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旧コラム 2010年12月 2ページ目

現在のコラムはこちらから

破産って恐い?  1 【借金問題】

弁護士の仲田誠一です。
 
 
昨日は,久しぶりに高校の同級生が2人大阪と千葉から広島まで遊びに来てくれました。高校時代の同級生兼バンド仲間です。
懐かしかったです。高校の仲間と会うと,すぐに高校生に戻った気分になりますね。
 
さて,昨日の中国新聞に、クレジットカード・信販会社の消費者向け貸付残高が1年で1兆円減った、消費者金融も含めた新規貸付額もかなり減った、現金化業者やソフトヤミ金が後を経たない,との記事が載っていましたね。

ご存知のとおり「総量規制」の導入(年収によって貸付額を制限する)を含む貸金業法の改正があり、新規貸付がなかなかできなくなり資金業者の経営は悪化してきています。また,武富士の経営破たんをきっかけに,心配した消費者から過払金返還請求が急増し、経営環境がさらに悪化して新規貸付に慎重になっているようです。貸付が減っているということは、他から借りて借金を返してやりすごす自転車操業ができなくなっているということで、弊事務所でも返済に行き詰った方のご相談が増えてきています。

また、弊事務所でも過払金返還請求事件を多く抱えていますが、貸金業者の経営悪化に伴い、回収率 (計算上の過払金と実際に取り戻せる金額の比率)は急激に悪化しています。早々に、第2、第3の武富士が出てくるかもしれません。消費者金融などの高い金利で借入している方、あるいは借入していた方は、できるだけ早めに相談してください。

さらに、周りに相談できない、配偶者などに知られたくない、どこに相談したらいいかわからない、といったような方の中には、新聞記事にもあったように現金化業者に頼って、あるいはクレジットカードで商品を買ってすぐに売ることにより現金を得て、一時しのぎをする方が多いようです。それでは、何の解決にもなりません。借金を増やしてしまうだけです(クレジット利用も「借金」です。高い手数料分借金が増えてしまいます)。それだけでなく、以前にも書きましたが、いよいよ追い詰められて破産をする際には、その行為が問題視されてしまいます。

なお「ソフトヤミ金」と呼ばれる業者は、「ソフト」と呼ばれていても悪質な違法業者です。「ソフト」と言っても、借り手に警察や弁護士に駆け込まれないように、督促に手心を加えるだけです(個人的には呼び方が不適切だと思います)。絶対に借りてはいけません。人生が狂ってしまいますよ。


◆ 破産って恐い?
やっと本題に入りますが、みなさん「破産」って恐いでしょうか?
多重債務のご相談にこられる方の中には、最初に「絶対に自己破産はしたくない」という方がかなりいらっしゃいます。
その中にも自己破産を選択されるのが適切な方もいらっしゃるわけでして、そのような方には自己破産の制度を説明します。その際、そもそも自己破産について、今までの生活ができなくなる、子供など周りに迷惑をかけてしまう、など誤解している方が多いように感じます。
そこで、「破産は皆さんが思っているほど恐くない」ことをご紹介しようと思います。
 テーマ上、個人の自己破産のお話になりますが、法人の自己破産のお話はまたの機会にさせていただこうと思っています。


◆ 破産すると身ぐるみを剥がされる?
答えはNOです。自己破産をしても身ぐるみを剥がされるわけではありません。
なぜでしょうか?

それは、破産制度(個人の破産制度)は、破産者の経済的更生を図るための制度だからです。経済的に立ち直れないような制度であればその目的が達せません。
法律的に説明するとややこしいのでここではざっとしか説明できませんが、現預金,家財道具や価値のない(古い)車、解約返戻金の大きくない保険等、総額99 万円までの財産なら(原則として)残す途が用意されています。また,賃貸物件にお住まいの方であれば、そこを出る必要もありません。

少なくとも,破産自体によって生活ができなくなるということはないのです。


私が本題に入るのが遅く、長くなってしまいました。
次回に今回話せなかったことについて書かせていただきます。

「遺留分って何?」 【相続問題】

弁護士の仲田誠一です。
本格的に寒くなってきましたね。
昨日は広島市内でも雪が少し降っていました。
 
さて、これまで何度かお話の中で出させていただいた「遺留分」という言葉について、まだきちんと説明できていなかったと思います。
そこで、今回は「遺留分」についてお話しようと思います。
 
