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コラム 離婚問題

一方的な別居と離婚 [離婚問題]

離婚の話です。

 

離婚の前に一方的に別居されるということは珍しくありません。

 

一方的な別居が「悪意の遺棄」になるでしょうか?

「悪意の遺棄」とは、裁判離婚が認められる法定離婚原因の1つです。

 

法定離婚原因としての「悪意の遺棄」に該当するかは難しい問題です。よく主張されることですが、一方的な別居=悪意の遺棄とはなかなか認めてくれません。夫婦は同居義務がありますが、強制はできない義務だとされています。同居義務違反=「悪意の遺棄」とはいいずらいことになります。微妙なところですが、連絡を不通にして生活費を全く負担してくれない等の事情も必要なのではないかと考えます。

もっとも、家を一方的に出た配偶者が離婚を拒むことはあまり想定できないですが。

 

家を一方的に出た配偶者が有責配偶者だから、他方配偶者は離婚を拒否できるのではないか、慰謝料が請求できるのではないか、という問題もあります。

 

こちらも、事情によってはそのような判断がなされ得ます。

残された配偶者に十分な収入がある、あるいは生活費の負担を続けているような通常のケースだと、有責配偶者なかなか認められないというのが実感です。離婚原因としての「悪意の遺棄」に該当するかどうかの問題よりもハードルは高いでしょう。別居により生活を困窮させるような事情が必要なのではないでしょうか。

 

実際、収入のない、あるいは低い奥さんが一方的に別居をして離婚を求めるケースはよく接します。しかし、裁判所から離婚請求は有責配偶者の請求だから認められないと言われたことはありません。勿論、一方的な別居が不法行為として慰謝料が認められたこともありません。一緒に住むのがつらい配偶者が一方的に家を出てもそれが直ちに不法行為になるということはないのでしょう。

 

勿論、一方的な別居した配偶者からの婚姻費用分担請求も認められています。

 

通常の一方的な別居は、別居後2~3年その状態を続けると法定離婚原因のその他婚姻を継続し難い事由に該当し、裁判所に離婚が認められるのがスタンダードでしょう。

 

他方配偶者からは納得いかないのでしょうが、法が同居を強制できるものではないので、仕方がないのだろうと思います。

 

男女の仲が戻ることはなかなかありません。弁護士にご相談される時点では既にそのような可能性はなくなっているのでしょう。

 

法律も、一方が婚姻継続の意思を失っているのに敢えて婚姻関係の維持を強制する制度とはなっていません。婚姻関係破たんによる離婚を認めていますから(破綻主義)。

ただ、婚姻関係破たんの認定はやや厳しく、簡単に離婚ができるわけではないというところで調整しているようです。

 

一方配偶者の離婚の意思が強ければ、敢えて離婚を争うのではなく、今後のこと、特にお子さんのことに折り合いをつけて円満に離婚する方がいいケースは多いです。

 

離婚案件は法律上の主張、手続を粛々として進めればいいのかというと、そうでもない案件が多いです。多大な時間と労力がかかりますし、大きなしこりが残ります。円満解決あるいは折り合いが付く解決を図るのは骨が折れる仕事だなあというのが実感です。

 

離婚、婚姻費用養育費財産分与慰謝料請求等、離婚問題のサポートはなかた法律事務所にご用命を。

 

広島の弁護士 仲田 誠一

なかた法律事務所

広島市中区上八丁堀5-27-602

 

http://www.nakata-law.com/

 

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持ち家の財産分与 [離婚問題]

広島市の弁護士の仲田です。離婚のお話です。

 

離婚に伴う持ち家の財産分与はどうなるのでしょうか。持ち家がある場には離婚の大きな関心事ですね。

 

【評価の方法】

まず、持ち家の評価はどうするのでしょうか。

固定資産税評価で進めることもあります。双方がそれでいいと合意をしている場合ですね。中には土地について路線価を持ち出す場合もあります。固定資産評価は一般に時価の7割、路線価は時価の8割と言われています。固定資産評価は固定資産税を取るための評価額、路線価は相続税・贈与税を取るための評価額なのです。

なお、公示価格というものもありますが、基準点が少ないので実務上あまり出てきません。

 

