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コラム 仲田 誠一

売れない不動産の破産や再生での扱い【借金問題】

広島の弁護士による自己破産個人再生解説です。
今回は、一般に売却することが困難な不動産が、自己破産個人再生などでどのような扱いを受けるのか説明します。なお、自己破産個人再生などの倒産手続は、各裁判所により扱いが多少異なります。私は広島の「倒産弁護士」(破産など倒産手続に精通し業務の柱とする弁護士)です。そのため、裁判所によって異なる点は広島地方裁判所の扱いを前提に説明しております。

目次

不動産の扱い(自己破産
不動産の扱い(個人再生
売れない不動産とは
売れない不動産はどうなるか(自己破産
売れない不動産はどうなるか(個人再生
まとめ

自己破産における不動産の扱いの基本

1.不動産がある場合は同時廃止管財事件

不動産があれば原則として管財事件となります。共有不動産の持分権しかない場合も同じです。
不動産がある場合の予納金は30万円が標準となります。

不動産があっても例外として同時廃止事件となるケースもあります。
同時廃止基準(同時廃止管財事件を振り分ける基準で各裁判所が定めています。)によれば次のとおりです。

①被担保債権の残債が固定資産税評価額の概ね1.5倍以上又は業者査定価格の概ね1.3倍以上であるとき。

②不動産の性状及び立地条件に照らして明らかに売却可能性が乏しいと認められるとき。

①は、いわゆる「オーバーローン」の場合です。不動産の価値が残っていないことが明らかなケースでは同時廃止になるということです。

②が、売れない不動産ということになります。管財人に売却を試みてもらう必要はないということですね。
ただし、②は簡単には認めらません。田舎の不動産でも、共有持分権だけでも、破産管財人に売却可能性を検討してもらうため管財事件になる傾向があります。
地目では、山林や農地であれば可能性があります。宅地であればハードルは高いです。
価値が小さいと客観的に認められる、正確な位置すらわからない、売買されるような地域ではない、共有持分しかない等の事情もありますね。
裁判所は総合的に判断をします。当職の経験に基づくと、固定資産税評価が僅少で、路線価がついておらず倍率地域であるなど、価値がほとんどないことが客観的に明らかであることが疎明されているかを重視するようです。

なお、不動産を直前に売却して不動産を持っていない状態にすれば必ず同時廃止になるのかというと、そうではありません。確かに不動産があるという理由では管財事件とはなりません。しかし、売買の妥当性を検証させるために管財事件となることは珍しくありません(不動産の売買は弁護士の下で行ってください)。

2.管財事件での不動産の扱いの基本

管財事件では、破産開始決定と同時に破産管財人が選任されます。
開始決定以後は、財団(開始決定時にある自由財産以外の財産と思ってください。)の管理処分権は破産管財人に移行します。

不動産は自由財産ではありません。そのため、破産管財人は、不動産を処分しようとします。不動産が担保に入っている場合でも、担保権者が敢えて競売による処分を希望しない限り、管財人が処分をすることが基本です。

破産管財人が最終的に処分ができなかった不動産は、破産管財人が財団から放棄します。放棄された不動産は破産者の手元に戻ることになります(担保がついていれば競売あるいは任意売却により処理されます)。

個人再生における不動産の扱いの基本

1.個人再生における不動産の扱いの基本

個人再生における不動産の扱いは破産と全く異なります。個人再生では財産が処分されることはありません。
不動産は、財産のひとつとして、清算価値保障原則(破産をした場合の財産=清算価値以上の額を弁済するというルール。)とのかかわりで問題となります。

個人再生での清算価値の計算において、破産における自由財産拡張対象財産は、99万円まで控除できます。破産と平仄を合わせるためです。
不動産は自由財産拡張対象財産ではありません。不動産の価値がそのまま清算価値に加算されます。
最低弁済額が大きくなる可能性があります。弁済可能な再生計画案を作成する見込みがなくなり、個人再生を断念するケースもあります。

なお、住宅ローン付の自宅不動産がある場合、自宅を維持するために住宅資金特別条項を利用した個人再生が選択されることが多いです。その場合も、不動産価値が住宅ローンよりも大きければ、価値が超過する分(余剰価値)が清算価値に加算されます。

2.個人再生委員が選任されるか

個人再生において個人再生委員が選任されることがあります。

具体的な選任基準はありません。当職が経験した中では、破産でいう否認対象行為が目立つケース、住宅資金特別条項適用の判断が難しいケース、履行可能性その他要件を満たすか判断が難しいケース、債務が多いケース、弁護士が代理しておらず本人の手続理解が乏しいケースなどで個人再生委員が選任されます。
個人再生委員が選任された場合の追加予納金は20万円が標準です。

清算価値保障原則との関係で申立人側は不動産価値を小さく主張する傾向があります。
不動産価値の評価が難しいケースや微妙なケースでは、個人再生委員が選任される可能性が高いでしょう。

売れない不動産とは

1.売却できる不動産

不動産(特に宅地)は基本的に売却が可能と見られます。

共有不動産はどうでしょうか。他の共有者が購入するかもしれませんし、共有持分だけでも購入する業者は存在します。共有であることだけで売却ができないとは見られません。
市街化調整区域の不動産でも売却は可能です。
特殊な不動産(農地、元旅館など)でも売れないとは限りません。

