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コラム 企業法務 6ページ目

会社運営と定款自治3 [企業法務]

広島市の弁護士仲田誠一です。

前々回、前回に引き続き会社運営と定款自治の話です。
今回は、定款自治の話です。


定款自治(定款により会社の仕組み、ルールを柔軟に決められること)が拡充された今日、戦略に基づく機関設計、自己責任への対応が必要だとお話しました。
定款とは、会社の基本ルールを定めたもので、会社の憲法とも言われます。

設立時にはひな型を使って定款を作り、その後も見直しをしていないという会社は多いと思います。

定款には、
①絶対的記載事項(記載しないといけないもの)、
②相対的記載事項(記載をすれば法的効果を与えてくれるもの)、
③任意的記載事項(それ以外)あります。

①は絶対に定めないといけないものです。
戦略的活用というのは主に②及び③の話です。

②は、先にお話した機関設計はもちろん、株主総会の手続要件、役員任期、取締役会の決議要件等です。
手続はできるだけ簡素化しておきましょう。
株主総会の定足数もリスクが生じない程度に下げておいた方が楽です。
発行株式の半分が遺産共有になってしまい、かつ揉めていたため、株主総会の定足数が法定原則の議決権の過半数株主の出席では株主総会も開けなかったという例もあります。
役員任期は何も考えずに10年に延長すると痛い目に遭うことがあります。
解任時の損害賠償請求権に関わります。離婚や仲たがい等、10年も今の関係を維持できるかどうかはわかりません。リスクを負うと考えてください。
このように、会社の設計が自由になるということは、様々なリスクを考えて設計をしないといけないということになります。
 
③は経営理念、株主間契約的な定め等です。
経営方針を定めることは重要です。定款をもっと活用するべきだと思います。


なお、定款変更には、特別決議(議決権過半数出席+その3分の2賛成)が必要です。
さらに、特定の事項についてはそれ以上の決議要件が定められています(議決権株主半数以上かつその議決権の3分の2賛成、総株主の半数以上かつその議決権の4分の3賛成)。

ただ、変更の際には、「和」は乱さない形での変更が望ましいです。
中小企業の人的強みを壊さないよう、決議要件は別として、すべての株主の納得を得られるうちに変更するのがよいでしょう。
また、特に種類株式、属人株式のような劇薬は、仕組みを対立利害関係者によって逆手に取られないように留意して設計することが必要です。


いずれにしても、一度、定款を点検してみてはどうでしょうか。

次回は、種類株式、属人株式について補足します。

顧問弁護士のご用命は是非なかた法律事務所に。

広島の弁護士 仲田 誠一
広島市中区上八丁堀5-27-602
なかた法律事務所

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会社運営と定款自治2 [企業法務]

広島市の弁護士仲田誠一です。

前回は、企業法務の話として機関設計の自由化の話をいたしました。

今回は、話が少し横道にそれるのを承知で、会社法との関係で機関に絡むトラブルやリスクを発生させるような具体的な事例の一端を、いくつかお話ししましょう。


まず、株主関係の話です。

会社法上、会社の所有者は株主です。社長ではありません。
最高意思決定機関も株主総会ということになります。
株主総会は、取締役会が存在しなければ一切の事項について決定権を持ち、取締役会がある場合には法定の決議事項と定款で特別に決めた事項に決定権を持つということになります。


最高意思決定機関である株主総会を構成する株主は、中小企業の場合、法人は例外で、ほとんど個人です。
人間であれば相続が発生するのですね。
それにより株式の共有状態が生じるかもしれませんし、株が外部流出する可能性もあります。
それにより、定足数の問題等で、株主総会の機能がストップするかもしれません。

そこで、事業承継対策は、株主の相続が発生しても、最高意思決定機関である株主総会が適切に開催され決議ができるようにしておくという面(株式あるいは議決権の集中、引継)が多くを占めています。

