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旧コラム 借金問題 9ページ目

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「債務整理をしたいけど・・・」 2 【借金問題】

弁護士の仲田誠一です。catface

前回は過払金返還請求の話で終わってしまいました。
過払金返還請求は,どの債務整理の方法をとってもついて来る話なので,始めにお話させていただきました。

今回は,ざっと債務整理の方法を眺めた上で(もう少し細かい話は次回にします),じゃあどの方法を選択すればいいのか,ということをお話したいと思います。

◆ 任意整理とは?
任意整理とは,裁判所を通さずに,債権者と弁護士などが直接交渉し,前回お話した引き直し計算をした上で,返済すべき金額を一括あるいは分割で返済していくものです。
もちろん,過払金が発生する先があるのであれば,それを回収して全体の借金を減らしていきます。

◆ 特定調停とは?
厳密に言うと違いはあるのですが,簡単に言うと,裁判所を通じて行う任意整理だと考えればいいと思います。
調停委員が債権者と話をしてくれます。
過払金の回収まではやってくれません。

◆ 自己破産とは?
個人の自己破産とは,裁判所に破産と免責(借金が棒引きになること)を申し立てるものです。財産や事情によって破産手続の詳細は異なりますが,裁判所から免責決定を受けると,借金が棒引きになります。
以前に書かせていただきましたが,個人が破産しても,一定の財産を残すことはできますし,破産手続自体によって生活ができなくなるということはありません。

なお,法人の場合の自己破産は,まさに清算手続であり,破産手続が終了するとその法人の法人格が消滅します。

◆ 民事再生とは?
民事再生も裁判所を通じた法的整理です。簡単に言うと,可処分所得を3年なり5年なり債権者に返済していき,残額をカットしてもらうものです。
住宅ローンを支払い続けながら他の債務を整理することもできます。

◆ あなたにとってどの債務整理の方法が最適か?
考えることは,大まかには,①借金総額,②毎月の返済可能額,③手放したくない財産があるか,④財産総額,でしょう。

まず,借金の総額がどれだけなのかを考える必要があります。そのためには,金利が高かった借入れがある場合には,取引履歴に基づいて引き直し計算をする必要があります。

そして,「毎月の返済可能額がどれだけ出るか」を,家計収支を作ってもらうなどして考えます。3年ないし5年で引き直し計算後の借金総額が返済できるようならば任意整理の方法をとることになると思います。
ただ,その際には,お子さんの学費など,ライフプランを考えた計画を立てる必要があります。

3年から5年で返済できない場合にはどうでしょうか?
その場合には法的整理を検討することになります。

ただ,どうしても手放したくない財産がある場合には,破産など法的整理の選択は難しいことになります。住宅ローン付の自宅の場合には,民事再生により自宅を残す方法があります。

もっとも,依頼者さんとじっくり話し合った結果,今後の生活を考えると住宅など財産を手放した方がいいという結論になるケースも実際に多いです。お悩みであれば,弁護士などの専門家と話し合ってください。いい解決方法があることも多いですよ。confident

また,財産が多い場合には,破産や民事再生が難しいケースもあります。その場合には,財産を処分して任意整理することになります。

簡単に書いてきましたが,考えることはまだまだあります。債務整理といっても,生活状況や財産状況は千差万別です。個々の依頼者さんとじっくり話さないと最適な解決方法は見つかりません。
上に書いたのは,本当の触りだけです。
実際には,弁護士費用,裁判所費用,ご職業(破産手続き中に就けない職業もあります)なども含めて,ご相談者の今後の生き方にまで入り込んでじっくり話合いをしなければいけません。

◆ ブラックリストとは?
債務整理のご相談の中でよくある質問として,ブラックリストの話があります。

ブラックリストとは俗称で,正確には,各金融機関が加盟している信用情報機関に登録される「債務整理」「弁護士介入」「自己破産」などのネガティブ情報のことを表しています。