例えば、あなたの親族として母親と兄弟2人がいるとします。
お母様が亡くなられた後,「長男にすべての遺産を相続させる」という内容の遺言が出てきたとしましょう。
あなたが「遺言はちゃんと作られたようだけど、長男ばかりが母親の世話をしていたわけではないから私の取り分が全くないというのは納得できない」と思ったら、それが遺留分減殺(げんさい)請求の場面になります。
 
遺留分制度とは?
原則として、被相続人が遺言などで財産をどのように処分するかは自由です。故人の財産だから当然ですよね。
ただ、それでは不公平な場合もあります。
 
そこで法律は、相続が発生した際、配偶者,直系卑属(子、既に亡くなっている場合は孫)、直系尊属(通常は父母)に対して、最低限の一定額の相続財産を確保することを認めています。それが遺留分です。
遺留分を認められている人を「遺留分権利者」、遺留分を請求することを「遺留分減殺請求」と言います。
 
最初にお話しました特定の相続人にすべて相続させる遺言のように、法律で一定割合に決まっている「遺留分」を侵害する遺言などがある場合、子などの「遺留分権利者」が希望すれば「遺留分減殺請求権」を行使して、相続財産を取り戻すことになります。
あくまでも、被相続人の財産処分が自由であることが前提です。そのため、希望する遺留分権者が自ら遺留減殺請求をすることが必要で、自動的に遺留分が認められるわけではないことにご注意ください。
 
◇ 兄弟姉妹には遺留分の権利はないんです
ここで気をつけて欲しいのが、兄弟姉妹はほかに相続人がいない場合に相続人にはなりますが、遺留分の権利者ではありません。

以前,遺言の話をしたときにも触れましたが、夫婦と兄弟姉妹(既に亡くなられていたら甥・姪)だけの親族構成の場合、夫婦の一方がなくなられたら兄弟姉妹にも相続分が発生してしまうのが原則です。
そこで遺言が大事になるのです。
夫婦の一方にすべての財産を相続させる遺言さえ書いておけば、財産の散逸を防ぐことができます。兄弟姉妹は遺留分がないから文句が言えないのです。自宅不動産が相続財産である場合に非常に重要な話になります。
 
確かに、遺言がなくても、兄弟姉妹が遺産分割協議の中で,あるいは相続放棄をして、丸く収めてくれるケースが多いでしょう。しかし、財産を目にすると人が変わるケースもあります。トラブルになったら取り返しがつきません。備えあれば憂いなし!です。
 
遺留分の割合とは?
遺留分の割合は、直系尊属だけが相続人であるときは相続財産の3分の1、それ以外の場合には2分の1です。
最初の例で言いますと、相続人は子3人です。全体の遺留分は2分の1になります。個々の相続人遺留分は、全体の遺留分に各自の相続分をかけると出ます。
子が3人で相続分は3分の1ですから、結局あなたの遺留分は6分の1となります。
 
◇ いつまでに遺留分を請求すればいいのか?
先ほども書きましたが、遺留分は請求しないともらえません(これを「遺留分減殺請求」と言います)。
もちろん、権利を行使しないと時効にかかります。

それが結構短いんです。
遺留分減殺請求権は、相続の開始および減殺すべき贈与または遺贈があったことを知った時から、1年間権利を行使しないときは時効にかかってしまいます。先の例で言うと、遺言の存在を知ってから1年間ということになります。
そのため、少なくとも1年以内に証拠が残る内容証明郵便で請求してください。ただ、請求の内容が法的に遺留分減殺請求と認められなければ意味がないので、専門家に相談して請求するのが無難です。

また、相続開始のときから10年経過しても時効にかかってしまいます。遺言を知らなければいつまでも行使できるというわけではないんです。
 
◇ 実務では?
遺留分を減殺したいという場面では、そもそも遺言の有効性に争いがあるケースが多いです。
なかなか遺言を無効だと主張するのは証拠が乏しい点で難しく、特に公正証書遺言の場合に遺言の効力を覆すのは難しいです。「この時期の遺言は絶対におかしい」と言えるような証拠がある場合には,遺言無効確認訴訟と遺留分減殺請求訴訟を合わせて検討することになります。

また,遺留分減殺請求をする時点では、相手方は既に遺言等によって財産をもらっているケースが多いです。そのため、実際に相手方から取り戻すのに苦労するケースもあります。できるだけ早く権利を行使しましょう。
 
