差押えが取下げらたら時効中断の効力は始めからなかったことになると読めます。

 

では、取り下げられた場合必ず時効中断の効力が及ばないのでしょうか。

 

ここは実は争いがあるのです。100%の確度をもって法律的な判断をくだせません。

 

所謂空振り、預金の差押えでは差し押さえる預金がなかった場合ですね。そのような場合には、時効中断の効力がなくならないと言うような古い裁判所の判断もあります。
債権者は権利の上に眠っていないということで、その判断を支持する見解もあります。

 

一方で、動産執行のケースですが、売却しても費用が支弁できない状態で執行官から取下げを勧められて取下げをした場合であっても、取り下げた以上は時効中断の効力は失うとした割合新しい裁判所の判断もあります。
最終的には債権者が自らの意思で取り下げたという事実を重視したものでしょう。

 

具体的な事例判断が集積されておらず、かつ明確な最高裁判例もないため、なかなか判断が難しい問題です。

 

調べても、この問題は本にもほとんど書いていないのですね。書きずらいのでしょう。

 

民法の条文からすれば、後者が正しいような気もします。
事例によって違うと法的安定性も損ないますね。

 

ということで、差押えの取下げがあった場合には、債務者からすれば時効中断の効力がなくなったとの主張をすることになります。
しかし、債権者からは時効中断があるという主張がなされてしまいます。
このような状況であると、裁判でないと決着が付かないですね。困ります。

 

なお、私が接した事例では預金に数十円は口座にありました。空振りの場合に時効中断の効力がなくならないという見解を前提としたとしても、全くの空振りではなく取り下げているはずですですから、時効中断の効力がなくなったと言うことも十分理由があります。
相手は強硬な態度を示すことで有名な業者でしたが、法的に争いがあるということで、和解で解決することになりました。

 

債務整理(任意整理、民事再生、自己破産等)のサポートはなかた法律事務所にご用命を。

 

広島の弁護士 仲田 誠一

なかた法律事務所

広島市中区上八丁堀5-27-602

https://www.nakata-law.com/

 

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自己破産か個人再生かの選択基準 [借金問題]

広島県広島市の弁護士仲田誠一です。

 

今回の借金問題コラムは、自己破産と個人再生の選択基準についてお話しします。

債務整理のご相談の際、自己破産にすべきか個人再生にすべきかと悩まれてお越しになる方が多いです。

 

自己破産の要件は支払不能、個人再生の要件は支払不能のおそれです。
それらの区別は微妙なところですので、どちらでも使えるという場合が多いのです。

かつ、自己破産が個人再生と比べてペナルティがあるかというとそうでもありません。
双方とも経済的更生を目的とした制度ですので、自己破産を選択したら今後の生活に支障が出てくるということは基本的にはないのです。
違うのは、自己破産では職業制限があり、一定の職業、資格に一定期間(通常は手続中)就けないことでしょうか。

 

まず、単純に具体的事情を捨象して経済的合理性だけを考えると、自己破産の方によりメリットがありますね。
自己破産は全ての債務について免責を受けられるに対し、個人再生は計画弁済額の支払いをしないといけません。

 

【破産をしたくないと思われる場合】

自己破産を選択できない思いのある方もいらっしゃいます。

住宅ローンを支払いながら家を維持したいという方

この財産はどうしても処分したくない財産があるという方

自己破産は潔しとせず少しでも返済したいという方

等の方は、個人再生を検討するわけです。

 

住宅ローンを支払いながら家を維持したいという方は、個人再生において住宅資金特別条項(住宅ローン特則)を利用する方法しかありません。
ただし、借入の方法や担保の付き方によって個人再生における住宅資金特別条項(住宅ローン特則)を使えない場合もありますのでご注意を。
謄本、契約書、返済予定表、固定資産税納付通知書などを相談時に持っていって、本当に利用できるのかどうか検討しなければいけません。

 