債務整理をすると,加盟金融機関が信用情報機関に上のような情報を登録します。
その後に,新たに借入の申し込みなどをすると,申し込まれた 金融機関が情報を調べ(申込書の裏面などに小さく同意条項が入っています),借入やカードの作成を拒否します。要するに,上のような情報が登録されてし まうと,新たに借りたり,新たにカードを作成したりすることができなくなるのです。

でも,情報が登録されているのは5年から7年という一定期間です。一生借りられなくなるわけではありません。

ブラックリストに載りたくないというご相談者も確かにいらっしゃいます。
でも,多少の不便はあっても,苦しめられた借金とは一旦手を切っ て,一定期間は返済に集中するべきです。私は,債務整理がうまくいった依頼者さんのほっとしたお顔をいつも拝見しています。一度しかない人生です。借金や カードがない生活が今は想像できなくても,それは感覚が麻痺してしまっているからなのです。
ブラックリストを恐がる必要はありません。

なお,過払金請求の形になる場合には,信用情報にネガティブ情報を登録しないというのが,情報機関のルールとなっています。

◆ 最後に
債務整理は,事情をよくおうかがいした上で,どうすれば生活が再建できるのか,一緒に悩み,解決策を見出す必要があるものです。「一緒に解決策を見出す」というのは,話合いの中で依頼者さんにも決意をしてもらうということです。

巷では,簡単に債務整理ができるかのような宣伝も多いですが,あまり感心はできないところです。債務整理を商売としてしか考えない一部の弁護士などによるトラブルも聞こえてきます。

良心的な専門家であれば,きっと,あなたと一緒に悩んで,考えてくれると思います。お悩みの方は,是非一度相談してみてください。

 


債務整理をしたいけど・・・」 1 【借金問題】

弁護士の仲田ですhappy01

 

「債務整理」という言葉が巷に溢れるようになって数年でしょうか。
最近は法律事務所などのTVコマーシャルなんかが登場していますが,その中でも「多重債務問題」「過払金返還請求」など叫ばれていますね。やりすぎ感は否めないですが。

「債務整理」という言葉自体はもう食傷気味かなと思います。しかし,「債務整理」がどのようなものか,どのような場合にどの手段を選択すればいいのか,をきちんと理解している方は意外と少ないのではないでしょうか。

今回から数回にわたって,「債務整理をしたいけど・・・」ということで,債務整理はどのような方法があって,どのようなときにどれを選択すればよいのか,をざっとお話していきたいと思いますpencil

 

◆ 「債務整理」とは
「債務整理」とは,文字どおり債務を整理することですが,方法としては,「任意整理」,「特定調停」,「民事再生」,「自己破産」があります。
そして,それらのどの方法をとっても,過払い金があるケースでは「過払金返還請求」を伴うことになります。

それらの制度などをざっと眺めてから,じゃあ結局,どのような場合にどのような方法を選択したらよいのか,を考えていきたいと思います。

◆ 「過払金返還請求」とは?
まず始めに,どのような債務整理の方法をとったとしても,検討しなければならない過払金の返還請求について説明します。

消費者金融や信販系のキャッシングなどは,ここ最近まで利息制限法上の法定金利を超える金利で貸付をしていました。
ちなみに,利息制限法の所定利率は,元本10万未満の場合が年利20%,元本10万以上100万未満の場合が年利18%,元本100万以上が年利15%です。

そのような取引をしていた場合,最高裁の判例で,払いすぎた金利を元金に充当して計算することが認められています(「引き直し計算」と呼ばれます)。

 

それでは,引き直し計算の説明をしましょうpen


たとえば,年利28%で50万円を借りていたとしましょう。法定金利は年利18%です。


毎月返済額が2万円だったとすると,業者の取引明細では,支払った2万円の内訳は,元金返済8,333円,利息支払約11,667円(年利28%での1ケ月分の利息)になると思います。


