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旧コラム 離婚問題 3ページ目

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経営者の離婚 [離婚]

広島市の弁護士仲田誠一です。

経営者の離婚についてお話をします。

同族中小企業の企業法務にも関わりますね。

 

経営者の相続と同様、経営者の離婚も、給与所得者の相続、離婚と違った難しさがあります。
けっこう大変なのです。

 

まずは自社株、個人所有の事業用資産、会社への貸付金等が財産分与対象となりうることです。
これは経営者の相続の場合と同様ですね。
ここでまず、ややこしい話になります。

平時には、経営者はそれらが財産だとは思っておりません。会社のための財産だと思っているでしょう。
ところが、離婚になると、個人の財産という現実に直面するのです。
自社株が財産分与財産になるのか、その評価はどうなるのか、あるいは事業用資産はどう保全するのか、会社への貸付金を現金化できるのか等、進め方に工夫が必要です。

株式の評価が高い場合には、現金化できない資産であるにも関わらず財産分与に苦労します。
株式現物を分与してもいいのですが、経営の安定のためには現物ではなく金銭で分与するという方法を考えるでしょう。
債務超過会社ではない限り気を付けないといけませんね。

会社への貸付金も財産ですからね。
会社が倒産状態ではない限り、法的には財産としてカウントされてしまうでしょう。
予め銀行借入等で個人と会社の貸借関係を整理した方がいいかもしれません。
事業承継、相続対策と同じです。

事業用資産(例えば工場の土地建物)が個人所有の場合には、財産分与の対象となることがありますね。

不動産については、担保分を評価額から控除してくれることは原則としてできないことは相続の場合と同様です。
事業用不動産などを売却してお金に換えることはできません。
金銭で分与をする、あるいは他方配偶者の名義である場合には買い取るということもしないといけないでしょう。


勿論、先代からの事業承継で相続・贈与で得た株式や事業用資産は原則として財産分与の対象とはなりません。
例外として、他方配偶者に当該財産の維持等に一定の寄与が認められる場合には寄与の分だけ分与が認められることがあります。

 

また、配偶者が会社役員になり、報酬をもらっている、従業員となっている場合も、ややこしい話になります。
役員を解任するのか、その場合に会社に損害賠償義務が発生するのか、解雇ができるのか等々、進め方に工夫が必要です。
節税対策が裏目に出てくる場面です。

実際に、取締役となっていた他方配偶者を解任し、残り任期分の役員報酬相当額の損害賠償請求をされる例もあります。
取締役はいつでも解任できますが(もちろん議決権を確保しておかないといけませんが)、正当な理由が無い場合には損害賠償請求がなされ得ます。
離婚は正当な理由にはならない可能性が大きいです。
他方配偶者を役員にするのか、取締役の任期は何年にするのか、リスクを考えた上で決断しておかなければいけません。
役員の任期は、閉鎖会社では10年まで伸ばせることになっておりますが、離婚時にはリスクが高いですね。

節税対策が裏目に出てくる点は、事業用資産を配偶者名義にしているケースもありますね。上述のとおりです。

 

このような会社経営者の離婚は、給与所得者の離婚と比べて、考えないといけないことが多いためご注意ください。

株式と個人所有の事業用資産、役員の任期・報酬を例に挙げて説明させていただきました。

会社のリスク管理としてもきちんと考えておかないといけないことです。

 

離婚婚姻費用養育費財産分与慰謝料請求等、離婚問題のサポートはなかた法律事務所にご用命を。

 

広島の弁護士 仲田 誠一

なかた法律事務所

広島市中区上八丁堀5-27-602
 

https://www.nakata-law.com/

 

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給与収入と事業所得がある方の婚姻費用・養育費 [離婚]

広島市の弁護士仲田誠一です。

今回は離婚のお話をいたします。

 

婚姻費用養育費の金額について所謂算定表というものが存在するのはご存知でしょうか。
インターネットでも算定表を見ることができますね。

弁護士は勿論、調停員も裁判所も算定表を見ます。
法律ではないですが、その妥当性が広く認められているため、事実上参考にされるものです。
調停では算定表を基にして調停成立が図られますし、審判、訴訟でも算定表の考え方に沿って計算されている例が多いです。

 

離婚のご相談いただいた際は、双方の収入と家族構成がわかれば算定表を見てある程度の相場を答えることができます。
算定表は絶対の基準ではありません。
実際には、双方の生活状況を家計収支表などで説明し、具体的に妥当な金額が定められることになりますので、一応の目安と考えてください。
口座引き落としなどで相手の生活費を支払っている場合など、どこまで反映されるか明確にはお答えできないケースも少なくありません。

