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コラム 仲田 誠一 13ページ目

個人再生委員の仕事とは [借金問題]

広島県広島市の弁護士仲田誠一です。

 

最近、自己破産における破産管財人だけではなく、個人再生における個人再生委員を受けるようになりました。

そこで、今回の借金問題コラムは、個人再生委員の仕事などを紹介いたします。

本人申立てや司法書士さんの案件で申立人本人が手続をよく理解していない等の問題がある場合や、弁護士代理案件でも開始要件や清算価値に疑義が生じ得る案件などに個人再生委員が選任されているようです。
別除権協定を締結する場合には個人再生委員が原則として選任されます。

 

個人再生委員の仕事とはなんでしょうか?

 

1 再生債務者の財産及び収入状況の調査

2 再生債権につき適法な評価申立てがあった際の裁判所の補助

3 再生債務者が適正な再生計画案を作成するために必要な勧告の実施

とされています。

まあ1と2がメインですね。

 

個人再生委員は、破産管財人と違って、財産の管理処分権を有しません。
手続全般に関してサポート・監督をするといいったイメージでしょうか。

 

まず、意見書(開始要件)の提出期限が選任後3週間後ほどとタイトなんです。
だから色々な資料の提出等を急いでもらいます。
ここで、開始要件を充足しないと判断できる場合には、取り下げを事実上勧奨したりもします(取り下げてもらわないと棄却相当の意見書を出すことになります)。

 

調査の目的は、

将来において継続的または反復して収入を得る見込みがあるか

破産手続開始の原因となる事実の生ずるおそれがあるか

再生計画案の作成もしくは可決の見込みまたは認可の見込みがないことが明らかではないか(財産状況、履行可能性を見ます)

を見るためです。

 

財産状況では、清算価値保障原則違反となる見込みの有無があるかどうか見て、是正を勧告しないといけません。

この点で、破産事件における否認対象行為については適正に清算価値に計上してもらわないといけないことにご注意ください。
免責不許可事由がある場合に自己破産ではなく個人再生を選ぶ方も多いと思います。
否認対象行為は個人再生においても問題視され、清算価値の計上が求められ場合によっては最低弁済額が大きくなるという形で影響してきます。

 

履行可能性では、継続的に家計収支表を提出してもらう、定期的な積立用口座の確認も必要です。
 

要するに、個人再生委員は、開始決定前の意見書の段階ですべてのことを調査しないといけないということですね。
やはり時間的にタイトです。

 

開始決定後の仕事は、前述の仕事を継続するということです。
家計収支表の提出と試験積立金口座の継続的な提出もお願いします。
その上で、再生計画案及び弁済計画表の作成指導をします。

 

個人再生を申し立てる方で、弁護士が代理人になりかつ特に問題がないという場合は別として、そうでない方は個人再生委員が選任される可能性があることを知っておいてください。
そして、個人再生委員は上述のような仕事をしておりますので、ご参考にしてください。

 

なお、個人再生委員が選任される場合に裁判所に納める予納金は、20万円がスタンダードでしょうか。
勿論ケースによってもう少し多いときもあります。

 

債務整理(自己破産、個人再生任意整理等)のサポートはなかた法律事務所にご用命を。

 

広島の弁護士 仲田 誠一

なかた法律事務所

広島市中区上八丁堀5-27-602

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離婚した夫の借金で子供に迷惑がかからないか [離婚問題]

広島県広島市の弁護士仲田誠一です。

 

離婚後の元夫の借金で自分が引き取った子どもに迷惑が掛からないかというご相談もあります。
そこで、今回の離婚問題コラムは、その点についてお話しします。

 

借金は個人単位で帰属します。
元夫とお子様は法人格が別ですので、お子様が元夫の連帯保証人になっていない限り、元夫の借金でお子様が困ることはないのが原則です。

 

ただし、父母が離婚をしても親権者でなくなった元夫とお子さんの親子関係はなくなりません。
元夫の相続の際には、お子さんは相続人となります。

元夫が借金を負っている場合、相続人としてその借金を承継することになります。

 