固定資産評価等で合意ができない場合には、査定書を取ることになります。

ただ、双方が取る査定額に乖離があることは珍しくありません。両者の中間等で折り合いがつくのかどうかが問題となります。

 

どうしても持ち家の評価に折り合いがつかないときは、不動産鑑定士に鑑定を依頼することになります。ただ、費用が高額であるため、取らないで折り合いをつけるケースが多いです。

 

財産分与の方法】

では、実際に持ち家を財産分与としてどういう形で分けるのでしょうか。

財産分与の際、持分を分与して夫婦が各2分の1などの夫婦共有名義にしないのが通常です。共有状態は好ましくないからです。
後々紛争が生じますからね。

住み続ける人あるいは住宅ローンを支払っている配偶者の名義にするのがスタンダードです。

元々共有名義である場合も、財産分与の調整により単独名義にすることがよくあります。

 

勿論、双方が合意するのであれば、売却して売却金を分与するという方法も取られることがあります。

 

【住宅ローンがある場合の評価】

住宅ローンがある場合はどう評価されるのでしょうか。

基本的には、不動産の現在価値から住宅ローン残額を差し引いた金額が財産分与の対象となります。

オーバーローンの場合には、価値がないということで、財産分与の対象とされないのが通例です。
例外的に、居住権を他方配偶者に認める、扶養的要素から持分分与を認めるというような解決がなされる例もあります。

 

【住宅ローンの返済者】

ローンは誰が返済していくのでしょうか。

住宅ローンは銀行との契約関係です。債務者である配偶者が支払を継続しないといけません。他方配偶者が連帯保証人あるいは連帯債務者になっている場合はどうしたらいいのでしょうか。これも銀行との関係です。
そのため、銀行が同意しない限り、保証債務、連帯債務は残ります。
銀行は、新たな保証人あるいは連帯債務者を差し入れる場合には同意してくれる可能性はあります。
調停などでは、連帯保証人を外す交渉をする、あるいは努力をするといった法的には効力があまりない約束を交わすこともよくあります。
なお、基本的に住宅ローンの債務の分与はありません。

 

財産分与による名義変更ができるか】

名義変更を伴う場合も銀行との関係が問題となります。銀行との約款で無断での名義の移転は期限の利益喪失事由になっているからです。その場合は同意を得ておく必要がありますね。

ただ、登記名義の変更自体は銀行の同意がなくても法務局でできてしまいます。問題なく返済する場合には問題視されるリスクは小さいとも言えます。リスクは承知の上で判断することが必要です。

 

【分与割合】

持ち家が財産分与の対象となる場合、分与割合は悩ましい問題です。

親からの贈与、婚姻前の預貯金、相続財産、別居後の弁済等、特有財産が購入費、返済資金に入っている場合は、2分の1では不公平なのでその分は考慮されます。

ただし、具体的にどのように考慮されるかの決まりはありません。裁判所の裁量になります。
購入費用のうちの特有財産の割合を当該配偶者に、残った割合を2分の1に分けて、分与割合を決めた例などが紹介されていますが、色々な考え方があり得ます。

 

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広島の弁護士 仲田 誠一

なかた法律事務所

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離婚した夫の借金で子供に迷惑がかからないか [離婚問題]

広島市の弁護士仲田誠一です。

 

離婚後の元夫の借金で自分が引き取った子供に迷惑が掛からないかというご相談があります。

 

借金は個人単位で帰属します。元夫とお子様は法人格が別ですので、お子様が元夫の連帯保証人になっていない限り、元夫の借金でお子様が困ることはないのが原則です。

 

ただし、父母が離婚をしても親権者でなくなった元夫とお子さんの親子関係はなくなりません。
元夫の相続の際には、お子さんは相続人となります。
その際には、元夫が借金を負っている場合、相続人としてその借金を承継することになります。

 

そのような場合には(借金過多の場合には)、お子様が相続放棄をして債務を引き継がないようにしないといけません。

 

相続放棄は「3か月以内に」という期間制限がありますね。熟慮期間といいます。

元夫が亡くなっても連絡が来るかどうかわからないというご心配もあるようです。

 