一方,法定金利で引き直し計算をすると,利息支払いは,約7,500円(年利18%での1ヶ月分の利息)になるはずです。


払い過ぎの利息が4,167円(業者の明細の利息11,667円-引直し計算の利息7,500円)ほど出ます。


それを元金に充当するというのは,簡単に言えば,元金を,8,333円(業者の明細上の元金返済額)+4,167円(払い過ぎの利息)=12,500円,返済したと計算し直すのです。

それを毎月の取引ごとに計算しなおします。借金の残高がどんどん減っていくはずです。契約した金利年利28%と法定金利年利18%の差額だけが減る のではありません,翌月の計算はもともとの業者の計算よりも元金が減っているので,どんどん計算していけば,単純な金利差よりも大きい差が出てきます。

再計算をしていくと,だんだん借金の元金が減っていき,そのうちゼロに,さらに計算上マイナスになっていきます。


そして、マイナスになった場合には,本来は借金がないにもかかわらずお金だけ払ったことになっています。法律的には,貸金業者が法律上の原因なくして利得(「不当利得」と言います)を得ている状態になり,借主は,その不当利得の返還を業者に対して請求することができます。


これが,過払金返還請求です。

 

◆ どのくらいの期間借りていたら過払金が出るの?
一概には言えません。

一般的には,例えば一定の金額を年利28%から29%の金利でずっと借り入れていた場合,7年から8年で,過払金が出始めるとは言われています。

ただ,人によって借り方,返し方にはむらがあります。貸金業者から取引履歴を開示してもらい,実際に計算してみないと,正確なことはわかりません。


一般的には,借入残高が右肩上がりの方は,多く払いすぎている金利が残高が少ない頃のもののため,取引期間がより長くないと過払金が発生しにくいとは言えます。

逆に,借入残高が右肩下がりの方は,取引期間がより短くても過払金が発生します。

 

◆ 過払金が出なかった場合は払いすぎた金利は無駄になるの?
過払金が出なくても,借入元金は減るのですから,無駄ではありません。
引き直し計算の結果残った借入金残高を,法律上支払うべき借金残高として,返済していけばいいのです。
これは,後でお話しする任意整理の形になります。

残高が減るのですから,毎月の返済額もぐっと減ることになります。
したがって,過払金が出なくても,債務整理をするメリットはあるのです。

 

◆ すでに返済し終わっている場合に過払金を請求できるか?
消滅時効にかかっていない限り請求ができます。
消滅時効は,最終取引日から10年です。
したがって,完済してから10年以内であれば請求できます。

 

◆ 取引の分断とは?
ここで気をつけて欲しいのは,一度その貸金業者からの借金を完済し解約をして,(多くの場合は勧誘があるのですが)再度同じ業者から借入をした場合,業者は2つの取引が別だと主張してきます(取引の分断の主張と呼ばれます)。

どうしてか

例えば,完済時に30万円の過払金が出ていたとしましょう。そして今日,50万円を借り入れます。

取引が続いているなら,次の返済日の引き直し計算は,50万円から過払金30万円を差し引いた20万円を元金として計算します。

一方,取引が別だとすると,過払金30万は別に置いといて(これはこれで請求できますが),次の返済日の引き直し計算は,借りた金額そのままの50万円の残高スタートで計算をすることになります。

両者を比べると,(上に書いた引き直し計算の理屈を思い出して欲しいのですが,)元金が減っていくスピードが大きく変わることになり,結局,過払金の金額に差が出てしまうのです。

業者としては,過払金が小さい方がいいに決まっているので,取引の分断を主張するのです。

さらに,完済したのが10年以上前であれば,取引が別だとされてしまうと,完済時の過払金が時効にかかって請求できなくなることになります(その場合でも,相殺には使えますので諦めないでください)。
ますます業者としては主張したいわけです。

この点は,過払金返還請求訴訟でもよく争いになる点です。

 

◆ 今でも過払金を請求すると返ってくるの?
武富士の会社更生法適用申請でもおわかりのとおり,大手の貸金業者も日々資金繰りが厳しくなっています。中小業者では,事実上取れないところもあります。