財産をどうしても処分したくないという方は、個人再生を利用しなければその財産を残せないのかということを考えます。
管財事件になっても財産自体は残せるというケースもあります。
個人再生においては残す財産の価値が清算価値に計上されることになりますので、場合によっては弁済額が上がります。
弁済の見込みが立つのか検討しなければいけません。

 

なお、所有権留保付きの車を残したい場合には、個人再生、自己破産は関係なく、別途その方法を考えないといけません。
親族に適正価格で買い取ってもらう方法がスタンダードでしょうか。

 

自己破産は潔しとせず少しでも返済したいという方は、前述のように、ペナルティはほぼ変わらないという点をお考えいただきます。

 

このように、自己破産か個人再生かの選択にあたっては、いろいろ考えなければなりません。

しかし、いろいろ考えてしまうとなかなか決まりません。


依頼者様の思いについて優先順位を付けていただかないといけません。優先する目的が決まれば、選択する手続も決まります。

 

【個人再生の方が無難な方】

自己破産だと管財事件になるリスクが高い場合は、費用の準備の問題で個人再生にする場合もありますね。免責不許可になりそうなケースではなおさらです。
個人再生の方が無難に進められるという場合です。

 

個人再生には免責不許可事由がありません。
自己破産の場合には免責不許可事由の程度が思い場合には管財事件となり裁判所に数十万円の予納金を納めないといけません。
したがって、免責不許可事由の程度が大きい場合には個人再生も検討することになります。

 

ただし、個人再生の場合でも、破産の場合の否認対象行為があれば否認対象分を清算価値に計上するのがルールとなっており、場合によっては計画弁済額が多額になります。
かつ、個人再生委員が選任されるケースもありますのでご注意を。
この場合、結局は多額の予納金が必要になります。

 

【自己破産を検討が必要な方】

個人再生は、継続・安定した収入がないと使えませんし、必要弁済額を返済できる見込みがないといけません。

そのような状況にない方は自己破産を選択せざるを得ないですね。

 

生活保護を受給している方も自己破産をするべきということになります。役所でもそう指導されるでしょう。

 

債権者数が少ない、あるいは1つの債権者が過半数の債権を持っている等の場合、再生計画に反対がなされた場合に小規模個人再生が認可されないリスクも考えないといけません。
小規模個人再生は、債権者の頭数あるいは債権額の過半数の反対があれば認可されません。

 

債権者の反対があっても大丈夫な(債権者の同意を必要としない)個人再生である給与所得者等個人再生もあります。
給与所得者等再生は、要件が厳しくかつ一般的に計画弁済額が小規模個人再生よりも大きくなりますので、小規模個人再生を利用するのが一般的です。

ただ、上述のような危ないときには、給与所得者等個人再生をはじめから選択する、小規模個人再生を申立て不認可になれば自己破産、給与所得者等再生を改めて申し立てるということも検討しなければなりません。
実際に小規模個人再生が認可されなかったため自己破産を申し立てて免責を得たケースもあります。

 

自己破産か個人再生かを選ぶのは、個々の相談者の状況を踏まえて様々なことを考えなければなりません。お早めに専門家にご相談を。
なおご相談先は、破産管財人、個人再生委員の経験が豊富な弁護士をお薦めします。手続や考え方を表と裏から熟知していますからね。

 

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諸費用ローンがある場合の住宅資金特別条項付き個人再生 【借金問題]

広島県広島市の弁護士仲田誠一です。

 

債務整理のうちの個人再生のお話です。

 

家を残したい方が債務整理(法的整理)をする場合は、自己破産でなく、個人再生を選択し、かつ住宅ローン特則(住宅資金特別条項)を利用しますね。

そうすれば、住宅ローンを返済し続けながら、他の債務を圧縮して返済する形で債務整理ができるわけです。よくあるケースになります。

 

実は、住宅資金特別条項は、自宅不動産に住宅ローン以外の担保権(典型的なものが消費者金融の不動産担保ローン)が付いていたら利用できません。
債権者間で不公平になるからです。
債権者間で不公平が生じるような場合には住宅資金特別条項が使えないルールが定められています。これもその1つです。


