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コラム 離婚問題

婚姻費用と特有財産、年金収入 [離婚問題]

広島市の弁護士仲田誠一です。
 
久しぶりの離婚問題のコラムの投稿かもしれません。

刊行物にて婚姻費用分担審判の抗告審例を見ましたので紹介をいたします。
 
別居中の夫が会社を経営し、役員報酬のほかに、年金収入がある、同社から役員報酬のほかに配当をもらっている、また不動産所得もあるケースで、婚姻費用が争われた事例です。
 
論点は2つあったとされています。

一つは、特有財産から生ずる法定果実(賃料収入と配当)が婚姻費用算定の基礎となる収入になるかです。

もう一つは、年金収入を算定表ないし算定式に組み込む(給与収入に換算する)場合の方法です。
 
まず、夫の収入が役員報酬に限られるか、配当、不動産所得も含まれるか、の問題です。
 
夫が経営する会社の株式及び不動産は夫が婚姻前から取得していたあるいは相続・贈与で得た特有財産であるということを前提として、
配当金や不動産所得は特有財産から生じた法定果実であり、婚姻費用分担算定の基礎となる収入に入らないと言えるかです。
                                      
大阪高裁は、特有財産からの収入であっても、これが双方の婚姻中の生活費の原資となっているのであれば、婚姻費用分担額の算定に当たって基礎とすべき収入とみるべきとしました。
 
勿論、特有財産は、原則として財産分与の対象になりません。
共有財産か特有財産かの区別は財産分与の場面で出てくるものですね。
これに対して、婚姻費用の分担義務は、自分と同じ程度の生活を保持される義務(生活保持義務)の場面だと言われています。
今までの生活を維持する義務ですね。
そうであれば、その収入が特有財産から生まれたかどうかは基本的には関係ないですね
 
裁判所は、その上で、配当金、不動産収入を含めた収入を基に裁判所が算定した婚姻費用金額と、従前に妻に支払われたとされる生活費とが、近い金額であることから、同居中の生活費の原資には配当金、不動産収入も含まれていたと判断したようです。
結果として、婚姻費用分担額算定の基礎となる収入に配当金、不動産収入も含めました。
理屈としては少しわかりにくいなあとは思います。
 
ただ、実際にこの点が争われることはあまりない印象ですね。
偶発的、一時的な収入(例えば一過性の株式譲渡益や不動産売却益)は別として、現に収入がある以上は、婚姻費用分担額算定に当たって考慮されるという感覚の方が多いのではないでしょうか。
 
続いて、年金収入を算定表の給与収入に換算する場合の計算方法についての判断もありました。
 
標準的算定表というのをご存知でしょうか。離婚成立前の婚姻費用離婚成立後の養育費の相場が出されている表です。
実務上はこの算定表(ないしその基礎となっている算定式)が金額決定の基準となっています。
勿論、必ずしも算定表どおり決められるわけではありません。個々の事情を勘案して金額は決定されます。
ただ、ベースはこの算定表ないし算定式であることは確かです。
 
標準的算定表ないし算定式は、お互いの収入とこの年齢・数により金額を算定する仕組みです。
基礎となる収入については、給与収入と自営収入(所得)の2本立てとなっています。
複数の収入がある、あるいはそれと違った収入がある場合には、給与収入あるいは自営収入に換算して収入金額を一本化して計算する必要があります。
例えば、給与収入と自営収入がある場合、自営収入を給与収入に換算する際、算定表のだいたい同じところを参考に給与収入に換算するということが基本です。
もっとも、自営の経費をどこまで認めるかなど実際の当てはめは単純ではありません。
 
標準的算定表ないし算定式上、給与収入には職業費(経費だと思ってください)が収入の20%程度考慮されています。
一方、年金はただ貰うだけですから職業費がかかりません。
そこで、年金収入を給与収入に換算する場合のルールが問題になるのですね。
 
裁判所は、年金収入は職業費を必要としておらず、職業費の割合は給与収入の2割程度であるから、年金収入を給与収入に換算した額は、年金収入を0.8で除した金額とすると判示しています。
これが唯一の方法でないのですが、高裁の判断は割合重いものですね。
 
