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旧コラム 2019年2月

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親族間での不動産売買の注意点 [不動産]

広島県広島市の弁護士仲田誠一です。

今回の不動産問題コラムは、親族間での不動産売買の注意点の説明です。

 

親族間の不動産の売買をお手伝いすることがあります。
相続絡み
自己破産をしなければならいがどうしても自宅不動産を残したい場合
事業承継対策
などですね。

 

そこで、親族間での不動産売買の注意点をお話しようと思います。

 

親族間の売買でも第三者間の売買でも流れは基本的に同じです。

売買契約を締結し、
代金の支払いと所有権(あるいは持分権)移転登記
をするということになります。

 

代金ですが、勿論、法律上は自由に決められます。双方が合意した金額でいいのです。

 

ただ、親族間の不動産売買では、時価よりも価格を安くすることがよくあります。
親族間の売買にはいろいろな事情が絡みますからね。

 

ところで、不動産の時価とはなんでしょうか。

 

時価とは、流通価格、交換価値というべきでしょうか。

 

不動産の価値を示すものとしては、固定資産評価、路線価、公示価格がありますね。

一般的にはその並びで金額が上がっていきます。

固定資産評価は固定資産税等のための評価額です。
時価とイコールではありません。
昔は時価の7割と言われていましたが、ケースバイケースです。中には時価よりも高いケースもあります。

 

路線価とは相続税、贈与税のための評価額です。
これも時価とイコールではありません。昔は時価の8割と言われていました。こちらもケースバイケースです。
路線価評価は国税庁のホームページで簡単に調べることができます。
設置道路毎に価格が出ているのです。
ただし、路線価が出ていない地域もあります。
その場合は、倍率表というものがあって、固定資産評価×〇倍の評価をすることになっています。

 

公示価格は時価に最も近いものです。ただ、基準点の価格しか出ていないので、個々の不動産の評価には役にたつことは稀です。
たまたま基準値と近似した不動産だったりする場合には参考するという程度です。

 

結局、時価は簡単に調べられるものではありません。不動産業者に売買事例等を基にした評価をしてもらう、鑑定士に鑑定をしてもらう必要があります。
鑑定費用はかなりかかるので、査定書をとることが多いでしょう。

 

自己破産に絡んで自宅不動産を残すために売買をすることもあります。
自己破産絡みの売買であれば、時価相当額でなければ後に破産管財人に否認されるおそれがあります。
時価相当額での売買でなければなりません。弁護士が介入して売買をし、かつ査定を取っておいた方がいいでしょう。

持分権の売買の評価は難しいです。
時価を基本として、一定程度減価することも許されるのではないでしょうか。
事実上、持分だけを売ることはできないですからね。

 

 

自己破産絡みでない場合でも、時価は気にしなければいけません。
廉価売買は贈与税の課税対象となり得るのです。購入者に対して贈与をしたとみなされるのです。

 

基準は、時価の2分の1だと思ってください。ただ、時価がいくらかを考えるのは難しいのは上述のとおりです。
税務調査がなされた場合にきちんと説明ができるように、価格算定の根拠は残しておかなければいけません。
時価の2分の1ぎりぎりでの売買は、税務署が考える時価がいくらか分からない以上、危険です。
事情があって安くする場合でもある程度余裕を持った金額、説明がきちんとできる金額で売買をした方が無難です。
後から税務署が高い時価評価をして課税してくることもあり得ます。

 

この点で、親族間の売買であっても不動産仲介業者を介入させることや、弁護士や税理士の価格算定に関する意見書を作成することもあります。

親族間の不動産売買は、このような税金面で慎重に検討しなければなりません。

 

なお、不動産を売買で取得すると、後から不動産取得税を支払わなければいけません。
不動産業者が絡む売買(新築戸建ての購入等)だと、不動産取得税の申告(そんなに難しいものではありません)の申告を代行してくれたりすることもあり、申告が必要なことをご存じないケースがあります。購入者は不動産取得税の申告が必要である点にもご注意ください。

 

親族間だからといって、簡単に売買をしてしまうと、足元をすくわれることがありますのでご注意を。

 

不動産に関するご相談はなかた法律事務所にご用命を。

 

広島の弁護士 仲田 誠一

なかた法律事務所

広島市中区上八丁堀5-27-602

https://www.nakata-law.com/

 

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退職・退任後の競業避止義務 [企業法務]

広島県広島市の弁護士仲田誠一の企業法務コラムです。

今回は、企業法務関係でよく相談される退職後の競業避止義務のことについてお話します。
関係が悪くなった中で従業員が退職する、取締役が退任するが、ライバル企業に就職されたら困る、競合会社を設立されたら困るなどのご相談ですね。
 
競業行為とは、会社法的に説明すると、自己または第三者のために株式会社の事業の部類に属する取引をすることです。
従業員も含めて言うと、競業会社への就職まで含むもう少し広い意味で使われていますね。
 