そのような場合には(借金過多の場合には)、お子様が相続放棄をして債務を引き継がないようにしないといけません。

 

相続放棄は「3か月以内に」という期間制限がありますね。

熟慮期間といいます。


元夫が亡くなっても連絡が来るかどうかわからないというご心配もあるようです。それは大丈夫です。
 

仮に元夫と音信不通になっており、亡くなってからずいぶん経ってからお子様(まだ未成年の場合は法定代理人である母親)が相続発生の事実を知ったのであれば、その時から3か月以内に相続放棄をすればいいのです。
急に債権者から督促状が来て亡くなった事を初めて知るケースも珍しくありません。
その場合には督促状が届いた日から3か月以内に相続放棄をすればいいです。

 

また、元夫が亡くなったこと自体は知っていたが、音信不通であったため、元夫に財産も資産もないと思って放置していたところ、後から債権者からの督促などで相続債務があることを初めて知った場合もあるでしょう。
この場合も、実際に元夫の債務があることを知ってから(督促状が届いてから)3か月以内に相続放棄をすれば大丈夫です。

 

このように、離婚後の他方配偶者の借金は、他方配偶者が生きている間はお子様に影響を及ぼさない、亡くなった場合には相続放棄をしないと引き継いでしまう、ということになります。

もし督促状が届いたら弁護士に相談されてください。
イレギュラーな相続放棄なので弁護士を代理人にした方がスムーズかもしれません。
また、債権者対応も一緒に弁護士に依頼できると楽ですね。

 

離婚婚姻費用養育費財産分与慰謝料請求等、離婚問題のサポートはなかた法律事務所にご用命を。

 

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同居中の生活費を請求できるか [離婚問題]

広島県広島市の弁護士仲田誠一です。

今回の離婚問題コラムは、同居中の生活費のお話です。

 

生活費を渡してくれないのだけれども同居中は婚姻費用が請求できないのか?
という質問を受けることがあります。

同居中であっても生活費を渡してもらえないという状態は生じますから請求はできます。
婚姻費用の支払いを求めて婚姻費用分担調停・審判がなされることになります。

 

ただ、請求金額が難しいですね。
調停申立てには相当の額の支払いを求める形でいいのですが。

別居しているケースでは、所謂算定表がある程度の目安となります。
後は、個別の事情でいくら増額・減額できるかの話になります。

しかし、同居だとそうはいかないのですね。


家賃がかからないという点で算定表上の基になっている計算式の住居関係費を控除すればいいのかというとそう単純ではありません。
住宅ローンを組んでいる場合もあります。
離婚財産分与において夫婦共有財産と見られるならばローンも共同負担すべきとも言えます(実務上はなかなか認められませんが)。


また、電気、ガス、水道、電話等の月々かかる費用が共通の費用となっていることもほとんどです。


お子さんがいらっしゃる場合には、実際にはどちらが扶養しているのか不明確ということも問題になりますね(子供も含めた婚姻費用を請求するのかどうか)。

他にも、整理しないといけない事柄が多岐にわたります。

一緒に住んでいますからね。完全に分けずらいところがあります。

 

実際にいくらが相当額なのかは簡単に答えが出てきません。
具体的な事情を基にケースバイケースで判断されることになります。

 

なお、私が最近経験した事例では、調停では決まらずに審判まで行きました。
算定表を一応のベースにして、共通の費用、相手方が負担すべき費用の全ての項目を挙げて、適正額を主張しました。
かつ、実際の生活状況について家計簿を提出する等して説明をしました。

結局、総合考慮により(個々の問題にひとつひとつ判断をせずに)、ざっくり金額が決まりました。
理屈では明確に算定できないのですかね。

 

このように、同居でも婚姻費用は請求できます。

しかし、その場合の婚姻費用額は簡単に答えが出せるものではない。
というお話でした。

なお、同居中に婚姻費用の審判をうけるという事実は、家庭内別居の証拠の1つになりますね。
裁判所はなかなか家庭内別居を認めてくれないところ、認めてくれる一つの要素となります。