経営者様がいつ事故等に遭われて相続が発生するか誰にもわかりません。平時からの備えが大切ですね。

共同経営者を導入する際も、株式を引き受けてもらうのでしょうから、最高意思決定機関に生じるリスクを慎重に検討してください。
よく揉めます。


相続人等売渡請求規定には、買取資金を用意しないといけないリスクがありますので軽々に設定できません。
最終的には裁判所が決める時価での買取になりますからね。


株主が事故等で判断能力を喪失する場合、稀ですが行方不明になる場合も、相続と同じようなリスクが生じます(相続手続ができない分よりやっかいかもしれません)。
考えておかないといけないのは株主の相続だけではないのです。


名義株も整理しましょう。最高意思決定機関に絡むリスクは消しておきましょう。
有償あるいは無償の譲渡が通常でしょうが、株式併合による整理もあります。
名義株という証拠が用意できれば(名義株と認定するには諸要素が絡みます)、合意等なしでも消すことは可能でもあります。


今度は取締役です。


取締役が1人だと、取締役の急な相続、意思能喪失、行方不明の際に困ってしまいます。
取締役を1人にする場合にはそのリスクを認識する必要があるでしょう。


取締役の任期もある程度自由化されました。
しかし、再任手続が面倒だからといって単純に任期を長くすることはお勧めしません。
将来的に取締役を解任するには正当な理由が必要です、それがなければ役員報酬相当の損害賠償が必要となります。
任期を長くすればそれだけリスクが高まります。

経営者の離婚の問題もあります。単純に税金が安くなるからと言って、夫婦で平等に役員報酬を払っていたら痛い目に遭うかもしれません。


最後に、法定手続の瑕疵の問題です。
株主構成が単純でなければないほど、また機関設計が単純でなければないほど、会社法所定の手続も複雑になります。
法定手続を間違えると、決議取消の訴え、決議無効の訴え、決議不存在確認訴訟等により、効力が覆されたりするリスクが生じます。
仮に効力が覆されなくともトラブルが生じたこと自体で多大なコストを払わないといけません。


定款、種類株式、属人株式、遺言、株主間契約、買取り等の株式集中、株式併合等で、株主構成の単純化(株式集中)、機関設計の見直しを図ることをお勧めします。


次回は定款自治のお話をします。


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会社運営と定款自治1 [企業法務]

広島市の弁護士仲田誠一です。

今回は広島大学で開催していた経営者向けの勉強会でお話ししたことを基にしてコラムを書きます。

企業法務の話です。

会社法の改正が以前にあり、機関設計の自由化、定款自治の拡充がなされたことをご存じでしょうか。
その背景は、外圧あるいは性善説による事後規制への移行(結局、トラブル発生は民事の問題として裁判で解決しろ、自己責任だよということです)にあるようです。
我が国の会社法が大会社から社長1人の零細企業までを幅広く対象としているため、改めて会社の規模に応じた規制を行わなければならなかったということもあるのでしょう。

会社の機関設計や定款(会社のルール)がより自由になったという事態に接した中小企業は、何を考えればいいのでしょうか。

それは、
①機関設計、定款を戦略的な経営の武器にすること、
かつ、
②生じるリスクに対処をする、
ということです。

経営の武器とするという意味は、自由になった会社の設計により、中小企業の強みである機動力強化(ヒトの力)をより発揮できるようにするということですね。
一方、自由は責任を伴います。自己責任ですね。リスクの管理はよりしていかないといけません。

また、会社運営・定款自治は、事業承継対策にも直結します。
中小企業は、人が大事です。「和」に基づく身の丈に合った自治を行うことになるでしょう。
引き継ぎやすい会社にするため、あるいは事業承継対策そのものとして、考えないといけない事柄です。