在職中の従業員、取締役の競業避止義務は勿論認められます。

 
従業員の場合、就業規則に定めがある場合は当然ですが、それがない場合でも労働契約上の義務として認められています。
就職という意味では、通常、就業規則で職務専念義務や兼業禁止なども定められていますね。

取締役の場合は、法律で競業避止義務が定められています。
会社法356条1項1号で、競業行為を行う場合には取締役会(取締役会非設置会社では株主総会になります、会社法365条)の承認が必要とされています。
従業員と異なり取締役の兼任自体は制限されていないのでしょうが、競業行為をする場合には承認が必要なのですね。
 
実際に問題となるのが従業員の退職後、取締役の退任後の競業避止義務です。
 
まず、憲法で職業選択の自由(憲法22条1項)が定められています。
退職した従業員、退任した取締役が、その後にどのような職業を選んでもそれは個人の自由です。

そのため、なにもなければ退職後、退任後の競業避止義務はありません。

もっとも、不法行為に該当するような行為(従業員の大量引き抜き等)、不正競争防止法違反になる行為は、退職後、退任後であっても損害賠償や差し止めの対象になり得ます。

従業員あるいは取締役が退職後・退任後の競業避止義務を負うのは、契約上(従業員の場合は労働契約、取締役の場合は委任契約)、競業避止義務が成立している場合に限ります。

 就業規則等で明確に定められている場合あるいは誓約書等の合意書がある場合でしょうか。

ただし、職業選択の自由との関係からそのような取り決めの有効性は制限されます。
憲法は国と私人の関係を規律するもので私人間の法律関係には直接適用されないのですが、民法の解釈において憲法の趣旨が及ぼされます。
職業選択の自由を過度に制限するような合理性のない競業避止義務は、公序良俗(民法90条)に反して無効とされます。

具体的には、競業避止義務合意の効力は、従業員の場合の裁判例の言いまわしを借りると、使用者の利益、労働者の不利益、制限期間、場所的範囲、代償の有無を検討し、合理的な範囲で認められます。

どんな従業員、取締役に対しても競業避止義務がかけられるわけではありません。
企業に機密情報、営業秘密を守るべき利益がなければなりません。


その関連で、従業員の地位、取締役の担当職務などがメルクマールになります。
従業員、取締役が会社の機密情報、営業秘密に接している場合には競業避止義務合意が有効の方向に傾きます。

地域的な限定の有無もメルクマールです。さすがに地域的な限定がないと有効とは認められないでしょう。

存続期間は、ケースバイケースなのですが2年間ぐらいから危なくなると言われているようです。

禁止される競業行為の範囲の制限も必要です。
競業企業への転職を一般的・抽象的に制限する場合には無効の方向に、業務内容・職種等が特定される場合には有効の方向に判断されます。

代償措置も必要です。
退職後、退任後の競業避止義務を課しても著しく従業員、取締役の不利益はないと言える場合ですね。
対価自体の支払いだけではなく、退職金の加算、在職中の高額な賃金や特別な奨励金等も勘案されます。

総合的に判断されるので、これがあったら有効あるいは無効というわけではないのですが、このような点に気を付けて競業避止合意をする必要があります。

なお、会社を辞めた人を雇う方も気を付けないといけません。
前職の地位や職種によっては、競業避止義務の有無は確認した方がいいでしょう。
場合によっては共同不法行為などの責任を追及されることもあり得ます。


顧問契約、契約トラブル、企業法務サポートのご用命は是非なかた法律事務所に。
 

広島の弁護士 仲田 誠一

なかた法律事務所

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相続から長期間経った相続放棄 [相続問題]

広島県広島市の弁護士仲田誠一です。


今回の相続問題コラムは、相続から長期間経てからの相続放棄のお話です。


最近被相続人が亡くなってから長期間(20年以上)経った相続放棄申述をお手伝いしました。

 

相続放棄の申述は、自己のために相続の開始があったことを知った時から3か月以内(「熟慮期間」といいます。)におこなわないといけません、事前に申請をすれば3か月の期間を伸長してくれます(民法915条)。

 

「自己のために相続の開始があったことを知った時」というのは、判例上、相続人が相続開始の原因たる事実の発生、かつそのために自己が相続人となったことを覚知した時を指します(死亡かあるいは先順位相続人の相続放棄ですね)。

相続人が何人かいるときは、各人がそれぞれ相続人となったことを覚知した時になります。誰かが知っていたとしてもその人が知らなければ関係ありません。

 

かつ、判例で、さらに緩和されています。

3か月の熟慮期間は、相続人が相続財産の全部または一部の存在を認識した時、または通常これを認識しうべき時から起算されるとされているのです。
相続人となったことを知った時から3か月を経ていても相続放棄ができるケースが認められているのです。