また,業者からの支払い率や支払い時期も,日々悪化しています。

いつまで回収できるかは貸金業者の体力次第です。悩んでいる暇はありませんrun

 

◆ 最後に
結局,過払金返還請求の説明だけで長くなってしまい,それしかお話できませんでした。
まだまだ過払金返還請求の細かい話はあるのですが,また別の機会にします。

とにかく法定金利よりも高い金利で借りている人,借りていた人は,できるだけ早く(貸金業者が倒産しないうちに)弁護士などの専門家に相談,依頼してください。

続きはまた次回にお話しさせていただきますgood


破産って恐い? 2  【借金問題】

弁護士の仲田誠一です。
 
朝のニュースで嵐とAKBで年間シングルオリコンチャートを独占したという話を聞きました。
ネット配信等でCDが売れなくなったと聞いて久しいですが、ネット配信等をあまり利用しない若年層がCDを買っているのかもしれませんね。
オリコンチャートはどのようにして作成されているかはわかりませんが。
 
さて、今回は前回の「破産って恐い?」の話の続きをお話します。


◆ 破産をするとみんなに知られてしまう?

破産手続き上,債権者には裁判所から通知が行きます。しかし,借金に関係のない職場や親族には連絡は行きません。

もちろん,破産手続の中で,破産者の住所氏名等が「官報」に載ります。「官報」とは政府が発行する新聞のようなものなのですが,見たことないですよね?普通 の方は見ないものです。また誰かが見ようと思っても,破産者はたくさんいらっしゃるので,いつ出るかわからなければ,なかなか見つけられるものではありま せん。
ただ,職場に一定年数以上勤務されている方は,退職金の見込額を裁判所に報告する必要があります,もしかしたらその関係で職場に協力をお願いする必要が出てくるかもしれません。
また,破産申立書類の準備にご家族の協力が必要な場合もあるケースもあるかもしれません。

私は,ご家族に関しては,(依頼者がどうしてもいやだとおっしゃるなら別ですが,)ご家族には相談するようお奨めしています。依頼者に経済的に立ち直ってもらうためには,ご家族に事情を知っていただき,協力していただいた方がいいと思うからです。

結論を申し上げますと,職場や家族に知られずに破産をすることは可能なのです。


◆ 破産をすると仕事を続けられない?

答えは原則としてNOです。
通常の会社員であれば破産の影響はありません。

ただ,一部の仕事だけ「資格制限」と言うものがあり,破産手続中はその仕事に就けません。
どのような仕事に就けないかは,細かく法律等で決まっています。
保険外交員や警備員など,人のお金を預ったりする職業が多いようです。

もっとも,一部の職業に資格制限があるといっても,それは破産手続が終わるまでです。破産手続が終わると法律上の制限は消えます。

自分の職業が資格制限に該当するかは,専門家にご相談ください。





◆ 破産をするとみんなに迷惑がかかる?

こちらも,答えは原則としてNOです。
もちろん,債権者には迷惑をかけることにはなります。ここで「みんな」とはご家族のことを念頭に置いています。

破産によって直接ご家族に迷惑がかかることはありません。
法律上,ご家族といっても別人格と扱われますので,あなたが破産をしてもご家族に債務が移るということはありません。
ただ,あなたがご家族等の借金の保証人になっている場合,あるいはご家族等があなたの借金の保証人になっている場合は,別です。

あなたが破産をする際には保証債務も債務として手続に乗せる必要があります。具体的には保証している相手方(たとえばお父さんの銀行からの借金に保証をして いる場合にはその銀行)に通知をすることとなり,(先の例では銀行からお父さんに対し)新たな保証人の追加などを要求されることもあります(銀行とお父さ んが交渉することになります)。
また,あなたが破産をするということは,当然,あなたの保証人に対し債権者から請求が行くことになります。



