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コラム 10ページ目

会社運営と定款自治2 [企業法務]

前回の続きです。

企業法務の話として機関設計の自由化の話を前回しました。今回は、話が少し横道にそれるのを承知で、会社法との関係で機関に絡むトラブルやリスクを発生させるような具体的な事例の一端を、いくつかお話ししましょう。


会社法上、会社の所有者は株主です。社長ではありません。
最高意思決定機関も株主総会ということになります。株主総会は、取締役会が存在しなければ一切の事項について決定権を持ち、取締役会がある場合には法定の決議事項と定款で特別に決めた事項に決定権を持つということになります。


最高意思決定機関である株主総会を構成する株主は、中小企業の場合、法人は例外で、ほとんど人間です。人間であれば相続が発生するのですね。それにより株式の共有状態が生じるかもしれませんし、株が外部流出する可能性もあります。株主総会の機能がストップするかもしれません。
そこで、事業承継対策は、株主の相続が発生しても、最高意思決定機関である株主総会が適切に開催され決議ができるようにしておくという面(株式あるいは議決権の集中、引継)が多くを占めています。


共同経営者を導入する際も、株式を引き受けてもらうのでしょうから、最高意思決定機関に生じるリスクを慎重に検討してください。


相続人等売渡請求規定には、買取資金を用意しないといけないリスクがありますので軽々に設定できません。


株主が事故等で判断能力を喪失する場合、稀ですが行方不明になる場合も、相続と同じようなリスクが生じます(相続手続ができない分よりやっかいかもしれません)。考えておかないといけないのは株主の相続だけではないのです。


名義株も整理しましょう。最高意思決定機関に絡むリスクは消しておきましょう。有償無償の譲渡が通常でしょうが、株式併合による整理もあります。


今度は取締役です。


取締役が1人だと、急な相続、意思能喪失、行方不明の際に困ってしまいます。そのリスクを認識する必要があるでしょう。


取締役の任期もある程度自由化されました。しかし、再任手続が面倒だからといって単純に人気を長くすることはお勧めしません。将来的に取締役を解任するには正当な理由が必要です、それがなければ役員報酬相当の損害賠償が必要となります。任期を長くすればそれだけリスクが高まります。


最後に、法定手続の瑕疵の問題です。
株主構成が単純でなければないほど、また機関設計が単純でなければないほど、会社法所定の手続も複雑になり、その法定手続を間違えると、決議取消の訴え、決議無効の訴え、決議不存在確認訴訟等により、効力が覆されたり、覆されなくともトラブルが生じたこと自体で多大なコストを払わないといけません。


定款、種類株式、属人株式、遺言、株主間契約、買取り等の株式集中、株式併合等で、株主構成の単純化(株式集中)、機関設計の見直しを図ることをお勧めします。


次回は定款自治のお話をします。


顧問弁護士のご用命は是非なかた法律事務所に。

 

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会社運営と定款自治1 [企業法務]

今回は広島大学で開催していた経営者向けの勉強会でお話ししたことを基にしてコラムを書きます。

企業法務の話です。会社法の改正が以前にあり、機関設計の自由化、定款自治の拡充がなされたことをご存じでしょうか。

その背景は、外圧あるいは性善説による事後規制への移行(結局、トラブル発生は民事の問題として裁判で解決しろ、自己責任だよということです)にあるようです。我が国の会社法が大会社から社長1人の零細企業までを幅広く対象としているため、改めて会社の規模に応じた規制を行わなければならなかったということもあるのでしょう。

会社の機関設計や定款(会社のルール)がより自由になったという事態に接した中小企業は、何を考えればいいのでしょうか。

それは、①機関設計、定款を戦略的な経営の武器にすること、かつ、②生じるリスクに対処をする、ということです。
中小企業の強みである機動力強化(ヒトの力)、自由の代償の自己責任(平時のリスク軽減)を全うするのですね。