仮に元夫と音信不通になっており、亡くなってからずいぶん経ってからお子様(まだ未成年の場合は法定代理人である母親)が相続発生の事実を知ったのであれば、その時から3か月以内に相続放棄をすればいいのです。


また、亡くなったことは知っていたが、音信不通であったため、元夫に財産も資産もないと思って放置していたところ、後から債権者からの督促などで相続債務があることを初めて知った場合もあるでしょう。

この場合には、実際に元夫の債務があることを知ってから3か月以内に相続放棄をすれば大丈夫です。

 

このように、離婚後の他方配偶者の借金は、他方配偶者が生きている間はお子様に影響を及ぼさない、亡くなった場合には相続放棄をしないと引き継いでしまう、ということになります。

 

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同居中の生活費 [離婚問題]

広島市の弁護士の仲田です。離婚のお話です。

 

生活費を渡してくれないのだけれども同居中は婚姻費用が請求できないのか?
という質問を受けることがあります。

同居中であっても生活費を渡してもらえないという状態は生じますから請求はできます。婚姻費用の支払いを求めて婚姻費用分担調停・審判がなされることになります。

 

ただ、金額が難しいですね。

別居しているケースでは、所謂算定表がある程度の目安となります。後は、個別の事情でいくら増額・減額できるかの話になります。
同居だとそうはいかないのですね。


家賃がかからないという点で算定表上の基になっている計算式の住居関係費を控除すればいいのかというとそう単純ではありません。ローンを組んでいる場合もあります。離婚の財産分与において夫婦共有財産と見られるならばローンも共同負担すべきとも言えます(実務上はなかなか認められませんが)。

電気、ガス、水道、電話等の月々かかる費用が共通の費用となっていることもほとんどです。

お子さんがいらっしゃる場合には、実際にはどちらが扶養しているのか不明確ということも問題になりますね(子供も含めた婚姻費用を請求するのかどうか)。

このように、整理しないといけない事柄が多岐にわたります。

実際にいくら現金で渡すのが妥当なのかは難しいのです。

 

なお、私が最近経験した事例では、審判まで行きましたが、算定表を一応ベースにして、共通の費用、相手方が負担すべき費用の全ての項目を挙げて、適正額を主張しました。かつ、実際の生活状況について家計簿を提出する等して説明をしました。結局、総合考慮により(個々の問題にひとつひとつ判断をせずに)、ざっくり金額が決まりました。理屈では明確に算定できないのです。

 

このように、同居でも婚姻費用は請求できます。しかし、その場合の婚姻費用額は簡単に答えが出せるものではない。というお話でした。

 

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子ども名義預貯金の財産分与 [離婚問題]

広島市の弁護士仲田誠一です。

 

お子さんの将来のためにお子様名義の預貯金口座を開設し、お年玉やお祝い金あるいは児童扶養手当等を貯めているというケースがありますね。

 

離婚に伴う財産分与においてそのような預貯金が分与対象になるかということはよく問題となる事柄です。

 

第三者名義の財産は原則として財産分与の対象とはなりません。
夫婦が共同の婚姻生活中に形成した財産が財産分与の対象となるからです。

離婚に限らず、預貯金口座の所有者の判断は、原資の出資者と管理状況がメルクマールになります。

 

従って、お小遣い、お年玉、あるいはアルバイト代を貯めている口座は財産分与の対象とはなりません。
お子様が通帳・カードを保有し、自由に出し入れしている口座であればなおさらです。

 

他方、お子様の将来の教育資金に充てる、結婚資金に充てる等の目的で親が貯めていた預貯金は、財産分与の対象となりうるでしょう。通帳、カードの管理や出し入れは親がやっているような口座ですね。

 

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家庭内別居と離婚 [離婚問題]

広島市の弁護士の仲田です。離婚のお話です。

 

離婚の種類には、協議離婚、調停離婚、裁判離婚とあります(なお、審判離婚もありますが実務上はほぼ使われません)。

 

協議離婚、調停離婚は当事者の合意に基づきます。
これに対して、裁判離婚は法定離婚原因が必要です。その中で最も多いのが、「その他婚姻を継続し難い重大な事由」です。婚姻関係が破綻したら離婚を認める破綻主義を採用したと言われている条項です。不貞行為などの他の法定離婚原因がなくても婚姻関係の破綻が認められたら離婚できるのですね。

