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コラム 仲田 誠一 14ページ目

オーバーローンの共有不動産の分割請求 [不動産問題]

広島県広島市の弁護士仲田誠一です。

 
今回の不動産問題コラムは共有不動産の分割請求のお話です。


不動産は、結婚・離婚や相続により共有状態になることが多いでしょうか。
 

民法上、共有状態は異例な状態との位置づけであり、共有者はいつでも共有物の分割を請求できることが原則です。
共有物分割請求といいます。

  

共有物分割請求は、調停、訴訟ができます。訴訟で折り合いが付かなければ最終的には換価分割の判決が出る可能性があります。
勿論、現物で分けられる場合には現物分割もありえますが、実際には不動産を2つに割るのは難しいですね。
競売で換価して分けるというおそろしいことになり得ます。

通常、共有物分割請求では、お金で清算する、あるいは共同で売却して代金を分けるという和解的解決が図られます。
それが利害関係人共通の利益だと思います。合理的な解決ですね。

ただ、感情も入り、合理的な和解解決ができないこともありますね。
そういう場合は判決、競売もやむを得ないということになります。


ところで、オーバーローンの場合はよく考えないといけないことがあります。
オーバーローンというのは、不動産に担保が付いており、被担保債権が当該不動産の価値を上回っている状態です。
ローンがオーバーしている状態ですね。

離婚によって、オーバーローンの共有不動産が作出される場合が典型でしょうか。

共有物分割は、最終的には判決による解決、かつ換価分割が原則になるということは上述しました。


しかし、オーバーローンの場合、共有不動産を分割するために競売をすることはできません。そういう判例があります。

仮に、訴訟をして換価分割の判決を貰っても、執行ができなければどうしようもないですね。

 

じゃあ、オーバーローンの場合に和解的解決ができない場合はどうするかという問題があります。

ここで、全面的価格賠償による解決が出てきます。
全面的価格賠償とは、所有権を一方に認めるが他方にお金を払えという形のやや例外的な判決で、これを認めた裁判例もあります。
金銭解決ですね。

勿論、オーバーローンでない場合にも、あり得る判決です。

ただ、当事者の反対意向がなく単独所有権を取得する当事者に支払能力がある場合でないと出ない判決です。

価格賠償の判決が出る可能性があるのであれば、オーバーローンでも共有物分割請求訴訟をやって意味があるということになりますね。

 

理屈で言ったら不動産に価値が残っていない以上、価格賠償はゼロでもいいような気がしますが、そうはいかないでしょう。
離婚後のケースで、ローンの負担状況や居住利益等も含めた総合考慮により価格賠償額が決められた例もあります。

総合考慮だと金額の見通しはなかなかつけられないことになりますが。


不動産に関するご相談はなかた法律事務所にご用命を。

 

広島の弁護士 仲田 誠一

なかた法律事務所

広島市中区上八丁堀5-27-602

https://www.nakata-law.com/
 

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借金問題を弁護士に相談する意味 [借金問題]

広島県広島市の弁護士仲田誠一です。

 

借金問題コラムとして、借金問題を弁護士に相談する意味を改めてご説明します。

債務整理は弁護士に相談されることをお勧めします。

 

弁護士は、任意整理は勿論、自己破産、個人再生等、あらゆる手続を基本的に制限なく代理できます。
そのため、債務整理全般の手続に精通しているというわけです。

弁護士であれば、ご相談に応じて、任意整理個人再生、自己破産、民事再生等のどの手続が適切かの選択を適切にアドバイスできますね。

 

また、破産管財人や再生委員は、弁護士が担っています。
経験のある弁護士は、自己破産や個人再生などにおいて何が問題となるのか、表からも裏からもわかるわけです。
経験豊富な弁護士は、破産管財人として裁判所と実際に協議しながら否認権を行使したり免責意見等を出したり破産手続を主導的に進め、あるいは再生委員として裁判所と問題点を共有して手続のサポートをしているわけです。
破産管財人個人再生委員の経験がないと、裁判所の見方などの勘所が掴みにくいところです。
裁判所と倒産法制等に関して協議をしているのも弁護士会ですね。当職も、定期的に裁判所と協議をするメンバーになっています。
情報量が違うのでしょう。