 

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交通事故を弁護士に相談するタイミング [交通事故]

広島県広島市の弁護士仲田誠一です。
 

交通事故に遭われたとき、いつのタイミングで弁護士に相談すべきでしょうか。

 

答えは「直ちに」です。

 

勿論、すぐに依頼をする必要はないのです。
大事なのは、今後の流れや気を付けないといけない事を予め確認することです。

 

知識もないまま相手方保険会社の説明どおりしていると思わぬ落とし穴にはまります。


タクシー代を支払う、治療費を支払うということをしてもらっていても、後でタクシー代は慰謝料の前払いだと主張してくる、とりあえず治療費を払っていたが治療期間は認めないといったことが実際にありました。
ひどい話だと思いますが、現実です。

 

素人目に見ると、保険会社はある程度金額を出して示談した方が会社の全体的なコストとしては安いだろうと思うのですが。

しかし、残念ながら、ケースによっては出すお金をできるだけ少なくしようとして解決を長引かせているのではないかと思われるケースも珍しくありません。
治療費支払の対応を打ち切るタイミングもだんだん早くなっているような気がします。
保険会社の担当者の資質にもよると感じています。

 

交通事故の解決には医者とのコミュニケーションも大事です。

保険会社と治療や後遺症に関して争いになることは珍しくありません。
治療の打ち切り(症状固定時期)の争い、後遺障害診断の争いについては、医師の協力が必須です。

保険会社は治療費支払の打ち切りをしようと医者に確認します。
症状固定の言質を取ろうとします。
医師の回答が打ち切り判断に影響するのですね。

後遺症もなかなか認めてくれません。
医師にきちんと後遺障害診断書を作成してもらうことは勿論、自己との因果関係や後遺障害の機序などを意見書にて説明してもらわないといけないことがあります。

早期に医師とのコミュニケーションをとって、いざというときには協力を得やすいようにすることも大事です。

協力してくれそうもない医師であればできるだけ早く変えた方がいいでしょう。

良くしてくれるお医者さんもいれば、何を頼んでも拒否するお医者さんもいます。

いざ争いが顕在化したときに、医師の協力を得られるかどうかは弁護士には重大な関心事です。


ほかにも交通事故に遭ったら考えないといけないことはたくさんあります。


後から考えると手遅れになるケースも多いので、早めに弁護士に相談をしておくということですね。

 

交通事故のご相談はなかた法律事務所にご相談を。

 

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契約トラブル防止のエッセンス2 [企業法務]

広島県広島市の弁護士仲田誠一です。

今回の企業法務コラムは、前回の続きです。契約トラブル防止のエッセンス2のお話しです。

前回、
経営活動は契約行為の積み重ねでありほとんどのトラブルは契約内容の解釈に帰趨するということ、
トラブルが発生しないように防止をすることが大事であるというようなこと、
をお話ししましたと思います。

では、具体的にはどうすればいいのでしょうか。
先日顧問先企業様の役職員様の集まりで当職がお話しする機会がありました。

その内容をかいつまんでご指摘すると、

1企業のリスク管理は分離とチェック、そのための見える化、記録化が基本です。
ただし、大仰な仕組みを作り必要はありません。身の丈に合ったコストがかからないルーティン化できる仕組みを作るのです。

2売掛の信用リスク管理の仕組み(枠設定、信用調査)を作る。

といったことが全般的なお話です。

契約については、

契約過程のやりとりをすべて記録に残す、

契約書類だけで見て、受注から債権回収までのあらゆる場面をきちんと想定できるかチェックする(解釈が必要な合意は意味がない)、

トラブルが多い追加や変更の場面では、特に追加・変更内容及びそれに応じた代金額等の変更の有無等と記録に残す、

記録方法は、何でもいいが、FAX・メールで相手の確認を取ることが重要です、

といったところがポイントでしょうか。

文章にすると抽象的になります。

気の利いた顧問弁護士さんなどがいらっしゃったら、一度社内で話をしてもらったらどうでしょうか。

一度、契約過程を弁護士にチェックしてもらえばより安心です。
最終的にはトラブルは法的に解決されます。それを担うのは弁護士です。
法的な観点から、仕組みやルールを作ってもらうことが大事です。
費用をかけて専門家に考えてもらうのもいいでしょう。