なお、売却できる不動産であれば、任意売却を試みてから破産を申し立てる選択肢も出てきますね。売却代金を有用の資(破産費用、どうしても必要な生活費、引越代等)に充てることは許されます。親族に買い取ってもらうこともできますね。勿論、直前の不動産売買は弁護士の関与の下で問題なく進めなければなりません。

2.売れない不動産

上述のとおり不動産は基本的には売却可能と見られます。客観的・抽象的に不動産の売却可能性がないと説明することは意外に難しいです。

ただ、実際に売れない不動産は珍しくありません。
共有持分権は、他の共有者か特別な不動産業者しか購入しません。
農地は親族、小作人、農業委員会からの紹介者でないと売れないですね。元旅館な元ガソリンスタンドなど特殊な物件はタイミングよくニーズが存在しないと売買が長期化します。
特殊な事情がなくても、買取りニーズがない地域で値段を下げても買い手が付かないということも珍しくありません。
具体的に動いてみて売れないという不動産はけっこうあります。

売れない不動産も倒産手続では財産として見られます。どのように取り扱われるかを見ていきましょう。

破産手続で売れない不動産はどうなるか

1.同時廃止事件での扱い

売れない不動産であると申立時に認められるケースでは、同時廃止基準により、同時廃止事件になります。
もちろん、ほかに管財事件になる理由があれば別ですが。

同時廃止とは、簡単にいうと管財人報酬等手続費用を賄える財産がないから破産手続開始決定と破産手続の廃止決定を同時にする手続です。免責手続のみ残り、財産整理手続(破産管財人により管理処分手続)は省略されるわけです。
そのため、同時廃止手続では、不動産は処分されず、申立人所有のまま変わりません。

もちろん、不動産に担保がついている場合には、破産手続外で処理がなされます。担保権者による不動産担保の実行(競売です。)がなされることになります。担保権者から競売の前に任意売却の協力を乞われることもあります。

2.破産管財人の処理の目安

管財事件では、破産管財人が不動産を不動者業者を通じて売り出すのが基本です。
勿論、物件に合わせて売り方も変えます。賃借人、隣地所有者などと直接交渉することもありますし、入札により売買することもありました。

共有物件の場合は、ほぼ例外なく他の共有者(主に親族でしょう。)に買取りを打診します。
予め他の共有者に話をしておいた方がいいと思われます。
勿論、共有持分権なので売買価格は融通がききます。

破産管財人が、様々な方法で売却を試みて、それでも売却が見込めないときは、財団からの放棄を検討します。不動産が財団から放棄されれば破産者の手元に残ります。
放棄の際には、破産者から任意でいくらかの金銭を財団に組み入れてもらうこともあります。

なお、破産管財人は、年末に向けて放棄を検討する傾向にあります。固定資産税・都市計画税は1月1日の所有者名義人に賦課されるため、翌年度の税金を財団で税金を負担しないよう12月31日までの放棄を考えます。ちなみに、放棄対象が自動車であれば4月1日になります。

個人再生で売れない不動産はどうなるか

1.清算価値の算出

個人再生手続では、不動産の価値が清算価値算出の過程で問題となります(清算価値によって最低弁済額が変わりえます)。
客観的な資料を基に不動産価値を裁判所に説明します。基本的には査定書を要求されます(書面で査定をくれない業者さんも多くて査定書の取得はなかなか面倒なのですが)。

裁判所は、不動産の価値がゼロとはなかなか認めてくれません。価値がない、あるいは小さいと主張する申立人側は、それなりの資料を提出して裁判所を説得しなければいけません。価値評価に問題があるとされれば個人再生委員が選任される可能性があることは上述しました。

2.個人再生委員の意見

個人再生委員は、清算価値の算出が適切になされているかもチェックをします。
売れない不動産として価値がない、あるいは小さいと主張されているケースでは、その評価の妥当性をチェックし、追加の資料提出を求めるなどします。個人再生委員をやっていると、表紙だけの査定書、あるいは1社だけの査定書では、その評価額に納得感がないケースもあります。
個人再生委員は、場合によって、個人再生委員から清算価値算出シートの訂正や弁済計画の変更を指導します。

まとめ

1.自己破産を検討する場合

自己破産では不動産があれば管財事件になるのが基本です。
不動産があっても同時廃止事件になるケースが同時廃止基準に定められていました。ただし、「明らかに売却可能性が乏しい」と認められるのは大変です。

管財事件では原則として破産管財人が不動産の売却を試みます。共有物件の場合は他の共有者に打診がなされます。どうしても売却が見込まれないケースでは、財団から放棄され、破産者の手元に残ることになります(担保が付いている場合には担保権者との関係で処理されます)。

あなたのケースでは同時廃止事件なのか管財事件なのか、管財事件であれば破産管財人がどう不動産の売却に動いてどういう落としどころになると見込まれるか、倒産事件に詳しい弁護士と十分に打ち合わせをして準備してください。

2.個人再生を検討する場合

個人再生では不動産が処分されることはありません。不動産の価値は清算価値に計上され、最低弁済額を画することになります。不動産は破産における自由財産ではないのでその価値は清算価値に直接加算されます。

清算価値を算出する過程で、価値をゼロとする、ないし価値を小さく評価する場合では、裁判所を納得させる資料の提出を要します。不動産の評価が問題となるケースでは個人再生委員が選任される可能性があります。