◇ 最後に
遺留分減殺請求については、法律的に難しいところが多々あります。
是非、お早めに専門家にご相談ください。

「生命保険金は遺産になるの?」 2 【相続問題】

弁護士の仲田誠一です。

前回、生命保険金は特別な事情がない限り遺産(相続財産)に含まれない、でもそれでは不公平ではないか、ということをお話しました。
今回は、前回お話しかけましたが、裁判所により不公平の是正がどのように図られるかについてお話します。
 
◇ 裁判所はどうやって不公平を是正するか?
裁判所による不公平の是正の理屈を簡単に言えばこうです。
生命保険金は遺産には属しない。しかし、不公平が著しい場合もある。その場合には、生命保険金は特別受益には
該当しないのだけれども、不公平を是正するため特別受益と同じような扱いをする。
ちなみに、特別受益(生前贈与などのことです)と同じような扱いをするということは、各相続人の相続分を算定する計
算の中で、生命保険金を「持ち戻し」、計算の基礎となる財産に加算するということです。

◇ どのような場合に不公平が是正される?
では、例外的に生命保険金が特別受益のように「持ち戻し」の対象となるのはどのような場合でしょうか?
 
結論から言えば、保険金受取人である相続人とその他の共同相続人との間に生ずる不公平が著しいと評価される特別
な事情がある場合です。
そして、その判断は、①保険金の額、②その額と遺産総額との比率、③同居の有無や介護への貢献の度合いなど被
相続人との関係、④各相続人の生活実態等、の諸般の事情を総合してなされます。
 
つまり、相続財産と保険金額の対比をベースにして、保険金を受け取った相続人がさらに相続財産も法定相続分に従っ
て受け取るのはさすがに不公平だろうと思えるかどうか様々な事情を考慮して考える、といった理解でいいと思います。
 
実際の例を紹介しますと、相続財産と保険金額の対比という点では、相続財産:保険金の割合が、10:1、15:1あた
りが否定され、1:1、8:5あたりが肯定された例があるようです。
ただし、あくまでも、金額だけではなく、様々な事情が総合考慮されますので、単純に結論を読むことはできません。
 
2回にわたって遺産相続における生命保険金の扱いについてご紹介しました。
少し難しかったと思いますが、「生命保険金は遺産には属さない、ただ不公平が著しいときは特別受益と同じ扱いがされる」とだけでも覚えておいてください。

 


「生命保険金は遺産になるの?」 1 【相続問題】

弁護士の仲田誠一です。

 

法人税が5%下がるようですね。個人事業主である私には関係ない話ですが...

経済浮揚策として個人的には異論はあるのですが、結果を出してくれれば文句は言いません。

とくかく結果を早く出して欲しいですね。

 

今回は、相続の際によく問題となる生命保険金の扱いについてお話したいと思います。

相続のご相談を受ける際、生命保険金はどうなるのかよく質問されます。生命保険金も遺産に含めて考えていらっしゃる方が多いようです。一般の方の感 覚では、特定の相続人が、生命保険金をもらった上で、他の遺産を法定相続分に従って受け取るというのは不公平だと感じるのでしょう。

 

では法律上の扱いはどうなっているのでしょうか?

 

◇ 生命保険金は「遺産(相続財産)」に属するのか。

 

いくつかの場面に分けてお話します。結論から申し上げますが、特別な事情がない限り、生命保険金は遺産(相続財産)には含まれません。

 

1 保険金の受取人として特定人が指定されている場合

この場合には、契約(法律的には第三者のための契約になります)の効果として、保険金請求権を指定された受取人が自己の固有の権利として取得することとなります。

わかりやすく申し上げると、亡くなった方が保険会社に「私が死んだら保険金をこの人にあげてください」とお願いしていたため、保険会社はその依頼に基づい て受取人に保険金を支払うのであって、受取人が相続の効果によって亡くなった方の財産を取得するのではない、という理屈です。

したがって、生命保険金は相続財産に含まれず、遺産分割の対象ともなりません。

 

2 保険金の受取人を単に「相続人」としている場合

この場合にも、理屈は上と同様で、生命保険金は指定された「相続開始時の相続人」が固有の権利として取得することとなります。

相続人法定相続分に応じて保険金請求権を取得することになりますが、相続によって取得したわけではないのです。

もっとも、この場合には、遺産分割協議の中で、事実上分割の定めをすることが多いと思います。

 

3 保険金の受取人を指定しなかった場合

相続人による指定がないため、保険約款あるいは法律に従うことになります。

多くの場合、保険約款に「受取人指定がない場合には相続人に支払う」旨定められていると思います。

その場合には、結局上の2のケースと同様の扱いとなります。

 

◇ 生命保険が遺産に含まれないとすると不公平では?