裁判例を見て他の点も気になりました。
 
まず、審判も抗告審も、算定表をそのまま引用して金額を決定しています。
調停では、算定表でだいたいこの辺だから〇〇万円ですね、という話がよく出ます。
一方、審判、訴訟になると、算定表の下になっている算定式を使って金額を算出するイメージがあります。
この事件では、裁判所は、算定表の〇万円から〇万円の帯の中辺りだから〇〇万円というような判断をしていました。
このようなパターンもあるのですねと再認識した次第です。
 
また、原審から、夫の婚姻費用算定の基礎となる給与収入の金額について経営会社から妻に対して支払われていた給与も夫の報酬と同視されて合計額が夫の給与収入とされているようでした。
一人会社であるという特殊性もあるのだろうと思います。
 
婚姻費用養育費の算定は、一見簡単なようですが、突き詰めると論点がたくさんあり、奥が深い問題です。
 
離婚婚姻費用養育費財産分与等、離婚問題のサポートはなかた法律事務所にご用命を。
 
広島の弁護士 仲田 誠一
なかた法律事務所
広島市中区上八丁堀5-27-602
http://www.nakata-law.com/
 
http://www.nakata-law.com/smart/


別居時に一方配偶者が持ち出した財産 [離婚問題]

広島市の弁護士仲田誠一です。

 

離婚に伴う財産分与のお話です。
別居時に一方配偶者が持ち出した財産のお話をします。
よくあることです。

 

財産分与の基準時は別居時が基本です。
別居時に存在した財産をベースに財産分与額が算定されます(別居時の財産を半分にするというイメージです)。

夫婦共同生活により形成された財産を清算するという清算的財産分与の要素が財産分与の基本だからです。

 

例えば車を持ち出したという場合は簡単です。
当然財産分与の対象となります(勿論、どうやって整理をするのか、車検の問題、保険の問題も絡んで面倒ですが)。

 

よく相談を受けるのは、別居前に預金から多額のお金が引き出されているという例です。

 

勿論、引き出されたお金が別居時に残っていたということであれば財産分与の対象となることは当然です。

 

よくわからないときが困りますね。

別居時に本当に近い時期の引き出しであれば、引き出した配偶者が何に費消したのか合理的な説明ができない限り、そのまま残っていたとみられる可能性が相応にあるでしょう。
また、多額の金銭が生活費に必要とは思われませんから金額が大きければお金が残っていると判断される方向になるでしょう。

ケースバイケースの判断になりますね。

 

別居直前の預金の引き出しは相続直前の預金の引き出しと考え方が近いですね。

 

相続直前の預金の引き出しの場合には、合理的な説明が引き出した相続人から出て来ない限り、遺産として残っていた、あるいは被相続人に無断でなされた不法行為として損害賠償請求権が遺産である、といった扱いになります。

 

ただ、離婚の際には、他方配偶者の預金の無断引き出し行為は直ちには不法行為になりません。実質的な共有財産と見られるからです。
実質的な共有財産なので名義人に無断で引き出しても直ちに違法ではないということですね。勿論限度はあります。

 

また、離婚の際には、他方配偶者の預金の無断引き出しは、婚姻費用との関係で処理される余地もあります。
そういう経験もありました。婚姻費用を支払ってもらえなかったので引き出して使ったのであるから婚姻費用の支払いと同視して財産に戻さないという扱いです。
調停段階のことですが。

 

さらに、相続の場合には被相続人の認知症がある場合などある程度期間を遡って預金の引き出し行為を問題とできますが、離婚の場合にはなかなか期間を遡るのは難しいです。
かなり前の引き出しであると突っ込み難い、あるいは突っ込まれ難いでしょう。財産調査の問題になるのだろうと思います。

 

他方配偶者名義口座からの多額の預金の引き出し行為は、褒められた行為ではないのは勿論ですし、トラブルの元になる行為ですのでお勧めはしません。勿論、やむを得ない場合もあることは承知しております。そういう場合には、あとで文句を言われることを承知で説明の準備をしてください。

 

また、婚姻費用をもらう立場からすれば、いつでも通帳、カードの紛失届をして持ち出した通帳、カードを利用できなくされてしまうことを念頭に置かなければなりません。

やはり、婚姻費用はできるだけ早くかつ正式に請求するべきでしょう。

 