また、算定表はモデルケースを基に作られているので、事情がそれと異なる場合は、算定表を作成する基となった計算式に立ち戻って計算をしていく必要があります。
これがなかなかややこしい計算で、その場で数字をお答えするのは難しいです。
大学生の子がいる場合や、住宅ローンがある場合などですね。

 

計算が難しいケースの1つに、給与収入と事業所得の両方がある方のケースがあります。

いろいろな考え方があることは承知の上で、大きく2つの計算方法を示すと、
①給与収入を事業収入に換算して事業収入額に加算する方法、
②事業収入を給与収入に換算して給与収入に加算する方法
です。

収入を他の収入に換算するのも算定表によりますが、①と②で計算結果に多少金額のずれが出てくるので厄介です。


かつ、計算の際には、様々な控除等をどう扱うか、更に議論があります。
減価償却費は各種控除などの扱いです。


そのため婚姻費用養育費の見込額をお話しするときは、様々なパターンを検討して幅のある見込みを立てる必要が出てきます。

 

離婚に絡む問題は定説がない議論も多くあるのですが、これもその1つです。

婚姻費用養育費の問題は一見簡単なように見えます。
しかし、ケースバイケースの判断がなされる事柄です。実際は解決に苦労することが多いです。

 

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氏の変更のお話 【離婚問題】

広島市の弁護士仲田誠一です。

今回は、あまり弁護士が目にしない離婚の周辺問題のお話を1つ。
 
離婚に際して、氏(苗字)を変更していた配偶者は、婚氏(結婚時の氏)を続称するか婚姻前の氏に復氏するのかを選択できます(期間制限はありますが)。
1度目の離婚ではあまり問題になりませんが、2度目以降の離婚では、やっかいな話が出てくるのです。

仮に、前婚で婚資氏続称を選択していた場合、再婚後離婚した際に、選択できるのは2回目の結婚時の婚資を続称するか、離婚の前の氏(前婚の配偶者の氏)に戻るかなのです。
届け出だけで生来の氏(生まれながらの氏)に戻ることはできないという問題が生じます。
 
それではどうしたらいいのでしょうか。
氏を変更するには、家庭裁判所に氏の変更許可の申立てをし、許可審判を得る必要があります。
変更を求める氏の通称としての使用実績や変更の必要性がきちんと吟味され、簡単には認められません。
戸籍上の氏を変更するのは大変です。
そのため、誰かが氏を変更したと言っても、戸籍はそのままで通称を変えているだけの方も多いです。
 
でも、上述のケースでは、たまたま前婚離婚時に婚氏続称を選んだために生来の氏に手続上戻れないだけですね。生来の氏に戻ることを許しても何も問題がなさそうです。

そこで、そのような場合には、簡単にできる婚姻前の氏への変更に準じて、通常の氏の変更よりも許可が得られやすい傾向となっています。
変更許可申立てが権利濫用にあたる、あるいは変更により社会的な支障が生じる等の事情がない限り、生来の氏への変更を許可すべきとする裁判例があるのです。
 
ところが、先日、上述の例で氏の変更が許可されなかった事案の即時抗告を経験しました。
家庭裁判所では、氏の変更の必要性を通常の氏の変更許可申立てと同様に厳しく吟味され、氏を変更する止むを得ない事情がないと許可されなかった事例でした。
上述の裁判例等とは思考方法が逆ですね。原則ダメで例外的にやむを得ない事情があるか判断するという考えです。
家庭裁判所が上述の裁判例を知らないわけではなかったのでしょうが、家庭裁判所の判断は納得ができないものでした。
勿論、本人が代理人をつけずに手続をしていたので、上手く裁判所を納得させられなかったのかもしれません。
 
そのため、即時抗告から代理人としてかかわりました。
抗告審たる高等裁判所には上述の裁判例の存在等を説明して、無事に原審判を取り消してもらい、氏の変更の許可を出してもらいました。
抗告審で原審判の結論が覆るのはなかなかないのですが、今回はきちんとこちらの主張を理解していただき一安心しました。
 
離婚財産分与慰謝料、氏の変更のご相談はなかた法律事務所へ。
 
広島の弁護士 仲田 誠一
なかた法律事務所

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婚姻費用における未成熟子とは [離婚問題]