不動産担保まで差し入れてお金を借りる状態であれば、将来債務整理をする可能性が十分あるとも言えます。
できれば、自宅不動産に他の担保を付けてお金を借りることは避けたいですね。

 

では、住宅ローンと同時に諸費用ローンを借りて、双方とも自宅不動産に抵当権が付いている場合はどうなのでしょうか。珍しい話ではありません。

やはり、住宅ローン以外の担保権が付いているとうことで住宅資金特別条項は適用できないのでしょうか?

 

実は、諸費用ローンは原則として住宅資金借入れとは見てくれません。
 

しかし、ここからが大事なのですが、運用上、諸費用ローンを住宅資金借入と見てくれて住宅資金特別条項(住宅ローン特則)が使えるケースがあります。

 

理屈上は、諸費用ローンが、住宅の建設もしくは購入に密接に関わる資金であり、諸費用ローンの額が住宅資金に比べて僅少な場合に、諸費用ローンを住宅資金貸付と扱ってくれる傾向です。

 

具体的には、金額の例として、住宅ローン1900万円と諸費用ローン180万円、住宅ローン2600万円と諸費用ローン250万円が挙げられています。

私が実際に扱った例では、住宅ローン1800万円と諸費用ローン180万円でした。

気付きましたか?諸費用ローンは通常住宅ローンの1割程度なのですね。
銀行が諸費用は大体
1割ぐらいかかるだろうと考えているのでしょう。


通常の銀行の諸費用ローンであれば、金額の面は基本的にクリアできます。

 

後は使い途ですね。

諸費用ローンの契約書に、住宅の建設もしくは購入に密接に関わる
登記費用、仲介手数料、税金、保険料等の使途が明確に記載されている場合はそれで説明できるでしょう。
契約書にそのような記載がない場合には、領収書等により使い途を説明をする必要があります。

勿論、諸費用ローンで借りたお金を別の物に使う例はあまりないでしょう。
ということは、諸費用ローンがあっても使い途をきちんと説明さえすれば住宅資金特別条項が使える可能性が高いとも言い得ます。

 
ただし、個人再生手続について注意をしていただくことがあります。
 

諸費用ローンがある場合には、個人再生委員の選任がなされる可能性が相応にあるということです。
諸費用ローンを住宅資金貸付と認めることは例外的な扱いなので、念のため個人再生委員の意見を聞いて裁判所が判断するということですかね。
なお、個人再生委員が選任される場合の裁判所への予納金は20万円+αがスタンダードと言えるでしょう。

この点も頭に入れてくださいね。

まとめると、諸費用ローンの担保が付いていても個人再生における住宅資金特別条項(住宅ローン特則)が利用できる可能性は高い、しかし個人再生委員の選任の可能性も相応にあるということです。

 

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中小企業の債権回収対策のエッセンス2 [企業法務]

広島県広島市の弁護士仲田誠一です。

 

前回、債権回収トラブルの要因の大きな2つのうちの1つは契約内容の意識にズレがある場合である、契約内容の疑義をなくすことが実は債権回収対策の1つの柱である、ということをお話いたしました。

 

契約内容に疑義がなくても発生する債権回収のトラブルの要因(債権回収トラブル発生のもう一つの要因)は、勿論、相手に支払能力がないという場合ですね。
弁護士では手元不如意の抗弁なんて言ったりします。

 

中小企業の場合、取引先の財産や業況の把握が不十分である例、あるいは取引先事に与信枠(売掛金の枠)を設定しないで、あるいは意識もしないで、ご商売をされている例があります。
なかなか手が回らないところかもしれません。

 

しかし、売掛金があるということは取引先と債権債務関係に立っているということです。
お金を貸しているということと理屈上は同じです。

 

したがって、御社も取引先に対して「貸している意識」を持たないといけません。

 