また、会社運営・定款自治は、事業承継対策に直結します。中小企業は、人が大事です。事業承継にもかかわる問題です。「和」に基づく身の丈に合った自治を行うことになるでしょう。

そこでまず、機関設計のお話しをします(株式会社を念頭にお話しします)。

譲渡制限会社の制度設計は原則として定款自治に委ねられます。身の丈に合った機関設計、すなわち、スリム化、機動力確保を狙って戦略的な設計が必要でしょう。

必須なのは株主総会と取締役です。そのほかは、いろいろなバリエーションが認められます。単語だけ並べると、取締役会、監査役(会計参与)、監査役の監査範囲の制限、監査役会、会計監査人、委員会設置会社(取締役会+指名委員会、監査委員会、報酬委員会+会計監査人)、監査役会設置会社委員会設置会社制度等です。

取締役会を設置しなければ、各取締役が代表権を有し、株主総会の権限が拡大しますので、旧有限会社型の会社となるでしょう。

もちろん、機関設計は組織運営とは違います。機関設計とは別に組織運営も考えないといけません。

スピード、機動力、経営方針の一貫性が強みである中小企業では、できるだけフラットな組織がよいでしょう。リスク管理に必要なのは分離とチェック(ルーティン化できるプロセス)です。ピラミッド型組織は必要ありません(従業員に肩書きだけを与えるのは別の話です)。

社員のやる気は賃金体系の整備で対処するのが得策でしょう。


次回、次々回は続きの話をします。
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消費者劇    [閑話休題]

当職は、広島弁護士会の活動としては、主に消費者問題に取り組んでいます。
現在は消費者問題対策委員会の副委員長をしています。


消費者問題対策委員会では、消費者問題に関する講演を「消費者塾」、消費者問題に関する寸劇を「消費者劇」と銘打って、呼ばれればどこでも行きます的に、頑張っています。


最近は、消費者劇の評判がよく、年に6,7回も劇を上演する状態です。劇団のメンバー集めや練習の日程調整が厳しいですが、劇団所属の弁護士はそれぞれ個性豊かなキャラクターで楽しく演じております。


当職は、シナリオライターや演者として参加しています。今年は12月に2講演が控えています。高校と中学校ですが、私は、現在、高校の劇の方のシナリオを考えているところです。


消費者問題は、一定の知識さえあれば防げる問題です。「我々の劇で消費者問題に興味をもって欲しい」、「知識をもって欲しい」、「みなさんに消費者被害に遭ってほしくない」、その一念でみな頑張っています。


学校はもちろん、老人会や婦人会など各種団体、催しなどに是非消費者劇(消費者塾もお願いします)をお呼びください。広島弁護士会にお問い合わせいただければご案内させていただきます(広島弁護士会ホームページでもご案内しております)。

 

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自己破産には管財事件と同時廃止事件があります   [借金問題]

自己破産の手続についてお話します。


個人の自己破産には、管財事件と同時廃止事件があるってご存知でしょうか。


大きな違いは、破産管財人が就くかどうかです。


管財事件は、財産調査、換価・配当、免責調査のため、破産管財人が裁判所から任命されます。そのため、多額の予納金がかかります(管財人の報酬等になります)。
予納金は、20万円前後から、不動産がある場合は30万円、事業をやっている場合はそれ以上になることもあります。なお、法人破産は常に管財事件です。
ほかに、郵便物が管財人に転送され開封される、管財人(弁護士です)の事務所に打ち合わせのために何度か足を運ぶ必要がある、といった留意点もあります。


同時廃止事件は、破産手続費用(管財人の報酬など)を支払える財団が形成できる見込みがない、すなわち財産がない場合に、破産手続開始と同時に破産手続を廃止する手続です。広島本庁の場合は、裁判所に1回か2回行くだけの手続で済みます。この場合の予納金は、1万円ちょっとの低額になります。

