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コラム 仲田 誠一 15ページ目

事業のリスクはすべて法律に通じる [企業法務]

広島県広島市の弁護士仲田誠一です。

 

今回の企業法務コラムは、会社を取り巻くリスクの把握、管理等はすべて法律に通じるというお話です。

企業法務は、企業のリスク管理を担うと考えています。
かつ、企業のリスク管理には、法律家の助けが必須だとも考えています。

 

多くのリスクを作るのは何でしょうか。法律です。


まず、法律で損害賠償義務、契約責任、その他法定責任が決められています。
法律や判例が変わると今まで隠れていたリスクが問題となるケースも珍しくありません。

法律が様々な手続も定めていますね。法定手続の瑕疵、懈怠も大きなリスク原因です。


また、リスクが顕在化する場合には、多くは(金銭的評価のできる損失の多くは)、法律の世界を通して、金銭的な責任が表面化していきます。

上述のように法律の定めやルールに従って、リスクが顕在化します。

顕在化したリスクの解決にも、訴訟等の法的手続あるいは和解等の場でも法的見解に基づいて、最終的な責任が決まっていきますね。

 

リスクの多くが法律に従って発生し、法律を通じて顕在化していくのであれば、リスク管理には法律的な観点が必要ですね。

法務リスクは狭く捉えられるものではないのです。

リスクを排除する、リスクを回避する、リスクを低減するという作業では、法律的観点から責任が発生する事態を排除・回避する仕組みを作るという作業が大きいウェートを占めるはずですね。

 

例えば、経営は契約の積み重ねです。それぞれにリスクがあります。

業界慣行・経験により「これで大丈夫だ」と思ってご商売をされていませんでしょうか、そのようなものは裁判では通用しません。
企業トラブルはほぼ契約内容の解釈により結論が出ますが、それは法的に解釈されるのです。

リスクが顕在化したら損失は甘んじて受け入れるというのであれば、そのような経営姿勢でいいのかもしれません。
しかし、実際にトラブルが発生した際にもそのように達観できる経営者の方は少ないでしょう。

勿論、損失は経営にも影響を与えます。大きな契約1つにでも紛争が発生したら、コストがかかるだけではなく、資金繰りの悪化に即繋がりますね。
契約の積み重ねの中で最低限の抑えだけでもしておけば、紛争発生は防ぐことができますし、紛争の早期解決にも繋がります。

 
「簡単な〇〇だけでも記録に残しておけば裁判に勝てたのに!」と感じる裁判は珍しくありません。

ノーガードで経営をされている例が驚くほど多いと感じています。

企業は、その活動全般について、リスクを診断し、リスクの回避、トラブル発生予防をしていかないといけません。
その方が最終的なコストは安くなるはずです。


日頃から、法律的な観点で企業防衛を図る意識が必要であると思います。

 

顧問契約、契約トラブル、企業法務サポートのご用命は是非なかた法律事務所に。

 

広島の弁護士 仲田 誠一

なかた法律事務所

広島市中区上八丁堀5-27-602

https://www.nakata-law.com/
 

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破産とスマホの不正購入 [借金問題]

広島県広島市の弁護士仲田誠一です。

 

債務整理のご相談の際、スマホの不正購入が絡む事例が増えてきたように思います。


自身名義でスマホやタブレットをクレジットで契約し、物は業者あるいは債権者に渡るという事例です。
SIMカードは外す場合が多いでしょうか。

 

お金を作るために、あるいは債権者から脅かされて、そのような行為をするようです。

 

勿論、違法行為です。転売目的、譲渡目的でスマホを購入してはいけないのです。
かつクレジット契約違反にもなりますね。

皆さん、変だなと思いつつも、後で問題になるかどうかは考えずに、当座のお金のために利用してしまうようです。

販売店側でも一度に複数契約する申込者が来たらおかしいと思うのだろうと思いますが。
そのあたりは業者も考えていて、店舗と購入する台数等を指示して、同日に何か所かで購入をさせている事例もありますね。

 