 

以上のように、生命保険金は遺産(相続財産)に含まれず、遺産分割の対象にならないのが原則です。

 

でも、生命保険金は通常高額なものですよね。始めに書きましたが、他の相続人は不公平感を持ちます。

 たとえば、相続人が長男、長女の2人で、生命保険金が3000万円、遺産は預金の1000万円だとしましょう。保険の受取人が長男と指定がある場合、長男 は3000万を固有の権利として受け取り、その上で預金から500万を相続により取得します。一方、長女は500万しか相続しません。

 

でも保険料って被相続人の財産から支出されていますよね。長女からするとやはり不公平だと感じます。

 そこで、判例により、不公平が著しい場合には、上記の理屈の結果が修正され、不公平を是正する方策が認められています。次回にその辺をお話したいと思います。

 


マンショントラブル、管理費を払ってもらえない! 3 【消費者問題】

弁護士の仲田誠一です。

時間があるときは朝,散歩をしてから事務所に出勤するようにしています。朝日を浴びることで,体内時計がリセットされるので,散歩をした朝はいつも以上にやる気を持って、気持ちよく仕事に取り組んでいます。

さて,前回は、滞納管理費は特定承継人にも請求できること、住宅ローン破産が増えていることなどをお話しました。
今回は、その他の管理費問題についてお話します。


◇相続のために管理費が滞納されたら?
区分所有者に相続が発生したために管理費の滞納が発生した場合はどうなるのでしょう?
この場合には、法律的に滞納管理費は相続人の「連帯債務」になると考えられています。そのため、それぞれの相続人に「全額」を請求することができることになります。もちろん、二重、三重にもらえるわけではありません。一人から全額を回収できたとすると、あとは相続人間の問題となります。

相続人が全員相続放棄をしたらどうでしょう?実際に扱ったこともあるのですが、これは難しい問題です。相続人が不存在となってしまうと裁判所に相続財産管理人を選任してもらって請求をするという大変な手間がかかってしまうことになりそうです。抵当権がついている物件では、さらにややこしくなってしまう悩ましい問題です。


◇エレベーターを使用しない階の所有者からの管理費の減額請求にはどう対処すればよいのか?

 エレベーターを使用しない階の所有者から管理費の減額を要求されるケースも多々あるようです。

管理費の金額は,原則として、専有部分の床面積の割合で決まります。そのため、エレベーターを使用しない階の所有者が不公平感を持つことがあるのです。

 エレベーターは誰のためにあるのでしょう?
この点、エレベーターは誰でも使用ができます。また、エレベーターはマンション全体の価値を支えているとも言えます。これらのことから、エレベーターは建物全体の共用部分と考えられています。

そのため、組合決議などで管理費に差を設ければ別ですが、上記のような一方的な減額請求は認められがたいでしょう。裁判例もそのような判断をする傾向にあります。


3回にわたって管理費の問題をお話しましたが、マンションのトラブルはさまざまです。次回以降に、それらのこともお話ししたいと思っています。


マンショントラブル、管理費を払ってもらえない! 2 【消費者問題】

弁護士の仲田誠一です。
 
 
今日は新聞休刊日ですね。毎日届けられるものが来ないというのはやはり寂しいですね。

さて、前回は滞納管理費の回収は難しいこと、をお話しました。今回も引き続き、マンションの管理費問題についてお話します。

滞納者本人から、あるいは競売から回収できない場合はどうなるのでしょうか?
まだ諦める必要はありません、法律上,滞納管理費は滞納していた所有者の「特定承継人」にも請求できるのです。


◇滞納管理費は「特定承継人」にも請求できる
「特 定承継人」とは、マンションの買受人、マンションを贈与してもらった人、抵当権実行などによる競売手続で落札した人、などです。一般的な法律の理屈からす るとそれらの人に滞納した人の責任を引き継がせるのはおかしいとも言えるのですが、多数の人が共同して建物を維持する、マンションの特性から,法律によって特別に認められているのです。
そこで、事実上、滞納者から誰かが区分所有権を受け継ぐのを待って、管理費滞納問題を解決するケースも多いのではないでしょうか。