経験のある弁護士は、自己破産、個人再生の手続上、問題になりそうな点を想定し、法的にどうクリアすればスムーズに手続を進められるかアドバイスすることもできるでしょう。

 

そのような存在は弁護士しかいません。
借金に困った、債務整理をしないといけない、という方がまず相談するべきは弁護士だろうなと思うところです。

 

また、依頼する段階になった場合、弁護士ではないと受けられない事件、あるいは弁護士しか代理できない手続がありますね。

どうせ依頼するのであれば弁護士に依頼された方が安心して手続を進めることができます。


なお、場合によっては、弁護士が代理人に付いていないために、結果として破産管財事件の扱いになったり、個人再生委員が選任される扱いになったりすることもあります。
自己破産や民事再生も裁判(訴訟ではありませんが)が絡む法的手続ですからね。
代理人たる弁護士がきちんと確認をして書類を出し、裁判所の疑問に答えることは、それ相応の意味があります。

 

手前味噌ですが、やはり債務整理のご相談は弁護士になされることをお薦めします。
勿論、弁護士であれば誰でもいいというわけではないでしょう。

弁護士に限らず、宣伝を鵜呑みにしてはいけません。
かつ、大きい事務所であればいいというわけでもありません。

結局は、依頼される弁護士の質です。
弁護士に相談される際には、よく弁護士の質を吟味してから依頼されてください。

 

債務整理(任意整理個人再生、自己破産等)のサポートはなかた法律事務所にご用命を。

 

広島の弁護士 仲田 誠一

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可否同数の場合の議長の裁決権  [企業法務]

広島県広島市の弁護士仲田誠一です。

 

今回の企業法務コラムは、議長の議決権を取り扱います。

 

取締役会、株主総会の通常の決議(過半数で行う決議)の場合、当然、議長は議決権を有することになります。
議長だからという理由で議長が議決に加われないとすると、その議決権を不当に奪うことになりますからね。


その他の団体の会議体でも同様に考えていいです。

 

一方、公的議会などでは、議長は決議に参加できず、可否同数の場合の決定票のみ有すると定められているようです。
議長は公正な立場でいなさいということでしょうか。

 

各種団体や会社で「可否同数の場合には議長が決する」というような決まりを定款等で定めている場合、どういう解釈をするべきでしょうか。

実際にあるようですね(
会社定款ではこのような規定は認められないようですが)。

 

「可否同数の場合には議長が決する」の定めを、いったん議長が議決に加わった上で、可否同数の場合に再び議長が決定票を持つという解釈はできないでしょう。
議長が2個議決権を持つことになりますし、法定の決議であれば法定決議要件を勝手に緩和するものだからです。

そのような解釈でおこなった決議は無効となろうかと思います。


結局、「可否同数の場合には議長が決する」の定めは、議長はまずは議決権を行使せずに留保し、最後に議決権を行使することを定めた規定、というように解釈せざるを得ないでしょう。

 

もっとも、議長を交えた決議の結果として可否同数になった後に、改めて過半数決議等により「議長一任」の決議が成立した場合は別です。
適式に「一任」を内容とする決議が成立したことになりますからね。

そしたら議長が決めていいわけです。

もっとも、「取締役会での法定決議事項」などと法定決議事項全般について無限定に「議長一任」が認められるわけではないでしょう。
個別の議案に限ってということになると考えます。

 

こう見ていくと、「可否同数の場合には議長が決する」というような決め事は、あまり意味がないですね。
混乱させるだけのような気がします。

 

顧問契約、契約トラブル、企業法務サポートのご用命は是非なかた法律事務所に。

 