そこでまず、機関設計のお話しをします(株式会社を念頭にお話しします)。

譲渡制限会社の制度設計は原則として定款自治に委ねられます。
身の丈に合った機関設計、すなわち、スリム化、機動力確保を狙って戦略的な設計が必要でしょう。

必須なのは株主総会と取締役です。
そのほかは、いろいろなバリエーションが認められます。
単語だけ並べると、
取締役会、監査役(会計参与)、監査役の監査範囲の制限、監査役会、会計監査人、
委員会設置会社(取締役会+指名委員会、監査委員会、報酬委員会+会計監査人)、
監査役会設置会社委員会設置会社制度
等です。

会社の規模により取締役会、監査役は被設置の会社にした方がいいでしょう。複雑にしてもいいことはありません。

取締役会を設置しなければ、各取締役が代表権を有し、株主総会の権限が拡大しますので、旧有限会社型の会社となるでしょう。

もちろん、機関設計は組織運営とは違います。機関設計とは別に組織運営も考えないといけません。

スピード、機動力、経営方針の一貫性が強みである中小企業では、できるだけフラットな組織がよいでしょう。

リスク管理に必要なのは
保険で対応できるリスクは保険をかける、
あとは、分離とチェック(ルーティン化できるプロセス)と記録化の仕組みづくりです。

実際の訴訟等を経験している弁護士等の専門家の助言に従って、一度簡単な仕組みづくりさえしておけばいいのです。
中小企業はリスク管理にコストはかけられません。ただ、やっていないと、大変なことになります。
中小企業は大きな契約1つでもトラブルが生じたら、資金繰りがひっぱくし、あるいは経営継続にも支障を来します。
中小企業こそリスク管理を考えないといけません。

ピラミッド型組織は必要ありません(従業員に肩書きだけを与えるのは別の話です)。
社員のやる気は、賃金体系の整備で対処するのが得策でしょう。

次回、次々回は続きの話をします。

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同族中小企業株式の遺産分割方法 [相続問題]

広島市の弁護士仲田誠一です。

今回は相続問題のうち、同族中小企業の株式が遺産分割審判においてどのように分割されるのかをお話ししたいと思います。
企業法務、特に事業承継とも関わりが深い問題です。


遺言がない場合、原則として法定相続分に応じて各相続人が遺産を共同相続します。
当事者間で遺産分割協議が整わない場合は、家庭裁判所へ調停を申立て、それでも合意できない場合には、家庭裁判所で審判を出してもらい、具体的な分割方法を決めてもらいます。
審判に不服があれば抗告です。


審判の場合、特別受益、寄与分がなければ法定相続分に応じて、それらがある場合には法定相続分を修正して、遺産が割り振られます。
ここで注意してほしいのは、財産毎に割り振られるのではなく、株式も不動産も何分の1といったように割合で割振られるのが基本というところです。
株式も事業用不動産も共有(株式の場合には準共有と呼ばれます)になってしまうということですね。

それでは事業に支障をきたす可能性があります。相続共有株式の権利行使者を決めることができなければ株主総会も開催できない、したがって取締役の選任もできないということになりまねません。
だから事業者や経営者は遺言を始めとする事業承継対策が必要なわけです。


ここで、抗告審の事例を目にしたのでご紹介します。
審判で株式が共有とされた、それに不服の会社後継者である子が抗告をしました。
民法906条には遺産の分割の基準を定めています。
裁判所は、株式について、典型的な同族会社で、経営規模も小さく、経営の安定のためには株主の分散を避けることが望ましいという事情が、同条の「遺産に属する物又は権利の種類及び性質」「その他一切の事情」に当たるとして、後継者に株式を単独取得させて、他の相続人らには代償金を支払せる形に審判を変更しました。


事業承継問題の社会問題化、事業承継法制の整備といった事情を考慮した判断です。
同族中小企業の実情に合った判断だと思います。


ただし、ここで注意。裁判所の判断理由として、後継者に代償金の支払能力があることが示されています。
後継者に資力がないとこのような判断はできないのですね。
自己資本が厚い(内部留保をきちんとしている)会社ほど、株式評価額は高くなります。