さらに,不動産をご家族と共有している場合には話が複雑になるでしょう。不動産の維持は,非常に込み入った話になり,ケースごとに判断する必要があります。弁護士などの専門家とじっくりご相談してください。







◆ 最後に

みなさんが思っているほどは,破産は恐くないということをお話しました。

もちろん,破産を積極的に勧めているわけではありませんからね。



ただ,破産でしか救われない方もたくさんいらっしゃるのが現実です。



借金でご苦労されている方は,是非早く弁護士等にご相談ください。あなたにあった解決策を考えましょう。


 


みなさんが思っているほど「弁護士も恐くない」ですよ。

 


破産って恐い?  1 【借金問題】

弁護士の仲田誠一です。
 
 
昨日は,久しぶりに高校の同級生が2人大阪と千葉から広島まで遊びに来てくれました。高校時代の同級生兼バンド仲間です。
懐かしかったです。高校の仲間と会うと,すぐに高校生に戻った気分になりますね。
 
さて,昨日の中国新聞に、クレジットカード・信販会社の消費者向け貸付残高が1年で1兆円減った、消費者金融も含めた新規貸付額もかなり減った、現金化業者やソフトヤミ金が後を経たない,との記事が載っていましたね。

ご存知のとおり「総量規制」の導入(年収によって貸付額を制限する)を含む貸金業法の改正があり、新規貸付がなかなかできなくなり資金業者の経営は悪化してきています。また,武富士の経営破たんをきっかけに,心配した消費者から過払金返還請求が急増し、経営環境がさらに悪化して新規貸付に慎重になっているようです。貸付が減っているということは、他から借りて借金を返してやりすごす自転車操業ができなくなっているということで、弊事務所でも返済に行き詰った方のご相談が増えてきています。

また、弊事務所でも過払金返還請求事件を多く抱えていますが、貸金業者の経営悪化に伴い、回収率 (計算上の過払金と実際に取り戻せる金額の比率)は急激に悪化しています。早々に、第2、第3の武富士が出てくるかもしれません。消費者金融などの高い金利で借入している方、あるいは借入していた方は、できるだけ早めに相談してください。

さらに、周りに相談できない、配偶者などに知られたくない、どこに相談したらいいかわからない、といったような方の中には、新聞記事にもあったように現金化業者に頼って、あるいはクレジットカードで商品を買ってすぐに売ることにより現金を得て、一時しのぎをする方が多いようです。それでは、何の解決にもなりません。借金を増やしてしまうだけです(クレジット利用も「借金」です。高い手数料分借金が増えてしまいます)。それだけでなく、以前にも書きましたが、いよいよ追い詰められて破産をする際には、その行為が問題視されてしまいます。

なお「ソフトヤミ金」と呼ばれる業者は、「ソフト」と呼ばれていても悪質な違法業者です。「ソフト」と言っても、借り手に警察や弁護士に駆け込まれないように、督促に手心を加えるだけです(個人的には呼び方が不適切だと思います)。絶対に借りてはいけません。人生が狂ってしまいますよ。


◆ 破産って恐い?
やっと本題に入りますが、みなさん「破産」って恐いでしょうか?
多重債務のご相談にこられる方の中には、最初に「絶対に自己破産はしたくない」という方がかなりいらっしゃいます。
その中にも自己破産を選択されるのが適切な方もいらっしゃるわけでして、そのような方には自己破産の制度を説明します。その際、そもそも自己破産について、今までの生活ができなくなる、子供など周りに迷惑をかけてしまう、など誤解している方が多いように感じます。
そこで、「破産は皆さんが思っているほど恐くない」ことをご紹介しようと思います。
 テーマ上、個人の自己破産のお話になりますが、法人の自己破産のお話はまたの機会にさせていただこうと思っています。


◆ 破産すると身ぐるみを剥がされる?
答えはNOです。自己破産をしても身ぐるみを剥がされるわけではありません。
なぜでしょうか?