逆に言うと、中古マンションの購入や競売入札を検討する際には、滞納管理費等の確認は必須です。必ず仲介業者や裁判所の備え付け資料により確認してください。



◇最後に…不景気が続き、破産の案件が非常に多く、弊事務所もさながら破産事務所の様相を呈しております。その中で、住宅ローンの負担に耐えかねて様々なところから借金をして、苦しい思いをしながら、頑張られるだけ頑張って最後に私の所へ駆け込まれる方も多いです。
結局,破産をしてしまうと家を手放さなくてはならなくなり、苦しい中で頑張って来られた期間がもったいなかった、早めに手を打てば早く楽になれたのに、という思いをされる方もいらっしゃいます。
そのような方がいらっしゃったら,是非お早めにご相談ください。解決策を一緒に考えましょう。

マンショントラブル、管理費を払ってもらえない! 1 【消費者問題】

弁護士の仲田誠一です。
 
 
先日、海老蔵さんに対する傷害容疑で容疑者が逮捕されたというニュースがありましたね。テレビのニュース速報で流れたのはびっくりしました。 みなさんはそんなに関心ありますか?最近、ニュースがワイドショー化しているような気がしていたんですが、まさかニュース速報までワイドショー化する とは・・・些細なニュースとは言えませんが、個人的にはもっと大事なニュースがあるような気がします。


さて、マンションでの生活は便利なものですが、他人が同じ建物で生活するとトラブルもつきものです。以前,某新聞コラムにも投稿したテーマで恐縮ですが,弁護士によく相談が寄せられる分譲マンションに関するトラブルについてお話しようと思います。
 
 
 
今回は,管理費の問題をお話します。

管理組合が一番困るのは管理費の滞納問題でしょう。近時は不景気が続き,住宅ローン破産者も増えているようで,管理費の滞納も増えているかもしれません。

管理費が滞納されている場合の対処法としては,口頭や手紙での催促,内容証明郵便での督促がまず行われるでしょう。それが効を奏しない場合に初めて法的な措置(支払督促あるいは少額訴訟)をとるという流れになるでしょう。
また,滞納がひどい場合には,法律上,専有部分(居室)の使用禁止や競売請求も認められます。

しかし,滞納者はそもそも滞納管理費を支払う余力がない方が多いでしょう。また,住宅ローンでマンションを購入した所有権に抵当権がついているため,物件価値からローンを差し引くと価値が残らない場合も多いでしょう。
そのため,上に書いたような手段によって,滞納者本人から滞納管理費を回収することや,競売により回収することは,現実には難しいかもしれません。

滞納者本人から,あるいは競売から回収できない場合はどうなるのでしょうか?
まだ諦める必要はありません,法律上,滞納管理費は滞納していた所有者の「特定承継人」にも請求できるのです。

少々長くなりましたので,次回にその点について詳しくお話しするとともに,所有者に相続が発生して管理費が滞納した場合の対応や,管理費の減額請求などにについてお話したいと思います。

整理解雇って? 【企業法務1】

弁護士の仲田誠一です。

 

先日、新聞で日航の整理解雇の記事を読みました、みなさんは読まれましたか?

「一部労組が提訴も辞さない構え」とも書いてましたね。

 

そもそも「整理解雇」って何でしょうか?

また,労組が提訴し訴訟になったらどのような点が審理されるのでしょうか?

 
そこで、今回は、「整理解雇」とはどういうものか、また訴訟で争われるとどのような判断をされるのかなどについてお話させていただこうと思います。またまた理屈っぽい話になるのですが・・・

 

 
◆ 「整理解雇」って何でしょう?

「整理解雇」とは、使用者(雇い主)が経営不振の打開や経営合理化を進めるために、余剰人員削減を目的として行う解雇です。

 
◇ 解雇は使用者の都合で認められる?
当然、解雇は簡単には認められません。
実は、民法上では、期間の定めのない労働契 約(通常の雇用契約のことです)について、当事者は「いつでも」解約を申し入れることができると規定されています。これは、「使用者の解雇の自由」と「労 働者の退職の自由」の保障を意味します。近代自由主義のたまもののような規定です。

しかし、解雇も自由に任せると労働者がたまりませんね。労働は生計維持の手段であるばかりでなく、人格発展の機会でもあるからです。もし解雇されたら、労働者は、大きな経済的不利益および人格的不利益を被りますね。