代償金の支払能力は、事業承継対策における後継者の資産形成が必要な理由の1つですね(他に、相続税、株買取資金、遺留分対策などもその理由です)。
後継者を受取人に指定した生命保険が有効かもしれませんね。
相続財産とはみなされず、原則として遺産分割に影響しません(例外はあります)。
将来を見越した役員報酬戦略も有用でしょう。


ここでご紹介した裁判所の判断は、もちろん一般的なものとは言えません。
経営者、事業者の方は、このような裁判所の判断に頼ることなく、後継者が会社をスムーズに承継できるよう、株式の移転、遺言等の相続対策といった事前の対策を行うのが本筋です。


相続問題、顧問弁護士のご用命は是非なかた法律事務所に。

 

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代表者の行方不明、判断能力喪失のリスク2 【企業法務】

広島の弁護士仲田誠一です。

前回は、企業法務のうち、代表者=株主の行方不明のリスクについて事業承継問題類似のお話をしました。

今回は、前回の続きで、代表者=株主の判断能力喪失のリスクの話です。


事業承継問題は、代表者=株主の死去、すなわち相続を念頭に置いて議論がされることがほとんどだということは前回お話しました。
そうではなくて、不慮の事故等で社長=オーナー株主が判断能力を喪失してしまった場合はどうでしょうか。

絶対に事故に遭わないとは誰も言うことが出来ません。
突然の話で準備ができないため、相続問題よりもリスクが高いと言えるでしょう。


人はその判断能力を喪失すると、法的に有効に財産管理ができなくなります。
もし代わりに誰かが財産管理を行うと後で法的に覆されるリスクが生じるのです。
自社株についての議決権も同様です。本人は有効に株主権を行使することができませんね。


起きうる事態は行方不明のケースと同様です。
オーナー株主は過半数の株式を保有しているでしょうから、多くの場合、定足数が足りず株主総会等を開いて新しい取締役を選ぶこともできません。
法律的には経営がストップし、事実上の経営権を巡り争いや混乱が生じることも容易に想定できます。
おまけに、取締役が1人だと取締役会も開けません。
予め株主総会の定足数を下げておくことも考えられますが、法的に限界もあり、かつリスクが生じます。


法律上、判断能力を喪失した方の財産(自社株含む)を管理する方法として、成年後見制度があります。
また、裁判所に職務代行者を選任してもらうことも可能かもしれません。
しかし、それらには時間がかかり、また成年後見人や職務執行代行者の権限にも制約があります。
日々動かないといけない経営の継続性の点からは、非現実的な手段だと思います。


その対処方法としては、まず、任意後見契約を行うことが考えられます。
自身の判断能力が失われた場合に備えて、予め自身で後見人を選んでおき、その事態が発生したら速やかに財産管理をしてもらう制度です。
特別な方式を要求される契約ですが、その際には代理権目録に株主権の行使を記載しなければいけません。そうしないと意味がありません。


株主の行方不明のケースと同様の対策も考えられます(こちらの方がお勧めですかね)。
予め属人株式、具体的には俗にいう「(逆)ヒーロー株」を設定します。
代表者=株主が判断能力を失っても、他の方の議決権により問題なく株主総会を開催できるようにし、経営の継続性を保つのです。

勿論、後を託すに足りる人物がいないといけません。

属人株式の設定は特別な手続要件があり、また悪用されないように慎重に設定することは言うまでもありませんのでご注意を、というお話も前回同様です。


会社のリスク管理の一環として、代表者の判断能力喪失に備えをしておくことも必要だと思います。
不慮の事故、不慮の病気は完全には避けられませんからね。

 

今回は、前回の行方不明の場合への対処に続いて、判断能力喪失への対処についてお話しました。
事業承継対策はもちろん必須ですが、相続に至らないままに株主=代表者が有効に株主権を行使できなくなるリスクにも対処をしなければなりません。
あまり意識されていない点なのでぜひご検討してみてください。