それは、破産制度(個人の破産制度)は、破産者の経済的更生を図るための制度だからです。経済的に立ち直れないような制度であればその目的が達せません。
法律的に説明するとややこしいのでここではざっとしか説明できませんが、現預金,家財道具や価値のない(古い)車、解約返戻金の大きくない保険等、総額99 万円までの財産なら(原則として)残す途が用意されています。また,賃貸物件にお住まいの方であれば、そこを出る必要もありません。

少なくとも,破産自体によって生活ができなくなるということはないのです。


私が本題に入るのが遅く、長くなってしまいました。
次回に今回話せなかったことについて書かせていただきます。

「近況報告、個人関係、特にショッピング枠の現金化」

弁護士の仲田です。近況報告をさせていただきます。
<本日は個人関係のお仕事の近況をお話します。法人関係の近況は次回に書きますね。
個人関係の仕事といえば、やはり相続、離婚、債務整理(特に自己破産)が多いです。
悪徳商法等消費者問題にも積極的に取り組んでおります。

お仕事以外では、マンショントラブルについて最近2回にわたり毎日新聞にコラムを書かせていただき、また現在シニア層向けのフリーペーパーである「CHIC・シック」に遺言・成年後見・相続について記事を連載させていただいております。
最近、自己破産で特に問題となっているのが「ショッピング枠の現金化」の問題です。よく報道もされていますね。
「ショッピング゙枠の現金化」というのは、まず、業者(ヤミ金まがいの業者が多いです)から価値のない、あるいはほとんどない物をクレジットカード゙で高額で購入します(インターネットで簡単に手続ができます)。そしてクレジット会社から業者に払われる立替金(購入代金)から業者が高率の手数料を差し引いた現金を依頼者に渡すというものです(もちろん依頼者は立替金全額の返済義務があります)。貸金業法改正の影響で新たな借入れができなくなった方が勧誘され、藁をもつかむ思いで利用してしまうケースが増えてきています。

「ショッピング゙枠の現金化」の問題点
依頼者から見れば高金利でお金を借りた(高額の手数料が引かれた現金を手にするので)のと同じように感じてしまいます。
法外な手数料をとるそれ自体が問題なのですが、実はこれは犯罪といって言い行為であり、後に行き詰って(ここまで追い詰められると行き詰るケースがほとんどです)自己破産をする場合に支障もきたします。
価値を偽ってあるいは商品の購入実態がないのに信販会社へ立替金を請求するということでクレジット会社に対する詐欺になりうるのです。
もちろん依頼者にとっては追い詰められてしてしまった行為です。
しかし、裁判所はこのような行為に厳しいです(破産法で、このような場合には借金を棒引きにしてはならないと定められている免責不許可事由の1つに該当します)。
その場合に、破産(正確には免責)が全くできないわけではないですが、裁判所に免責を認めさせて困った依頼者をお助けする際に大変苦労をします。

私が日弁連の会合に出席した際、警察担当者の方が、 業者の実態がつかみにくいことと詐欺罪で立件すると利用者が犯罪の共犯となってしまい処理が難しいこともあって、摘発が難しいとおっしゃっていましたが、最近は業者の摘発を頑張っているようです。

なお、破産に支障をきたすのは、クレジットを返済する前にクレジットで購入した品物を質屋さん等に売却してしまうケースも同様です。
通常クレジットで購入したものは返済するまで所有権は購入者にはなく、クレジット会社等にあります。そのため、商品を勝手に売却すると、それも犯罪的行為となってしまうのです

ご相談に来られた方にそのような行為をされた方がいらっしゃると、もっと早めに相談していただければ先を見据えたアドバイスができたのにと残念に思うところです。
他にも破産法上やってはいけないことは多々あり、借金でお困りの方は問題を拡げる前にご相談いただければ助かります。

それは、借金問題に限りません、追い詰められる前に、争いを複雑化してしまう前に、お困りごとを弁護士に相談していただければと思います。

次回は、法人関係の近況をお話します。


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