もともと破産は管財事件として処理されることが基本なのですが、消費者破産者の増大などを背景として、同時廃止という簡便な手続が認められるようになりました。


各裁判所、支部によって、同時廃止になるか管財事件になるかの一応の目安(振り分け基準)が決まっていますが、最終的にはケースバイケースで判断されます。


広島本庁の場合では、
・財産が60万円以上
・5年以内に事業を営んでいた、会社を経営していた
免責不許可事由の悪質性が高い
といった場合に管財事件になるようです(一応の目安です)。


管財事件にされてしまうと、それが本来の手続であるため、弁護士が反対しても受け入れてもらうのは難しいところです。最初から手続を見据えて、極力管財事件にならないよう事案を整理して申し立てることが必要です。

なお、基準となる財産は現金だけではなく他の財産の客観的価値も含みますし、5年以上の勤務実績がある場合の退職金見込額の8分の1など、手元にない財産も財産として評価されることにご注意ください。また、住宅ローン付の不動産がある場合は、その価値と住宅ローン債権との対比で(計算のルールがあります)オーバーローンと認められれば同時廃止が可能です。


自己破産を検討する場合には、予想される手続が同時廃止事件か管財事件かを見極めた上で、申立準備や申立費用の用意をする必要があります。


スムーズに手続を進めるためには、お早目に専門家に相談してください。

 

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相続税の改正ポイント1 [相続問題]

 

遺言、相続、遺留分減殺等相続問題のご相談はなかた法律事務所へ。

 

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同族中小企業株式の遺産分割方法   [相続問題]

今回は相続問題のうち、同族中小企業の株式が遺産分割審判においてどのように分割されるのかをお話ししたいと思います。企業法務、特に事業承継とも関わりが深い問題です。


遺言がない場合、原則として法定相続分に応じて各相続人が遺産を共同相続します。当事者間で遺産分割協議が整わない場合は、家庭裁判所へ調停を申立て、それでも合意できない場合には、家庭裁判所で審判を出してもらい、具体的な分割方法を決めてもらいます。
審判に不服があれば抗告です。


審判の場合、特別受益、寄与分がなければ法定相続分に応じて、それらがある場合には法定相続分を修正して、遺産が割り振られます。ここで注意してほしいのは、財産毎に割り振られるのではなく、株式も不動産も何分の1といったように割合で割振られるのが基本というところです。株式も事業用不動産も共有になってしまうということですね。

それでは事業に支障をきたす可能性があります。だから事業者や経営者は遺言を始めとする事業承継対策が必要なわけです。


ここで、抗告審の事例を目にしたのでご紹介します。
審判で株式が共有とされた、それに不服の会社後継者である子が抗告をしました。
民法906条には遺産の分割の基準を定めています。裁判所は、株式について、典型的な同族会社で、経営規模も小さく、経営の安定のためには株主の分散を避けることが望ましいという事情が、同条の「遺産に属する物又は権利の種類及び性質」「その他一切の事情」に当たるとして、後継者に株式を単独取得させて、他の相続人らには代償金を支払せる形に審判を変更しました。


事業承継問題の社会問題化、事業承継法制の整備といった事情を考慮した判断です。同族中小企業の実情に合った判断だと思います。


ただし、ここで注意。裁判所の判断理由として、後継者に代償金の支払能力があることが示されています。後継者に資力がないとこのような判断はできないのですね。


代償金の支払能力は、事業承継対策における後継者の資産形成が必要な理由の1つです(他に、相続税、株買取資金、遺留分対策などもその理由です)。


ご紹介した裁判所の判断は、もちろん一般的なものとは言えません。経営者、事業者の方は、このような裁判所の判断に頼ることなく、後継者が会社をスムーズに承継できるよう、株式の移転、遺言等の相続対策といった事前の対策を行うのが本筋です。


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借金の整理と自宅不動産 2   [借金問題]

前回に引き続き、借金整理、自己破産、民事再生、任意整理に絡む自宅をどうするかという問題です。


住宅ローンの他には多額の借金がない、かつ売却金で住宅ローンを完済することができると言うのであれば、間違いなく任意売却でしょう(そのような状況で自宅不動産を売却しないといけない状況になることは稀ですが)。