取引先へは頻繁に訪問しないといけませんね。情報収集を欠かしてはいけません。

会社の雰囲気だけでも順調な会社と危ない会社は全く違います。取引先の情報が一番の保全だと思ってください。

在庫の管理状況や、荷物の搬出入状況も、日ごろから何気なくかつ意識して見ておかないといけません。

取引先が説明している状況と合っているでしょうか?在庫が不自然に溜まっているあるいは在庫がない、ないし荷物の搬出がほとんどないということはないでしょうか。
従業員の士気など会社を見ていてわかることもありますね。


特別なことをする必要はありませんが、日ごろの意識が大切です。
情報察知能力ですね。

 

売掛金の限度額(与信枠)も設定し、急激な取引増加はリスクの増大の兆候であることにも気を付けないといけません。
もしかしたら、他の取引先から断られて御社の取引量が増えているかもしれません。

 

実際に取引先の危険を察知した、トラブルの兆候が出てきたらどうしたらいいでしょうか。

 

残念ながら、契約内容にズレがあるケースではそれを解消するしかありません。
訴訟での解決等が必要な場合も多く、その解決は長期化します。
契約トラブル防止のお話でも説明しましたが、契約トラブルは怖いのです。

 

支払い能力に問題がある場合には、初動対応が大事です。

 

支払いが滞るまで至らない場合は、速やかにその取引先の与信枠を引き下げないといけません。
同業他社よりも先に逃げるということです。

 

支払いが滞りそうである場合には、まずは、契約書類等のチェックをし、不備があれば補完してもらいます。
契約に不備があると後で困りますので。
残高確認書などを貰うこともいいでしょう。

 

同時に、訪問・督促を頻繁に行い、「うるさい取引先」になることです。

うるさい先の順に頑張って支払うというのはよくあることです。

 

残念ながら取引先が手を挙げる(弁護士に依頼する、破産申立を考える)段階になるとどうしようもありません。

まだ、取引先が協力的なうちに、保証、相殺、商品引き揚げ、代物弁済、債権譲渡等の合意を取り付けて債権保全・回収を図らなければなりません。

同意なく商品の引き揚げや備品等の持ち出し等の取付行為がなされることがあります。
後に破産管財人に追及されることもありますし、刑事の問題にもなり得ますのでご注意を。

 

勿論、取引先の協力が取り付けられない場合には、法的措置をとるしかありませんね。

ただ、法的措置は、支払能力がない相手に対しては、時間がかかり実効性にも問題が生じます(弁護士が入って自己破産の準備をされてしまうと、基本的には何もできないと思ってください)。

 

債権回収対策は、トラブル発生を防止するためのルール・仕組みづくりが大切、日ごろはアンテナを張って情報察知能力を高める、一旦トラブルが発生したら初動対応に尽きる、ということだと思います。

 

顧問契約、契約トラブル、企業法務サポートのご用命は是非なかた法律事務所に。

 

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中小企業の債権回収対策のエッセンス1 [企業法務]

広島県広島市の弁護士仲田誠一です。

 

企業法務コラムとして、中小企業の債権回収対策のエッセンスその1をお話しします。

法律的な側面だけではなく、元銀行員の経験からのお話も含みます。

 

皆さん、債権回収を本当に考えてご商売をされているでしょうか?

 

債権回収トラブルの要因の大きな2つのうちのまず1つは、契約内容の意識にズレがある場合です。

 

契約内容どおりのことをしてもらっていない、要求される金額を約束していない、瑕疵があるからお金を払いたくない等の理由で、相手が御社に支払う必要がないと思っている場合ですね。
これがけっこう多いです。
弁護士として接するメインの案件はこのような場合です。

 
原因は契約内容(約束事)の全てを何らかの書面、FAX、メールなどできちんと確認をしていないことです。
 

中小企業では、基本的な契約書類すら不備があり、口約束でいいと思っている場合も珍しくありません。
しかし、契約書類に不備があり、両者の意識にずれがあると、取引相手の支払い拒否につながります。