ご相談者は、借金が多くて追い詰められた末にそのような行為に至ることが多いので、多くは既に自己破産をしなければならない状況にあります。

しかし、自己破産を選択せざるをえない場合、そのような行為は免責不許可事由の扱いになります。

そのため、裁判所への説明は丁寧に、被害者的な側面(被害者であると同時に債権者からは加害者になるのです)を反省の色と矛盾しない形で強調して行います。

場合によっては、管財事件の扱いになることもありますので、ご注意ください。
勿論、きちんと説明して同時廃止で終わっているケースもあります。

不正購入の金額が大きい場合でかつ収入が一定程度あり個人再生も可能な場合には、無難に個人再生を選択することもお勧めしています。

 

スマホの不正購入に限らず、債務整理のご相談の際には、変わったことをした、あるいはよくわからないことをしてしまっていたら、必ず弁護士に伝えてください。
破産法等で問題になる行為かもしれません。

自己破産等の申立後にそのような行為が判明するとうまく処理ができないこともあります。
事前におっしゃっていただければ弁護士がそれを前提にして、どうスムーズに手続を進めるべきか考えることができます。

 

債務整理(任意整理、再生、破産等)のサポートはなかた法律事務所にご用命を。

 

広島の弁護士 仲田 誠一

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特別利害関係人と取締役会、株主総会  [企業法務]

広島県広島市の弁護士仲田誠一です。

今回の企業法務コラムは、特別利害関係人と取締役会、株主総会の関係のお話です。

企業法務サポートにおいては、取締役会あるいは株主総会の議事録を作成することも多いです。

議事録作成時には、取締役会あるいは株主総会における決議に特別な利害関係がある取締役あるいは株主の扱いが気になりますね。


まずは株主総会です。


株主総会においては、決議内容に特別な利害関係のある株主でも議決権を行使することができます。

株主総会の議長にもなれるとされています(なお、以前は議決権行使が許されませんでした)。

ただし、特別利害関係人の議決権行使の結果として著しく不当な決議がなされた場合には決議の取消事由とされています。

原則は議決権行使が許される、例外として資本多数決の濫用は許さないということです。

 

なお、会社が自己株式取得を承認する一定の決議においては、相手方の株主は議決権を行使できないと特別に定められています。

 
次に、問題が生じる取締役会です。


取締役会設置会社における取締役会では、決議について特別の利害関係を有する取締役が議決に加わることはできません(その場合、定足数算定の基礎の人数にも算入されません)。
株主からの委託を受けている取締役の忠実義務から決議の公正を期す必要があるということでしょう。

違反をすれば原則として決議は無効となります。


勿論、特別利害関係取締役は、議長にもなれません(既に議長である場合には権限を失います)。

特別利害関係取締役には意見陳述権もなく、退席を要求されれば退席する必要があります(出席していること自体では無効とはならないとされているようです)。

 

特別利害関係人の存在は、譲渡制限株式の譲渡承認、競業取引・利益相反取引の承認、会社に対する責任の一部免除、代表取締役の解職決議(争いはありますが判例があります)、等実務上よく目にする場面です。

議事録を作成するときに悩ましいです、決議毎に議長や議決権者を変更する等ややこしいことを考えないといけません。

例えば、譲渡制限株式の譲渡承認ですが、株主総会で承認できる会社であれば、オーナーさんあるいはご夫妻が株主であることが多いので、全員出席株主総会を開いてもらえれば簡単に臨時株主総会を開いて譲渡承認手続ができますね。

しかし、取締役会設置会社では定款で別段の定めをしていないと取締役会で譲渡承認をしなければなりません。

取締役会開催にあたっては、オーナーご夫妻以外の取締役や監査役も絡んでくる。
かつ、特別利害関係取締役の議決権がないということで、手続きが面倒になるケースもなるということです。

 

なお、よく質問を受けることですが、取締役会における代表取締役の選任決議での候補者取締役は特別利害関係取締役に当たりません。

 

顧問弁護士、企業法務サポートのご用命は是非なかた法律事務所に。

 

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自動車保険の使用目的に注意 [交通事故]

広島県広島市の弁護士仲田誠一です。

 

自動車保険のお話です。

 

自動車保険での車両の使用目的は告知事項です。
告知義務の範囲に属し、告知義務違反があれば契約解除、保険金未払いということにも繋がりかねません。

 

使用目的は、
業務使用
通勤・通学使用
日常・レジャー使用
に分けられます。


一番保険料が高いのが業務使用、それが安いのが日常・レジャー使用です。
事故を起こす確率が違うということなのでしょう。

 

日常・レジャー目的かそれ以外かの基準は、月〇日以上、通勤・通学あるいは業務に使用するかどうか、の形で保険会社が決めています。

 

保険料が安く済むからといって、虚偽の使用目的(日常・レジャー)を申告して通勤事故を起こすと保険金が支払われない可能性があるのでご注意ください。
事故が起きて任意保険の支払がないということになると非常に困ります。
自賠責は人身だけですし、かつ金額も限られています。

 

なお、日常・レジャー目的の保険契約を締結していて、たまたま通勤に使った際に事故に遭ったらどうなるのでしょうか?