大事なのは、このようなことを現場で皆が気を付け、担当者が1人で決めないということですね。
そんなに面倒なことではないはずです。

誰かが気付く体制さえ作れば、契約トラブルはある程度防止できます。
トラブルは、契約内容の意識のずれから生じることがほとんどですから。

裁判をしていると、ここの記録さえ残っていれば勝てるのに!と残念なケースが多くあります。

皆が気付くことができる、当たり前のようにできる仕組み、ルールが必要です。

なお、売掛の信用リスクの管理にも契約書、契約~竣工過程の記録の整備が大事です。
明確に合意内容を説明できるケースでは、不払いはなかなか生じません。

勿論、個別顧客に対する信用枠の設定、定期的な見直しも必須です。

信用枠を増額するにはそれ相応のチェックが必要ですね。ババを掴まないように気を付けないといけません。

加えて、できるだけ担当者が企業を訪問して日頃のチェックを行うことも大切です。
社長が景気のいいこと言っていても、商品搬入のトラックがあまり来ない、在庫が積み重なっている、従業員の士気が低い等気付くことがあります。
会社の様子を見ると調子がいいか悪いかはわかりますね。

 

顧問契約、契約トラブル、企業法務サポートのご用命は是非なかた法律事務所に。

 

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契約トラブル防止のエッセンス1 [企業法務]

広島県広島市の弁護士仲田誠一です。

 

今回の企業法務コラムは、契約トラブル防止のエッセンスその1をお話します。

 

契約トラブルで多いのは、代金・報酬金額を巡るもの(買主・発注者・委託者の契約に基づく責任)、瑕疵・債務不履行(売主・請負人・受託者)を巡るものです。

 

いずれも、当事者双方で契約内容に関する認識の食い違いがある場合です(意図的かどうかは別として)。

代金が曖昧なままで仕事が進んでいる場合
仕様変更、追加工事について代金発生の有無や金額を決めないで仕事が進んでいる場合
仕様等が曖昧なまま仕事が完成し、不満が残っている場合
双方の仕様等に対する認識が食い違っており、不具合の発生について瑕疵かどうか争いが出た場合

などですね。

 

このようなトラブルをはじめとして、企業間のトラブルというのは、ほぼすべて契約内容の解釈により解決されることとなります。
企業活動は契約行為の積み重ねですからね。

 

契約内容は、契約書を基本に、様々な周辺証拠、周辺事情から判断されます。
勿論、何と言っても契約書などの合意文書が一番強いです。

 

また、契約トラブルの発生リスクは、契約内容の修正・変更・追加があった場合が特に高いです。
契約内容の修正・変更・追加があった際にきちんと取り決めをし直さないケースが多いです。

修正・変更・追加指示等の証拠も残っていないということも珍しくありません。
契約内容と違うと言われて瑕疵等を主張される、代金を支払ってもらえない、あるいは修正・変更・追加に関する代金・報酬の発生の有無が争われるリスクが非常に高くなります。
証拠がない中で後から「こういう約束だった。」ということを立証するのは大変です。

 

勿論、そもそも最初の契約がきちんとなされていないというケースも珍しくありません。
お互い何を頼んだのか、何を頼まれたかの認識が異なり、争われます。

最初は明確であっても、状況により変化が生ずるにつれてお互いの認識がズレていくことは珍しくありません。

裁判になると、契約内容が概括的で契約内容が読んだだけではよくわからない、争われている肝心な点が記載されていない、ひな型を使っただけで実態と合っていない等の理由で、契約内容はどうだったかが延々と議論される例はよくあります。

 

契約トラブルが発生すると、その解決には、時間・労力・金銭あらゆる多大なコストが発生します。

特に大きなお金が入って来ないとなると資金繰りの問題が深刻なケースもあります。

契約トラブルは、発生した場合の解決は当然必要ですが、発生を防止することがより大切です。

 

では、どうしたら契約トラブルは防止できるのでしょうか?