売却金で住宅ローンを完済できず残債が残る場合には、簡単に売却してはいけません。残債の返済計画が立つかどうかを検討するのが先です。

残債を債権者との合意で無理なく返済できるのであれば任意売却でもいいでしょう(ただし賃貸物件に転居する場合の家賃を考慮に入れなければなりません)。


これに対して残債がかなり残るということであれば、家賃プラス残債の返済に耐えることができるのかという問題になります。自己破産も検討する必要がありますので、安易な任意売却は慎むべきです、また破産手続では妥当な取引だったか等を検証されます(それ自体で管財事件にされる可能性もあります)ので、専門家に相談してからの方がいいですね。

他方、住宅ローン以外の借金も相当額ある場合には、自宅の任意売却だけで解決ができるわけではありません。売却金をローン返済に充ててもかなりの余剰が出て他の借金も返済できるのであれば別ですが、そのような例は稀でしょう。


他の借金を整理して生活再建を図るためには、他の借金も含めて任意整理、民事再生、自己破産を選択するべきです。法的手続をとる可能性があるのであれば、任意売却は専門家に相談してからにすることをお勧めします。

残る借金を任意整理(元金を数年で分割する交渉を行います)で返済できるのであれば、任意売却と任意整理のセットでよろしいでしょう。ただ、無理な計画を立てて途中で返済に行き詰ると無駄になってしまいます、そのような場合には民事再生、自己破産も検討しなければなりません。また、そのような場合には次の民事再生を選択して住宅を維持できる方も多いでしょう。

一定の収入があり、残る借金を全部返済することはできないが、月々ある程度なら返済することができる、というのであれば通常民事再生を検討します。


具体的には、住宅ローンを返済しつつ、他の借金の一定額(他の債務の5分の1、清算財産額、100万円の一番大きい額)を、一定期間(3年から5年間)で分割返済ができるか、検討します。返済できる計画が立つのであれば、住宅ローン条項付の個人民事再生手続を選択し、自宅不動産は維持しながら他の借金の一定額を返済します。住宅ローンがある方はまずこの途を選択できるのか、専門家に相談したらよろしいかと思います。


最後に、住宅ローンを支払いながら他の借金の一部を返済できる見込みがない場合、自己破産を選択することになります。もちろん、住宅ローンの返済継続自体が難しいのであれば、任意売却をせずに自己破産の選択でしょう。

もちろん、債務整理の手続選択は、他の事情も考慮して決めないといけません。早めに専門家に相談して、どうすればあなたの生活が再建できるのか一緒に考えてもらいましょう。


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借金の整理と自宅不動産1   [借金問題]

今回は、借金整理、自己破産、民事再生、任意整理に絡む自宅をどうするかという問題をお話します。


借金問題でお悩みの方が自宅不動産を所有している場合、自宅を維持するのか、処分するのか(任意売却するのか)、処分するのであればどのタイミングで処分するのかは、必ず悩む問題です。


どういう風に考えたらいいのかをお話する前に、簡単に、自宅不動産の任意売却のメリット、デメリットに触れておきます。ちなみに、住宅ローン付の住宅の任意売却には、抵当権者の同意が必要となります(抵当権を抹消してもらわなければ売却できない)。


メリット
自分のタイミングで転居することができる。
抵当権者との交渉によって引越費用の捻出がしやすい。
じっくり高く売ることができる可能性がある。
固定資産税負担がなくなる。


デメリット
自宅を処分してしまうと転居先の家賃の負担が発生してくる。
住宅ローンを売却金で返済しきれなければ債務が残り、生活再建の妨げとなる。
住宅ローン以外の借金の解決にはならない(余剰資金が出れば別ですが)。
後に自己破産等法的手続をとる場合、売却行為の妥当性が吟味される。
ご自身で抵当権者の同意を取り付けなければならない。
抵当権者の求める売却金額では売れない可能性がある。
費用がかかる。


