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コラム 借金問題

訴訟を提起された場合と自己破産 [借金問題]

広島市の弁護士仲田誠一です。
 
債権者に訴訟を提起されたこと(支払督促が申し立てられたこと)をきっかけに債務整理のご相談に来られる方がいらっしゃいます。

また、自己破産を選択して受任通知を出した後に、債権者から訴訟を提起されるケースもあります。

今回は、そういった自己破産と訴訟との関係をお話しようと思います。
 
まず、債権者に訴訟を提起されたこと(支払督促が申し立てられたこと)をきっかけに債務整理、特に自己破産を決意される場合です。
 
基本は、急いで受任通知を送ります。
また、訴訟の場合には裁判所には委任状と答弁書、支払督促の場合は異議申立書と委任状を送ります。
いずれも期限があるので気を付けてください。支払督促の場合は特に短いです。

そうすれば、債権者が訴訟(支払督促の場合は異議申し立てによって訴訟手続に移行します)を取り下げてくることが多いです。

取り下げない場合には、急いで自己破産申立を行います。
通常は債権調査を行うのですが、それを省いてでも早く申立てることが多いです。
また、家計収支表は、広島本庁では2ケ月分必要ですが、申立てを急ぐ場合には1か月分でいいこととされています。
 
どうして急ぐかというと、強制執行が怖いからですね。
特に給与等差押えです。
理屈上、破産開始決定を得ると債権者は判決を取っても強制執行ができません。
債権者が破産申立の事実を知ると、通常は訴訟を取り下げます。
訴訟をできるだけ時間稼ぎしておいて、その間に自己破産申立てを急ぎ、早期に破産開始決定を取ることを考えるのです。
 
勤務先を債権者が知らない場合には、通常調べることはできないですし、調べる手間もかけません。
その場合には、預貯金の差押えが怖いぐらいでしょうか。動産執行などは原則してきません。不動産がある場合には差し押さえられても直ちに換価されるわけではないので、自己破産を考えている限りでは、あまり怖くありません。

預貯金で困るのは、給与口座、年金口座、生活保護受給口座の差押えですね。
年金、生活保護を受ける権利自体は差押え禁止財産ですが、入ってくる口座自体は差押えが可能です。それが有効かどうかはまた別の議論があり争うことができますが、お金が一時的にでも引き出せなくなることには変わりがありません。
債権者が債務者の預金口座の所在を調べられるわけではありません。債権者に振り込んだ銀行・支店名、融資金を振り込んだ口座ぐらいしかわかりません。
ただ、ゆうちょ銀行口座と自宅近辺の代表的な金融機関の支店へ差押えをかけてくることがあります。
遠方の銀行あるいは支店であれば債権者の差押えがヒットしないでしょう。
年金受取口座等を念のため変更してもらうことがあります。

やはり、訴訟提起、支払督促申立てがなされている場合には、申立てを急いだ方が無難でしょう。
 
これに対し、弁護士が受任通知を出した後に、訴訟提起をしてくる債権者もいます。
 
典型的なケースは、自己破産申立て準備が遅れ、債権者が待ちきれずに訴訟提起をしてくる場合です。

受任通知から数か月経つと、債権者から進捗確認の連絡が弁護士宛に来ます。
それでも申立てがなされずに半年を優に超えるような状態になると、債権者から法的手続を進めるとの連絡が来ます。
当然、弁護士も依頼者様に準備を促すのですが、中にはなかなか連絡が取れなくなる方もいらっしゃいます。

急かされて準備を頑張ってくれる方は急いで申立てをするのですが、準備を進めてくれないあるいは連絡が取れなくなる方については、弁護士も辞任をすることになります。

弁護士が辞任をすると、期限の利益が喪失された(一括請求されて遅延損害金も発生している)状態で、代理人がいないことになります。督促もされますし、訴訟提起もされます。
自己破産の申立て準備を遅らせることは百害あって一利なしなので、お気を付けください。

勿論、敢えて申立てを遅らせる必要があるケースでは、きちんと債権者に弁護士が説明をします。たいていの債権者は待ってくれます。
 
ところが、中には、受任通知後間もないのに訴訟提起をしてくる債権者もいます。
2,3社の名前が挙がりますが、具体名はここで挙げません。

債権者がそのような対応を取った場合には、できるだけ訴訟の進行を遅らせ、その間に自己破産申立て、破産開始決定を取るほかありません。
受任通知後1~2か月で訴訟提起をされたことが2回あります。
債権者にとっても自己破産されてしまうと訴訟費用と手間が無駄になるだけだと思うのですが、特定の債権者はそのような対応をすることがあります。
 