 

婚姻関係破たんの判断で、大きなものは、別居期間です。3年の別居があればいい、いや2年だ等色々な見解はありますが明確な基準があるわけではありません。他の事情も合わせ考慮して婚姻関係が破綻したかを判断することになります。

 

家庭内別居はその別居期間にカウントしてくれるのでしょうか?
理屈では家庭内別居も別居です。ただ、家庭内別居であるということ自体がなかなか認められません。
財布が別だ、夫婦として行動していない、性的交渉もない、経済的理由から別居できなかった等々の間接事実を主張・立証をすることになりますが、実務上ハードルはやや高いなという感覚です。
物理的に別居ができない経済的理由等もあるのだからもう少し柔軟に考えて欲しいとは思っておりますが。

 

家庭内別居をする場合には、当事者間で家庭内別居であることと費用や住み方の取り決め内容を記載した書面を交わしておくことをお薦めします。
家庭内別居が成立したことの有力な証拠になりますから。
勿論、弁護士に相談して書面を作った方がいいでしょう。

 

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オーバーローンの共有不動産の分割請求 [不動産]

 広島市の弁護士仲田誠一です。

 

共有不動産の分割請求のお話です。

民法上、共有状態は異例な状態との位置づけであり、共有者はいつでも共有物の分割を請求できることが原則です。

オーバーローンというのは、不動産に担保が付いており、被担保債権が当該不動産の価値を上回っている状態です。ローンがオーバーしている状態ですね。

 

不動産の共有を解消したいとき、オーバーローンであると考えることが増えます。
離婚によって、オーバーローンの共有不動産が作出される場合が典型でしょうか。

 

共有物分割請求は、調停、訴訟ができ、折り合いが付かなければ最終的には換価分割の判決が出る可能性があります(現物で分けられる場合には現物分割もありえますが)。
競売で換価して分けるというおそろしいことになります。
そのため、通常、共有物分割請求では、お金で清算する、あるいは共同で売却して代金を分けるという和解的解決が図られます。

 

しかし、オーバーローンの共有不動産を分割するために競売をすることは判例で許されないとされてしまいます。
仮に換価分割の判決を貰ってもどうしようもないですね。

 

じゃあ和解的解決ができない場合はどうするか。
ここで、全面的価格賠償による解決が出てきます。全面的価格賠償とは、所有権を一方に認めるが他方にお金を払えという形のやや例外的な判決で、これを認めた裁判例もあります。
そうであれば、共有物分割請求訴訟もやって意味がないことはないということになります。

 

なお、理屈で言ったら不動産に価値が残っていない以上、価格賠償はゼロでもいいような気がします。
ただ、離婚後のケースでローンの負担状況や居住利益等も含めた総合考慮により価格賠償額が決められました例があります。
総合考慮だと金額の見通しはなかなかつけられないことになりますが。


不動産に関するご相談はなかた法律事務所にご用命を。

 

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離婚の際に決めておいた方がいいこと [離婚問題]

広島市の弁護士仲田誠一です。

離婚の際に決めておかないといけないことはいろいろあります。

 

財産分与、年金分割、未成年のお子様がいらっしゃるときの親権者、養育費、面会交流等については必要があれば通常決められることです。

 

それらの基本的なことは協議書、調停調書などで決めておくとして、他の細々したことで、時にはやっかいな問題になる点もあります。
 

離婚の届出日
面会交流の際の具体的な連絡方法、具体的な面会方法
ペットをどちらが引き取るか
家具、家電等の動産類をどう分けるか(どう処分をするか)
年金分割の手続の仕方(協議離婚の場合は決めないといけません)
健康保険証・資格喪失証の受け渡し方法
自宅鍵の返却方法
合算で請求される携帯電話料金の支払方法の変更
口座引き落としの変更
等々です。枚挙に暇がありません。

 

離婚が決まってからではなかなか意思疎通もできないでしょう。
後で揉めないよう、離婚協議時には、離婚をした状態を想定して、かつ通帳やクレジットカードの明細も確認し、
「あれはどうなるのかな、これはどうしたらいいのかな」と想像し、できるだけのことを決めておいた方がいいです。