この点は、前に契約トラブルの防止のエッセンスとして詳しくお話ししました。

 

「言った言わない。」の争いでは話が前に進みません。
契約内容の意識のズレが原因のトラブルは訴訟での解決によらなければならないことも多く、解決は長期化します。

また、契約内容への意識のズレは、御社が契約どおりの物を納めたつもりでも、先方は契約と違う物が納められたと認識して、債務不履行や瑕疵の損害賠償の主張にもつながってしまいます。

 

まずは、取引交渉過程及び取引履行過程の記録化・見える化で、契約内容に疑義がないようにしておくことが債権回収対策の1つの柱です。
手間がかかりそうかと思われることがありますが、そんなことはありません。
できるだけ省力化した形でルール化、ルーティン化すれば、対策にさほどコストはかからないはずです。

これをしているかしていないかは、トラブルの発生防止に大事なことはもちろん、仮に裁判になったときには有力な証拠になります。「この点さえ証拠があれば勝てるのに・・・。」と思うことは珍しくありません。

 

最初の契約内容はもちろんですが、追加や変更があった際のトラブルも非常に多いです。
追加や変更があったら、必ず確認結果を残し、最終的な契約内容に疑義が生じないようにしないといけません。

契約内容に疑義がない限り、かつ御社が疑義のない契約内容を履行している限り、債権回収トラブルは基本的に発生しません。

 

契約内容に疑義がなくても発生する債権回収のトラブルの要因(債権回収トラブル発生のもう一つの要因)は、勿論、相手に支払能力がないという場合ですね。
弁護士では手元不如意の抗弁なんて言ったりします。

 

この点に関しては、またお話させていただきます。

 

今回は、契約内容の疑義をなくすことが実は債権回収対策の1つの柱であることをお話いたしました。
当たり前のようなことですが、実はできていないケースが多いのです。
日頃の意識が大切です。

 

顧問契約、契約トラブル、企業法務サポートのご用命は是非なかた法律事務所に。

 

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個人再生委員の仕事とは [借金問題]

広島県広島市の弁護士仲田誠一です。

 

最近、自己破産における破産管財人だけではなく、個人再生における個人再生委員を受けるようになりました。

そこで、今回の借金問題コラムは、個人再生委員の仕事などを紹介いたします。

本人申立てや司法書士さんの案件で申立人本人が手続をよく理解していない等の問題がある場合や、弁護士代理案件でも開始要件や清算価値に疑義が生じ得る案件などに個人再生委員が選任されているようです。
別除権協定を締結する場合には個人再生委員が原則として選任されます。

 

個人再生委員の仕事とはなんでしょうか?

 

1 再生債務者の財産及び収入状況の調査

2 再生債権につき適法な評価申立てがあった際の裁判所の補助

3 再生債務者が適正な再生計画案を作成するために必要な勧告の実施

とされています。

まあ1と2がメインですね。

 

個人再生委員は、破産管財人と違って、財産の管理処分権を有しません。
手続全般に関してサポート・監督をするといいったイメージでしょうか。

 

まず、意見書(開始要件)の提出期限が選任後3週間後ほどとタイトなんです。
だから色々な資料の提出等を急いでもらいます。
ここで、開始要件を充足しないと判断できる場合には、取り下げを事実上勧奨したりもします(取り下げてもらわないと棄却相当の意見書を出すことになります)。

 

調査の目的は、

将来において継続的または反復して収入を得る見込みがあるか

破産手続開始の原因となる事実の生ずるおそれがあるか

再生計画案の作成もしくは可決の見込みまたは認可の見込みがないことが明らかではないか(財産状況、履行可能性を見ます)

を見るためです。

 

財産状況では、清算価値保障原則違反となる見込みの有無があるかどうか見て、是正を勧告しないといけません。

この点で、破産事件における否認対象行為については適正に清算価値に計上してもらわないといけないことにご注意ください。
免責不許可事由がある場合に自己破産ではなく個人再生を選ぶ方も多いと思います。
否認対象行為は個人再生においても問題視され、清算価値の計上が求められ場合によっては最低弁済額が大きくなるという形で影響してきます。