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自己破産における免責不許可の可能性 【借金問題】

広島県広島市の弁護士仲田誠一です。

 

今回の借金問題コラムは、債務整理のうちの自己破産のお話です。

 

自己破産においては、破産法で免責不許可事由が定められています。
そのような事実が存在する場合には免責を原則許可できないということです。
ギャンブル、浪費等の財産散逸、不公平な弁済(偏頗弁済)などが典型ですね。

これに対し、免責不許可事由がない場合には、権利として免責がされます。これを「権利免責」といいます。

 

自己破産を申し立てても、免責不許可事由があれば免責決定が受けられないのでしょうか。

実はそうではありません。

 

権利免責と異なり、免責不許可事由があれば、原則として免責を得られません。
しかし、裁判所は、その場合でも「裁量免責」という形で免責することができます。


実務上は多く事例で免責不許可事由があったとしても裁量免責で救われています。

免責不許可事由が悪質・重大な場合には、免責不許可となる、あるいは事実上破産開始決定前に自己破産申立ての取り下げを勧奨されることになります。
ただ、その例は統計的にごくごく例外です。
よほどの事情があるときですね。


自己破産をしなければならないケースでは何らかの問題を抱えていることが多いです。
問題になる行為があったとしてもあきらめる必要はありません。

 

当職は破産管財人として一度だけ免責不許可の意見を出したことがあります。
が、ただ一度だけです。
そのケースは2度目の破産で前回と全く同じ浪費行為が借金の理由となっていた事案でした。
申立代理人の立場ですと、一度も経験がありません。

 

なお、予め免責不許可事由が重大・悪質で免責を得るのが厳しいと判断できるケースでは、個人再生を利用することもアドバイスしております。
個人再生では、免責不許可事由がありませんから。

ただし、破産手続でいう否認対象行為(偏頗弁済、無償行為等)がある場合には、個人再生においても清算価値に計上するとことを要求されます。
場合によっては、小規模個人再生でも計画弁済額が債権額の5分の1よりも大きくなることがありますね。

 

なお、自己破産においては、免責不許可事由の度合により、免責調査型の管財事件になる可能性があります。
免責不許可事由の程度によっては予納金の準備も考えないといけません。
それでも、
最終的には免責決定ができることが大多数です。

勿論、免責不許可事由があっても同時廃止で終わるケースは多いですよ。

その場合、ケースによっては、
破産開始決定の際に債務者審尋が入り裁判所に呼ばれる、
あるいは免責審尋が集団免責期日ではなく個別審尋期日になる、
といったこともあります。
裁判官と面談をするということです。


債務整理(任意整理個人再生、自己破産等)のサポートはなかた法律事務所にご用命を。

 

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マイカー通勤、自転車通勤のリスク管理 【企業法務】

広島県広島市の弁護士仲田誠一です。

 

今回の企業法務コラムは、以前にもお話ししましたが、従業員のマイカー通勤・自転車通勤のリスクについてもう一度お話します。

 

従業員の通勤事故において、使用者である会社が使用者責任を問われるケースが増えていることはお話ししました。
会社が責任を負う場合、損害賠償額が自賠責を超える高額なものになる場合も珍しくなく、会社にとって大きなリスクなのです。

中小企業がいきなり1億円なんて賠償責任を負うと経営危機ですよね。

 

企業としては、マイカー通勤を許容するかどうかを明確に定めきちんと管理をしなければいけません。
許容しない場合には、徹底的に禁止をします。

許容するのであれば、任意保険(原則として対人対物無制限)の加入を条件として、従業員の保険加入状況を定期的に確認してください。

規程の整備も必要ですね。

 

保険証券の定期確認の際には、期限や保障内容だけではなく、「使用目的」の確認を忘れずに。

月一定以上の日数(保険会社により15日など基準が定められています)を通勤に使っているにもかかわらず、保険の使用目的が「通勤・通学」ではなく「日常・レジャー」になっている場合、事故時に保険会社が対応しないリスクがあります。