契約トラブル防止のエッセンスは、またお話しさせていただきます。

 

顧問契約、契約トラブル、企業法務サポートのご用命は是非なかた法律事務所に。

 

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子ども名義預貯金が財産分与の対象となるか [離婚問題]

広島県広島市の弁護士仲田誠一です。

 

お子さんの将来のためにお子様名義の預貯金口座を開設し、お年玉やお祝い金あるいは児童扶養手当等を貯めているというケースがありますね。

 

離婚に伴う財産分与においてそのような預貯金が分与対象になるかということはよく問題となる事柄です。

そこで、今回の離婚問題コラムは、子ども名義の預貯金が離婚に伴う財産分与でどのような扱いを受けるかをお話しします。

 

第三者名義の財産は原則として財産分与の対象とはなりません。

清算的財産分与の考え方からいけば、夫婦が共同の婚姻生活中に形成した財産が財産分与の対象となるからです。

例外的に、子ども名義の預貯金口座が子どもの名義を借りていているだけで実質夫婦の共有財産であると認められれば分与対象となります。

離婚に限らず、預貯金口座の所有者の判断は、原資の出資者と管理状況がメルクマールになります。

 

従って、お小遣い、お年玉、あるいはアルバイト代を貯めている口座は財産分与の対象とはならないでしょう。
お子様が通帳・カードを保有し、自由に出し入れしている口座であればなおさらです。
お子様が預金口座の所有者と見られます。

 

他方、お子様の将来の教育資金に充てる、結婚資金に充てる等の目的で親が貯めていた預貯金は、財産分与の対象となりうるでしょう。
特に、通帳、カードの管理や出し入れは親がやっているような口座ですね。
親が預金口座の所有者と見られます。

このように、子ども名義の預貯金が財産分与の対象となるかはケースバイケースの判断になります。

離婚協議、調停段階では、ある程度柔軟に解決できているようなイメージです。
子どもの預貯金の原資や管理状況はお互いがわかっていることが多いので、財産分与に含めるという合意ができることが多いです。

なお、子ども名義の預貯金が財産分与の対象となるかどうかと養育費の問題は別です。

財産分与は夫婦共有財産の精算の問題です。
養育に必要だから財産分与の対象とすべきではないという主張がなされることがありますが、理由になりません。
学資保険についても同じような主張がなされることがあります。

財産分与養育費は別途決められることです。
もっとも、和解・調停の際には、子ども名義の預貯金を財産分与の対象と見ない代わりに、養育費を調整するということもありえますね。

 

離婚婚姻費用養育費財産分与慰謝料請求等、離婚問題のサポートはなかた法律事務所にご用命を。

 

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退職の申出に対する対応 [企業法務]

広島県広島市の弁護士仲田誠一です。

 

今回の企業法務コラムは、退職の申出に対する対応のお話です。

会社と従業員との間で退職時期に関する紛争が生じることが珍しくありません。

 

会社としては急に辞められては困る、従業員としては次もあるから早く辞めたいということですね。
人手不足でだからでしょうか、前者の相談が多くなっているような気がします。

 

期間の定めのない正社員などを前提とすると、民法では、2週間前までに申し出るルールです。
ただし、月給制であれば当期賃金支払計算期間の前半に次期の退職を申し出する必要があります。
月末締めの給与支払いであれば、5月14日に辞めたければ4月15日までに申し出るということでしょう。

 