あなたのケースでは、不動産の評価がどのようになされ、その結果として個人再生手続の選択が可能なのかどうか、倒産事件に詳しい弁護士と十分に打ち合わせをして準備してください。

この記事を書いた人

弁護士 仲田 誠一(広島弁護士会所属)

https://www.nakata-law.com/

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◆経歴
1996年4月~ あさひ銀行 融資、融資管理、企業再生、法人営業等
2002年5月~ 東京スター銀行 経営管理、内部監査、法人営業等       
2004年4月~ 広島大学大学院法務研究科
2008年12月 弁護士登録
2017年~各前期 広島大学大学院客員准教授(税法担当)
◆資格
弁護士
認定経営革新等支援機関(中小企業庁)
公認内部監査人試験合格

民法改正講座13 【身近な法律知識】

広島市の弁護士仲田誠一です。
 
改正民法(債権法改正)の施行が近づいて来ました。2020年4月1日です。
大事な法律なので、改正点をかいつまんでですが(実務上あまり変更がない点は極力飛ばして)説明させていただいております。
 
今回は、個別の契約類型の話に入ります。
講学上は、契約各論と呼ばれます。
 
【贈与に関する改正(民法549条から551条)】

めぼしい改正点は、贈与者の担保責任が削除され、贈与者の引渡義務に関する規定に改められたことだけです。

贈与者は、目的物あるいは目的である権利を、贈与の目的として特定した時の状態で引き渡し、又は移転することを約したものと推定されます。
当事者の意思推定規定です。

以下は、売買契約に関する条文の主な改正点です。
 
【瑕疵担保責任に関する改正】

売買などの有償契約の担保責任については、法定責任説(法律が特別に定めた責任)と契約責任説(契約上の責任)の考え方があり、従来は法定責任説をベースに解釈されてきました。

改正により、契約責任説に則った条文に変更されました。

そのため、「瑕疵」という言葉がなくなり、「契約の内容に適合しない」という言葉になっています。
 
【権利移転の対抗要件に係る売主の義務(民法560条)】

売主は買主に対し、登記等の対抗要件を備えさせる義務を負うことが明文化されました。
当然ですね。
 
対抗要件とは、その権利を主張するための要件です。
不動産なら登記、普通自動車なら登録、債権なら譲渡通知、動産なら引渡しですね。
 
【買主の追完請求権(民法562条)】

契約責任説の観点から、目的物が種類、品質又は数量に関して契約内容に適合しないものであるときは、買主は、修補請求、代替物の引渡し請求、不足分の引渡し請求(これらを追完請求権と呼びます)ができる旨定められました。
 
これに対し、売主は、買主に不当な負担を課するものではない限り、買主の請求した方法による追完(修補を請求されたが代替物を引き渡すなど)ができます。
 
勿論、契約不適合が買主の責任である場合には、買主は追完請求をすることができません。
 
【買主の代金減額請求権(民法563条)】
契約不適合のケースの買主の代金減額請求権の規定が定められました。
 
追完が不能であるとき、追完拒絶の意思が明確に表示されたとき、特定の日時・期間に履行しなければ契約目的を達成できない契約のその時期の徒過、以外のケースでは、相当の期間を定めて追完の催告をした上で、不適合の程度に応じた代金の減額を請求することができます。
 
このようなケースでは解除もできますね。解除しないで代金減額請求もできるということです。
  
【買主の損害賠償請求及び解除権の行使(民法564条)】

担保責任(追完請求権、代金減額請求権)が発生する場合でも、債務不履行による損害賠償請求、解除ができることが定められています。
契約責任説によっています。
 
また、以上の3条は、物ではなく権利の契約内容の不適合のケースへも準用されます(民法565条)。
 
【目的物の種類又は品質に関する担保責任の期間の制限(民法566条)】

種類または品質(数量不足は一般の債務不履行の期間制限です。)に関して契約内容不適合のケースでは、買主はその不適合を知った時から1年以内にその旨を売主に通知しなければ、追完請求権、代金減額請求権、損害賠償請求権、解除権を保全できません。

権利行使ができなくなるということですね。
期間内に通知をすれば、個別の請求権は一般の消滅時効に服します。

ただし、売主が引渡しの時に不適合を知りあるいは重大な過失によって知らなかったときは、上の期間制限に服しません。
 
【目的物の滅失等についての危険の移転(民法567条)】

目的物の引渡し後、または買主の受領遅滞(履行の提供があったにもかかわらず受領しない場合)後に、当事者双方の責めに帰すことができない事由により目的物が滅失・毀損した場合は、買主がその危険を負担する旨明文化されました。
 
買主が危険を負担する場合、追完請求、代金減額請求、損害賠償請求、契約解除はできませんし、代金の支払い義務を免れることはできません。
 
目的物の引渡しあるいは受領遅滞を危険の移転時期としたものです。
 
次回も売買関係の続きからです。

ここら辺は大きく変わっているところで、他にも細かい変更がありますが大所だけ挙げています。
なお、今回の売買契約の条文は、多くが他の有償契約にも準用されます点をご注意ください。
有償契約の総論規定のような性質の条文なのです。
 
お悩み事がございましたらなかた法律事務所にご相談を。
 
広島の弁護士 仲田 誠一
なかた法律事務所
広島市中区上八丁堀5-27-602
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民法改正講座12 【身近な法律知識】