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代表者の行方不明、判断能力喪失のリスク1 【企業法務】

広島市の弁護士仲田誠一です。

前回は、相続問題の話のうち相続預金の取り扱いについてお話しました。
今回は企業法務の話です。


事業承継問題は近時喧伝されていますね。同族中小企業では必ず対策をしないといけない問題です。


ところで、事業承継問題は、代表者=株主の死去、すなわち相続を念頭に置いて議論がされることがほとんどだと思います。


でも、考えてみてください。代表者=株主が何らかの理由で行方不明になったり、あるいは不慮の事故等で判断能力を失うこともありますね。
その場合も、事業承継問題における相続リスクに似たリスクがあるのです。


今回は、行方不明のケースをお話ししましょう。


代表者=株主が行方不明になるなんて考えられないと思われるでしょうが、実際に何回か相談を受けたことがあります。
その際は、速やかかつ事後的な対処は難しいとお答えしたと思います。


代表者=行方不明だと株主権を行使できないですね。場合によりますが、多くの場合、定足数が足りずに株主総会等を開いて新しい取締役を選ぶこともできません。
法律的には経営がストップし、事実上の経営権を巡り争いや混乱が生じることも容易に想定できます。
おまけに、取締役が1人だと取締役会も開けません。


法律上、行方不明の方の財産(自社株含む)を管理する方法として、不在者財産管理人という制度があります。
失踪宣告により相続の効果を発生させる制度もあります。
また裁判所に職務代行者を選任してもらうことも可能かもしれません。
しかし、それらには時間がかかり、また不在者財産管理人や職務執行代行者の権限にも制約があります。日々動かないといけない経営の継続性の点からは、非現実的な手段だと思います。


ここで検討するべきは、株主の行方不明に備え、予め属人株式、具体的には俗に言う「(逆)ヒーロー株」を設定し、行方不明等の事態が発生した場合には代表者の株式議決権を極限まで下げ、他の後継者等の株式議決権を極限まで上げるようにしておくことではないでしょうか。
もし代表者=筆頭株主が行方不明でも、議決権の問題が解消し、経営の継続性は保たれるでしょう。


もちろん、属人株式の設定は特別な手続要件があり、また悪用されないように慎重に設定することは言うまでもありませんのでご注意を。


会社のリスク管理の一環として、行方不明になったときの備えをしておくことも必要だと思います。


今回は企業法務のうち、事業承継問題類似の代表者の行方不明の場合への対処についてお話しました。


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準共有株式の議決権行使2 [企業法務]

広島市の弁護士仲田誠一です。

前回に続いて、企業法務の話のうち、事業承継にかかわりのある準共有株式の問題です。
 

会社法の106条本文によって、相続等によって生じた準共有株式は、会社に権利行使者を定めて通知しなければ権利行使自体ができないため、困った事態に陥る危険がある。
そして、事業承継対策等のためには、遺言書が必須であること、定款に分割行使の許諾文言を入れておくことが望まれる。といったお話しをしました。
ところで、会社法106条の但し書には、「ただし、株式会社が当該権利を行使することに同意した場合には、この限りではない。」と定められています。

なんだ、会社が同意すれば権利行使者を定めて通知する必要はないじゃないか、と思うかもしれません。

実際、その解釈で、一部の相続人に権利行使を認め、取締役選任等の株主総会を開催し、経営を承継したケースで、他の相続人から株主総会決議が取り消されるべき等と争われた事例がありました。
相続人は2人で2分の1ずつの相続分だったようです。


平成27年の2月に最高裁判所の判断が出ました。結果は、株主総会決議取り消しです。
私は現在、広島大学大学院法務研究科、いわゆるロースクールで税法講習を担当していますが、授業の際、学生に話を振ったら、すでに勉強をしている判例でした。重要判例ですね。


