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旧コラム 2010年12月 3ページ目

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家族の安心のために遺言を 1 【相続問題】

弁護士の仲田誠一です。相変わらず寒いですね!鍋がおいしいです。
私の好物は、白菜ではなくキャベツを大量に入れたキムチ鍋です。締めはちゃんぽん麺にしてます。鍋はついつい食べ過ぎてしまいがちですが、ほとんど中身は野菜だからと言い訳をしてたらふく食べています。

さて、今回は相続問題として、遺言の話をさせていただこうと思います。
「なぜ遺言の作成が必要なのか?」
遺言の作成キットなどが書店にも並び、遺言に対する関心は高まっているようですね。言うまでもなく、遺言はあなたの「最期の意思」です。あなたの思いを遺産の分配などに実現したい場合に、遺言が役に立つのは当然です。
もっとも、遺言はむしろ「残されたご家族の幸せ」のために必要です。事業者の方は、事業承継の問題となります。事業資産や持ち株の後継者へのスムーズな引継ぎが必要です。
そのため、遺言も必要になるでしょう。

また、お子様のいらっしゃらないご夫婦の場合には、一方が亡くなられ た場合には、配偶者のほかに義理の父母(父母が既に亡くなられている場合には兄弟姉妹、兄弟姉妹が亡くなられている場合には甥姪)にも法定相続分が発生し てしまいます。相続財産が預金ならまだしも、ご自宅を所有している場合には共有状態となってしまい、争いが起こって、残された配偶者が自宅の維持に困るこ とまで考えられます。
兄弟姉妹には遺留分はないため(遺留分についてはまたの機会にお話します)相続人が配偶者と兄弟姉妹になるケースでは、遺言さえ書いておけばトラブルが防げます。さらに、それ以外の皆さんにとっても、残された家族の幸せのために遺言が必要です。

確かに、ご自分が亡くなられた後にご自分の家族が相続財産をめぐって対立することは想像できない方が多いと思います。しかし、残念ながら、相続を機に家族が対立することは決して珍しくありません。
それは、遺産の大小にかかわらずです(むしろ財産が小さい方が全相続人が満足する分け方ができず争いになるとも言えるでしょう)。

遺言により、法定相続分による分割の不都合を防ぎ、相続人間の争いを防ぐことは、残されたご家族の幸せのために大切なのです。
ご家族への最期の愛情表現、あついはケジメですね。
もっとも、遺言内容によっては、相続の争いをかえって招きかねないことも注意してください。

それでは、次回は遺言の作成方法や注意点についてお話します。


敷金、原状回復義務について 2 【消費者問題】

弁護士の仲田です。本日は前回の続き「原状回復義務」についてお話しますね。

前回少し触れましたが、確かに借家人には「原状回復義務」がありますが、「新品同様に戻す」という意味ではないんです。
住むために借りるのですから建物は当然によごれますよね。したがって、建物の通常の使用に伴う損耗(通常損耗)及び経年劣化は当然に予定されるものですから、家賃によって賄われるものとされています。
国土交通省が公表している「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」に詳しく書かれているので、ご興味がある方は参照してみてください。
といっても、通常損耗も借家人の負担とする特約も条件付で有効とされています。
簡単に要件を書くと
①特約の必要性があり暴利的ではないなど客観的合理的理由があること
②賃借人が通常の原状回復義務を超える義務を負うことを認識していること
③特約による借家人の義務負担の意思表示があること
です。

そのため、上記のような特約が賃貸借契約に盛り込まれているのかもしれません。
ただし、そのような特約がある場合であっても、事情によって、信義則に反し消費者の利益を一方的に害するものとして消費者契約法10条により無効になりえます(機会がありましたら詳しく説明させていただきます)。
原状回復義務の範囲が争われるのは建物退去後の敷金返還の場面だと思いますが、契約の段階で上記のような賃貸借契約を結ばされてしまうとトラブルの素です。できれば、契約段階でトラブル発生を防ぎたいものです。
賃貸借契約に限らず、契約書に署名捺印をする際には、内容をよく読んで、「うるさいやつだ!」と思われるのも覚悟で、おかしいと思ったところは必ず確認して下さい。

ちなみに、保証人をとった上に保証会社との契約を要求する業者も多いようです。なんかおかしいですよね。
以前は保証人がいない場合に保証会社との契約を要求するのが一般的だったと思います。こちらも交渉して、保証会社との契約は外してもらいました。


敷金、原状回復義務について 1 【消費者問題】

弁護士の仲田です。
金曜日は、異業種交流会の忘年会でした。忘年会のシーズンに入り、最近寂しい流川界隈も賑やかでした。

さて、今後、皆さんにお役に立ちそうな話や私が興味を持っているお話を、随時お話させていただきたいと思います。
今回は、消費者問題として、敷金、原状回復義務についてお話します。

私は最近引越しをしましたが、業者から出された賃貸借契約(その中の特約)がヒドイものでした。単なる「汚れ」も含めた退去時の原状回復費用がすべて借主負担であり、しかもハウスクリーニング、畳の張替え、クロスの張替えも借主負担とするという契約でした。このような契約であれば、貸主は事実上借主負担において無限定で(敷金を超えて)部屋を新しくすることもできます。恐くて契約できません。
そのため、私は契約書の該当箇所を訂正してもらいました(「うるさいやつだ!」と思われたでしょうが・・・)。

このような契約は、借主側の負担を不相当に重くするもので、広島の賃貸契約書がすべてこのようなものであれば非常に問題だと思います(貸主側の事情もよくわかりますが、法律判例に則った公正な社会であって欲しいです)。