 

履行可能性では、継続的に家計収支表を提出してもらう、定期的な積立用口座の確認も必要です。
 

要するに、個人再生委員は、開始決定前の意見書の段階ですべてのことを調査しないといけないということですね。
やはり時間的にタイトです。

 

開始決定後の仕事は、前述の仕事を継続するということです。
家計収支表の提出と試験積立金口座の継続的な提出もお願いします。
その上で、再生計画案及び弁済計画表の作成指導をします。

 

個人再生を申し立てる方で、弁護士が代理人になりかつ特に問題がないという場合は別として、そうでない方は個人再生委員が選任される可能性があることを知っておいてください。
そして、個人再生委員は上述のような仕事をしておりますので、ご参考にしてください。

 

なお、個人再生委員が選任される場合に裁判所に納める予納金は、20万円がスタンダードでしょうか。
勿論ケースによってもう少し多いときもあります。

 

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離婚した夫の借金で子供に迷惑がかからないか [離婚問題]

広島県広島市の弁護士仲田誠一です。

 

離婚後の元夫の借金で自分が引き取った子どもに迷惑が掛からないかというご相談もあります。
そこで、今回の離婚問題コラムは、その点についてお話しします。

 

借金は個人単位で帰属します。
元夫とお子様は法人格が別ですので、お子様が元夫の連帯保証人になっていない限り、元夫の借金でお子様が困ることはないのが原則です。

 

ただし、父母が離婚をしても親権者でなくなった元夫とお子さんの親子関係はなくなりません。
元夫の相続の際には、お子さんは相続人となります。

元夫が借金を負っている場合、相続人としてその借金を承継することになります。

 

そのような場合には(借金過多の場合には)、お子様が相続放棄をして債務を引き継がないようにしないといけません。

 

相続放棄は「3か月以内に」という期間制限がありますね。

熟慮期間といいます。


元夫が亡くなっても連絡が来るかどうかわからないというご心配もあるようです。それは大丈夫です。
 

仮に元夫と音信不通になっており、亡くなってからずいぶん経ってからお子様(まだ未成年の場合は法定代理人である母親)が相続発生の事実を知ったのであれば、その時から3か月以内に相続放棄をすればいいのです。
急に債権者から督促状が来て亡くなった事を初めて知るケースも珍しくありません。
その場合には督促状が届いた日から3か月以内に相続放棄をすればいいです。

 

また、元夫が亡くなったこと自体は知っていたが、音信不通であったため、元夫に財産も資産もないと思って放置していたところ、後から債権者からの督促などで相続債務があることを初めて知った場合もあるでしょう。
この場合も、実際に元夫の債務があることを知ってから(督促状が届いてから)3か月以内に相続放棄をすれば大丈夫です。

 

このように、離婚後の他方配偶者の借金は、他方配偶者が生きている間はお子様に影響を及ぼさない、亡くなった場合には相続放棄をしないと引き継いでしまう、ということになります。

もし督促状が届いたら弁護士に相談されてください。
イレギュラーな相続放棄なので弁護士を代理人にした方がスムーズかもしれません。
また、債権者対応も一緒に弁護士に依頼できると楽ですね。

 

離婚、婚姻費用、養育費、財産分与、慰謝料請求等、離婚問題のサポートはなかた法律事務所にご用命を。

 

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同居中の生活費を請求できるか [離婚問題]

広島県広島市の弁護士仲田誠一です。

今回の離婚問題コラムは、同居中の生活費のお話です。

 

生活費を渡してくれないのだけれども同居中は婚姻費用が請求できないのか?
という質問を受けることがあります。

同居中であっても生活費を渡してもらえないという状態は生じますから請求はできます。
婚姻費用の支払いを求めて婚姻費用分担調停・審判がなされることになります。

 