実際には就業規則にて、退職の申出は1カ月前と決められている会社が多いでしょう。


そのような決まりがある場合には1カ月前の退職予告が必要です!
と言いたいところです。


しかし、どちらが優先されるかは争いがあります。

どちらかというと、就業規則の規定が裁判では認められない傾向にあると言えるかもしれません。

1カ月前を前提に動くと、リスクがあるわけです。

 

2週間というとかなり短いですね。
経営にはこういうリスクもあるということを頭に入れてください。

 

なお、退職届が出されたら会社側からするとアウトです。
法律上、退職届の受理の留保は認められません。
会社側が受け取らない場合には、従業員側から内容証明郵便で退職届がなされることもあります。

勿論、辞めてもらいたい従業員から退職の申出があった場合には、撤回されないように直ちに正式受理してください。
正式受理するまでは撤回をすることが可能です。

辞めた場合に仕事に支障を来す場合に、損害賠償請求ができるかという点は、会社、従業員双方から相談がされることです。
基本的には損害賠償請求権は発生しません。

職業選択の自由は憲法で保障された権利ですから、退職行為自体は不法行為にはなりません。
他の従業員の引き抜き等の相当な範囲を超えた行為をした場合に損害賠償請求の余地があるというレベルだとお考えいただいた方がいいでしょう。

有給休暇も頭が痛いですね。
労働者の有給休暇の取得は権利です。

平時では、使用者には時季指定権・変更権が認められていますが、退職日が決まった段階ではそれが行使できません。

労働者側でも、いきなり休むのではなく、引継ぎを早く済まして有給を消化して円満に退職する気持ちがあった方がいいかもしれません。

買取りについては双方合意があればOKでしょう。

従業員からすれば辞めると決まったら早く辞めたいのでしょう。

一方、会社としては、辞めたいと言って既に士気が下がっている従業員を引き留めてもあまり意味がありません。

双方が折り合いをつけて、最小限度の引継ぎを行って退職できるような話し合いが一番ですね。

 

顧問弁護士、企業法務サポートのご用命は是非なかた法律事務所に。

 

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個人再生における清算価値 [借金問題]

広島県広島市の弁護士仲田誠一です。

 

今回の借金問題コラムは、債務整理のうち個人再生の清算価値のお話です。

個人再生は、原則3年、最長5年で計画弁済額を弁済していきます。

計画弁済額は再生計画に載せるのですが、最低弁済額以上でなければなりません。

 

小規模個人再生最低弁済額は、①財産額(清算価値)と、②総債務の5分の1(標準的な債務額の場合-債務額より異なります)、の大きい方です。

給与所得者等再生の場合は加えて法定の生活費を控除した③可処分所得2年分以上であることが要求されますね。

債務基準では、総債務の5分の1が100万円を下回る場合には100万円が弁済額になります。
また、総債務(基準債権といいます。)には住宅資金特別条項利用の際の住宅ローンは勿論入りません。
なお、総債務には未払利息、遅延損害金も入りますのでご注意ください。
申立てが遅くなると、だんだん大きくなっていきます。

 

清算価値よりも弁済額が下回ってはいけないというのが、清算価値保障原則と言われるものです。
自己破産をした場合よりも多くを債権者に弁済しなさいということですね。

それに絡んで個人再生では自己破産に平仄を合わせた考え方がなされます。

 

まず、広島地裁本庁(他の裁判所でもほぼ同じ運用がなされていると聞きます)では、自己破産における自由財産拡張相当の財産99万円(自己破産をした場合に自由財産拡張が認められる範囲)までを清算価値から控除できます。

清算価値算出シートというものがあり、自由財産拡張対象相当財産については印をつけて数字を控除するということをします。

自己破産との均衡を図ったものですね。

 

次に、自己破産における否認相当行為があった場合、例えば申立て直前の贈与行為や偏頗弁済などですが、否認されるべき金額を財産があるものとして清算価値に計上する扱いになっています。