 

亡くなったことは知っていたけど、遺産も債務もわからないし放っておいたところ、急に債権者から相続人に対する督促状が来た場合が典型例です。
実務上も、珍しくありません。その場合には、督促状が来てから3か月以内に相続放棄をすれば家庭裁判所が相続放棄申述を受理してくれます。
勿論、その辺の事情を説明しないといけませんし、督促状などの資料も提出します。イレギュラーな事例なので弁護士に代理してもらった方がいいかもしれません。

 

相続人が被相続人の事情をどの程度知っていれば相続放棄申述が制限されるかは、ケースバイケースかつ微妙な問題です。
典型的な、同居もしておらず、何も相続手続をしていない例では、これまで問題なく相続放棄申述が受理されています。

 

ただし、理屈上は、相続放棄申述受理証明を貰えれば解決するということではありません。実は、相続放棄の法的効果は相続放棄申述受理によっては決まらないのです。

放棄の法的効果は、債権者が放棄した相続人に対して、貸金返還請求訴訟などの訴訟を提起した際に、その中で判断されることになります。

 

だからリスクは残るのですね。
ただし、相続放棄申述が受理した旨を債権者に通知すると、通常はそれ以上突っ込んでくることはありません。
そのため、実務上、あまり細かい所が問題になることはありませんし、ひっくり返されるリスクが大きいとも言えません(なお、当職は今まで1度も債権者から突っ込まれたことはありません)。

 

勿論、相続財産の処分行為など、これは相続放棄ができないなという事例もあります。そうでない限りは、とりあえず相続放棄申述受理をしてもらえればいいという意味です。

 

冒頭の事例は、被相続人が死去されて20年以上とめったにお目にかかれない期間経ていた事例でした。

 

実家とは疎遠で、被相続人が亡くなったことも御存じなく、他の相続人が相続放棄をしていて、今になって突然役所から被相続人の固定資産税の滞納金の請求が来た例でした。

 

何が困ったかというと全く資料、記憶もない点でした。役所からの通知内容を基に、何とか最低限の提出資料を揃えることができました。

 

また、理屈上は、相続放棄申述が許される事例ですが、事実上あまりにも相続発生から長期間経ているため、手続がスムーズに進むのか危惧がありました(かつ、遠方の家庭裁判所でしたので来てくれと言われると大変だなと思っていました)。

 

この点は、事情をきちんと裁判所に説明する書面を作成し、スムーズに相続放棄申述受理証明書をもらうことができました。

 

少し変わった事例でしたのでお話をさせていただいた次第です。

 

遺言、遺産分割、遺留分減殺請求、相続放棄、等相続問題のご相談はなかた法律事務所へ。

 

広島の弁護士 仲田 誠一

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交通事故の被害者と自己破産 [借金問題]

広島県広島市の弁護士仲田誠一です。

 

債務整理をしないといけない方が交通事故に遭った場合、特に自己破産を選択されている場合のお話をします。

 

交通事故の被害者には不法行為に基づく損害賠償請求権を取得しますね。それが自己破産手続においてどのように扱われるかというお話です。

 

自己破産においては、財産は破産手続開始決定時が基準となり整理されます。同時廃止事件になれば財産はそのまま残せる、管財事件になった場合には最終的に自由財産拡張手続によって認められた範囲で財産を残せるということになります。

 

交通事故による損害賠償請求権は自己破産手続の中でどういう扱いになるのでしょうか。

破産開始後に交通事後に遭われた場合は難しいことを考える必要がありません。
損害賠償請求権は新得財産として無視されます。
なお、個人再生の場合には、清算価値の計算の基準時が開始決定時ではないため、理論上、開始決定後でも早くとも再生計画提出までの交通事故による損害賠償請求権が清算価値に影響を及ぼしうるということになります。

 

破産手続開始決定時において損害賠償金が既に入金されている場合はどうでしょうか。
損害賠償金は開始決定時点では既に預金、現金等の形の財産となっているので、開始決定当時の財産として評価されます。

財産全体として自由財産拡張の範囲(原則99万円が限度)を超える部分は財産に組み入れることになります。

財産に組み入れるとは、管財人に引き渡すという意味です。
財団に組み入れられたお金は、手続費用、管財人報酬、配当等に回されます。

 

破産手続開始決定時点においてまだ損害賠償金が入金になっていない場合はどうでしょうか。

やや複雑です。

 

物損など純粋な財産的損害に基づく損害賠償請求権は、財団に帰属します。
自由財産拡張の対象にもならない傾向のようです。財産が残っているか損害賠償の形かの違いだからでしょうか。厳しいなあと感じますが、ケースによっては拡張対象となることもありうるのではないでしょうか。

 