前回お話ししたとおり、共有関係における民法の原則は管理行為は共有者の過半数で決めるというものです(民法252条本文)。
会社が会社法106条但し書に基づいて権利行使を許しても、過半数で決定した議決権行使ではないから、会社が同意しても不適法である、といった判断がなされました。


106条但し書で会社が任意に権利行使を認めることができれば不公平な結果が生じることも考えられ、仕方がないですね。


最高裁の判断が出ましたから、やはり、前回お話したとおり、事業承継対策としては、自社株式に関しては必ず遺言書を書く、定款の定めを整備しておくといったことが必要です。

正直言いまして、前回お話しした定款の規定が上記判例に沿って有効とみなされるかリスクが高まりました。
一応あった方がいいとは思いますが。
 

もちろん、事前に株式を後継者に移転することができれば良いに越したことはありません。
少なくとも遺言は作成してください。

また、種類株式、属人株式の活用により柔軟な事業承継対策もできるわけです。

事業承継対策を考えたことはない、考えているがまだ始めていない、という企業さんは、早めに専門家に相談してください。


今回は、最高裁の裁判例をネタに、事業承継問題に関わる準共有株式の権利行使方法についてお話しました。


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準共有株式の議決権行使1 [企業法務]

広島市の弁護士仲田誠一です。

今回は企業法務の話です。事業承継にかかわりのある準共有株式の問題です。
 

株式の準共有と言えばおわかりでしょうか。

相続により株式は共有となります。
正確には、株式は物ではなく権利あるいは地位であるため、共有ではなく準共有と言われます。
 

1000株の株主の相続人が子2人である場合、法定相続分の2分の1の500株ずつを承継すると考えては誤りです。
遺産分割完了までは1000株を2人で準共有するのです。
 

会社法106条本文では、株式が共有状態である場合、会社に対して権利行使者を定めて通知をしなければ株主権の行使ができない旨定められています。
上の2人は、遺産分割が解決しない限り、500株ずつを権利行使することはできず、権利行使者を1名定めなければならないのです。

株主権の行使は、株式の処分あるいはその類似の行為ではない限り、管理行為とされているようです。
民法上、共有者の管理行為はその過半数、多数決ですね、で決めることになっています。
2分の1対2分の1だと経営権に争いがあると権利行使者が決められませんね。
そうすると1000株全体が権利行使できず、場合によっては定足数が足りずに株主総会が開催できなくなったり、あるいは少数株主等によってクーデターが起こされたりする危険があるのです。
 

そこで、事業承継対策として、株式について必ず遺言書を作成しろと言われるのです。
ただし、遺留分を侵害する遺言書であれば遺留分減殺請求により準共有状態が発生してしまいますのでご注意を。

その後、民法改正により遺留分減殺制度がなくなり、遺留分侵害の場合には金銭請求しかできなくなりました。
後継者の資金手当ては必要ですが、遺言を作成していれば株式の準共有状態の発生を防ぐことができます。
 

もう1点、アドバイスをすることがあります。
定款に、相続による準共有株式について相続分に応じて分割行使を認める旨の規定を置いておくのです。
そしたら、上の例では500株ずつの権利行使が可能となります(ただし、法的に突き詰めればそれが有効かどうかというリスクは包含します)。
少なくとも株主総会は開けるでしょう。
 

次回は、最近出た最高裁の裁判例をネタにこの問題をもう少し見ていきましょう。
 

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下請法に関するお話し (弁護士 仲田誠一)

弁護士の仲田誠一です。
 
下請法の関係で事業者に対する調査が入った事例を広島でも目にしましたので、ご紹介します。
下請法をご存知でしょうか。下請業者を守るためにできた法律です。一般に認知されているとは言えない状況ですが、違反には課徴金が科せられる等恐い法律です。
下請法には、下請代金の支払遅延の禁止等様々なことが決められているのですが、その中に下請業者との取引を公正化するために発注毎に交付すべき3条書面と 下請業者ごとに保管すべき5条書面というものが定められています。個々の取引ごと(業種により特定できる限りで)に、取引条件を明確化し、その履行を確認 するための書面です。
広島で目にした事例は、上記書面の作成等を問う調査でした。
 