そこで、労働法は,「使用者の解雇の自由」の原則に修正を加えて、労働者の雇用保障と不利益回避を図っています。
すなわち、解雇は、「客観的に合理的な理由」を欠き、「社会通念上相当」であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とされます。
こ こで、「客観的な合理的理由」は就業規則上の解雇事由に当たるか等によって、「社会的相当性」は、労働者の事情・過去の行状・他の労働者の処分との均衡・ 解雇手続が適正か等の事情によって、判断されます。難しくなってきましたが、要は、解雇には、従業員から職を奪ってもしかたがないと客観的に認められる事 情が必要です。

その際、就業規則の定めが重要になりますから、経営者の方は、就業規則をちゃんと整備しているか確認してくださいね(就業規則にはきちんと整備しないといけない決まりが他にもあります、機会があればお話します)。

 

◇ 整理解雇の特殊性は?
「整理解雇」も、もちろん「解雇」の一類型です。そのため、上のような理屈が当てはまります。
ただ、整理解雇には、普通の解雇と違い、労働者側に責任がなくもっぱら使用者側の事情によること、解雇される従業員が通常多数に及ぶ、といった特殊性もあります。
そのため、整理解雇の有効性は厳しく判断されそうですよね。

 

 

◆ 裁判ではどのような点が審理される?

上のような「整理解雇」の特殊性から、現在、「整理解雇の4要件」(「要素」とされる場合もあります)という「厳しい」判例法理が構築されています。昭和50年代に採られた大企業の雇用調整をモデルにしたと言われています。
その4つの「要件」(「要素」)とは、
①人員削減の必要性があること

②使用者が整理解雇回避のための努力を尽くしたこと(解雇回避努力義務)

③被解雇者の選定基準および選定が公正であること

④労働組合や労働者に対して必要な説明・協議を行ったこと

です。

整理解雇の有効性が裁判で争われると、上記の4要件(要素)に沿った審理がなされることになります。つまり、経営上本当に必要なのか、解雇以外の道を十分探ったのか、不公平な人選になっていないか、労働者側とちゃんと話をしたか、等についてチェックされるのです。

冒頭に書いた日航の場合,訴訟に発展するとどういう判断が下されるかについてはもちろんわかりません。ただ、裁判所の判断は、以前より、やや解雇を 認める方向に柔軟化されているように感じます。会社が自己破産等破綻してしまうと「元もこうもないではないか」という考えが事実上判断に投影されているか もしれません。

 

 

ずいぶん難しい、ややこしい話になってしまいました。
弊事務所の事務員さんからも、内容が堅苦しくておもしろくない、と突き上げを食らっています。もっとやさしい、おもしろいテーマを選んで書こうと努力いたします。

 


「契約」とは?なぜ守らないといけない? 【身近な法律知識】

弁護士の仲田誠一です。

本当に寒いですね。
弊法律事務所と裁判所との10分程度の往復も辛いです。口に出すとよけい寒くなるのでいけないとは思いつつ、人に会うとついつい口に出てしまいます。

これから、身近な、しかもよく考えてみると難しいという法律の問題を【身近な法律知識】として随時紹介していきたいと思っています。
今回は、「契約」についてです。契約とは何か?という問題は、初歩的な話のようにも感じられるでしょう。でも、実は契約の成否や内容が裁判で争われるケースが結構多いんですよ。

契約とは何でしょう?簡単なようでしかし言葉で説明しようとすると難しいんです。
「合意」=「契約」でしょうか。
しかし、世の中の「合意や「約束」のすべてが法的に「契約」と評価されるわけではありません。
デートする「約束」などは法的には「契約」とは言えないようです。

では、「約束」あるいは「合意」と「契約」はどう違うのでしょうか?
難しい言い回しで恐縮ですが、合意内容が実行されなければ法的な手段によって強制される義務(権利)がある「合意」だけが法的に「契約」と評価されるのです。

次に、契約はいつ成立するのでしょうか?
「契約書」が作成されないと契約は成立しないと考える方がいらっしゃいますが、そうではありません。
契約というものは、原則として「申込」と「承諾」が合致すれば成立するのです。 一部の契約を除いて、口約束でも「契約」が成立します。
ただし、あとで言った言わないのトラブルになりかねません。そのため、契約書を作成して、証拠として残すのです。

もっとも、いつ申込と承諾が合致したのか、と評価できるかはなかなか難しい問題です。

例を1つを挙げてみましょう。
住宅を借りる場合には、下見、申込証拠金、重要事項説明、契約書作成、引渡し、といった流れになると思います。
どの段階で契約が成立するのでしょう?