 その場合は大丈夫です。
虚偽の申告をしているわけではありませんから保険会社が対応してくれます。

 

なお、会社が従業員にマイカー通勤を許容している場合、少なくとも任意保険の加入は義務づけて確認をしてください。
会社に使用者責任が及ぶ可能性が高いですから。
その際に、会社は保険の使用目的も確認する必要がありますね。
通期・通学になっていないとおかしいことになりますね。
きとんとしていないと会社に対して思わぬ損害賠償請求が来ることがあります。

 

交通事故のご相談はなかた法律事務所にご用命を。

 

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2度目の自己破産 [借金問題]

広島市の弁護士仲田誠一です。

2度目の破産のご相談を承ることも珍しくありません。今回の借金問題コラムは、2度目の自己破産について解説させていただきます。

2度目の自己破産は、前回破産の免責決定確定から7年を経ているかどうかで大きく扱いが変わります。


Ⅰ 前回免責から7年以内の場合

前回の破産での免責決定が確定してから7年間は、基本的にもう一度破産免責を受けることはできません。1度目の破産の免責審尋の際に説明を受けていらっしゃると思います。

理屈上、前回破産免責決定から7年を経ていないことが免責不許可事由に当たります(破産法252条1項10号)。他の免責不許可事由では、裁量免責が原則とっていいほど裁量免責を認めてくれる運用なのですが、この免責不許可事由については裁判所が容易に裁量免責を認めません。再び裁量免責を得るにはよほどの事情が必要です。

1度目の免責決定確定から7年以内の場合の債務整理方法は、基本的には、小規模個人再生任意整理から選択します(給与所得者等再生も選択できません)。

Ⅱ 前回免責から7年を超える場合

一方で、1度目の免責決定の確定から
7年を経ていれば、再度の破産による免責許可を得ることも十分に可能です。

勿論、2度目では裁判所の見方が厳しくなります。
広島地方裁判所でも、かつての一時期は、2度目の破産は原則として管財事件にするという運用であり、予納金の工面も考えなければなりませんでした。

しかし、現在では、2回目の破産だからといって直ちに管財事件にされることはありません。同時廃止で終わるケースがむしろ多いです。
ただし、開始決定前に債務者審尋が入って事情を聞かれる、あるいは個別の免責審尋期日が入って面談される、ということはあります。


2回目の自己破産の申立てにあたって重要なのは、再度の申立てに至った事情の説明です。最初の自己破産と同じ理由なのか、違う理由なのか(例えば同じ浪費行為が原因ということであればなかなか厳しく見られます)、なぜ度目で懲りなかったか(やむを得なかった事情があったのか)、丁寧にかつ筋道を立てて説明します。

仮に1度目の破産と同じ破産原因を作っている場合は2度目は管財事件の扱いにされる可能性があります。これに対し、1度目と2度目で理由が違う場合や、2度目の借金にやむを得ない事情がある場合には、仕方がないと見て同時廃止になる傾向があります。1回目の破産からどれだけ時を経ているか、再度の借入れの時期も重視されます。

 

なお、従前は、2回目の破産の際、1回目の破産の際の開始決定書、免責決定書の提出を必ず求められました。しかし、広島地裁の扱いが変わりました(2022年7月)。現在では、前回の破産免責決定確定から7年間を超える申立てのケースでは、前回破産時の決定書の提出は求められません。これに対し、前回の破産免責決定確定から7年以内のケースでは引き続き前回決定書の提出を求められます(手元になければ1度目の破産裁判所に謄写申請をしなければなりません)。