広島県広島市の弁護士仲田誠一です。
 
改正民法(債権法改正)の施行が近づいて来ました。2020年4月1日です。
大事な法律なので、改正点をかいつまんでですが(実務上あまり変更がない点は極力飛ばして)説明させていただいております。
 
今回は、契約の総論の続きです。
 
【催告による解除(民法541条)】
元々は履行遅滞(期限になっても債務を履行しないこと)の解除に関する条文でしたが、履行遅滞、不完全履行(債務の本旨に従った履行をしないこと)、履行不能(債務が履行できなくなったこと)の債務不履行共通の催告による解除の条文になりました。
 
債務の履行がない場合には、相当の期間を定めてその履行を催告し、その期間内の履行がないときには解除できます。
 
相当期間は、感覚的には10日間から2週間でしょうか。
催告と同時に履行がないときの解除も合わせて内容証明郵便で通知することが多いですね。
停止条件付解除通知といいます。
 
新法では、解除の要件として債務者の帰責事由を外しています。
相手方へのペナルティの問題ではなく、契約関係からの離脱の問題とされたからです。
 
ただし、不履行が契約及び取引通念に照らして「軽微」であるときは、解除ができないことも定められました。
そのケースでは、損害賠償請求ができるだけです。
 
【催告によらない解除(民法542条)】
上述の催告をすることなく解除できる場合が整理されました。
 
催告をしないで契約の全部を解除できるのは、
債務の全部の履行が不能であるとき(全部履行不能)
債務者が債務の全部の履行を拒絶する意思を明確に表示したとき
一部履行不能あるいは一部履行拒絶のケースで残存部分だけでは契約目的を達成できないとき
特定の日時または一定の期間内に履行しなければ契約目的を達成できない場合に履行がないとき
催告をしても契約目的を達成する履行がなされる見込みがないことが明らかであるとき
です。
 
催告をしないで契約の一部を解除できるのは、
債務の一部の履行が不能であるとき(一部履行不能)
債務者が債務の一部を拒絶する意思を明確に表示したとき
です。
 
催告をしても意味がないケースですね。

こちらも、解除の要件として債務者の帰責性が外されています。
 
【債権者の責めに帰すべき事由による場合(民法543条)】
債務の不履行が債権者の責めに帰すべき事由による場合は債権者は解除することができないことが明文化されました。
当然ですね。
 
【定型約款(民法548条の2~548条の4)】
約款取引というものがあります。
ガスとか電気とか預金など契約時に具体的な交渉により取引条件が合意されることなしに約款どおりの契約をするケースですね。
そのうち「定型取引約款」について、民法の条文に取り込まれました。
 
定型取引(不特定多数の者を相手方として行う取引)の約款は該当するものと考えていいでしょう。
事業者間取引の約款や契約書は該当しないとされています。
 
約款を読んで契約を申し込むことはあまりないかもしれません。
内容を知らない事も多いでしょう。
しかし、定型契約をする合意をしたとき、あるいは定型約款を準備した者が契約内容とする旨を表示していたとき、は約款が契約の内容となります。
ただし、信義則に反し相手方の利益を一方的に害する条項は合意がなかったものとみなされます。
 
定型約款準備者には定型約款の内容の表示義務が課されます。
 
次の一定の場合には、定型約款の変更を相手方との合意なしにすることもできます。
変更が相手方一般の利益に適合するとき
変更が契約目的に反せず、必要性・相当性・変更がある旨の定め有無等の事情に照らして合理的なものであるとき
です。
一方的な変更が認められる場合でも、変更について周知義務が課されています。
 
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民法改正講座11 【身近な法律知識】

広島市の弁護士仲田誠一です。
 
改正民法(債権法改正)の施行が近づいて来ました。2020年4月1日です。
大事な法律なので、改正点をかいつまんでですが(実務上あまり変更がない点は極力飛ばして)説明させていただいております。
 
今回は、契約の総論です。
 
【契約の締結及び内容の自由(民法521条)】

契約の自由が明文で定められました。
契約締結の自由、相手方選択の自由、方式の自由、内容決定の自由は元々認められている原則です。
契約をするかどうか、誰と契約するか、どのような形式で契約するか、どのような内容で契約するか、は本来自由です。
 
勿論、法律に反しない限りです。

例えば、公序良俗に反する内容の契約は無効になります。
また、消費者契約法など特別法にて、契約の効力は制限されています。
 
自由だからこそ、契約締結は慎重にしなければなりません。
契約を締結してしまうと、その効力を覆すことは大変です。

訴訟では、争いの解決は契約条項の解釈によることが多いです
一度立ち止まって考えてから、内容をきちんと確認して契約を締結してください。
 
【契約の成立と方式(民法522条)】

契約は、申込に対して相手方が承諾したときに成立する旨明文化されました。
申込みに際して、承諾の期間を定めたり、撤回する権利を留保することは勿論できます。
民法523条で明文化されました。
 
また、契約の成立には、法令の特別な定めがない限り、書面の作成その他の方式を要しないとする方式自由の原則も明文化されました。
例えば遺言は、要式行為といって、方式が法定されています。