財産的損害に基づく損害賠償であっても、給与の代わりの性質を持っている休業補償や逸失利益、あるいは治療に直接関係する介護費用や入院雑費は、自由財産の拡張対象となり得ると考えられているようです。
ただ、拡張対象範囲を超えるものは取られてしまうことになりますね。

 

精神的損害に基づく損害賠償(慰謝料請求権)については、また違う扱いになります。

慰謝料金額が確定するまでは破産財団に属しません。財産とみなされません。慰謝料請求権は、それを行使するかどうかはその人にまかされているからです(行使上の一身専属権)。

しかし、破産手続中に金額が確定した場合には、破産財産に属します。自由財産の拡張対象とはなります。拡張対象範囲を超えるものは取られてしまうことになります。

 

破産準備中に事故に遭う、交通事故に遭ったため債務の返済の継続が難しくなるというケースも時々接します。そういう場合には上述のようなことが問題となるため考えて対応しなければなりません。

   

債務整理(任意整理、民事再生、自己破産等)のサポートはなかた法律事務所にご用命を。

 

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一方的な別居と離婚 [離婚問題]

広島県広島市の弁護士仲田誠一による離婚問題コラムです。

 

離婚の前に一方的に別居されるということは珍しくありません。

 

一方的な別居が「悪意の遺棄」になるでしょうか?

「悪意の遺棄」とは、裁判離婚が認められる法定離婚原因の1つです。

 

法定離婚原因としての「悪意の遺棄」に該当するかは難しい問題です。
よく主張されることですが、一方的な別居=悪意の遺棄とはなかなか認めてくれません。
夫婦は同居義務がありますが、強制はできない義務だとされています。
同居義務違反=「悪意の遺棄」とはいいずらいことになります。

微妙なところですが、連絡を不通にして生活費を全く負担してくれない等の事情も必要なのではないかと考えます。

 

家を一方的に出た配偶者が有責配偶者だから、他方配偶者は離婚を拒否できるのではないか、慰謝料が請求できるのではないか、という問題もあります。

 

こちらも、事情によってはそのような判断がなされ得ます。

残された配偶者に十分な収入がある、あるいは生活費の負担を続けているような通常のケースだと、有責配偶者とはなかなか認められないというのが実感です。
離婚原因としての「悪意の遺棄」に該当するかどうかの問題よりもハードルは高いでしょう。
別居により生活を困窮させるような事情が必要なのではないでしょうか。

 

実際、収入のない、あるいは低い奥さんが一方的に別居をして離婚を求めるケースはよく接します。
しかし、裁判所から離婚請求は有責配偶者の請求だから認められないと言われたことはありません。
勿論、一方的な別居が不法行為として慰謝料が認められたこともありません。
一緒に住むのがつらい配偶者が一方的に家を出てもそれが直ちに不法行為になるということはないのでしょう。

 

勿論、一方的な別居した配偶者からの婚姻費用分担請求も認められています。

 

通常の一方的な別居は、別居後2~3年その状態を続けると法定離婚原因のその他婚姻を継続し難い事由に該当し、裁判所に離婚が認められるのがスタンダードでしょう。

 

他方配偶者からは納得いかないのでしょうが、法が同居を強制できるものではないので、仕方がないのだろうと思います。

 

男女の仲が戻ることはなかなかありません。弁護士にご相談される時点では既にそのような可能性はなくなっているのでしょう。

 

法律も、一方が婚姻継続の意思を失っているのに敢えて婚姻関係の維持を強制する制度とはなっていません。婚姻関係破たんによる離婚を認めていますから(破綻主義)。

ただ、婚姻関係破たんの認定はやや厳しく、簡単に離婚ができるわけではないというところで調整しているようです。

 

一方配偶者の離婚の意思が強ければ、敢えて離婚を争うのではなく、今後のこと、特にお子さんのことに折り合いをつけて円満に離婚する方がいいケースは多いです。

 

離婚案件は法律上の主張、手続を粛々として進めればいいのかというと、そうでもない案件が多いです。多大な時間と労力がかかりますし、大きなしこりが残ります。円満解決あるいは折り合いが付く解決を図るのは骨が折れる仕事だなあというのが実感です。

 

離婚婚姻費用養育費財産分与慰謝料請求等、離婚問題のサポートはなかた法律事務所にご用命を。

 

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共有不動産の賃貸 【不動産問題】

広島県広島市の弁護士仲田誠一の不動産問題コラムです。

 

相続に基づく遺産分割により、あるいは元々共同で購入したため、共有不動産となっているケースで、これからその共有不動産を賃貸する、あるいは既に共有不動産を賃貸している場合の法律関係をお話ししようと思います。

 

民法は、共有物の変更行為には共有者全員の同意が必要(民法251条)、管理行為には持分の過半数で決める(民法252条)、保存行為は共有者単独でできる(同条ただし書)としています。

 

変更行為は、解体、処分、担保設定が典型です。

 

管理行為は、変更行為に当たらない(物件の状態を変更しないで)利用・改良する行為です。

 

保存行為は、破損部分の修繕、不法占有者に対する明け渡し請求、抵当権の解除などです。

 

賃貸借契約の締結はど変更行為・管理行為・保存行為のどれに当たるのでしょうか?
 