子供名義の通帳、カードを持っていくという例もありますね。

少なくとも、子供名義の預金の原資が夫婦の収入であり、口座の管理も親がしているという典型的な例では、夫婦共有財産として清算的財産分与の対象となりますね。

逆の典型的なケースは、子供のお年玉、小遣いを貯めている通帳ですね。

微妙なケースもあり、その場合にはケースバイケースの判断になります。

学資のために積み立てていた等の預金の目的な財産分与とは直接の関係はありません。

財産分与は財産の整理の問題、学資は離婚後の養育費の問題と、別の問題となります。勿論、協議離婚、調停離婚であれば、養育費の問題と絡めて、自由に合意により解決ができます。

 

離婚問題は、判決による解決になると柔軟な解決ができない、かつケースバイケースの判断がなされて読みがたいという点が否めません。
できれば相応が譲り合って円満な解決を図れればいいとは思います。
そういうこともあり、離婚につきましては、調停段階では勿論、訴訟になっても一般の訴訟よりも和解的解決が図れるかどうか促されます。

 

個人的には、離婚の問題は、(最後までは)すべからく争うのではなく、主張に優先順位をつけて話し合いに臨む方がベターだと思います。
勿論、判決で片を付けないといけない相手というのも珍しくはないのですが・・・

 

離婚婚姻費用養育費財産分与慰謝料請求等、離婚問題のサポートはなかた法律事務所にご用命を。

 

広島の弁護士 仲田 誠一

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財産分与における特有財産 [離婚問題]

広島市の弁護士仲田誠一です。

 

離婚に伴う財産分与のお話です。

 

離婚のご相談の際、「これは特有財産ではないか。」と質問される方が増えてきた印象です。

今は難しい本を読まなくても検索すれば情報が出てくるので、皆さんの法律の知識が増えていますね。

 

特有財産とは、

夫婦の一方が婚姻前から所有していた財産

婚姻中に相続・贈与等他方配偶者とは無関係に取得した財産

がメインですね(民法762条1項)。
 

衣服等明らかに一方配偶者の専用品として使用されている物も含むとも説明されますが、こちらは物によるのでしょうね。財産的価値がある物は特有財産と言い難いことも多いでしょう。車などは仮に専用品でも財産分与の対象となるのが一般的でしょう。

 

離婚の際の財産分与は、夫婦共同関係の基で形成された財産を精算することが主要目的です。これを清算的財産分与と言います。

清算的財産分与の対象は婚姻期間中に形成した財産ではなく、婚姻(内縁関係含む)から別居時までに形成した財産になります。
 

だから財産分与の基準時は別居時と言われます。それ以降は夫婦共同関係が基本的に存在しませんから。ただし、家庭内別居の際には基準が難しいのです(財産分与の基準時は離婚時とされるかもしれません)。

 

清算的財産分与の理屈から考えると、夫婦共同関係に基づかずに形成された特有財産は、原則、財産分与の対象とはなりません。

典型例は、婚姻前から貯めていた預貯金、自宅不動産購入の際に一方配偶者がその親から受けた贈与でしょうか。

 

特有財産は清算的財産分与の対象とならないとの理論自体は明確ですが、実務上の扱いは、そう簡単ではありません。

 

まず、特有財産かどうかということ自体が争われます。

 

例えば金銭の場合、独身前のお金、贈与を受けたお金がそのままの形で他のお金と混ざり合うことなく残っているのは稀でしょう。お金に色はついていませんから混同すると特有財産の特定が難しいことになります。
 

親からの贈与も一方への贈与なのか双方への贈与なのか判別が難しいことがあるでしょう。お金がいろんな物に変わっている場合も多いですね。


特有財産の主張をする場合には、どうしても証拠が必要です。
夫婦のいずれに属するか明らかではない財産はその共有に属するものと推定される(民法762条2項)とされているからです。推定を破る昔の通帳や贈与・相続時の通帳、それが現在の形になっている証拠ですね。

特有財産かどうかがゼロサムで判定されるのではなく、特有財産が原資になっていると思われる割合とそうでない割合を寄与度として調整して折り合いが付けられるケースもあります。

 

特有財産が他の財産と明確に区別できる場合も、他方配偶者がその価値の減少を防止し、その維持に寄与した場合には、例外的に財産分与の対象となり得ます。
分与割合は0.5とはいかないですが。具体的ケースにより寄与度は変わります。

親から贈与されたあるいは相続で引き継いだ不動産の維持管理の他方配偶者による寄与が分かりやすいですね。
預金も他のお金を遣ったために残っているという理屈で他方配偶者の一定の寄与があったとみられることもありました。