ただ、請求金額が難しいですね。
調停申立てには相当の額の支払いを求める形でいいのですが。

別居しているケースでは、所謂算定表がある程度の目安となります。
後は、個別の事情でいくら増額・減額できるかの話になります。

しかし、同居だとそうはいかないのですね。


家賃がかからないという点で算定表上の基になっている計算式の住居関係費を控除すればいいのかというとそう単純ではありません。
住宅ローンを組んでいる場合もあります。
離婚の財産分与において夫婦共有財産と見られるならばローンも共同負担すべきとも言えます(実務上はなかなか認められませんが)。


また、電気、ガス、水道、電話等の月々かかる費用が共通の費用となっていることもほとんどです。


お子さんがいらっしゃる場合には、実際にはどちらが扶養しているのか不明確ということも問題になりますね(子供も含めた婚姻費用を請求するのかどうか)。

他にも、整理しないといけない事柄が多岐にわたります。

一緒に住んでいますからね。完全に分けずらいところがあります。

 

実際にいくらが相当額なのかは簡単に答えが出てきません。
具体的な事情を基にケースバイケースで判断されることになります。

 

なお、私が最近経験した事例では、調停では決まらずに審判まで行きました。
算定表を一応のベースにして、共通の費用、相手方が負担すべき費用の全ての項目を挙げて、適正額を主張しました。
かつ、実際の生活状況について家計簿を提出する等して説明をしました。

結局、総合考慮により(個々の問題にひとつひとつ判断をせずに)、ざっくり金額が決まりました。
理屈では明確に算定できないのですかね。

 

このように、同居でも婚姻費用は請求できます。

しかし、その場合の婚姻費用額は簡単に答えが出せるものではない。
というお話でした。

なお、同居中に婚姻費用の審判をうけるという事実は、家庭内別居の証拠の1つになりますね。
裁判所はなかなか家庭内別居を認めてくれないところ、認めてくれる一つの要素となります。

 

離婚、婚姻費用、養育費、財産分与、慰謝料請求等、離婚問題のサポートはなかた法律事務所にご用命を。

 

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交通事故を弁護士に相談するタイミング [交通事故]

広島県広島市の弁護士仲田誠一です。
 

交通事故に遭われたとき、いつのタイミングで弁護士に相談すべきでしょうか。

 

答えは「直ちに」です。

 

勿論、すぐに依頼をする必要はないのです。
大事なのは、今後の流れや気を付けないといけない事を予め確認することです。

 

知識もないまま相手方保険会社の説明どおりしていると思わぬ落とし穴にはまります。


タクシー代を支払う、治療費を支払うということをしてもらっていても、後でタクシー代は慰謝料の前払いだと主張してくる、とりあえず治療費を払っていたが治療期間は認めないといったことが実際にありました。
ひどい話だと思いますが、現実です。

 

素人目に見ると、保険会社はある程度金額を出して示談した方が会社の全体的なコストとしては安いだろうと思うのですが。

しかし、残念ながら、ケースによっては出すお金をできるだけ少なくしようとして解決を長引かせているのではないかと思われるケースも珍しくありません。
治療費支払の対応を打ち切るタイミングもだんだん早くなっているような気がします。
保険会社の担当者の資質にもよると感じています。

 

交通事故の解決には医者とのコミュニケーションも大事です。

保険会社と治療や後遺症に関して争いになることは珍しくありません。
治療の打ち切り(症状固定時期)の争い、後遺障害診断の争いについては、医師の協力が必須です。

保険会社は治療費支払の打ち切りをしようと医者に確認します。
症状固定の言質を取ろうとします。
医師の回答が打ち切り判断に影響するのですね。

後遺症もなかなか認めてくれません。
医師にきちんと後遺障害診断書を作成してもらうことは勿論、自己との因果関係や後遺障害の機序などを意見書にて説明してもらわないといけないことがあります。