 
【承諾の期間の定めのない申込み(民法525条)】

申込みは承諾の通知を受けるのみ相当の期間を経過するまでは撤回できないです。
ただし、申込者が撤回をする権利を留保した場合は撤回することができます。
 
これに対し、対話者に対する申込みは、対話が継続している間は撤回できます。
対話中に承諾の通知を受けなかったときは反対の表示をしない限り申込みの効力を失います。
 
契約の成立の有無及び時期は裁判でよく争われますが、契約書などの書面が作成されていないケースでは、様々な間接事実が考慮されて判断されることになります。
 
【同時履行の抗弁(民法533条)】

双務契約の当事者の一方は、相手方がその債務の履行(債務の履行に代わる損害賠償の債務を含む。)を提供するまでは、自己の債務の履行を拒むことができます。
これを同時履行の抗弁といいます。
 
双務契約は通常の契約ですね。
一方が他方に義務を負うだけではなく、売買の引渡義務と代金支払債務のように双方が義務を負う契約です。

実際にはどちらかが先履行である旨を定めることも多いです(代金後払い、代金先払いなど)。
気を付けてくださいね。
 
【債務者の危険負担等(民法536条)】

当事者双方に責任なく債務の履行ができなくなったとき(履行不能)、債権者と債務者のどちらが負担をするのかという問題を危険負担の問題といいます。
従来は、危険は債権者が負担するという債権者主義が定められていましたが、改めました。
不合理だからです。
 
新法では、債権者が反対給付の履行を拒むことができます。
ただし、契約関係から離脱するには、理屈上、契約解除をする必要があります。
 
勿論、債権者の責めに帰すべき事由による履行不能のケースでは、債権者は反対給付の履行を拒むことができません。
当然ですね。
 
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破産と生活保護費の返還債務 [借金問題]

広島県広島市の弁護士仲田誠一です。
 
今回の借金問題コラムでは、生活保護返還債務と破産の関係のお話です。
 
破産をお手伝いするときに、生活保護費の返還を求められている、あるいは返還請求された金額を少しずつ返還されているという方がいらっしゃいます。
 
働きながら保護費を受給していた方、各種年金・手当を受給しながら保護費を受給していた方に多いでしょうか。
収入認定との兼ね合いで調整が必要なケースですね。
 
生活保護を脱した方、現在も受給中の方、双方ともあり得ます。
 
先日申立てた自己破産案件も保護費の返還債務を負っているケースでした。
 
以前は、返還債務を破産債権に計上しておけば、事足りました。
 
生活保護費の返還請求権も、一般的な金融機関からの借り入れと同様、一般債権の扱いでしたので、破産免責の対象となり、免責決定を受ければ支払い義務を免れることができていたのです。
 
しかし、法律の改正があったのですね。
 
生活保護法63条に基づく返還請求権が、平成30年10月1日施行の改正生活保護法により、国税徴収法の例により徴収することができる債権、すなわち破産法上の財団債権、非免責債権になりました。
 
国税徴収法の例により徴収できるということは、税金と同じ扱いです。
 
改正の際には各弁護士会も反対意見を出していたような気がします。
 
破産をしても税金と同じ優先される債権になり、免責を得ても支払義務から免れられない債権になったのですね。
 
非免責債権ですので、管財事件で財団債権として破産管財人が支払ってくれるケースを除いて(財産がある程度あるケースに限ります)、役所と相談して支払い方法を協議しなければいけません。
 
なお、個人再生事件では、役所との協議結果を裁判所に報告しなければいけません。
 
生活保護法63条に基づく保護費の返還請求のことをお話しました。
 
これに対し、不正が悪質な場合の78条の徴収金は、先立つ平成26年に既に財団債権化、非免責債権化が行われています。
 
債務整理(任意整理個人再生自己破産等)のサポートはなかた法律事務所にご用命を。
 
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会社も同時に破産申立てをする必要があるか [借金問題]

広島県広島市の弁護士仲田誠一です。
 
会社代表者あるいは会社代表者をしていた方が自己破産を申し立てるとき、会社も同時に自己破産を申し立てないといけないのかどうか、今回の借金問題コラムはそんなお話です。
 
個人と法人は法律上別人格です。
 
理論上、個人だけ、法人だけ破産を申し立てることは許されるはずです。
 
ところが、会社代表者が自己破産を申し立てる際には、法人の自己破産も申し立てるように裁判所から勧奨されます。
 
なぜなのか裁判所に聞いたことがあります。

法人と個人は財産が混同する危険が高く、破産管財人が個人の財産調査だけするのでは不十分だから、法人も同時に申し立ててもらい会社財産も調査することができるようにするのだと説明されました。
 
他に、代表者個人とほぼ債権者が一致することが多い会社を放置するのは望ましくないとの説明もあるようです。
 
法律上強制的に会社あるいは法人の破産申立てをしないといけないわけではありません(破産法にそんなことは書いていませんから)。
 
しかし、強く会社の申立てを要請する裁判所が多いようです。
 
広島本庁でも、会社あるいは法人の経営者ないし数年前まで経営していた方が自己破産を申し立てると、個人と法人の同時申立てを要請されます。
時期によってその強弱は異なるかなあという実感です。
 
代表者個人しか破産申立てをしない理由は、
1 法人破産は多額の予納金が必要だが用意できない
2 あるいは既に事業廃止しており資料が散逸しており申立て書類が作られない
の2つでしょうか。
 