以上、2回目の破産についてお話をさせていただきました。


あきらめる必要はありません。ただし、それなりの準備が必要です。無理のない、かつ納得できる説明をしてください。


自己破産、個人再生などのサポートは、豊富な経験、専門知識を有する当事務所に、ぜひご用命ください。

 

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相続放棄と時効援用の関係 【相続問題】

広島県広島市の弁護士仲田誠一による相続問題コラムです。

相続放棄を考える際に悩むケースの1つとして、
相続財産は多少ある、
それよりも大きい債務がありそうだが古い債務なので時効援用できるかもしれない
という場合があります。

 
相続放棄と消滅時効援用の関係を考えないといけないケースですね。

 

相続人に借金と財産があり、借金の多くが消滅時効にかかっている可能性が高いとしましょう。
 

相続放棄をすれば借金を引き継ぎませんが、財産も引き継げません。


一方、借金の多くが消滅時効を援用して債務を消せるのであれば、その結果財産の方が大きくなることもあります。
そうであれば相続放棄する必要がありませんね。

 

ただ、相続人による消滅時効の援用にはリスクがあります。

消滅時効援用通知行為は、それ自体が単純承認行為(相続を受けたとされる行為)と解釈されていますようなのです。


そうであれば、時効援用通知を送ってみたところで、相続人の知らない時効中断事由(支払督促、裁判、返済などの承認行為等)があって時効が完成していない場合、困りますね。

債権者から時効援用の事実を突きつけられると、相続放棄の効果は否定され、債務を引き継ぐ可能性があります。

 

そのため、相続放棄の可能性がある限り、消滅時効の援用は慎重に検討しなければなりません。

相続人の債務の調査ということで、単純承認行為とならない形で、時効中断事由があるかどうかを債権者に確認することになるでしょうか。

時間がかかるのであれば、家庭裁判所に熟慮期間の伸長を申し立ててじっくり調査をすればいいですね。

財産が小さくて相続放棄ができるのであれば、時効の援用など考えずに相続放棄をすることでいいとは思います。

 

遺言、相続、遺留分相続放棄等、相続問題のご相談はなかた法律事務所へ。

 

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不動産の時効取得と税金 [不動産]

広島県広島市の弁護士仲田誠一による不動産問題コラムです。

 

不動産の問題を解決するにあたり、取得時効の援用を行うケースがあります。

 

例えば、隣地との境目の争いがあり占有部分の所有権を確定させるケースがありますね。

あるいは、自宅が曽祖父などの名義のままになっており相続人が分散して話し合いでは解決できそうもないケースも多いです。
今更、枝分かれした多数の他の共同相続人全員から合意を取り付けることは難しいことが多く、訴訟提起して解決するのですね。

 

不動産の時効取得が認められて登記を変更できた場合、所得は把握されるのでしょうか。
今回は、どんな税金がかかるかというお話です。

無償で不動産を取得することになるので贈与税が課税されるかというとそうではありません。

時効取得が、一時所得として所得が把握され課税されます。
 

課税対象は、時効援用時の当該不動産の時価になります。

民法上は時効の援用の効果は占有開始に遡るのですが、一時所得の課税時は時効援用時とされています。
遡ると税金が時効でとれないということがあるからでしょうか。

 

一時所得なので、所謂2分の1課税です。
ただし、収入が時価の2分の1で大きいかもしれません。
かつ、収入から控除できる「直接要した費用」はあまり認められません。
弁護士費用などは駄目なのですね。
そのため、相応の所得が発生する可能があります。

 

このように、不動産の時効取得により所得が把握されるということは気を付けてください。

不動産登記の名義変更をするので、時効取得の事実を税務署は容易に把握することができます。

 

そうであれば、仮に売買などの別の主張が認められそうであれば、あるいは遺産分割等他の方法で解決できるならば、税金がかからない方法を優先するという検討も必要になります。

例えば、過去の売買が認められると課税されないのは当然です(買主なので譲渡所得税はかからないですね)。

過去の遺産分割が認められた場合も相続税の話になり時期的にもはや相続税課税が難しくなるでしょう。

売買や遺産分割等の証拠があるのであれば、まずはそちらの主張を前面に出して、時効取得は予備的に主張することになるでしょう。

時効で解決できるからといって簡単に時効取得に飛びついてはいけないことになります。

勿論、時効取得を検討する案件では、他の主張が認められることが難しいから時効取得を主張しているということが多いのですが。

その場合は仕方がないですが、仮に和解の場面が出てきたら、課税関係を意識して臨まないといけません。

 