 

具体的なケースごとの判断になるので、特有財産の定義に当たるから財産分与の対象とはならないと機械的に考えることはできないのです。
勿論、特有財産は清算的財産分与の対象とならないという原則がスタートです。

 

次に、離婚に伴う財産分与には、清算的財産分与の要素だけではなく、扶養的財産分与慰謝料財産分与という要素も考慮されます。

扶養的財産分与というのは他方配偶者が生活基盤に乏しい場合などに考慮される要素です。

慰謝料財産分与というのは文字どおりです(慰謝料を別途支払う場合には考慮されませんね)。

そのため、特有財産も扶養的財産分与慰謝料財産分与の観点から財産分与の対象となることはあり得ます。勿論、分与割合は0.5とはいかないでしょうが。

 

特有財産と言えば、住宅を購入する際に、親からの贈与や独身時代のお金を頭金にしたという主張がよくされます。
自宅の財産分与に当たっては当然考慮されるべきことです。

その場合、購入費に占める特有財産が原資の頭金の割合が当該配偶者の寄与度にプラスされて財産分与割合が算定されるのがスタンダードでしょうか。

 

今回は、離婚に伴う財産分与でよく問題となる特有財産についてお話をいたしました。

 

離婚問題は杓子定規には進めることができません。他の問題でも多くは、原則はありながら、個別具体的な判断がなされます。

 

離婚婚姻費用養育費財産分与慰謝料請求等、離婚問題のサポートはなかた法律事務所にご用命を。

 

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相続放棄後の廃車処分 [相続問題]

広島市の弁護士仲田誠一です。

 

最近は相続放棄の話が多くて恐縮です。
偶々変わった相続放棄を最近お手伝いすることが多かったのでご容赦ください。

 

相続放棄をするのであれば、被相続人の財産を処分してはいけません。

相続人の財産の処分行為をしたら、単純承認事由となります。相続債権者が相続放棄の効果を覆すことが可能になってしまいます。
相続放棄の申述手続自体でも家庭裁判所から来る質問内容に処分行為の有無が入っています。

 

相続人の家主等から遺品の整理や引き取りを頼まれるようなこともあるでしょう。
賃貸借の連帯保証人でなければ理屈上は対応する必要はないですが、心情的に断りづらいですね。

 

仮に保管してしまった被相続人の財産は、理屈上、相続財産管理人か新たに相続人が判明したらその相続人に引き渡すまで管理をすることになります。

皆が相続放棄をしても相続管理人が選任されることは稀です。

引き継ぐ先が永遠に現れない場合は、財産的価値がなくなるあるいは誰からも文句を言われることがなくなっただろう頃合いを見計らって処分せざるを得ないと思います。
理屈ではなく現実的な対応ですが。

 

勿論、財産的価値のない遺品の廃棄等は、被相続人の財産の処分としては見られません。
念のため、財産的価値がないことを後で説明できるよう証拠を残しておいた方がいいでしょう。

 

相続人の車を預からざるを得なかった場合はどうしたらいいのでしょうか。

勿論、相続放棄をしたら基本的に預かる必要はないのですが・・・

 

相続人の所有名義車両に価値がない場合には、処分することは単純承認行為にはならないでしょう。
ただ、査定書を出してもらってから処分した方がベターです。

 

車両に価値がある場合には、困ってしまいます。

売却して代金を保管する行為は、保管料・保管の手間を省略して財産を管理する行為として、ぎりぎり単純承認行為にはならない可能性はあります。管理費用を削減することになりますからね。
もっとも、相続放棄をした人は第三者に事実上売却できませんよね。売却するために相続財産管理人の選任をしてもらうことも費用がかかり躊躇します。
そうすると価値がなくなるまで保管するという選択肢しかないかもしれません。

 

預かった車がクレジット会社の所有名義である場合は、別の観点からも考える必要があります。
車両が所有権留保物件であった場合、クレジット会社の所有名義になっています。

 

仮にクレジット会社の債権が残っているのであれば、原則として債権者に引き揚げてもらえますね。
債権者に連絡して引き揚げてもらっても問題がないです(清算金が発生する場合には受け取れない旨伝えないといけませんが)。それができたら楽ですね。