使用目的によって保険料に差があるので、一番安い「日常・レジャー」になっていることが多いです。
本人が意識しないでも代理店がそうしているケースもあるようです。

マイカー通勤を許す場合には、使用目的が「通勤・通学」になっているか確認しないといけませんね。

 

自転車事故による損害賠償高額化の問題もお話ししましたね。

自転車保険は保険料が安いですし、火災保険や自動車保険の特約(個人賠償保険特約)で自転車事故がカバーできる場合もあります。
自転車についてもやはり自動車と同じような管理をするべきだろうと思います。

 

通勤事故の発生頻度は少なくても、一度でも起きると金額が大きい場合があります。
損失額×発生確率で考えると、通勤事故のリスクは相応なものと評価され、きちんとした対処が必要になります。

基本的な管理はそう手間がかかることではありませんので、きちんと管理してください。

 

顧問弁護士、企業法務サポートのご用命は是非なかた法律事務所に。

 

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離婚の際に決めておいた方がいい細かいこと [離婚問題]

広島県広島市の弁護士仲田誠一です。

今回は離婚問題トラムは、離婚の際に決めておかないといけないことはいろいろあります。

 

財産分与
年金分割
未成年のお子様がいらっしゃるときの親権者
養育費
面会交流
については必ず決めますね。

 

それらの基本的なことは協議書、調停調書などで決めておくのが当然です。

しかし、他の細々したことでも、きちんと決めておかないと、時にはやっかいな問題になることがあります。
今回はそのようなお話です。

例えば次のようなものです。

 

・ 離婚の届出日
どちらが出す、いつまでに出すかよく揉めるところです。

・ 面会交流の際の具体的な連絡方法、具体的な面会方法
決めておかないと実施できませんね。

・ ペットをどちらが引き取るか
本当は財産分与の一種なのです。これも決めておかないといけません。

・ 家具、家電等の動産類をどう分けるか(どう処分をするか)
よく揉めるところです。

・ 年金分割の手続の仕方(協議離婚の場合は決めないといけません)
2人で年金事務所に行くのか、公証人役場に行くのか、代理人を立てるのか等ですね。

・ 健康保険証・資格喪失証の受け渡し方法
これもよく問題になります。

・ 自宅鍵の返却方法

・ 合算で請求される携帯電話料金の支払方法の変更
手続をしないと精算関係が解消しません。

・ その他口座引き落としの変更
後の精算が大変なので予め決めておきたいですね。

等々、枚挙に暇がありません。

 

離婚が決まってからではなかなか意思疎通もできないでしょう。
後で揉めないよう、離婚協議時には、離婚をした状態を想定して、かつ通帳やクレジットカードの明細も確認し、
「あれはどうなるのかな、これはどうしたらいいのかな」と想像し、できるだけのことを決めておいた方がいいです。

 

当職が代理人として入って成立させる離婚の際にも、大枠の合意ができても、上記のような細かい事柄が原因で揉めてしまい改めて調整を要するということが珍しくありません。

 

離婚婚姻費用養育費財産分与慰謝料請求等、離婚問題のサポートはなかた法律事務所にご用命を。

 

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裁判所から支払督促、訴状が来た! [借金問題]

広島県広島市の弁護士仲田誠一です。

 
今回の借金問題コラムは、支払督促、訴状が届いた場合のお話です。

債権者から今まで来ていた督促状とは違う書類が裁判所を通じて来たということで債務整理のご相談に来られる方もいらっしゃいます。


なお、裁判所を通じない債権者からの訴訟予告通知は単なる督促状の意味合いしかありません。

裁判所を通じて何かが届いたらそうではありません。支払督促あるいは訴状でしょう。

 

裁判所を通じた支払督促申立てや訴訟提起を放っておくと、債権者は判決等の「債務名義」(強制執行をする資格のようなものと思ってください。)を取得することになります。

あなたの給与等(勤務先を知っている場合しか事実上できませんが)や預貯金の差し押さえすることができることになります。


なお、単に消滅時効を中断させるためだけに支払督促、訴訟を利用するケースもなくはないです。
判決等をもらうと時効が中断ししかも時効期間も延びます。

 