賃貸借は利用行為ですから管理行為と言えそうです。そして、実際に、賃貸借契約の締結も含まれるとされる見解もあります。

 

一方で、多くの賃貸契約締結には変更行為として共有者全員の同意が必要とされるとも言われています。

 
確立した判例がないため、事例判断によるしかありませんが、目的不動産の利用形態、前述の期間の長短がメルクマールとして判断されるようです。

まず、駐車場を建物建築目的で賃貸するような、共有物の利用形態を大きく変更する場合には、変更行為と見られる可能性が高いです。


次に
、期間の長短です。処分の権限を有しない者が賃貸借をする場合には、賃貸期間は土地5年、建物3年と定められています(民法602条)。短期間の賃貸借なら合意していない少数持分権者への影響が小さいとされているのですね。長期間の賃貸借契約になると、少数持分権者への影響が大きいため共有者全員の同意が必要と言われます。

 

かつ、借地借家法の適用がある賃貸借契約は、短期賃貸借であっても更新されて長期間の契約になる可能性が高いです。借地借家法の適用のある賃貸借は共有者全員の同意が必要とした裁判例もあるようです。借地借家法の適用はないものは、建物所有を目的としない土地賃貸借や一時使用目的の建物賃貸借です。通常の賃貸借は借地借家法の適用があります。

 

無難な考え方をするのであれば、上述の借地借家法の適用のない短期賃貸借かつ利用形態を変えない賃貸借は共有者の過半数持分の同意でできる、それ以外は共有者全員の同意が必要というべきでしょうか。

 

共有物の賃貸借契約の解除を管理行為とすることは判例で確立されているようです。

 

賃貸借契約の更新の場合は難しいですね。自動更新ならいいのでしょうが、変更行為と見られる賃貸借の場合の都度更新の場合は更新契約にまた共有者全員の同意が必要と考えた方がいいでしょう。

契約内容の変更については、共有者間で決めた共有物の使用収益方法を変更する行為も共有物の変更とする見解があります。程度問題だとは思いますが。

 

共有者全員の同意が必要な賃貸借を過半数持分者の同意で賃貸借契約を締結した場合、反対の少数持分権者から異議が出たらどうなるのでしょうか。

少数持分権者分の持ち分について無断賃貸借ということになりますね、ただし契約当事者間ではただちに無効になりません。少数持分権者が明け渡しを要求できるかは難しい問題です。一般的な見解と言えるものは見当たりませんでしたが、共有者は持ち分に応じて共有物を利用できるので、賃借人は単なる不法占拠者とは見られず、かつ少数株主権者が単独の占有権がない以上、明渡しは認められない可能性が高いのではないでしょうか。勿論、共有者間では争いになりますし、賃料相当額の少数持分権者分を支払えとの請求は当然あるでしょう。正直簡単に答えが出て来ない問題ですね。

 

なお、契約手続代行、解除通知自体は共有者単独でできます。事柄に応じて、他の共有者の全員あるいは過半数持分の同意があればいいのです。

 

なお、共有物の賃貸による賃料については、特別な合意がない限り、当然共有者に持分に応じて分配する必要があります。費用も持分に応じた負担ですね。

賃料が分配されない場合には、不当利得あるいは不法行為として分配しない共有者に対して請求をすることができます。

確定申告も共有者全員がそれぞれしなければならないのが原則です。

このように共有物件は複雑です。共有状態は好ましくないですね。

 

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遺産分割をしていないままの債務整理の注意点 [借金問題]

広島県広島市の弁護士仲田誠一です。

 

お父さんが亡くなってまだお母さんが健在であるときなど、面倒くさいから、あるいは揉めることはないから、といって遺産分割協議書を作成せず、不動産の登記も亡くなった方のままにするケースがあります。
そのようなケースは、当職の経験上、珍しくありません。

 

事実上、誰かに、上の例だとお母さんが引き継ぐということで口頭では合意ができていることが多いでしょう。

 

遺産分割を放置しておくこと自体、曖昧な状態を残し、紛争が起きる原因になります。
また、更に代替わりした際には当事者が増えて登記をきれいにする場面で応じない方が出てきたり、相続手続自体が面倒になったりします。

今回は、債務整理の観点から、遺産分割をしないままで放置していた場合の問題点をお話しします。

 

亡くなった被相続人名義のままに不動産をしておくと、相続人が債務整理をしないといけないような事態に陥った場合、困ったことになりかねません。

 