広島市の弁護士仲田誠一です。

婚姻費用における未成熟子のお話です。


離婚の際に問題となる婚姻費用とは、「夫婦とその間の未成熟子が通常の婚姻共同生活を営む上で必要な一切の費用」です。
収入が多い方の配偶者は、離婚するまでは配偶者と子供の生活費も一定額負担しないといけません。
婚姻費用分担請求は、離婚調停と同時に婚姻費用にかかる調停を申し立てることが多いです。


なお、離婚したら、養育費だけの問題となります。

婚までは配偶者と子の生活費補填、離婚後は子だけの生活費補填となり、通常は、
婚姻費用養育費
となります。

ところで、婚姻費用の分担の対象となる未成熟子とは、「経済的に自ら独立して自己の生活費を獲得すべき時期の前段階にあって未だ社会的に独立人として期待されていない年齢にある子」と表現されるようです。

未成年ではないのです。未成熟子であることにご注意ください。

どのような場合に成年の子が未成熟子として婚姻費用分担の問題、すなわち離婚の問題として解決されるのでしょうか。よく問題となるのが、成年に達した大学生、大学院生、留学生の学費や生活費、仕送り費用をどう負担していくのかという場合です。


婚姻費用あるいは養育費の終期、婚姻費用分担あるいは養育費に関する算定表との関係で上乗せがどこまでできるのかといったような問題として争いになります。

基本的には成人であれば婚姻費用とは関係なくなります(夫婦間の問題ではなく、子と親の扶養義務の話になります)。

現在学生である子は成年していても未成熟子とみられる可能性が高いと言えましょう。
しかし、明確な年齢基準はなく、また学費等の負担については進学時の事情等も考慮されます。
「この場合はこうです」と簡単に説明できることではありません。ケースバイケースの判断になってしまいます。

なお、子がまだ小さい場合の婚姻費用あるいは養育費の終期という点では、審判では基本的には20歳までです。大学進学が予定されていると明らかな場合等には例外的に22歳ということもありますが、あくまでも例外だと思ってください。
大学進学費用等は、特別の費用として将来また決着をつけないといけない話になるでしょう。
勿論、合意であればどのようにでも決められます。

例えば、子2人で一人が成年の大学生である場合は婚姻費用をどう決めるのでしょうか。

権利者である配偶者と未成年の子、成人の未成熟子(大学生等)、義務者である配偶者の3グループに分けて、基礎収入、生活指数等を計算して、あるべき婚姻費用を考えることが経験上多いです。
権利者である配偶者、未成年の子、成年の未成熟子3人と義務者である配偶者の2グループには分けて考えない傾向ですね。
成年の未成熟子については、必要生活等を計算し、実際の学費の負担状況を見ながら、婚姻費用金額に反映させる(あるいはそれ以上学費を負担しているから婚姻費用には反映しない)とするケースが多いと思います。


算定表を見れば済む典型例なら別ですが、そうではない婚姻費用養育費を計算するのはけっこう難しいことです。


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婚姻費用分担金額、養育費金額の変更はできるか [離婚問題]

広島市の弁護士仲田誠一です。

離婚の話です。
 

離婚係争中(別居中)の婚姻費用金額、離婚後の養育費について、一度決めた金額を変更できるのでしょうか。

もちろん、一旦決めた金額を一方が自由に変更することはできません。
 

婚姻費用養育費は、それを決めたときに存在した事情、あるいは予測できた事情を基に金額を合意(協議離婚あるいは離婚調停・婚姻費用分担調停で決まったとき)ないし決定(婚姻費用分担の審判、離婚訴訟で決まったとき)されています。
 

金額を決めた後に決める時には予測できなかった事情が発生すれば、当然として変更を行う必要が出てきますね。
元配偶者双方とも収入が増減することはよくありますし、被扶養者や扶養者が増えるときもあります。
様々な基礎事情が変更することは珍しくはありません。
 

事情の変更により従前の約束や調停、審判結果を維持するのが不公平となった場合には、金額を増減することができ、そのための調停、審判手続が用意されています。婚姻費用の増額・減額、養育費の増額・減額の調停・審判ですね。
 

事情の変更としてよく主張されることは、収入の増減、被扶養者の増加(子の誕生)ですが、限定はされていません。

勿論、事情の変更があったら自動的に変更されるわけではないです。

事情の変更があったことは前提として、現在の婚姻費用養育費を維持することが当事者の公平を害することが必要です。
単純に双方の収入状況が変わったから変更してくれるわけではないのです。
減額調停あるいは増額調停時の状況により改めて相当な養育費婚姻費用を算定するというイメージではありません。いったん決めた金額を維持するのが公平を害するかどうかの判断がなされます。
増減金額も具体的な状況によります。その時点での算定表所定の金額になるというわけでもありません。