支払督促が届いた、訴状が届いたら、としたら、将来の強制執行を予測して、一刻も早く債務整理をしなければならない方も多いです。

 

支払督促が来たら2週間以内に異議申立書を提出しないといけません(説明や書式は封筒に入っています)。
そうすれば通常の裁判手続に移行します(訴訟対応に切り替わります)。

まずは異議申立書を出してください。
書き方が分からなければ弁護士に相談してください。

 

訴状が届いたときは、答弁書を出さないといけません。
答弁書の提出期限も決められています。
事実上、期日の前日に提出しても大丈夫なのですが。

しかし、出さないと欠席判決を出されます。
答弁書の書き方は弁護士に聞いた方がいいかもしれませんね。

 

異議申立書、答弁書を出せば、多少時間を稼ぐことができます(言い方が悪いですが)。

その間に、急いで弁護士と相談して、債務整理手続を進めてください。

自己破産、個人再生だけではなく、場合によっては任意整理をする場合もあります。

 

なお、弁護士が入って自己破産をする旨の受任通知をすれば、(弁護士が委任状を出して代理人につくことも多いです)、訴えの取り下げ等をしてくる債権者もいます。
特に自己破産、個人再生を匂わせると、取下げてきます。

仮に取り下げてくれなければ自己破産等の手続を急ぎます。
できるだけ早く申し立てて、開始決定を貰います。
この段階になれば取り下げる債権者がほとんどです。

 

というわけで、支払督促、訴状が届いたら、弁護士にすぐに相談されることをお薦めします。

 

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離婚に伴う財産分与と退職金 [離婚問題]

広島県広島市の弁護士仲田誠一の離婚問題コラムです。

 

離婚のご相談の際、まだもらっていない退職金が財産分与の対象となるかということはよく聞かれます。

財産分与の対象おなるかどうかはケースバイケースで認められるという答えになります。

 

まず、退職金が財産分与の対象となりうるかについてお話します。
 

退職金受給が確実なケースでは財産分与対象になります。
退職間近の場合はもちろん財産分与の対象でしょう。

しかし、確実でない場合には否定されます。
例えば、20年先の退職金などは、退職金受給の確実性が乏しいとして財産分与の対象とならないでしょう。

具体的に何年後まで財産分与の対象となるかはケースバイケースです。

公務員か民間企業か(公務員は受給確実性が高いと判断されます)、大企業か中小企業か(大企業は受給確実性が高いと判断されます)によっても判断が異なります。

公務員・大企業なら10年先ぐらいからかなあとの感覚はありますが、一概に答えられません。

 

なお、清算的財産分与の対象とは認められなくても、扶養的財産分与として考慮をした例もあります(居住権などで考慮)。

 

次に、財産分与の対象となる退職金の金額についてお話します。


現在(別居日現在が多いでしょうか)自己都合退職した場合の退職金見込み額を基礎として、

同居あるいは結婚から別居時までの期間 / 入社から別居時までの期間
で按分した夫婦共同生活期間分を
財産分与の基礎財産とする方法、
が主流でしょうか。


ただ、これも退職金受給までの期間によっては考え方が異なります。
予定される退職金額から別居後の労働分を差し引いたうえで現在価値に直す(中間利息を控除する)というような方法もあります。
ややこしいですね。

なお、退職金に似たものとして、中退共、小規模企業共済も分与の対象となると思っていいです。

 

最後に、財産分与の対象となるとして、退職金の分与はいつされるのでしょうか。

こちらも、必ずこうなると決まっていません。


支払いが可能であれば離婚時の支払いが命じられる可能性があります。

他方、支払う余裕がなければ(通常はそうでしょう)、退職金が支給された時に支払うという形になるでしょう。
退職金が後から支給されるもので現在は現金化できないですからね。