裁判所に要請された際には、そのことを話すのですが裁判所はなかなか引き下がらない印象です。

1の予納金ですが、法人が動いていない、財産も残っておらず、破産管財人業務の負担がないというケースでは減免してくれます。
 
極端なケースですが、「追加の予納金は要らない。」とまで言われました。
個人で用意した予納金を法人と個人で割り振るのですね。
 
2の書類がないという点も、「調査・書類は不十分であってもかわまないから申立てだけはしてくれ。」、とまで頼まれた経験もあります。

本当に簡単な書類で申し立てたことがあります。
 
基本的には代表者が破産をするときには法人も同時に申し立てしなければならない、ただし予納金の額や申立て準備については相当融通も利く、と考えた方がいいでしょう。
 
勿論、会社の事業廃止から5年超経ているような場合は同時申立てを要請されません。
そもそも同時廃止で処理されることも可能です。

ただし、その場合でも最後の2期分の決算書の提出は求められますね。
                    
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昔の抵当権が残っている不動産 [不動産]

広島県広島市の弁護士仲田誠一です。
 
今回の不動産問題コラムでは、不動産に昔の抵当権が残っているケースについてお話します。
 
相続で受け継いだ不動産に昔の抵当権設定登記が残っていて売却に支障が出ているという相談を受けたこともあります。
 
通常は、被担保債務を弁済したら、抵当権設定登記を抹消しますね。

昔の抵当権が残っているケースでは、被相続人あるいはその先代が抹消手続をするのを漏らしたのだろうと思います。
もしかしたらまだ弁済していないかもしれないケースもあるかもしれません。
ただ、昔の事情はもはやわかりません。
 
ところで、抵当権抹消登記は、抵当権者と所有者の共同申請になります。
住宅ローンを完済したら銀行から抹消書類をもらえますね。
実際には債務者が自分であるいは債務者が司法書士に依頼して抹消登記をするのですが、形上は、共同申請なのですね。
 
そうであれば、昔の抵当権も、抵当権者の協力を得られれば抹消登記をすることができます。

ただし、昔の抵当権であれば、抵当権者の相続人(勿論、相続が何回か続き、相続人が枝分かれして多数になっているかもしれません。)が相手ですね。、
 あまり現実的ではないかもしれませんし、手間がかなりかかります。
 
関係者が多い場合にはすべての方の同意が得られるかわからないし、書類取得などの協力を得ることも煩雑なため、訴訟により解決することの方が多いのではないでしょうか。
 
相続人は調べないといけませんが、相続人を相手に抹消登記手続請求訴訟を提起し、判決に基づいて抹消登記を行うのです。
 
判決に基づいて債権者の相続人の登記申請意思が擬制されますから、所有者一人で登記申請できます。
 
弁済した証拠がある場合は弁済による抵当権消滅を理由にして、ない場合には(ほとんどそうでしょうが)、消滅時効の援用による被担保債権の消滅を理由として、抹消登記を求めます。
 
勿論、訴訟提起をする場合には、事前に、被告となる相続人に対して連絡をし、事情を説明し納得してもらう努力をします。
 
訴状がいきなり届いたら驚かれますし、要らぬ紛争を生じさせてしまうかもしれません。
事情を理解してもらい、訴状が届いても放っておいてもらえつならば、スムーズに判決を得ることができます。
 
相続人による先祖名義の不動産の時効取得のケースですが、被告である現在の相続人が枝分かれをして30名を超えることになった例がありました。

事前にご理解を得て、お一人だけ裁判所に出てこられましたが、争わないというお話をその場でいただいたので、すぐに判決を得ることができました。
 
売却を予定しているケースなどでは、できるだけ早く抹消登記を実現しなければなりません。事前の根回しも必要です。
 
複雑なケースでは相続人調査だけで1~2カ月要することもあります。
できるだけ早く着手しましょう。
 
なお、昔の抵当権者が法人であった場合には、相続はありません。
 
その法人に対して抹消登記手続を依頼、あるいは抹消登記手続請求訴訟を提起します。

名前が変わっても、合併があっても、法人が存続している限り問題ありません。
 
法人がなくなっていたらどうでしょう。
なくなった、の意味によりケースバイケースで考える必要があるでしょう。
 
今回は、不動産に昔の抵当権が残っているケースでどうやって抹消をするのかをお話ししました。
 
不動産に関するご相談はなかた法律事務所にご用命を。
 
広島の弁護士 仲田 誠一
なかた法律事務所
広島市中区上八丁堀5-27-602
https://www.nakata-law.com/
 
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婚姻費用・養育費算定の際の「収入」とは [離婚問題]

広島県広島市の弁護士仲田誠一による離婚問題コラムです。
 
今回は、婚姻費用養育費算定における「収入」についての説明をさせていただきます。
 
実務上、婚姻費用養育費を定める場合には、婚姻費用養育費標準算定表あるいはその基になっている標準算定式が利用されます。
まだ新方式が採用されたものは見たことがありません。
 
算定表あるいは算定式では、お互いの「収入」と未成熟子の年齢および数によって数字が出てきます。
 
その「収入」が何かというお話です。
 
給与所得者については、前年度源泉徴収票の総支給額です。
市県民税課税台帳記載事項証明書では、給与収入の金額ですね。
 
自営業者ですと、確定申告の所得金額から社会保険料を控除し、現実に支払われていない専従者給与や青色申告特別控除額を加えるということなります。
減価償却額も加えるということもあります。
 
給与所得と事業収入が両方ある場合には、どちらかを他方に換算して合算した金額を年収と見て計算することになります。
この点は、以前の離婚問題コラムにおいて細かく説明したように思います。
 