仮に調査をされてしまうと、現時点できちんと法律の要件を満たす書面を発行・保存をしている企業は少ないでしょう。
業務内容との兼ね合いで、できる限りの範囲で法定の要件を充たす書類の作成をしておくことが望まれます(もちろん、下請相手にかかわらず、取引条件を書面化しておくことは経営者の経営管理として当然に必要とされることです。何らかの書面なしで契約をすることは危険です)。
そのため、当該企業に適する書面を効率的に作成し、(当たり前のようにできてかつ手間をかけない形で)ルーティン化しておくことをお勧めします。
 
なお、下請法の適用があるケースは、通常の業種で、次のようになります(もちろん、該当しない場合でも法定書面に類した書類ぐらいは作成したいところです)。
御社が資本金3億円超の場合
⇒ 相手が資本金3億以下の法人か個人事業者の取引
御社が資本金3億以下の場合
⇒ 相手が資本金1000万円以下の法人か個人事業者の取引
 
どこまで準備をすべきかなかなか難しい問題です。一度、顧問弁護士など専門家に相談してみてください。
また、様々な法改正等が続く中、企業法務も日常的な見直しが必要となっていると感じます。顧問弁護士がいない企業さんは顧問弁護士に日常的に相談し、また日常的に情報提供をしてもらえる体制を準備していくこともお考えになったらどうでしょうか。
 

「たこ配当」【企業法務8】

弁護士(広島弁護士会所属)の仲田誠一です。catface

 

 

今回は,昨日の中国新聞の紙面をもとに,お話をさせていただこうと思います。

マツダが国内増産するという記事が載っていましたね。当事務所にも,マツダに関係するお仕事の方が多く相談に来られます。広島にとっては明るい記事です。

また,相撲協会の八百長の話も載っていました。薬物汚染,野球賭博,八百長疑惑と,普通の企業なら倒産してしまうほど大きな不祥事が続きますね。
どこかの本に,山一證券も一度の不祥事で倒れたわけではなく,企業体質を改善するチャンスとなる不祥事がその前に2回あった,三振アウトで終了だ,と書いてあるのを読んだことがあります。
大相撲も三振アウトとならないように,組織体質を改革していかなければなりません。コンプライアンスは,表面的にそれを謳っても,意味がありません。paper

 

◆ 蛸(たこ)配当

林原の違法配当の話もありました。林原と言えば,私が就職活動をした頃は優良企業の誉れ高かったような記憶があります。

違法配当は,「蛸(たこ)配当」と呼ばれていました。配当規制が変わってからはあまり言われなくなってきたようです。

真偽のほどはわかりませんが,たこは飢餓状態になると自分の足を食べて生き延びるという逸話から来た呼び名です。配当できるものがないのに,粉飾決算をして,本当は会社に残しておかないといけない財産(足)を食べて,配当に回すから,「たこ配当」です。

違法な配当は無効です。

そこで,会社は、株主に対して、交付を受けた金銭等の帳簿価額に相当する金銭の支払いを請求することができます。

また、その職務を行った業務執行者等は、会社に対して、株主と同じ責任を負い、職務を行うについて注意を怠らなかったことを証明した場合にのみその責任を免れます。

業務執行者等には、刑事罰も課されます。この点が新聞報道に載っていました。

さらに,会社債権者も、株主に対して、違法分配額を、自己の債権額の範囲内で、直接自己に支払うよう請求することができます。


◆ 最後に

今日は,新聞記事をもとにお話をさせていただきました。

会社法など事業活動に関連する種々の規制の中には,役職員の刑事罰も定められているものが意外に多くあります。

また,表面的なコンプライアンス体制を構築しても意味がありません。コンプライアンスの肝は,経営意識(経営理念)と不祥事を防ぐシステム作りです。

またの機会にお話しますね。

 


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