こちらも自己破産との均衡を図る趣旨ですね。


申立て直前に100万円贈与してしまったら100万円の財産があるものとして清算価値を計算するのです。
仮に清算価値で最低弁済額が決まるケースであれば、計画弁済額がその分だけ上がるわけですね。

この点で疑義がある場合には、個人再生委員が選任される傾向にあります。

共済借入の受任通知後の天引き返済分も入れることが多いですね。名目は偏頗弁済です。
共済借入は弁護士が受任通知を出しても給与天引きを止めてくれません。開始決定が出れば止めてくれるようですが。
その分偏頗弁済になるわけですね。

 

なお、その他個人再生における清算価値の計算は、基本的に自己破産の場合の財産の評価方法によっています。


例えば、退職金は自己都合退職による支給見込額の8分の1が評価額の基本ですね。

自己破産でも財産としてカウントされない差押え禁止財産も、清算価値には計上しません。

再生積立金(試験積立金)もカウントされるので、当職は、開始決定時から積み立てをしてもらうようにしています。
開始決定後の試験積立は財産にカウントされません。

 

債務整理(任意整理個人再生、自己破産等)のサポートはなかた法律事務所にご用命を。

 

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家庭内別居による離婚 [離婚問題]

広島県広島市の弁護士仲田誠一です。

今回の離婚問題コラムは家庭内別居から離婚に至るケースのお話です。

 

離婚の種類には、協議離婚、調停離婚、裁判離婚とあります。
なお、審判離婚もありますが実務上はほぼ使われません。不服申し立てをされると意味がなくなるためです。

 

協議離婚、調停離婚は当事者の合意に基づきます。
当事者間で合意をするか、調停を申し立て調停成立の形で合意をするかの違いです。

これに対して、裁判離婚法定離婚原因が必要です。
強制的に離婚を認めるものだからです。

その中で最も多いのが、「その他婚姻を継続し難い重大な事由」です。
婚姻関係が破綻したら離婚を認める破綻主義を採用したと言われている条項です。

不貞行為などの他の法定離婚原因がなくても婚姻関係の破綻が認められたら離婚できるのですね。

 

婚姻関係破たんの判断で、大きなものは、別居期間ですね。
3年の別居があればいい、いや2年だ、など色々な見解はありますが、明確な基準があるわけではありません。
実際には他の事情も合わせ考慮して婚姻関係が破綻したかを判断することになります。

また、調停、訴訟をしていくと、別居期間がその分長くなります。
2,3年待って調停や訴訟を申し立てる必要があるわけではありません。

ある程度の別居期間があると、訴訟でも、裁判官から和解を強く勧められることが多いです。
仮に一審で離婚が認められなくても、控訴されるとその時点ではさらに数か月から1年経ちます、離婚が認められ易くなるのです。

 

家庭内別居はその別居期間にカウントしてくれるのでしょうか?

理屈では家庭内別居も別居です。

ただ、家庭内別居であるということ自体がなかなか認められません。

財布が別だ、夫婦として行動していない、性的交渉もない、経済的理由から別居できなかった等々の婚姻関係破綻の間接事実を主張・立証をすることになります。
実務上ハードルはやや高いなという感覚です。

物理的に別居ができない経済的理由等もあるのだからもう少し柔軟に考えて欲しいとは思っておりますが。
家庭内別居の離婚訴訟もやったことはありますが、裁判所に家庭内別居の証明について宿題を出されます。

 

ということで、家庭内別居をする場合には、できれば、当事者間で家庭内別居であることと費用や住み方の取り決め内容を記載した書面を交わしておくことをお薦めします。

家庭内別居が成立したことの有力な証拠になります。


勿論、弁護士に相談して書面を作った方がいいでしょう。
後で家庭内別居が始まったと認めてもらえるような書面を作成してもらってください。

なお、家庭内別居を前提として、早めに離婚調停や婚姻費用分担調停をしておくということも一つの方法にはなりますね。
 

離婚婚姻費用養育費財産分与慰謝料請求等、離婚問題のサポートはなかた法律事務所にご用命を。

 

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