債権者から強制執行をすることができますね。
相続登記を代位して、債務者の持ち分を差し押さえてくる可能性があります。
競売にかけられ、あるいは他の相続人が持分の買取りを強いられる結果になるかもしれません。

 

また、相続人の1人が自己破産あるいは個人再生をした場合、法定相続分が債務者の財産としてみなされます。
これが実務上よく出くわす事態です。債務整理に支障が出てくるのです。

 

個人再生の場合は、清算価値に当該不動産の価値の相続分を計上しなければなりません。
個人再生には清算価値保障原則というものがあって、清算価値=財産額以上の計画弁済額を定めなければいけません。
未分割の遺産の価値により清算価値が上がり多少返済額が大きくなるならまだいいのですが、債務額よりも清算価値が大きくなる、返済できないほど弁済額が大きくなってしまうような場合には、個人再生をする意味がなくなり手続を進めることができません。
かといって、次にお話しするように、自己破産を選べばいいかというとそうもいかないのです。

 

自己破産の場合は、オーバーローンではない不動産が存在するとして、原則として管財事件になります。
ます、予納金の負担が大きくなりますね。30万円強程度でしょうか。

さらに、破産管財人から、他の相続人に対して、破産者の持ち分(相続分)の買取り要求がなされたりします。
理屈上は、他の相続人が買取りを拒否すれば、管財人による換価手続もされ得ます(手順については議論があるのですが)。

このように、お金もかかるし、他の相続人に迷惑がかかることになってしまいます。

 

ただし、田舎の自宅田畑が相続登記されていないケースで、同時廃止事件として処理された例もあります。
遺産分割の話は既に決まって、引き継いだ人が占有を続けている、かつ資産価値も小さいという案件です。

 

逆に、遺産分割をしておけば、相続発生から多少遅くなっても、それが自己破産等申立ての直前あるいは経済的危機状況での遺産分割ではない限り、問題視されることはほぼありません。

相続登記を直前にした場合は管財事件となり否認対象となるか吟味されることになります。

 

遺産を未分割のまま終わらせないことは、後々のトラブルの防止のため、やはり大事なことなのです。

また、借金を抱えて苦しい方は、相続手続が終わっているかどうかを早めに確認してください。

 

債務整理(任意整理、民事再生、自己破産等)のサポートはなかた法律事務所にご用命を。

 

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相続人がいないときの相続財産管理人とは [相続問題]

広島県広島市の弁護士仲田誠一です。

 

今回の相続問題コラムは、相続人がいない場合あるいは相続放棄によりいなくなった場合に選任してもらうことがある相続財産管理人についてのお話です。

みなさん相続財産管理人をご存知でしょうか。

 

相続財産管理人の選任の例が増えているようです。身寄りのいない人が増えてきているのだろうと思います。

 

相続財産管理人とは、家庭裁判所に選任さえた相続財産の管理をする者です(民法957条)。相続財産につき、法定代理人として管理、清算することになります。

 

「相続人のあることが明らかではない」ときに、「利害関係人」または検察官の請求によって家庭裁判所が選任します。

 

当職も何件か家庭裁判所に選任されて相続財産管理人になったことがあります。

 

どのような場合に選任が請求されるのでしょうか。

 

典型的な例では、相続人がいない方が亡くなった場合、あるいはすべての相続人が相続放棄をして相続人がいなくなった場合です。

相続財産に利害関係がある特別縁故者や債権者などが利用するケースが多いでしょう。

成年後見人が被後見人の死去の引継ぎとして申し立てた例も経験しました。

 

「相続人のあることが明らかではない」とは、相続人の存否が不明なことをいいます。


典型例は、戸籍上相続人がいない、あるいはその皆が相続放棄した場合ですね。

ほかにもいろいろなケースで相続財産管理人選任ができるかどうかの議論があるところです。


なお、相続人がいるがその相続人が行方不明な場合は、不在者財産管理人の選任あるいは失踪宣告の手続になります。
 

「利害関係人」とは

利害関係人とは、相続財産の帰属について法律上の利害関係を有する者です。

特別縁故者、相続債務者、相続債権者、担保権者、事務管理者(遺産を管理している人などです)、受遺者、遺言執行者、相続財産の共有持分権者、被相続人が相続分を有する遺産の共同相続人、国・地方公共団体などが挙げられています。

 

相続財産管理人の仕事は、いろいろあります。
 

まず、財産目録を調整して家庭裁判所に提出しなければなりません(民法953条)。選任後1カ月以内ということで忙しいです。
相続放棄をされた方など関係者のご協力が必須です。関係者との面談や現地調査も必要です。銀行の調査もしないといけません。


そして、財産の管理をします。財産の把握が大変なケースもあります。
田舎の山林・田畑の位置確認等が大変だった経験がありますね。
何度か現地調査をしたり、近隣の親戚の方に教えてもらったりしました。