これらが婚姻費用養育費算定の「収入」に関する基本ですが、絶対ではありません。
 
前年度収入が現在の収入状況と合っていない場合も多いですね。
その場合には、絶対に前年度源泉徴収等の収入を基に算定されるわけではありません。
 
例えば、前年度は無収入であったが今年度に就職した、あるいは転職したという場合がありますね。
そのような場合であれば、今年度の見込み収入で養育費婚姻費用が算出されることになるでしょう。
前年度収入で判断するのは不合理ですからね。
 
養育費婚姻費用を下げるために敢えて退職した、あるいは敢えて給料を下げたという事情があるケースには、それまでの収入状況を加味して収入が認定されることもあります。
 
理由がない無収入の場合、あるいは理由がない低収入の場合もあります。
そのようなケースでは、稼働能力が認められる限りにおいて、賃金センサスを用いて収入認定がなされることもあります。
賃金センサスとは、賃金構造基本統計調査の結果を性別・学歴・年齢等によってまとめたものです。
 
収入を擬制するのですね。
稼働能力が制限され得る事情によって賃金センサス上の年収の何割かを収入とするなど、ケース応じた判断がされているようです。
 
実務上は、交通事故でよく見る、所謂「赤い本」に記載されている賃金センサスによる年収を参考にすることが多いです。
ただ、賃金センサスは、毎年出ており、インターネットでも取得できます。
 
将来の減収が予定されているケースもあります。
増収・減収がほぼ確実で、見込額についても明確に予測できると客観的な証拠に基づいて説明できる場合には、それらの事情が加味されて収入とみなされることになるでしょう。
 
婚姻費用養育費の算定に当たって、標準算定表あるいはその基になっている算定式が一般に使用されているのは事実ですが、算定表ないし算定式に当てはめる収入をどう見るか自体に議論の余地があるということですね。
 
これに加えて、算定式あるいは算定表で考慮されていない事情(多くは特別費用ですね。)などの話が出てくることは珍しくありません。
 
今回は、婚姻費用養育費を考えるときには、単純に算定表を見れば済むわけではないのですよということをお話ししました。

養育費婚姻費用は算定表に当てはめればすぐ決まるという単純な話ではないことをご理解いただけたでしょうか。
 
離婚婚姻費用養育費財産分与等、離婚問題のサポートはなかた法律事務所にご用命を。
 
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別居、離婚にともなう自宅不動産の退去・明渡し請求 [離婚問題]

広島県広島市の弁護士仲田誠一による離婚問題コラムです。
 
別居あるいは離婚しても自宅不動産の所有者が自宅を出て他方配偶者が自宅に居住し続けるということは珍しくありません。
 
今回は、そのような場合、不動産を所有する夫または妻は、他方配偶者に対して「家から出て行け。」と法的に請求することができるのか、
逆に、他方配偶者は不動産を所有する夫または妻からのそのような退去請求に応じなければならないか、のお話しです。
 
離婚の前と後で分けます。
その後、第三者名義の不動産の場合を補足します。


【別居中のケース】
別居中ということは婚姻中ということになります。

民法は、夫婦の同居、協力、扶助の義務を定めています。
同居義務などから、所有者ではない配偶者にも住居の使用権原、居住権が認められています。
 
婚姻関係が破綻していても基本的には同様です。
 
不動産を所有する配偶者からの所有権に基づく退去・明渡し請求は、請求を正当とすべき特段の事情がない限り、認められません。
 
また、使用貸借関係(無償での貸借関係)があるという理由で退去・明渡しが認められなかった例もあります。
別居開始時点において居住目的の使用貸借契約の黙示の成立を認め、別居時点では使用貸借の目的が消滅していない、あるいは解約は権利濫用だとするわけです。
 
実質的な夫婦共有財産だという主張もあり得ますね。
 
ということで、離婚が成立するまでは退去・明渡し請求は認められないと思った方がよろしいでしょう。
 
ただし、他方配偶者が居住権を主張することがDV等により許されるべきではないケースでは、居住権の主張が権利濫用に当たる、あるいは婚姻関係が破綻した同居義務による使用権原は認めないなどとして、例外的に請求が認められているようです。
 
なお、他方配偶者の使用権原が認められた場合、不動産を所有する夫または妻は、賃料相当損害金の請求も認められません。
婚姻費用の算定に考慮されるだけとなります。
 

離婚後のケース】
離婚が成立すると夫婦の同居・協力・扶助義務はなくなります。

離婚後までも居住を許す使用貸借の成立も認められないのではないでしょうか。
 
原則として、退去・明渡し請求が認められるでしょう。
 
ただし、離婚に至った事情等から、場合によっては退去請求、明渡し請求が権利濫用として排斥されることはあるでしょう。
 
勿論、財産分与で、他方配偶者が少しでも不動産持ち分を取得したのであれば退去・明渡し請求は認められません。
共有者には、使用権原が認められますから当然です。
 
その場合は、共有物分割請求による共有関係の解消あるいは賃料相当損害金の請求のみできることとなります。
 

【第三者名義の場合】
自宅不動査が夫あるいは妻の会社、親などの第三者の所有であった場合には、夫婦の同居・協力・扶助義務は表に出てきません。
 
使用貸借関係の趣旨・目的から貸借関係の終了あるいは解約が認められるかの問題となります。
事情により権利濫用として第三者からの請求が排斥された例もあります。
 
なお、配偶者名義であった不動産が別居中に売却されてしまうこともありますね。
勿論、通常は、人が住んでいたら売却できませんね。
 
仮に、売却されると第三者所有の物件となってしまいます。
 
売買の事情によっては、第三者からの明渡請求が権利濫用として排斥されるでしょう。
 
また、そうなる危険がある場合には、処分禁止の審判前の保全処分を申し立てることも検討してもいいでしょう。
 
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中小企業のM&A価格の考え方 [企業法務]