再婚等により被扶養者の数が増えた、あるいは扶養者が増えた場合を除いて、簡単には変更してくれるわけではありませんが、具体的な経済状況等も説明して変更してもらった例も勿論あります。

なお、事実上の話ですが、合意や調停で決めた婚姻費用養育費は、審判・訴訟で決めたそれらよりも変更し難いと言われています。同意により決めたのであれば、同意に至る様々な事情が考慮されてしまうからです。
一概にそうと言い切れる話ではないですが。

養育費婚姻費用が多すぎる、あるいは少なすぎると感じられたなら、何か前提とされた事情が変更しているはずです。
法的にどのように主張を組み立てて増減ができるのかを、専門家とご相談ください。

 

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子の面接交渉、面接交流2 【離婚問題】

広島市の弁護士仲田誠一です。


前回子の面接交渉、面会交流についてお話しました。
今回は補足です。


面接交渉、面会交流に対する裁判所の態度が厳しいというお話をしましたが、具体的には別居中あるいは離婚した相手方から子の面会交渉、面会交流に関する調停を申し立てられて争われます。
こちらが家を離れている場合にはこちらが申し立てることになります。そこで、裁判所は早期の面会交流をかなり強く促してくるのです。


裁判所が厳しいと言っても、こちらがなかなか応じられないという態度を示し説明を尽くすと、家裁調査官の調査や試験的面接を入れてくれるという配慮は見せてくれます。
ただ、調査の結果や試験的面接でよっぽど会わせるのが子の福祉に適合しないと判断されない限りは、継続的な面会交流を離婚が成立する前でも要求され、促されます。


話し合いが成立せずに調停が成立しなければ審判という手続に移行し、裁判所が面会交流の有無及びその方法を定めることになります。
審判になるとある程度面会が認められるということを念頭に置く必要があるでしょう。
そのことを念頭に、柔軟な調停解決の方向で進めることも多いです。
審判と異なり、調停ではきめ細やかな取り決めも可能ですから。


ところで、面会交流が調停、審判で定められて実行されなかった場合はどうなるのでしょうか。
離婚できたからもう会わせなくてもいいやと相手が腹をくくった場合です。


子は物ではありません。財産給付を求める権利と違って、子を差し押さえたり、強制執行で持って来たりはできないのはおわかりでしょう。
これも近時、統一的に裁判所が運用を始めたようなのですが、間接強制が認められるようになったようです(そこまでする事例には幸いに出会ったことはないですが)。


間接強制とは、子に会わせろ、会わせなければ1月当たり○万円を支払え、という形で間接的に(財産的、心理的に)強制する方法です。
相手が払わなかったらどうするのか?金銭請求は強制執行できますが、執行できる対象物がなければ・・・・です。


では会わせて貰えない親はこれと引きかえに養育費の支払いを拒否することができるのか。
事実上はバーターで争う道を選択してもよいのでしょうが(その選択を進める場合もあります)、法的には難しいでしょう。
養育費は子の権利だからです。


離婚にまつわる問題は、理論割り切れる事柄ばかりではなく、なかなか難しいです。


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子の面接交渉、面接交流1 【離婚問題】

広島市の弁護士仲田誠一です。
 

久しぶりのコラム投稿です。


子の面接交渉、面会交流というと何のことかわかりますでしょうか。


別居後あるいは離婚後に、子と離れて暮らしている親と子には会う権利があります。
お子さんがいらっしゃる場合の離婚問題に付きものの問題です。
子の権利なのか親の権利なのか議論はありますが、建前は別として、実務上は親の権利として争われているような感覚です。


離婚の相談の際、「何も要らない、ただ子供は相手に会わせたくない。」、とおっしゃる依頼者がよくいらっしゃいます。
お気持ちは非常にわかります。いいかげんなことあるいは無関心なことをして家庭を壊した相手に子供を会わせて子供を混乱させたくないということでしょう。


現在の裁判所の実務は、DV等よっぽどのことがない限り、子を親に会わせるという運用です。
ハーグ条約なり子どもの権利条約なりが影響しているかはわかりませんが、この1,2年はとくに強く押し進められている気がします。
そこで、上のような相談をされてしまうと、「残念ながら相手方が望めば拒むのは難しいです、ただ方法は工夫しましょう。」とお答えせざるをえません。