任意売却のメリット、デメリットはこのようなものでしょうか。


ただし、任意売却のメリット、デメリットを並べただけではどの手続を選択していいかわかりません。住宅を維持するかどうか、任意整理、自己破産、民事再生という債務整理のどの方法を選択すればいいのかは、あなたの生活状況、財産状況によって変わってきます。


そこら辺を次回にお話しします。


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代表者の行方不明、判断能力喪失のリスク2 【企業法務】

前回は、企業法務のうち、代表者=株主の行方不明のリスクについて事業承継問題類似のお話をしました。

今回は、前回の続きで、代表者=株主の判断能力喪失のリスクの話です。


事業承継問題は、代表者=株主の死去、すなわち相続を念頭に置いて議論がされることがほとんどだということは前回お話しましたが、不慮の事故等で判断能力を喪失してしまった場合はどうでしょうか。絶対に事故に遭わないとは誰も言うことが出来ません。突然の話で準備ができないため、相続問題よりもリスクが高いと言えるでしょう。


人はその判断能力を喪失すると、法的に有効に財産管理ができなくなります。もし代わりに誰かが財産管理を行うと後で法的に覆されるリスクが生じるのです。自社株についての議決権も同様です。本人は有効に株主権を行使することができませんね。


起きうる事態は行方不明のケースと同様です。場合によりますが、多くの場合、株主総会等を開いて新しい取締役を選ぶこともできません。法律的には経営がストップし、事実上の経営権を巡り争いや混乱が生じることも容易に想定できます。おまけに、取締役が1人だと取締役会も開けません。


法律上、判断能力を喪失した方の財産(自社株含む)を管理する方法として、成年後見制度があります。また裁判所に職務代行者を選任してもらうことも可能かもしれません。しかし、それらには時間がかかり、また成年後見人や職務執行代行者の権限にも制約があります。日々動かないといけない経営の継続性の点からは、非現実的な手段だと思います。


その対処方法としては、まず、任意後見契約を行うことが考えられます。自身の判断能力が失われた場合に備えて、予め自身で後見人を選んでおき、その事態が発生したら速やかに財産管理をしてもらう制度です。特別な方式を要求される契約ですが、その際には代理権目録に株主権の行使を記載しなければいけません。そうしないと意味がありません。


株主の行方不明のケースと同様の対策も考えられます(こちらの方がお勧めです)。予め属人株式、具体的には俗にいう「(逆)ヒーロー株」を設定し、代表者=株主が判断能力を失っても、問題なく株主総会を開催できるようにし、経営の継続性を保つのです。


もちろん、属人株式の設定は特別な手続要件があり、また悪用されないように慎重に設定することは言うまでもありませんのでご注意を、というお話も前回同様です。


会社のリスク管理の一環として、代表者の判断能力喪失に備えをしておくことも必要だと思います。不慮の事故、不慮の病気は完全には避けられませんからね。

 

今回は、前回の行方不明の場合への対処に続いて、判断能力喪失への対処についてお話しました。事業承継対策はもちろん必須ですが、相続に至らないままに株主=代表者が有効に株主権を行使できなくなるリスクにも対処をしなければならないですよ、というお話しでした。


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代表者の行方不明、判断能力喪失のリスク1 【企業法務】

前回は、相続問題の話のうち相続預金の取り扱いについてお話しました。
今回は企業法務の話です。


事業承継問題は近時喧伝されていますね。同族中小企業では必ず対策をしないといけない問題です。


ところで、事業承継問題は、代表者=株主の死去、すなわち相続を念頭に置いて議論がされることがほとんどだと思います。


でも、考えてみてください。代表者=株主が何らかの理由で行方不明になったり、あるいは不慮の事故等で判断能力を失うこともありますね。その場合も、事業承継問題における相続リスクに似たリスクがあるのです。