 

当職が代理人として入って成立させる離婚の際にも、大枠の合意ができても、上記のような細かい事柄が原因で揉めてしまい調整を要するということが珍しくありません。

 

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離婚に伴う財産分与と退職金 [離婚問題]

広島市の弁護士仲田誠一です。

 

離婚のご相談の際、まだもらっていない退職金が財産分与の対象となるかということはよく聞かれます。

ケースバイケースで認められるという答えになります。

 

まず、退職金が財産分与の対象となりうるかについてお話します。

退職金受給が確実なケースでは財産分与対象になります。
退職間近の場合はもちろん財産分与の対象でしょう。
しかし、確実でない場合には否定されます。例えば、20年先の退職金などは、退職金受給の確実性が乏しいとして財産分与の対象とならないでしょう。

具体的に何年後まで財産分与の対象となるかは難しいです。
公務員か民間企業か(公務員は受給確実性が高いと判断されます)、大企業か中小企業か(大企業は受給確実性が高いと判断されます)によっても判断が異なります。
公務員・大企業なら10年先ぐらいからかなあとの感覚はありますが、一概に答えられません。

なお、清算的財産分与の対象とは認められなくても、扶養的財産分与として考慮をした例もあります(居住権などで考慮)。

 

次に、財産分与の対象となる退職金の金額についてお話します。

現在自己都合した場合の退職金見込み額を基礎として、

同居あるいは結婚から別居時までの期間 /入社から別居時までの期間で按分した
夫婦共同生活期間分を
財産分与の基礎財産とする方法、が主流でしょうか。

ただ、これも退職金受給までの期間によっては考え方が異なります。予定される退職金額から別居後の労働分を差し引いたうえで現在価値に直す(中間利息を控除する)というような方法もあります。ややこしいですね。

 

最後に、財産分与の対象となるとして、退職金の分与はいつされるのでしょうか。
こちらも、必ずこうなると決まっていません。

支払いが可能であれば離婚時の支払いが命じられる可能性があります。
他方、支払う余裕がなければ(通常はそうでしょう)、退職金が支給された時に支払うという形になるでしょう。退職金が後から支給されるもので現在は現金化できないですからね。

 

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財産分与と税金 [離婚問題]

弁護士の仲田誠一です。

 

広島大学大学院法務研究科(ロースクール)での租税法の講義では、毎年、離婚にまつわる税金の話をしています。将来弁護士になった場合は離婚にかかわることが多いですからね。

 

財産分与の課税関係からお話ししましょう。

 

贈与税課税はないのが原則です。
財産分与は夫婦共有財産の清算ですからね。

ただし、贈与税・相続税を免れる目的の財産分与のすべて、過大な財産分与である場合の過大部分、には贈与税が課税されます。事情によっては、離婚の成立を最優先し財産分与においてかなり譲歩された形の離婚が成立することもあります。2分の1の割合を大きく超えるような財産分与には気を使います。

なお、法律上は贈与者も連帯納税義務を負います。リスクは当事者双方気にしなければなりません。

 

土地や建物の分与の際には、分与者に譲渡所得課税がなされます(譲渡所得税の話は不動産による財産分与に限られません。ゴルフ会員権等、資産による分与の際には考えることになります)。

資産による財産分与は、財産分与時の時価で譲渡した(収入が時価額)と見られます。
今のご時世では、婚姻中に取得した不動産の時価が取得価格(建物は減価償却の考えが適用されますが)を上回っていることはあまりません。そのため、実際に課税されることはあまりないでしょう(居住用財産の譲渡に関する特例の活用もできます)。
ただ、忘れてはいけないリスクです。

 

不動産の財産分与の場合、分与さえた方の不動産取得税も気になるところです。不相当なものではない限り、課税されません。夫婦共有財産の清算ですからね。

勿論、登記の際の登録免許税、将来の固定資産税の負担はありますよ。

 

なお、慰謝料をもらっても課税されません。慰謝料は無形損害・精神的苦痛に対する損害賠償金です。不相当な額ではない限り、所得税、贈与税等の課税がなされることはありません。

 

離婚にあたっては、ケースによっては税金で足元をすくわれるリスクもあるということです。

 

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