不動産仲介業者へのアンケートの集計結果を見たことがあるのですが、業者の意見もまちまちでした。
契約書作成あるいは引渡しの段階で契約が成立していること、下見の段階では契約が成立していないことは問題ないでしょう。
それでは、申込証拠金を出して物件を仮押えしてもらったときや重要事項説明を受けたときはどうでしょう?

なかなか難しい問題ですが、法的に言うと、契約には、その契約類型ごとに要素(絶対に決まっていないといけない事項)があります。
それらの要素について合意した段階で契約が成立したと評価されることになると思います。

上の例で言うと、建物賃貸借の要素とは、
 ①主体(借主・貸主)
 ②物件(の特定)
 ③賃料
 ④賃貸借期間(返還合意)
といったところです。

契約の成立は、具体的な事情によって、それらがどの段階で合意されたか判断されることになります。

このように考えると、建物賃貸借契約では、少なくとも重要事項説明を受け了承すれば、契約成立と言っていいでしょう。重要事項説明にはそれら要素がすべて含まれているからです。
もちろん、ケースによってはその前に契約の成立が認められるケースもあります。

このように、具体的事情によって、また契約の種類によって、契約の成立時期は異なります。そのため、契約の成否が裁判で争われることが稀ではないのです。

今回は少し小難しい話で退屈でしたでしょうか。契約にまつわる問題はたくさんありますので、機会を見つけてご紹介していきたいと思います。


家族の安心のために遺言を 2 【相続問題】

弁護士の仲田誠一です。

前回は、遺言がなぜ必要なのかについて、「相続の際の争いやトラブルを防ぎ、残されたご家族等の安心・幸せを守るためである」というようなお話をしました。
今回は、遺言の作成方法と注意点について簡単にお話します。

【遺言の種類】
遺言の作成というと、一般的には「自筆証書遺言」と「公正証書遺言」が利用されるでしょう。
自筆証書遺言とは、その名のとおり、自署により作成します。正確には、遺言を作成する人が、遺言全文、日付及び氏名を自署し、それに印を押して作成します(民法968条)

公正証書遺言とは、これまたその名のとおり、公証人が作成するものです。原則として公証人役場に本人及び証人が出頭し、公証人が内容を聞き取った上で作成してくれます。

遺言は、方式を誤ると無効になってしまうものであり(「要式行為」といいます)、また表現を誤ると無駄になってしまうものです。
せっかくご家族のことを想って作成しても意味がなかったということにもなりかねません。将来の争いを確実に起こさない形であなたの意思を更生に残すためには、費用や手間がかかっても公正証書遺言が安心だと思います。
また、公正証書遺言は、家庭裁判所において遺言書を確認する「検認」という手続きの必要がないというメリットもあります。
遺言作成の細かい注意点は、またの機会にお話しますね。

【遺言の作成方法】
誰が作れるかというと、15歳以上であれば、原則として遺言を有効に作成できます。
ただし、成年後見人等には制限がありますし、判断能力がない状態では有効に作成できません。遺言の有効性については、痴呆の気がある方が亡くなる直前に作成した、特定の相続人に有利な遺言の場合によく争われます(他の兄弟などを出し抜いて作らせる人が結構いるんですよ)。
作成方法は、市販の書籍を利用して自筆証書遺言を作成するのが一番簡単なのは確かでしょう。

しかし、自分で作成した遺言が無効であったり、無駄になってしまう例 は少なくないんです。実際に私が扱った事案でも、亡くなられた方の面倒をずっと見ていた依頼者で、それに対する感謝の意味で遺言を作成してもらっていた が、遺言の表現が誤っていたために縁遠い相続人に遺産を多く取られてしまったという残念なケースがありました。
ちなみに、亡くなった方と親交がなく、突然遺産を受け取る人を、「笑う相続人」なんて呼んだりします。

あなたの思いを法的に有効な形で実現するために、また遺留分請求などの紛争を将来生じさせない遺言をするために、弁護士などの専門家に遺言作成の相談あるいは作成依頼をすることをお勧めします。
専門家に依頼すると確かに費用がかかるのですが、残される家族の幸せの保険料と考えれば高くはないと思います。


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