しかし、クレジット会社に車両の所有権を放棄すると言われた場合(価値がないあるいは小さい場合に言われることがあります)には、困ります。

価値のある車だと、理屈上は価値が亡くなるまで保管し価値がないと思われる時点で処分をしないといけません(あるいは相続財産管理人の選任申立てをして処分します)。

 

価値がない車であれば、理屈上、債権者から放棄の書類(名義変更の書類)を貰って廃車できるのでしょう。

 

クレジット会社に債権が残っていなくて、単に名義を変えていない場合(価値がないことが前提です)も、理屈上、債権者から放棄の書類(名義変更の書類)を貰って廃車できるのでしょう。

 

ただ、双方の場合とも、相続放棄をした親族が債権者から放棄の書類(名義変更の書類)を貰えるかが問題とはなります。

 

実際に経験した例は後者のケースでした。

相続人の家主に頼まれて車を引き取って保管していたのですが、保管に困り廃車にしようとした、しかし車検証を見るとクレジット会社が所有者登録されており廃車ができないと言われた。クレジット会社に問い合わせたところ弁護士から連絡をしてくれと言われたということでした。

当職がクレジット会社と交渉しましたが、最初は相続人ではないから書類は渡せない、相続財産管理人にしか渡せないと断られました。

困っている事情と理屈(相続財産管理人は選任されておらず選任される予定はない、車両価値がないことは明白なのでこちらが処分しても問題はない等)を説明して、他の部署からOKを貰い、なんとか名義変更書類を取得することができました。

 

一般的な扱いかどうかはわかりませんが、紹介させていただきます。

 

相続放棄をする以上、下手に被相続人の財産を管理することがないようにすることが一番大事です。
勿論、事情があってやむを得ず管理することになってしまうこともあります。預かった以上は管理の義務が発生しますので、管理する財産の処分等は慎重に判断してください。

 

遺言、相続、遺留分減殺、相続放棄等、相続問題のご相談はなかた法律事務所へ。

 

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一方的な別居と離婚 [離婚問題]

離婚の話です。

 

離婚の前に一方的に別居されるということは珍しくありません。

 

一方的な別居が「悪意の遺棄」になるでしょうか?

「悪意の遺棄」とは、裁判離婚が認められる法定離婚原因の1つです。

 

法定離婚原因としての「悪意の遺棄」に該当するかは難しい問題です。よく主張されることですが、一方的な別居=悪意の遺棄とはなかなか認めてくれません。夫婦は同居義務がありますが、強制はできない義務だとされています。同居義務違反=「悪意の遺棄」とはいいずらいことになります。微妙なところですが、連絡を不通にして生活費を全く負担してくれない等の事情も必要なのではないかと考えます。

もっとも、家を一方的に出た配偶者が離婚を拒むことはあまり想定できないですが。

 

家を一方的に出た配偶者が有責配偶者だから、他方配偶者は離婚を拒否できるのではないか、慰謝料が請求できるのではないか、という問題もあります。

 

こちらも、事情によってはそのような判断がなされ得ます。

残された配偶者に十分な収入がある、あるいは生活費の負担を続けているような通常のケースだと、有責配偶者なかなか認められないというのが実感です。離婚原因としての「悪意の遺棄」に該当するかどうかの問題よりもハードルは高いでしょう。別居により生活を困窮させるような事情が必要なのではないでしょうか。

 

実際、収入のない、あるいは低い奥さんが一方的に別居をして離婚を求めるケースはよく接します。しかし、裁判所から離婚請求は有責配偶者の請求だから認められないと言われたことはありません。勿論、一方的な別居が不法行為として慰謝料が認められたこともありません。一緒に住むのがつらい配偶者が一方的に家を出てもそれが直ちに不法行為になるということはないのでしょう。

 

勿論、一方的な別居した配偶者からの婚姻費用分担請求も認められています。

 

通常の一方的な別居は、別居後2~3年その状態を続けると法定離婚原因のその他婚姻を継続し難い事由に該当し、裁判所に離婚が認められるのがスタンダードでしょう。

 

他方配偶者からは納得いかないのでしょうが、法が同居を強制できるものではないので、仕方がないのだろうと思います。

 

男女の仲が戻ることはなかなかありません。弁護士にご相談される時点では既にそのような可能性はなくなっているのでしょう。

 