 

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相続放棄と電話加入権 [相続問題]

広島県広島市の弁護士仲田誠一です。

 
相続問題コラムです。


相続放棄に関して、民法921条では単純承認の効果を生じる法定単純承認行為が定められています。
 

そのような行為をすると相続放棄が理屈上はできなくなる、あるいは既に行った相続放棄の効力が認められないのですね。


法定単純承認行為の中でよく相談を受けるのは、相続財産の「処分」です。

 

「処分」に相続財産の経済的価値は関係してくるでしょうか。
ゴミの廃棄も「処分」の1つとも言えますよね。

 
判例等では、経済的に重要性を欠く(あるいは一般経済的価値のない、交換価価値を失った)物の形見分けのような処分は「処分」に該当しないとされています。

処分価値のない物の廃棄処分も当然許されます。許されないと困りますね。

ただ、個々の物についての線引きが難しいので慎重に判断しなければなりません。
中には、しばらく保管をしておいて、ほとぼりが冷めたら処分をするようにアドバイスせざるを得ない物もあります。

 

そこで、今回は電話加入権のお話をいたします。よく聞かれますので。

電話加入権の引継ぎはどう扱われるのでしょうか。

 

現在では電話加入権は確かに財産的価値が乏しいです。

ただし、一般的経済的価値がないと言い切れません。

相続財産の承継は法定単純承認事由に該当することが原則論です。

電話加入権の承継が単純承認行為にはならないという判例が出てこない限り、電話加入権の承継(名義変更)はリスクが高い行為として避けるべきとアドバイスせざるを得ません。

 

どうしても被相続人の電話加入権を継続して使いたいのであれば、支払口座あるいは使用者を変更して使い続けること自体は大丈夫でしょう。

処分ではなく管理行為にすぎないと見られるのではないでしょうか。

 

相続放棄を考えられている方は、様々なことを確認してから物事を進めてください。

 

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家賃の延滞がある場合の債務整理 [借金問題]

広島県広島市の弁護士仲田誠一です。

 

債務整理のご相談の際、ご自宅の家賃を滞納されている方がいらっしゃいます。

 

任意整理であれば問題はありません。
対象とする債務を選んで交渉すればいいばいいのです。
勿論、毎月弁済額については家賃滞納も考慮して考えないといけませんが。

自己破産や民事再生という法的整理をするとなると問題が生じます。
貸主を債権者として扱わなければならなくなるのですね。
滞納家賃も債務です。債務は全て計上しなければなりません。

弁護士が受任通知を出さなくとも、大家さんに裁判所から通知が行ってしまいます。

滞納家賃を破産債権、再生債権として扱ってしまうと、住み続けられない可能性が大きいですね。
引っ越しにはまた費用が発生しますし。


家賃の支払い状況は通帳の動きから確認されるでしょう。
裁判所に
家賃滞納を隠すことも難しいです(勿論、隠すこと自体いけないことですが)。


事実上、自己破産や個人再生は、家賃の滞納を解消してもらってから申立てをせざるを得ません。

 

勿論、他の金融機関債務などの返済を止めた後での滞納家賃の支払継続は、偏頗弁済に該当すると言っていいでしょう。
偏頗弁済は免責不許可事由に該当しますし、場合によっては否認の対象ともなる行為です。
債権者平等の原則が破産法の一つの柱ですので、不公平な弁済はそのような扱いがされるのです。

したがって、裁判所から問題視されることもあるかもしれません。
しかし、やむを得ないですよね。

自己破産であれば、仕方がなかった事情を説明して、裁量免責を得ることになるでしょう。
個人再生であれば、偏頗弁済額を清算価値に計上します。それにより最低弁済額が大きくなることもあります。

 

自己破産、個人再生を選択せざるを得ないケースでは、そのようなリスクは承知の上で、最優先で家賃の滞納を解消してもらうことが多いです。

 

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