広島県広島市の弁護士仲田誠一です。
 
今回の企業法務コラムでは、中小企業のM&Aの代金額の決定方法のお話しです。
 
当職は、M&Aに関わることが割合多く、最近は常に案件に携わっている状態が続いています。
すべて中小企業のM&Aです。
 
M&Aといっても、その形態はほぼ株式譲渡事業譲渡です。
合併や会社分割を絡めたM&Aのニーズやメリットは中小企業にはあまりありませんので。
 
関わり方はケースバイケースです。
交渉から関わるケース、買い手売り手双方のコーディネーターとしてかかわるケース、契約関係や法定手続だけサポートするケースなど、依頼者のニーズに合わせた関わり合いをします。
 
いただく費用も関わり合いに応じて千差万別です。
しっかり財務デューデリジェンスをする案件では、税理士と弁護士がセットでお手伝いします。
 
今回は買収価格の決定方法の話です。
 
勿論、買収価格の決め方には決まりはありません。
当事者が自由に決められます。
不当に安いあるいは不当に高い価格での売買には税務上のリスクがあるだけです。
 
もっとも、決めるのには目安がないといけませんね。
 
株式譲渡であれば、株式の価格です。
事業譲渡では対象事業(物も含めて)の価格です。

税務上の株式評価(相続税評価)は使いません。税金のための評価ですからね。
 
評価方法はいくらかありますが、経験上、中小企業の株式譲渡は、
 
時価純資産価格+営業権価格
あるいは
そのどちらか一方、

を目安に決めることが多いです。
 
時価純資産は、決算書あるいは試算表の純資産をベースに、含み益をプラスし、含み損をマイナスして算出された、所謂、清算価値・純資産価格ですね。
要するに、株式が表章する会社のモノ・カネの価格です。
 
この純資産価格ベースでの価格決定も多いです。
利益があまり出ていない会社はこれだけで十分だからです。
 
営業権価格は、会社が将来生む利益あるいはキャッシュフローを価格に反映させるものです。
 
営業権価格の計算は、
利益(キャッシュフロー)×1~5年
で行いますが、それぞれどの数字を持ってくるかが重要になります。
それにより数字はかなり変わりますから。
 
利益には、基本的に営業利益を持ってくるでしょうか。
 
減価償却費をプラス、時にはオーナー役員報酬の全部または一部をプラスするなどして、キャッシュフロー的な数字を持ってくることも多いです。

経常利益を使うこともあるでしょう。こちらの方が収益力が正しく反映されていることがあります。

ケースバイケースですね。
 
期間は、3年がスタンダードでしょうか。
業種や業態により、短ければ1年、長ければ5年でしょうか。
 
価格の目安が決まったとして、実際の契約価格を決めるには別の考慮をします。
 
売主が個人の株式譲渡のほとんどでは、前オーナーは会社を退きます。
 
株式譲渡による譲渡所得税よりも退職所得の方が一般的に有利です。
そこで、売り手には株式譲渡代金と退職金とを分けて受け取ってもらうことが多いです。
 
買い手にも損はありませんし。
 
総額を決めて、役員退職金をいくら受け取れるか検討し、残額を代金額にするというイメージです。
退職金支給により株式の価値は下がりますから当然といえば当然です。
 
次は事業譲渡の価格ですが、基本点には株式譲渡の価格の考え方に準じます。
 
全ての資産を含めた全事業を譲渡する場合には、株式譲渡と変わりませんね。
ただ、看板名を変えることのリスク、従業員を引き継げるかのリスク、取引口座を引き継げるかのリスクなど、価格マイナス要因はあるでしょう。
 
全ての事情譲渡であれば株式譲渡でもいいのですが、売り手の債務・リスクを遮断したいときには、債務を引き継がない形の事業譲渡にすることがありますね。

逆に、免許や取引先の関係で株式譲渡の方法しかとれないケースもあります。
 
一部の事業譲渡、あるいは資産を引き継がない事業譲渡では、引き継ぐ資産の時価に引き継ぐ事業の営業権価格を加えた金額が一応の価額の目安になります。
 
最初にお話ししたように、M&Aの価格は自由に決められます。
実際に、売り手・買い手のパワーバランスによって価格は大きく左右されます。
 
また、業種によっても様相が変わります。
いろんな業種のM&Aに携わると、様々なことに気付きます。
 
事業承継の一環として、後継者のいない会社のM&Aが増えているようです。
事業承継は後継者に引き継ぐか売却するかの2者択一ですからね。

逆に言えば、現在では、会社を買うチャンス、顧客・市場を獲得するチャンスも増えているということです。
 
事業承継の一環として、あるいは経営戦略の1つとしてM&Aをお考えになることもいいと思います。
 
顧問契約、契約トラブル、企業法務サポートのご用命は是非なかた法律事務所に。
 
広島の弁護士 仲田 誠一
なかた法律事務所
広島市中区上八丁堀5-27-602
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