借家人には、確かに「原状回復義務」があります。でも実は「原状回復義務」とは新品同様に戻すという意味ではないんです。
次回、「原状回復義務」の内容について詳しくお話しさせていただきます。


「近況報告:法人関係 特に内部統制」

弁護士の仲田です法人関係の近況を報告します。 法人関係の仕事といえば、法人の自己破産ですね。不況が続き、一部の元気な会社を除いて中小企業はすでに限界に来ています(二極化しているのでしょうか)。 また、法人に破産申立をするお金すら残っていないため、法人の破産を諦め、 代表者個人のみ破産を申し立てるケースが多いです。できれば代表者だけではなく法人も自己破産した方か債権者のために少しでもなるのですが。 さらに、従業員の不祥事関連の訴訟等も意外に多いです。 さて、仕事からは少しそれますが、現在、中小企業の内部統制全般を研究しております。 前職の銀行員時代、私が内部監査や内部統制を所管する部署におり、その関係でCIA(公認内部監査人)という資格をとっています。 ところが、現在の内部統制 論、コンプライアンス、内部監査論は大企業向けのものに止まっております。中小企業に当てはめるには、かなりの工夫が必要だと感じております。 今のところ、中小企業の経営者の方々は、それらに対する興味があまりなく、残念ながらニーズが高いとはいえません。 しかし、それらのリスク管理をおろそかにしてしまうと企業の存続自体を危機に陥らせる危険があり、非常に大切なものです。 少しでも経営者のみなさんの意識を変えてもらえればと思い、現在、某大学等と連携して、来年度から経営者(及びその後継者)向け講座を開くよう準備しているところです。 「リスク管理は、損失を防ぐあるいは極小化させるためにだけあるのではなく、 利益を極大化させるためにも必要だ。」ということをお伝えできればと準備を進めて います。 また、私が力を入れている消費者問題も裏を返せば消費者を相手とする企業のリスク管理の問題ですので、それらの知識も経営者には必須のものである ことも伝えていきたいです。 今後、これらのこともみなさんにお話させていただこうと思っております。

「近況報告、個人関係、特にショッピング枠の現金化」

弁護士の仲田です。近況報告をさせていただきます。
<本日は個人関係のお仕事の近況をお話します。法人関係の近況は次回に書きますね。
個人関係の仕事といえば、やはり相続、離婚、債務整理(特に自己破産)が多いです。
悪徳商法等消費者問題にも積極的に取り組んでおります。

お仕事以外では、マンショントラブルについて最近2回にわたり毎日新聞にコラムを書かせていただき、また現在シニア層向けのフリーペーパーである「CHIC・シック」に遺言・成年後見・相続について記事を連載させていただいております。
最近、自己破産で特に問題となっているのが「ショッピング枠の現金化」の問題です。よく報道もされていますね。
「ショッピング゙枠の現金化」というのは、まず、業者(ヤミ金まがいの業者が多いです)から価値のない、あるいはほとんどない物をクレジットカード゙で高額で購入します(インターネットで簡単に手続ができます)。そしてクレジット会社から業者に払われる立替金(購入代金)から業者が高率の手数料を差し引いた現金を依頼者に渡すというものです(もちろん依頼者は立替金全額の返済義務があります)。貸金業法改正の影響で新たな借入れができなくなった方が勧誘され、藁をもつかむ思いで利用してしまうケースが増えてきています。

「ショッピング゙枠の現金化」の問題点
依頼者から見れば高金利でお金を借りた(高額の手数料が引かれた現金を手にするので)のと同じように感じてしまいます。
法外な手数料をとるそれ自体が問題なのですが、実はこれは犯罪といって言い行為であり、後に行き詰って(ここまで追い詰められると行き詰るケースがほとんどです)自己破産をする場合に支障もきたします。
価値を偽ってあるいは商品の購入実態がないのに信販会社へ立替金を請求するということでクレジット会社に対する詐欺になりうるのです。
もちろん依頼者にとっては追い詰められてしてしまった行為です。
しかし、裁判所はこのような行為に厳しいです(破産法で、このような場合には借金を棒引きにしてはならないと定められている免責不許可事由の1つに該当します)。
その場合に、破産(正確には免責)が全くできないわけではないですが、裁判所に免責を認めさせて困った依頼者をお助けする際に大変苦労をします。

私が日弁連の会合に出席した際、警察担当者の方が、 業者の実態がつかみにくいことと詐欺罪で立件すると利用者が犯罪の共犯となってしまい処理が難しいこともあって、摘発が難しいとおっしゃっていましたが、最近は業者の摘発を頑張っているようです。

なお、破産に支障をきたすのは、クレジットを返済する前にクレジットで購入した品物を質屋さん等に売却してしまうケースも同様です。
通常クレジットで購入したものは返済するまで所有権は購入者にはなく、クレジット会社等にあります。そのため、商品を勝手に売却すると、それも犯罪的行為となってしまうのです

ご相談に来られた方にそのような行為をされた方がいらっしゃると、もっと早めに相談していただければ先を見据えたアドバイスができたのにと残念に思うところです。
他にも破産法上やってはいけないことは多々あり、借金でお困りの方は問題を拡げる前にご相談いただければ助かります。

それは、借金問題に限りません、追い詰められる前に、争いを複雑化してしまう前に、お困りごとを弁護士に相談していただければと思います。

次回は、法人関係の近況をお話します。


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