早期に医師とのコミュニケーションをとって、いざというときには協力を得やすいようにすることも大事です。

協力してくれそうもない医師であればできるだけ早く変えた方がいいでしょう。

良くしてくれるお医者さんもいれば、何を頼んでも拒否するお医者さんもいます。

いざ争いが顕在化したときに、医師の協力を得られるかどうかは弁護士には重大な関心事です。


ほかにも交通事故に遭ったら考えないといけないことはたくさんあります。


後から考えると手遅れになるケースも多いので、早めに弁護士に相談をしておくということですね。

 

交通事故のご相談はなかた法律事務所にご相談を。

 

広島の弁護士 仲田 誠一

なかた法律事務所

広島市中区上八丁堀5-27-602

 

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契約トラブル防止のエッセンス2 [企業法務]

広島県広島市の弁護士仲田誠一です。

今回の企業法務コラムは、前回の続きです。契約トラブル防止のエッセンス2のお話しです。

前回、
経営活動は契約行為の積み重ねでありほとんどのトラブルは契約内容の解釈に帰趨するということ、
トラブルが発生しないように防止をすることが大事であるというようなこと、
をお話ししましたと思います。

では、具体的にはどうすればいいのでしょうか。
先日顧問先企業様の役職員様の集まりで当職がお話しする機会がありました。

その内容をかいつまんでご指摘すると、

1企業のリスク管理は分離とチェック、そのための見える化、記録化が基本です。
ただし、大仰な仕組みを作り必要はありません。身の丈に合ったコストがかからないルーティン化できる仕組みを作るのです。

2売掛の信用リスク管理の仕組み(枠設定、信用調査)を作る。

といったことが全般的なお話です。

契約については、

契約過程のやりとりをすべて記録に残す、

契約書類だけで見て、受注から債権回収までのあらゆる場面をきちんと想定できるかチェックする(解釈が必要な合意は意味がない)、

トラブルが多い追加や変更の場面では、特に追加・変更内容及びそれに応じた代金額等の変更の有無等と記録に残す、

記録方法は、何でもいいが、FAX・メールで相手の確認を取ることが重要です、

といったところがポイントでしょうか。

文章にすると抽象的になります。

気の利いた顧問弁護士さんなどがいらっしゃったら、一度社内で話をしてもらったらどうでしょうか。

一度、契約過程を弁護士にチェックしてもらえばより安心です。
最終的にはトラブルは法的に解決されます。それを担うのは弁護士です。
法的な観点から、仕組みやルールを作ってもらうことが大事です。
費用をかけて専門家に考えてもらうのもいいでしょう。

大事なのは、このようなことを現場で皆が気を付け、担当者が1人で決めないということですね。
そんなに面倒なことではないはずです。

誰かが気付く体制さえ作れば、契約トラブルはある程度防止できます。
トラブルは、契約内容の意識のずれから生じることがほとんどですから。

裁判をしていると、ここの記録さえ残っていれば勝てるのに!と残念なケースが多くあります。

皆が気付くことができる、当たり前のようにできる仕組み、ルールが必要です。

なお、売掛の信用リスクの管理にも契約書、契約~竣工過程の記録の整備が大事です。
明確に合意内容を説明できるケースでは、不払いはなかなか生じません。

勿論、個別顧客に対する信用枠の設定、定期的な見直しも必須です。

信用枠を増額するにはそれ相応のチェックが必要ですね。ババを掴まないように気を付けないといけません。

加えて、できるだけ担当者が企業を訪問して日頃のチェックを行うことも大切です。
社長が景気のいいこと言っていても、商品搬入のトラックがあまり来ない、在庫が積み重なっている、従業員の士気が低い等気付くことがあります。
会社の様子を見ると調子がいいか悪いかはわかりますね。

 

顧問契約、契約トラブル、企業法務サポートのご用命は是非なかた法律事務所に。

 

広島の弁護士 仲田 誠一

なかた法律事務所

広島市中区上八丁堀5-27-602

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