弁護士は裁判所(相手方)と依頼者の間に挟まれて、試験的な面会を事務所で開いたり等苦労をするのですが、裁判所はわかってくれません。第三者機関が介入して面会交流を設定してくれる制度もあるようですが、費用と合意が必要です。


一方、子供に会いたい親の気持ちも十分わかることです。


難しい問題ですが、やや裁判所は早急に面会を実現しようとする態度にあるなと感じてはいます。
離婚を争って、いがみ合っている中で、相手と時間を約束して子供を預ける、って簡単にはできませんよね。

離婚が実現すれば安心して子供とあわせることができるという方もけっこういらっしゃるのですが。


もちろん、別居している側の親の代理人となれば、早急な面会実現を求めるのが弁護士としての務めです。
ただし、きちんとけじめをつけた会い方をするよう依頼者には説明します。


子の面接交渉の問題は、子が成年に達するまで続く問題で、偶に会う親の方はかわいがっていいことしか言わない、育ててる親は厳しくせざるを得ないため、子供が混乱してしまうっていう事例があり、一方では育てている親が子に一方の親の悪口を吹き込んで会いたくないと言わせる事例もあったり、法律的に結論が出る問題ではないため、弁護士も悩むところです。


「親が親としての自覚をもって子供に接する。」、これさえできればいいのですが。
まあ、自分も子供に甘いといつも怒られるので難しいのでしょう。


今回は離婚問題には付きものの、面会交流についてお話しました。



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弁護士 仲田 誠一

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「浮気をされて離婚されたら踏んだりけったり?」【相続家庭問題13】

弁護士(広島弁護士会所属)の仲田誠一です。


最近は,ちょくちょく料理を作ったり,皿洗いをしたりしています。やってみると,気分転換ができていいですね。昨晩はチャーハンを作りました。おいしくできました。

昨晩もそうだったのですが,私が炊事を手伝うのは,自分が仕事で疲れているときが多いです。仕事で疲れていらいらしている時ほどリフレッシュできます。

さて,今回は,久しぶりに離婚の話です。

以前に裁判離婚のお話をさせていただきました。その際に有責配偶者からの離婚請求について少しだけ触れたと思います。今回はそのお話をしたいと思います。


◆ 以前お話した内容

「裁判離婚の話」で,裁判離婚には「法定離婚原因」が必要だ,その「法定離婚原因」には4つの「具体的離婚原因」と「その他婚姻を継続しがたい重大な事由」という「抽象的離婚原因」があるとお話しました。

そして,不貞行為をしたなど婚姻関係破綻に責任がある配偶者からの離婚請求を,「有責配偶者の離婚請求」と呼び,有責配偶者が「婚姻関係が破綻したから別れたい」と言っても簡単に認められるものではない,ともお話しました。


◆ 踏んだり蹴ったり判決

他の女性の元に走って家を出た夫が,別居後十数年後に,もう婚姻関係が破綻したとして,妻に対して離婚を請求する訴訟を提起したとしましょう。
すでに長期間別居して婚姻関係はすでに破綻し,回復する見込みもないと考えてください。

ところで,抽象的離婚原因である「婚姻を継続し難い重大な事由」がある場合とは,「婚姻が破綻して回復の見込みがない」場合です。

客観的に見て,婚姻関係が破綻して回復の見込みがないのなら,「婚姻を継続し難い重大な事由」があり,したがって離婚を認めるべきだと思うでしょうか(積極的破綻主義と呼ばれます)?

確かに,形式だけの(実質を伴わない)婚姻関係に人をしばるのは,無意味だとも思えます。

しかし,有責配偶者の離婚請求を認めるのは,やはりすっきりしません。公平ではない,卑怯だ,と考えるもの人の自然な感情ではないでしょうか。

落ち度のない妻が離婚を望んでいない以上,不誠実な夫の請求なんて認める必要はないとも考えられます。

最高裁も当初はそのような立場でした。
夫の請求を認めると,妻は,「踏んだり蹴ったりだ」という理由であったため,「踏んだり蹴ったり判決」と有名です。浮気されて,しかも離婚されて,踏んだり蹴ったりだということですね。


◆ 条件付に離婚が認められるようになった現在

「踏んだり蹴ったり判決」から時代がだんだん下るにつれ,最高裁の態度は徐々に緩和されて来ています。現在では,不貞行為を行った夫または妻(有責配偶者)からの離婚請求であっても,条件付では認められるようになりました。