時には売買などの処分行為もすることになりますが、その際には家庭裁判所の許可が必要です。
経験した例では、売買だけではなく、古家の解体をしたり、道路にはみ出ていた物を撤去するような仕事もしました。
田畑は大変ですね、農業委員会に問い合わせるなどして誰か引き継いでくれないか探すことになります。


相続債権者に対しては、請求申出の催告を公告あるいは知っている債権者に対しては個別にしないといけません(民法927条)。

相続人捜索の公告の申立ても家庭裁判所にします(民法958条)。
相続人捜索の公告満了後特別縁故者からの分与申立てがあった場合には、その対応もありますね。


財産を処分して、相続債務を返済しても、かつ特別縁故者に分与しても、残余財産がある場合もあります。
その場合には、国庫に帰属させることになります。

基本的には、現金化して国庫帰属をするのですが、処分できない不動産はそのまま財務局に引き継ぎます。
昔は財務局がなかなか引き取ってくれず、不動産を残したまま手続を終了させる形が多かったようですが、最近は、お墓がある、所有関係が明確ではないといった不動産以外は引き取ってくれるようになりました。


けっこう大変な仕事ですよね。


そのため、申立ての際の予納金は数十~50万円程度かかる例が多いようです。
勿論、相続財産管理人の想定される仕事量、被相続人の財産額に照らし、ケースバイケースで判断されることになります。

 

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広島の弁護士 仲田 誠一

なかた法律事務所

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持ち家の財産分与 [離婚問題]

広島県広島市の弁護士の仲田です。

今回の離婚問題コラムは、持ち家の財産分与のお話です。

 

離婚に伴う持ち家の財産分与如何は持ち家がある場合の離婚の大きな関心事ですね。

 

【評価の方法】
 

まず、持ち家の評価はどうするのでしょうか。


固定資産税評価で進めることもあります。双方がそれでいいと合意をしている場合ですね。
中には土地について路線価を持ち出す場合もあります。固定資産評価は一般に時価の7割、路線価は時価の8割と言われています。

固定資産評価は固定資産税を取るための評価額、路線価は相続税・贈与税を取るための評価額なのです。

なお、公示価格というものもありますが、基準点が少ないので実務上あまり出てきません。

 

固定資産評価等で合意ができない場合には、査定書を取ることになります。

ただ、双方が取る査定額に乖離があることは珍しくありません。
その場合は両者の中間等で折り合いがつくのかどうかが問題となります。

 

どうしても持ち家の評価に折り合いがつかないときは、不動産鑑定士に鑑定を依頼することになります。
ただ、費用が高額であるため、取らないで折り合いをつけるケースが多いです。

 

財産分与の方法】


では、実際に持ち家を財産分与としてどういう形で分けるのでしょうか。


財産分与の際、持分を分与して夫婦が各2分の1などの夫婦共有名義にしないのが通常です。
共有状態は好ましくないからです。後々紛争が生じますからね。


住み続ける人あるいは住宅ローンを支払っている配偶者の名義にするのがスタンダードです。


元々共有名義である場合も、財産分与の調整等により単独名義にすることがよくあります。
代償金を支払ったり、財産分与額で調整したり、売買をしたりします。

 

勿論、双方が合意するのであれば、売却して売却金を分与するという方法も取られることがあります。

 

【住宅ローンがある場合の評価】
 

住宅ローンがある場合はどう評価されるのでしょうか。


基本的には、不動産の現在価値から住宅ローン残額を差し引いた金額が財産分与の対象となります。

オーバーローンの場合には、価値がないということで、財産分与の対象とされないのが通例です。

例外的に、居住権を他方配偶者に認める、扶養的要素から持分分与を認めるというような解決がなされる例もあります。

 

【住宅ローンの返済者】


住宅ローンは誰が返済していくのでしょうか。


住宅ローンは銀行との契約関係です。債務者である配偶者が支払を継続しないといけません。

他方配偶者が連帯保証人あるいは連帯債務者になっている場合はどうしたらいいのでしょうか。これも銀行との関係です。
そのため、銀行が同意しない限り、保証債務、連帯債務は残ります。

銀行は、新たな保証人あるいは連帯債務者を差し入れる場合などで同意してくれる可能性はあります。

調停などでは、連帯保証人を外す交渉をする、あるいは努力をするといった法的には効力があまりない約束を交わすこともよくあります。
なお、基本的に住宅ローンの債務の分与はありません。

 

財産分与による名義変更ができるか】
 

名義変更を伴う場合も銀行との関係が問題となります。
銀行との約款で無断での名義の移転は期限の利益喪失事由になっているからです。その場合は同意を得ておく必要がありますね。


ただ、登記名義の変更自体は銀行の同意がなくても法務局でできてしまいます。
問題なく返済する場合には問題視されるリスクは小さいとも言えます。リスクは承知の上で判断することが必要です。