時効取得に限らず、紛争の解決には税金の検討の必要が伴う場合が多いです。
紛争の解決方法としてお金や物が動くと非課税所得等ではない限り何かしらの税金がかかる可能性があります。
思わぬ落とし穴があるかもしれません。

 

不動産に関するご相談はなかた法律事務所にご用命を。

 

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給与差押えをされた場合の破産 [借金問題]

広島県広島市の弁護士仲田誠一による借金問題コラムです。

 

債務整理のご相談に来られる中で、既に給与等の差押えをされている方がいらっしゃいます。

本来は、そのようなことが生じるまでに債務整理をしなければならないのですが、なかなか踏ん切りがつかないことがありますね。

債務整理の相談をなかなかできず、訴訟あるいは支払督促を経て給与差押えまで事態が悪化したところで、自己破産等のご相談に来られた方も多いです。

給与差押えによって生活ができなくなった、あるいは差押えを受けた勤務先から債務整理を促されたというケースです。

 
給与差押えは弁護士が介入したからといってすぐには止まりません。


弁護士は、受任後、
1 受任通知時に取り下げを要請する。

2 自己破産を急いで申立て破産開始決定後、強制執行の中止の申立てをする。

3 再度、取り下げを要請する。

ということをします。

1では取り下げてくれない債権者も多いです。
2で強制執行手続が中止となった場合には、取り下げてくれる業者が多いと思います。

 
弁護士が自己破産を受任した旨の受任通知を債権者に送ると、たとえ強制執行で回収したとしても、当該回収金は、自己破産手続が管財事件になった際には否認の対象となります。
強制執行による回収も偏頗弁済行為になり、債権者平等原則の観点から、破産管財人が弁済行為を否認してお金を財団に取り戻すことができるのです。
私も、破産管財人の立場で否認請求をした経験があります。


そのため、弁護士からの受任通知があればすぐに取り下げてもいいようなものだと思うのですが、すぐに取り下げる債権者はあまりいないですね。

 

なお、強制執行の中止は、破産開始決定後に執行裁判所に申し立てることになりますが、それにより進んでいる強制執行が取消・無効になるわけではありません。
したがって、給与からの天引きは続きます。

しかし、第三債務者である勤務先が差押債権者には支払ってはいけなくなり、天引き分を自社でプールしておいてもらいます。
最終的には、自己破産手続において免責決定が確定した段階で、プール金は債務者である従業員さんに支払えることになります。

  

給与等の差押えがなされたら、まずは破産開始決定をとるために(それにより中止の申立てができます)、自己破産申立てを一刻も早く行うことになります。
申立て準備も急いでもらわないといけません。

 

給与等差押えがなされたら、すぐに弁護士にご相談されてください。

勿論、支払督促、訴訟がなされたら、後の給与等差押えが予想されます。
できれば、遅くともその段階で相談してください。

 

債務整理(任意整理民事再生、自己破産等)のサポートはなかた法律事務所にご用命を。

 

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相続放棄の流れ【相続問題】

広島県広島市の弁護士仲田誠一です。

 

今回の相続問題コラムは、弁護士に依頼した場合の相続放棄の流れの説明をします。
 

1 弁護士受任後の準備作業
 

まずは、戸籍、住民票除票等必要書類の準備をします。


弁護士が取ってもいいですが、依頼者の方がすぐにとれるものは取得に協力していただいた方が早く済みます。

同時に、この段階で、
相続放棄を前提として、今後の後始末の仕方について確認をしておきます。
やってはいけないこと、やってもいいこと、やらざるを得ないことをどういう処理で済ませるか段取りをしておくのですね。
これが大事です。

また、
相続放棄申述手続と並行して債権者に対する対応をしなければなりません。
対応の仕方は債権者からの督促の有無、度合いによってケースバイケースで判断します。
督促等が来ていない場合には、相続放棄手続が終わってから債権者に通知する(通常は戸籍等の資料の写しも添付して)ケースもあります。

債権者から督促の連絡などが来るような状況でしたら、相続放棄をする前に弁護士から通知をしておいて、手続が終わったら改めて通知をするケースもあります。
最初からすべての債権者が判明していないケースも多く、その場合には判明するごとに弁護士から債権者に対して通知をしていきます。