法律も、一方が婚姻継続の意思を失っているのに敢えて婚姻関係の維持を強制する制度とはなっていません。婚姻関係破たんによる離婚を認めていますから(破綻主義)。

ただ、婚姻関係破たんの認定はやや厳しく、簡単に離婚ができるわけではないというところで調整しているようです。

 

一方配偶者の離婚の意思が強ければ、敢えて離婚を争うのではなく、今後のこと、特にお子さんのことに折り合いをつけて円満に離婚する方がいいケースは多いです。

 

離婚案件は法律上の主張、手続を粛々として進めればいいのかというと、そうでもない案件が多いです。多大な時間と労力がかかりますし、大きなしこりが残ります。円満解決あるいは折り合いが付く解決を図るのは骨が折れる仕事だなあというのが実感です。

 

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持ち家の財産分与 [離婚問題]

広島市の弁護士の仲田です。離婚のお話です。

 

離婚に伴う持ち家の財産分与はどうなるのでしょうか。持ち家がある場には離婚の大きな関心事ですね。

 

【評価の方法】

まず、持ち家の評価はどうするのでしょうか。

固定資産税評価で進めることもあります。双方がそれでいいと合意をしている場合ですね。中には土地について路線価を持ち出す場合もあります。固定資産評価は一般に時価の7割、路線価は時価の8割と言われています。固定資産評価は固定資産税を取るための評価額、路線価は相続税・贈与税を取るための評価額なのです。

なお、公示価格というものもありますが、基準点が少ないので実務上あまり出てきません。

 

固定資産評価等で合意ができない場合には、査定書を取ることになります。

ただ、双方が取る査定額に乖離があることは珍しくありません。両者の中間等で折り合いがつくのかどうかが問題となります。

 

どうしても持ち家の評価に折り合いがつかないときは、不動産鑑定士に鑑定を依頼することになります。ただ、費用が高額であるため、取らないで折り合いをつけるケースが多いです。

 

財産分与の方法】

では、実際に持ち家を財産分与としてどういう形で分けるのでしょうか。

財産分与の際、持分を分与して夫婦が各2分の1などの夫婦共有名義にしないのが通常です。共有状態は好ましくないからです。
後々紛争が生じますからね。

住み続ける人あるいは住宅ローンを支払っている配偶者の名義にするのがスタンダードです。

元々共有名義である場合も、財産分与の調整により単独名義にすることがよくあります。

 

勿論、双方が合意するのであれば、売却して売却金を分与するという方法も取られることがあります。

 

【住宅ローンがある場合の評価】

住宅ローンがある場合はどう評価されるのでしょうか。

基本的には、不動産の現在価値から住宅ローン残額を差し引いた金額が財産分与の対象となります。

オーバーローンの場合には、価値がないということで、財産分与の対象とされないのが通例です。
例外的に、居住権を他方配偶者に認める、扶養的要素から持分分与を認めるというような解決がなされる例もあります。

 

【住宅ローンの返済者】

ローンは誰が返済していくのでしょうか。

住宅ローンは銀行との契約関係です。債務者である配偶者が支払を継続しないといけません。他方配偶者が連帯保証人あるいは連帯債務者になっている場合はどうしたらいいのでしょうか。これも銀行との関係です。
そのため、銀行が同意しない限り、保証債務、連帯債務は残ります。
銀行は、新たな保証人あるいは連帯債務者を差し入れる場合には同意してくれる可能性はあります。
調停などでは、連帯保証人を外す交渉をする、あるいは努力をするといった法的には効力があまりない約束を交わすこともよくあります。
なお、基本的に住宅ローンの債務の分与はありません。

 

財産分与による名義変更ができるか】

名義変更を伴う場合も銀行との関係が問題となります。銀行との約款で無断での名義の移転は期限の利益喪失事由になっているからです。その場合は同意を得ておく必要がありますね。

ただ、登記名義の変更自体は銀行の同意がなくても法務局でできてしまいます。問題なく返済する場合には問題視されるリスクは小さいとも言えます。リスクは承知の上で判断することが必要です。

 

【分与割合】

持ち家が財産分与の対象となる場合、分与割合は悩ましい問題です。

親からの贈与、婚姻前の預貯金、相続財産、別居後の弁済等、特有財産が購入費、返済資金に入っている場合は、2分の1では不公平なのでその分は考慮されます。

ただし、具体的にどのように考慮されるかの決まりはありません。裁判所の裁量になります。
購入費用のうちの特有財産の割合を当該配偶者に、残った割合を2分の1に分けて、分与割合を決めた例などが紹介されていますが、色々な考え方があり得ます。