 

【分与割合】


持ち家が財産分与の対象となる場合、分与割合は悩ましい問題です。


親からの贈与、婚姻前の預貯金、相続財産、別居後の弁済等、特有財産が購入費、返済資金に入っている場合は、2分の1では不公平なのでその分は考慮されます。


ただし、具体的にどのように考慮されるかの決まりはありません。裁判所の裁量になります。
購入費用のうちの特有財産の割合を当該配偶者に、残った割合を2分の1に分けて、分与割合を決めた例などが紹介されていますが、色々な考え方があり得ます。

 

離婚婚姻費用養育費財産分与慰謝料請求等、離婚問題のサポートはなかた法律事務所にご用命を。

 

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相続人に未成年者がいる遺産分割など [相続問題]

広島県広島市の弁護士仲田誠一です。

今回の相続問題コラムは、相続人に未成年者がいる場合の遺産分割などの注意点をお話します。

相続の際、相続人に未成年者がいらっしゃることがあります。

未成年の子を残して父あるいは母が亡くなった場合や、その後亡くなった父母の父母(祖父母)が亡くなって未成年の子が父または母の代襲相続人として相続人になる場合ですね。

 

遺産分割手続など(遺産分割協議・遺産分割調停・審判・相続放棄)を進めるにあたって、特別な注意をする必要が出てきます。

 

未成年者は単独で遺産分割協議等をすることができません。
親権者が未成年の子の法定代理人になります(民法824条)。


親権は父母の共同行使ですが、仮に父母の一方が死亡等により親権を行使できないときは、他の一方が単独で親権を行使します(民法818条)。

 

そうであれば残された配偶者(単独親権者)が未成年の子を代理して遺産分割協議等をすることができそうです。
しかし、そう単純ではありません。

 

例えば、被相続人の相続人が配偶者と未成年の子1人である場合を考えてみましょう。

 

その場合、法律上、配偶者と未成年の子の利害が対立するとみられます。
外形的・客観的に法律関係を見て利害相反があるという関係になるのです(具体的な内容に関係なく形式的にみられます)。
会社法での利益相反取引と同じ考え方です。

 

このような親権を行う者と未成年の子との利益相反行為(利害が対立する行為)については、親権者が親権を行使して未成年者の代理人になることはできません。
この場合は、特別代理人を家庭裁判所に選任してもらわなければなりません(民法826条)。

 

次に、被相続人(祖母あるいは祖父)が亡くなって、それ以前に亡くなっていた配偶者の代襲相続人として未成年の子が相続人になるケースを考えてみましょう。

 

その場合、未成年の子が人だけならば、残された配偶者が問題なく未成年の子を代理して遺産分割協議等をすることができます。
配偶者は相続人ではありませんからね。
共同相続人の関係にないので、利益相反関係にないのです。

 

一方、未成年の子が人の場合には様相が異なります。
配偶者が未成年者
人の代理人となることは、双方代理となるのですね。

双方代理は本人同士の利害相反関係があるため、基本的にできないことになっております。
そのため、親権者が数人の子に対して親権を行う場合には、その
1人と他のことの利益が相反するときも、また特別代理人を家庭裁判所に選任してもらわなければなりません(民法826条)。


親権者は一方の代理人にはなれますが、もう人は特別代理人が代理して遺産分割協議等をすることになります。

 

それでは、相続放棄の場面を考えみましょう。

 

親権者が未成年の子を代理して相続放棄をすることはできるでしょうか。

 

親権者が相続人ではないときは、相続人となる未成年者が人であれば、問題なく未成年の子を代理して相続放棄することができます。

さきほどの、代襲相続で未成年者1人だけが相続人となるケースですね。

ただし、代襲相続の場合でも、未成年者が人以上である場合、一部のみの未成年者を代理して相続放棄をすることはできないです(特別代理人の選任が必要)。

 

親権者が相続人であるときは(最初のケースですね)、未成年者のみの相続放棄を代理することはできません。

一部のみの未成年者を代理して相続放棄をすることもできません。
親権者と未成年者、あるいは未成年者同士の利害が相反しますからね。

 

親権者と未成年の子全員が同時に相続放棄をする場合、あるいは先に親権者が相続放棄をして相続人でないことを前提として未成年の子全員が相続放棄をする場合は、親権者が特別代理人を選任することなしに未成年者を代理して相続放棄をすることができます。

この場合は、利益相反関係がないと判断されます。

 

相続放棄が必要な場合は、通常、親権者と未成年の子が一緒に相続放棄をすることになるでしょう。
そのため、通常の相続放棄では特別代理人の選任は必要ないと言えます。

 

このように、相続人に未成年者がいる場合には、利害相反というやや面倒なことを考えて手続をする必要がありますのでご注意ください。

 

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