 

2 相続放棄申述書の提出


準備が終わりましたら、相続放棄申述書を委任状及び必要書類と共に家庭裁判所に提出します。
後述しますが、委任状に押印していただいた印鑑は忘れないようにしてください。

管轄裁判所は被相続人の最終住所地を管轄する家庭裁判所になります。
遠方の場合には郵送にて提出します(最近依頼を受けた例では熊本や秋田がありました)。

 

3 家庭裁判所からの照会(確認)の依頼が届く


家庭裁判所が必要書類等の確認をした後、放棄をする方宛に、照会(確認)の手紙が届きます。
家庭裁判所によって、届かない場合もありますし、書式も異なるようです。

申立書に記載した「相続を知った日」などの質問事項に回答等を記入し、弁護士への委任状に押印した印鑑にて押印して、家庭裁判所に送り返していただきます。
これで相続放棄申述受理が終了します。

 

4 相続放棄申述処理証明書の取得、債権者への通知

相続放棄申述手続が終わると(裁判所から弁護士宛に書類が来ます)、相続放棄申述受理証明書を取得し、債権者に相続放棄をした旨を伝えます。


5 次順位の相続放棄申述書提出

次順位(子→直系尊属→兄弟姉妹の順番)の相続放棄申述を依頼されているときは、先順位の相続人相続放棄が終わり次第、速やかに次順位の方の相続放棄申述書を提出し、最後の相続人まで相続放棄を順次進めていきます。

実際には先に皆様から必要書類をもらっておいて、弁護士が管理しつつ順次書類を提出していくことが通常ですね。

最後まで終わった際には、改めて債権者に通知をします。

   

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破産と不動産賃貸の審査 [借金問題]

広島県広島市の弁護士仲田誠一の借金問題コラムです。

 

債務整理(自己破産、個人再生任意整理等)を行うと、個人信用情報機関にその旨の情報が登録され(所謂ブラック情報)、個人信用情報を基にして審査をする金融機関からお金を借りたり、保証人になったりはできません。

 

法律上の制度ではないので、はっきりわかりませんが、外部から窺う限りでは、自己破産、個人再生の情報の保存期間は5年か10年です。
7年説もあったのですが。
自己破産等の債権者であった金融機関は一生貸付をしないようです。
独自の信用情報を保管していますからね。

5年経過で借りられるようになったケースもありますが、できれば10年とお考えになって、自己破産後は緊急の事態に備えて貯蓄に励まれることをお薦めします。
5年経ったら借りられたという話も、2度目の自己破産のご相談で聞く話です。


再度の借入れのタイミングは、経験上、スーパーなどでポイントカード兼用のクレジットカードの申し込みに勧誘されて申し込んだら審査に通ったという場合が多いようです。
 
仮にもう一度借りてしまって返せなくなると、前回自己破産の免責確定後7年間はもう一度免責を受けることは原則できません。
その間、小規模個人再生だけは可能です。


その期間を過ぎていても、2度目の自己破産は厳しく見られ、場合によっては管財事件になります。
ただし、2度目の自己破産でも同時廃止で終わるケースはたくさん経験しています。
諦めなくていいです。

 

自己破産後の不動産賃貸の審査はどうでしょうか。
 

通常のケース(大家さんとの間で親族等の連帯保証人を立てて物件を借りる場合)では、自己破産は審査に関係ありません。
大家さんや不動産仲介業者は、加盟金融機関でないでしょうから個人信用情報を照会できません。

 

最近増えてきた、保証会社を入れる賃貸借契約の場合は様相が異なります。
保証会社によっては、個人信用情報機関の加盟会社であって信用情報を照会することができるようです。
審査に引っかかる可能性があるということです。

 

賃貸の申込みに際してクレジットカードの作成を条件とされるケースもあったようです。
カード会社の審査を通じて信用情報を間接的に確認するためですね。

 

自己破産をしたという事実からは、もう借金がないと推認できるわけで、自己破産の事実から家賃滞納の可能性が高いとは一概に言えないはずなのですが。

 

債務整理(任意整理個人再生、自己破産等)のサポートはなかた法律事務所にご用命を。

 

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