 

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離婚した夫の借金で子供に迷惑がかからないか [離婚問題]

広島市の弁護士仲田誠一です。

 

離婚後の元夫の借金で自分が引き取った子供に迷惑が掛からないかというご相談もあります。

 

借金は個人単位で帰属します。
元夫とお子様は法人格が別ですので、お子様が元夫の連帯保証人になっていない限り、元夫の借金でお子様が困ることはないのが原則です。

 

ただし、父母が離婚をしても親権者でなくなった元夫とお子さんの親子関係はなくなりません。
元夫の相続の際には、お子さんは相続人となります。
元夫が借金を負っている場合、相続人としてその借金を承継することになります。

 

そのような場合には(借金過多の場合には)、お子様が相続放棄をして債務を引き継がないようにしないといけません。

 

相続放棄は「3か月以内に」という期間制限がありますね。

熟慮期間といいます。


元夫が亡くなっても連絡が来るかどうかわからないというご心配もあるようです。それは大丈夫です。

仮に元夫と音信不通になっており、亡くなってからずいぶん経ってからお子様(まだ未成年の場合は法定代理人である母親)が相続発生の事実を知ったのであれば、その時から3か月以内に相続放棄をすればいいのです。
急に債権者から督促状が来て亡くなった事を初めて知るケースも珍しくありません。督促状が届いた日から3か月以内に相続放棄をすればいいです。

 

また、元夫が亡くなったこと自体は知っていたが、音信不通であったため、元夫に財産も資産もないと思って放置していたところ、後から債権者からの督促などで相続債務があることを初めて知った場合もあるでしょう。
この場合も、実際に元夫の債務があることを知ってから(督促状が届いてから)3か月以内に相続放棄をすれば大丈夫です。

 

このように、離婚後の他方配偶者の借金は、他方配偶者が生きている間はお子様に影響を及ぼさない、亡くなった場合には相続放棄をしないと引き継いでしまう、ということになります。
もし督促状が届いたら弁護士に相談されてください。
イレギュラーな相続放棄なので弁護士を代理人にした方がスムーズかもしれません。
また、債権者対応も一緒に弁護士に依頼できると楽ですね。

 

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同居中の生活費 [離婚問題]

広島市の弁護士仲田誠一です。

離婚のお話です。

 

生活費を渡してくれないのだけれども同居中は婚姻費用が請求できないのか?
という質問を受けることがあります。

同居中であっても生活費を渡してもらえないという状態は生じますから請求はできます。
婚姻費用の支払いを求めて婚姻費用分担調停・審判がなされることになります。

 

ただ、請求金額が難しいですね。
調停申立てには相当の額の支払いを求める形でいいのですが。

別居しているケースでは、所謂算定表がある程度の目安となります。
後は、個別の事情でいくら増額・減額できるかの話になります。

しかし、同居だとそうはいかないのですね。


家賃がかからないという点で算定表上の基になっている計算式の住居関係費を控除すればいいのかというとそう単純ではありません。
住宅ローンを組んでいる場合もあります。離婚財産分与において夫婦共有財産と見られるならばローンも共同負担すべきとも言えます(実務上はなかなか認められませんが)。
また、電気、ガス、水道、電話等の月々かかる費用が共通の費用となっていることもほとんどです。

お子さんがいらっしゃる場合には、実際にはどちらが扶養しているのか不明確ということも問題になりますね(子供も含めた婚姻費用を請求するのかどうか)。
他にも、整理しないといけない事柄が多岐にわたります。
一緒に住んでいますからね。完全に分けずらいところがあります。

 

実際にいくらが相当額なのかは簡単に答えが出てきません。
ケースバイケースで判断されることになります。

 

なお、私が最近経験した事例では、審判まで行きました。
算定表を一応のベースにして、共通の費用、相手方が負担すべき費用の全ての項目を挙げて、適正額を主張しました。
かつ、実際の生活状況について家計簿を提出する等して説明をしました。
結局、総合考慮により(個々の問題にひとつひとつ判断をせずに)、ざっくり金額が決まりました。
理屈では明確に算定できないのですかね。

 