道徳で人を縛るのは現代的ではないということでしょうか。

その最高裁の事例は,別居後35年を超え,夫婦の間には子がいなかったケースでした。

理屈をご紹介します。

まず,有責配偶者の離婚請求は,信義誠実の原則(以前にも出てきました)に照らして許されるものでなければならない。

そして,その判断は,有責配偶者の責任の程度,相手方配偶者の婚姻継続の意思や感情,相手方配偶者の精神的・社会的・経済的状態,夫婦間の子の監護・教育・福祉の状況,別居後に形成された生活関係,これらに与える時の経過の影響,などの諸事情を考慮して,なされる。

有責配偶者からの離婚請求であっても,別居が年齢および同居期間に比して相当の長期間に及び,その間に未成熟子がいない場合には,特段の事情がない 限り,許される。その特段の事情とは,離婚すれば相手方配偶者が苛酷な状態におかれるなど,離婚請求を認めることが著しく社会正義に反する事情である。

というものです。

時代の流れに乗って,最高裁が離婚を認める事案の別居期間が,徐々に短くなって来ております。10年未満の別居期間であるケースも出てきています。

もちろん,離婚請求が認められるかどうかは,期間だけで決まるわけではありません。
最高裁は10年を一応の目安にしているのではないかなどと言われていますが,上に挙げた諸事情が総合考慮されますので,期間だけで目安をつけるのは無理な話です。

有責配偶者に有利な事情としては,毎月きちんと相手方配偶者に送金している,相手方配偶者に多額の財産分与を申し出ている,夫婦の子が成人になった,といったものがあります。
それらの事情があれば離婚が認められやすいようですが,それも一概には言えません。


◆ 最後に

諸事情を総合考慮して判断される点が争いになっている事件については,訴訟の見通しが難しいところですね。

いろいろな事例を探して,それとの対比で見込みをつける必要がありますが,当然に事件はそれぞれに違い,似たケースというものがない場合もあって,なかなか難しいです。

なお,裁判所は,原則を大事にして,事実の面であれ,評価の面であれ,例外ケース(「特段の事情」)をなかなか認めないなと感じることがあります。もちろん,一概には言えませんが。

 

じっくり話し合い、問題解決に導く法律のプロ 弁護士仲田誠一の取材記事はこちら!
(http://pro.mbp-hiroshima.com/nakata-law/)


裁判離婚の話 3  【離婚問題】

弁護士の仲田誠一です。catface

 

 

離婚をするかどうかまだ悩まれている方の法律相談を受けることもよくあります。
その場合,離婚を決意された場合の法的な説明はもちろんするのですが,どうしても人生相談の様相を呈することになります。

特にお子さんが小さい場合には悩みますね。
相談者と一緒に,
離婚後の生活はどうするのか?」
「苦しい生活を我慢して続けることがお子さんの幸せに繋がるのか?」
「やはりお子さんにとっては両親が揃っていた方が幸せなのか?」
「あなたにとって一度しかない人生を我慢して費やしていいのか?」
「我慢し続けてあなたの心が耐えられるのか?」
などと悩むことになります。

考えは人それぞれです。そのため,自分の考えを押し付けないよう気をつけています。
ただ,私は,「あなたが幸せになることが,周りの幸せに繋がるはずだ。」と必ず伝えるようにしています。clover

私に相談に来られるのも縁です,どういう形であれ幸せになって欲しいと願うのみです。

と言っておいてなんですが,今回も離婚の話をさせていただきます。
前々回が協議離婚の話,前回が調停離婚の話でしたので,今回は裁判離婚の話を簡単にさせていただきます。



◆ 裁判離婚とは?
離婚について同意が成立しない以上,いよいよ裁判で離婚を求めるしかなくなります。

裁判離婚とは,離婚請求を認容する判決によってする離婚です(もちろん裁判の中で,和解・認諾がされると判決によらずに離婚することができます)。

日本の法制度上,裁判離婚は,法定の「離婚原因」がないと認められません。
裁判所によって相手方の婚姻継続の意思を否定して強制的に離婚を成立させるわけですから,この場合なら強制的に離婚させてやろうという「離婚原因」が法律で決まっているのです。



◆ 法定の「離婚原因」って何?
民法770条1項に次の5つが定められています。
① 配偶者の不貞行為
② 悪意の遺棄
③ 3年以上の生死不明
④ 回復の見込みがない強度の精神病
⑤ その他婚姻を継続し難い重大な事由