今回は、行方不明のケースをお話ししましょう。


代表者=株主が行方不明になるなんて考えられないと思われるでしょうが、実際に何回か相談を受けたことがあります。その際は、速やかかつ事後的な対処は難しいとお答えしたと思います。


代表者=行方不明だと株主権を行使できないですね。場合によりますが、多くの場合、株主総会等を開いて新しい取締役を選ぶこともできません。法律的には経営がストップし、事実上の経営権を巡り争いや混乱が生じることも容易に想定できます。おまけに、取締役が1人だと取締役会も開けません。


法律上、行方不明の方の財産(自社株含む)を管理する方法として、不在者財産管理人という制度があります、失踪宣告により相続の効果を発生させる制度もあります、また裁判所に職務代行者を選任してもらうことも可能かもしれません。しかし、それらには時間がかかり、また不在者財産管理人や職務執行代行者の権限にも制約があります。日々動かないといけない経営の継続性の点からは、非現実的な手段だと思います。


ここで検討するべきは、株主の行方不明に備え、予め属人株式、具体的には俗に言う「(逆)ヒーロー株」を設定し、行方不明等の事態が発生した場合には代表者の株式議決権を極限まで下げ、他の後継者等の株式議決権を極限まで上げるようにしておくことではないでしょうか。もし代表者=筆頭株主が行方不明でも、議決権の問題が解消し、経営の継続性は保たれるでしょう。


もちろん、属人株式の設定は特別な手続要件があり、また悪用されないように慎重に設定することは言うまでもありませんのでご注意を。


会社のリスク管理の一環として、行方不明になったときの備えをしておくことも必要だと思います。


今回は企業法務のうち、事業承継問題類似の代表者の行方不明の場合への対処についてお話しました。


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準共有株式の議決権行使2   [企業法務]

前回に続いて、企業法務の話のうち、事業承継にかかわりのある準共有株式の問題です。

会社法の106条本文によって、相続等によって生じた準共有株式は、会社に権利行使者を定めて通知しなければ権利行使自体ができないため、困った事態に陥る危険がある。そして、事業承継対策等のためには、遺言書が必須であること、定款に分割行使の許諾文言を入れておくことが望まれる。といったお話しをしました。
ところで、会社法106条の但し書には、「ただし、株式会社が当該権利を行使することに同意した場合には、この限りではない。」と定められています。

なんだ、会社が同意すれば権利行使者を定めて通知する必要はないじゃないか、と思うかもしれません。

実際、その解釈で、一部の相続人に権利行使を認め、取締役選任等の株主総会を開催し、経営を承継したケースで、他の相続人から株主総会決議が取り消されるべき等と争われた事例がありました。相続人は2人で2分の1ずつの相続分だったようです。


平成27年の2月に最高裁判所の判断が出ました。結果は、株主総会決議取り消しです。
私は現在、広島大学大学院法務研究科、いわゆるロースクールで税法講習を担当していますが、授業の際、学生に話を振ったら、すでに勉強をしている判例でした。重要判例ですね。


前回お話ししたとおり、共有関係における民法の原則は管理行為は共有者の過半数で決めるというものです(民法252条本文)。会社が会社法106条但し書に基づいて権利行使を許しても、過半数で決定した議決権行使ではないから、会社が同意しても不適法である、といった判断がなされました。


106条但し書で会社が任意に権利行使を認めることができれば不公平な結果が生じることも考えられ、仕方がないですね。


最高裁の判断が出ましたから、やはり、前回お話したとおり、事業承継対策としては、自社株式に関しては必ず遺言書を書く、定款の定めを整備しておくといったことが必要です。


もちろん、事前に株式を後継者に移転することができれば良いに越したことはありません。


また、種類株式、属人株式の活用により柔軟な事業承継対策もできるわけですので、事業承継対策を考えたことはない、考えているがまだ始めていない、という企業さんは、早めに専門家に相談してください。


今回は、最高裁の裁判例をネタに、事業承継問題に関わる準共有株式の権利行使方法についてお話しました。



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