このように、同居でも婚姻費用は請求できます。
しかし、その場合の婚姻費用額は簡単に答えが出せるものではない。
というお話でした。

なお、同居中に婚姻費用の審判をうけるという事実は、家庭内別居の証拠の1つになりますね。

 

離婚婚姻費用養育費財産分与慰謝料請求等、離婚問題のサポートはなかた法律事務所にご用命を。

 

広島の弁護士 仲田 誠一

なかた法律事務所

広島市中区上八丁堀5-27-602

 

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子ども名義預貯金の財産分与 [離婚問題]

広島市の弁護士仲田誠一です。

 

お子さんの将来のためにお子様名義の預貯金口座を開設し、お年玉やお祝い金あるいは児童扶養手当等を貯めているというケースがありますね。

 

離婚に伴う財産分与においてそのような預貯金が分与対象になるかということはよく問題となる事柄です。

 

第三者名義の財産は原則として財産分与の対象とはなりません。

清算的財産分与の考え方からいけば、夫婦が共同の婚姻生活中に形成した財産が財産分与の対象となるからです。

ただし、子どもの名義を借りていているだけで実質夫婦の共有財産であると認められれば分与対象となります。

離婚に限らず、預貯金口座の所有者の判断は、原資の出資者と管理状況がメルクマールになります。

 

従って、お小遣い、お年玉、あるいはアルバイト代を貯めている口座は財産分与の対象とはなりません。
お子様が通帳・カードを保有し、自由に出し入れしている口座であればなおさらです。
お子様が預金口座の所有者と見られます。

 

他方、お子様の将来の教育資金に充てる、結婚資金に充てる等の目的で親が貯めていた預貯金は、財産分与の対象となりうるでしょう。
特に、通帳、カードの管理や出し入れは親がやっているような口座ですね。
親が預金口座の所有者と見られます。

ケースバイケースの判断になります。

なお、子ども名義の預貯金が財産分与の対象となるかどうかと養育費の問題は別です。
財産分与は夫婦共有財産の精算の問題です。養育に必要だから財産分与の対象とすべきではないという話にはなりません。
別途、養育費養育費で決められることです。
もっとも、和解の際には、子供名義の預貯金を財産分与の対象と見ない代わりに、養育費を調整するということもありえますね。

 

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家庭内別居と離婚 [離婚問題]

広島市の弁護士仲田誠一です。

離婚のお話です。

 

離婚の種類には、協議離婚、調停離婚、裁判離婚とあります。
なお、審判離婚もありますが実務上はほぼ使われません。不服申し立てをされると意味がなくなるためです。

 

協議離婚、調停離婚は当事者の合意に基づきます。
当事者間で合意をするか、調停を申し立て調停成立の形で合意をするかの違いです。

これに対して、裁判離婚法定離婚原因が必要です。
強制的に離婚を認めるものだからです。
その中で最も多いのが、「その他婚姻を継続し難い重大な事由」です。
婚姻関係が破綻したら離婚を認める破綻主義を採用したと言われている条項です。
不貞行為などの他の法定離婚原因がなくても婚姻関係の破綻が認められたら離婚できるのですね。

 

婚姻関係破たんの判断で、大きなものは、別居期間ですね。
3年の別居があればいい、いや2年だ等色々な見解はありますが、明確な基準があるわけではありません。
実際には他の事情も合わせ考慮して婚姻関係が破綻したかを判断することになります。

 

家庭内別居はその別居期間にカウントしてくれるのでしょうか?
理屈では家庭内別居も別居です。
ただ、家庭内別居であるということ自体がなかなか認められません。
財布が別だ、夫婦として行動していない、性的交渉もない、経済的理由から別居できなかった等々の間接事実を主張・立証をすることになります。
実務上ハードルはやや高いなという感覚です。
物理的に別居ができない経済的理由等もあるのだからもう少し柔軟に考えて欲しいとは思っておりますが。
家庭内別居の離婚訴訟もやったことはありますが、裁判所に家庭内別居の証明について宿題を出されました。

 

ということで、家庭内別居をする場合には、当事者間で家庭内別居であることと費用や住み方の取り決め内容を記載した書面を交わしておくことをお薦めします。
家庭内別居が成立したことの有力な証拠になります。

勿論、弁護士に相談して書面を作った方がいいでしょう。
後で家庭内別居が始まったと認めてもらえるような書面を作成してもらってください。

 

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