◆ 「配偶者の不貞行為」とは?
自由な意思で行った配偶者以外の者との性的交渉です。
一般的には浮気のことですが,ずいぶん前の判例で,夫から生活費をもらえない妻が生活のために行った売春行為を不貞行為であるとした例があります。

結婚すると,貞操義務が発生します。その貞操義務に違反すると,離婚原因になるだけでなく,慰謝料の支払い義務も負います。

「どこまでが貞操義務に反する行為なのか?」はまた面白い問題なのですが,機会があればご紹介します。



◆ 悪意の遺棄とは?
夫婦は,お互いに同居・協力・扶助義務を負います。正当な理由もないのに,夫婦のそれらの義務を果たさないことが「悪意の遺棄」です。
多い例が,相手を捨てて家出することでしょう。単に別居しただけでは当たりません。



◆ 3年以上の生死不明とは?
生存を示す最後の事実があった時点から3年間,生きているか死んでいるかもわからない状態が続いたことです。
生死不明の原因や責任は問われません。
失踪宣告でも婚姻関係を解消できますが,7年かかりますので,早く婚姻関係を解消したいときは,この離婚原因が意味を持ちます。



◆ 回復の見込みがない強度の精神病とは?
これは一見するとひどい法律だと感じられるかもしれません。
そもそも夫婦には,協力・扶助義務があるはずです。「配偶者が強度の精神病にかかって回復しないなら捨てていいのか?」と思われますよね。

ただ,一方で,相手と精神的な交流が全くできない中で,婚姻生活を続けることを強制するのも酷だとも言えます。法律はこの点を重視したものです。

この点,判例では,さすがに配偶者が強度な精神病であることだけでは離婚を認めていません。
病気の配偶者の今後の療養や生活について具体的な方途を講じ,ある程度前途に見通しがついた上でないと,離婚は認めない(後で触れる裁量棄却をする)としています。「具体的方途論」と呼ばれるこの考え方には,賛否両論あるでしょう。



◆ その他婚姻を継続し難い重大な事由とは
こ れまで書いた4つの離婚原因を具体的離婚原因と言いますが,最後の「その他婚姻を継続し難い重大な事由」は,抽象的離婚原因と呼ばれます。先の4つの離婚 原因がなくても,婚姻が破綻して回復の見込みがない場合には離婚を認める,それは具体的なケースにより総合的に判断する,という意味の定めだからです。
離婚請求訴訟をする場合には,通常,4つの具体的離婚原因の主張と併せて,この抽象的離婚原因を主張して争うことになります(具体的離婚原因の立証に失敗しても,抽象的離婚原因の立証が認められれば訴訟に勝てるからです)。

どのような場合にそうと認められるかを説明するのは難しいです。度重なる犯罪行為による服役や,性的異常・性的不能,DV,著しい浪費癖,過度の宗教活動等のケースがあるようですが,あくまでも具体的な事情によって判断されます。

も ちろん,自分が不貞行為をしておいて,「婚姻関係が破綻したから別れたい」,と言っても,簡単に認められるわけではありません。そのような婚姻関係破綻に 責任ある配偶者からの離婚請求を,「有責配偶者の離婚請求」と呼びます。これを説明すると長くなるので,別の機会にお話します。



◆ 法定の具体的離婚原因があると認められれば必ず離婚できるのか?
そうではありません。
法律では,裁判所は,具体的離婚原因となる事実があったとしても,一切の事情を考慮して離婚を認めないことができるとされています。
「裁量棄却」と呼ばれるものです。先ほどの強度の精神病の所で挙げた例がこれです。



◆ 裁判離婚の場合,養育費や親権者はどうなるの?
離婚と一緒に裁判所に請求すれば,裁判所が決めてくれます。別途,調停・審判を経る必要はありません。



◆ 最後に
離婚のご相談は,簡単なようで難しいです。
感情の問題がおおきい点はもちろんですし,今後の長期間にわたる生活にも関わってくる問題だからです。
離婚問題は,弁護士にとって,デリケートに扱わないといけない事件の1つであることは確かです。

3回にわたって,離婚についてざっとお話しました。
離婚にまつわる細かい話は,機会を見つけてまたお話したいと思います。think


調停離婚の話 2  【離婚問題】

弁護士の仲田誠一です。catface

 

みなさんは忘年会をいくつやりましたか?年末までまだまだ続きますね。
ちなみに,今日は事務所の忘年会です。弁護士3人,事務員3人の総勢6名の忘年会ですが,ずいぶんうちの事務所も人が増えてきたなあと思っています。
広島のいわゆる「町弁」(東京大阪の大企業向けの大規模事務所ではなく,町医者のような弁護士のことです。ドラマもありましたね。)としての適正な人員はわかりません。
ただ,私自身は,責任がある以上,受任している事件や事務所で働く仲間を常に把握したいと考えているので,これくらいがちょうどいいかなと思っています。

さて,前回は協議離婚の話を簡単にしました。
当事者で協議が整わない場合,どういう流れになるのでしょう?
今回は,調停離婚について簡単にお話したいと思います。


◆ 協議が整わなければ調停を申し立てるべき?
実は,難しい問題です。
ここで考えることは,2つあると思います。
その2点とは,①相手が協議に応じるか?,②調停が成立しない場合裁判に打って出られるかです。

調停に相手が出てこなければ調停は成立しません,今度は訴訟をするしかなくなります。
また,調停に相手が出てきても,相手方に全く譲歩する余地がなく調停の中で合意ができなかった場合も,訴訟に出るしかありません(細かく言えば「審判離婚」というものもあるのですが,あまり有用ではなくお話はしません)。

そして,訴訟をするしかなくなった場合には,法律上離婚ができる理由があるのか(離婚訴訟に勝てるのか)が問題となります。
実は,裁判上の離婚が認められる理由は法律で決まっています(次回にお話します。)そのため,そのような理由がない場合には,困ります。
「調停が駄目だった,でも訴訟に出ても勝つ見込みがないから訴訟もできません,もう少し時間をおきましょう。」,といったことになるケースもありえるのです。

ご 自分で調停をする場合には,それでよいと思うのです。しかし,弁護士が入る以上は弁護士費用が発生するわけで,相談の際には,私が受任した場合に依頼者に 本当にメリットがあるか悩む場合があります。良心的な弁護士であればそのような場合に安請け合いはしてはいけないと思っています。
そこで,じっくり話し合い,納得してもらった上で受任するようにしています。

もっとも,当事者同士では全く折り合いがつかなくても,調停委員あるいは弁護士を介して話し合うことで折り合いがつくようになるケースもあります(良心的な弁護士なら自分の依頼者に法的に落ち着くところで折り合いをつけるよう説得することでしょう)。

したがって,上のような場合でも調停を申し立てる意味はないとは一概には言えません。


◆ 調停は自分だけでできる?
調停はご自分でもできます。

た だ,ご自分で調停を行ったために,法律上請求できることをきちんと主張しないで,不利な調停を成立させてしまった例を,何件か実際に耳にしました。もちろ ん,調停委員がわからないことを教えてくれるかもしれません。しかし,調停委員はあくまでも中立的な立場であり,また当たり外れもありまして,ご自分で やって失敗するケースも残念ながら皆無とは言えないようです(もちろん調停委員のご苦労は大変なものだと聞いておりますし,ほとんどの調停委員は親切かつ 公正だと思います)。

また,強制執行の必要が出てくるケースでは,弁護士がついていた方がいいでしょう。

というわけで,個人的には弁護士についてもらった方が公正な解決が図られると思います。
ご心配,ご不安なら,是非弁護士にご依頼ください。


◆ 調停の進め方は?
調停は,1ヶ月に1回程度の頻度で期日が開かれ,調停委員が双方の言い分を交互に聞いて(相手方に遭わないでもすむよう配慮してくれます),解決を図ります。
反面,交互に話を聞かれるので,待ち時間が辛いです。
2,3回の期日で終わるようだとかなり早い解決だといえるでしょう。

合意が整ったら,いよいよ裁判官が出てきて,調停を成立させます。調停調書は判決と同様な効力があります。

ここで一点注意しておく必要があります。それは,調停の管轄(どこの家庭裁判所に申し立てればいいか)です。
原則として,相手方の住所地ということになるんです。
例えば,あなたが広島市に居て,相手方が高松市にいる場合,あなたが申し立てるべき家庭裁判所は,原則として高松です(相手方が申し立てるなら広島ということになります。)。不便ですね。ここも調停の難しいところです。


◆ 調停が整わなければ?
調停が整わなければ,またそもそも相手が出てこなければ,調停は不成立になります。
それでも離婚をしたい場合には,裁判に打って出るしかありません(審判離婚は別に置いておきます)。

次回に,裁判離婚の話を簡単にさせていただこうと思います。


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