債権者から訴訟が提起された、あるいは支払督促の申立てがなされたときは、他の督促状や訴訟予告と異なり、裁判所から書類が来ます。
裁判所から書類が届いたら、すぐに、弁護士に相談する、あるいは依頼している弁護士に渡す必要がありますね。
 
債務整理(任意整理個人再生自己破産等)のサポートはなかた法律事務所にご用命を。
 
広島の弁護士 仲田 誠一
なかた法律事務所
広島市中区上八丁堀5-27-602
http://www.nakata-law.com/
 
http://www.nakata-law.com/smart/


自己破産か、個人再生か、任意整理か [借金問題]

広島市の弁護士仲田誠一です。
 
弁護士会で若手会員相手に個人再生委員研修の講師をすることとなりました。
個人再生委員の話だけではなく個人再生を申し立てたことがない会員向けに個人再生手続のポイントも講義する予定です。
そういうわけで、改めて債務整理の手続選択について考えてみました。
個人でいうと、自己破産か、個人再生か、任意整理かの選択ですね。
以前のコラムでも何度か書いた気もしますが、あらためて整理いたします。
 
債務整理の手続選択は、借金の額、借金の内容、収入(弁済原資)、保有財産、職業等をいろいろ考えて行います。
オーダーメイドで考えないといけません。
 
まずは、借金の額と収入の関係ですね。
借金総額(住宅ローンは除きます)を36回(3年)で支払うと仮定して、収入からその金額を毎月支払うことができるかどうかを考えます。
それが支払えない状態でしたら、借入元本をカットできる個人再生自己破産という法的整理手続を考えます。
逆に支払えるのであれば任意整理で十分ということです。資金繰りの問題だけ解決すればいいケースです。
 
勿論、支払えない状態であっても、法的整理をすることに躊躇するケースもありますね。
親戚が保証人になっていて迷惑がどうしてもかけられない、ローン付の車を維持しないと生活できない、勤務先から借入れがある等々色々な事情があります。
 
任意整理でも、債権者にきちんと説明して納得してもらえたら5年間あるいはそれ以上の弁済期間での和解も不可能ではありません。
5年ぐらいであると割合簡単にOKがもらえるでしょうか。
そこで、法的整理を避けたいケースでは、和解できそうな弁済期間での弁済が可能な限りで、任意整理を選択することはあります。
 
ただ、長期間にわたってギリギリの弁済を続けていくことは危険ですし非常に苦しいですね。
また、弁済途中で頓挫してしまえばその際には自己破産等を選択せざるを得ず、それまでの苦労が無駄になることもあります。
初めに自己破産していれば弁済分は貯蓄で残ったかもしれません。
さらに、長年にわたって借金返済のために働くよりも今後の生活のために少しでも貯蓄をしてくことが望ましいのは言うまでもありません。
ギリギリの弁済計画だと、支払い完了時には財産がゼロということになります。
無理をして任意整理を選択しようとされる方には、ここら辺をお話して、その上で決断してもらいます。
 
勿論、条件が揃えばですが、法的整理を選び難い原因をクリアしつつ自己破産個人再生を選択することがあります。
敢えて偏頗弁済をする、車を親族が買い取るなどですね。
自己破産手続、個人再生手続においてそれらの行為が問題になるとしても、結果的にはベストな選択になることも正直あります。
弁護士の腕の見せ所でしょうか。
当然のことですが、弁護士の助言の下で進めてください。
 
法的整理を選択する場合、個人再生自己破産かの選択が残りますね。
 
財産もない、他の問題もないということであれば、自己破産を勧めます。
 
個人再生ができる借金額の場合はたいてい自己破産もできると思います。
破産は支払不能、個人再生は支払不能のおそれが要件ですが、弁護士は受任通知を出すと期限の利益は喪失されるので、たいてい支払不能と説明がつきます。
債務整理を決断されたのであれば、できればすべてリセットして、経済的に立ち直ってもらいたいです。
 
一方、自己破産ではなく個人再生を選択しないといけないケースもありますね。
 
自宅不動産を維持しないといけない場合には、個人再生しかありません。
住宅資金特別条項を利用した個人再生ですね。ただし、利用できる要件があって、借入の仕方、担保の付き方によっては利用できない場合もありますのでご注意を。
住宅ローンを控除しても不動産価値が数百万円残るような場合には手続を進めることは難しいです。その場合には別の方策を考えるしかありません。
なお、自己破産申立て前に親族に不動産を売却して自宅を維持して自己破産をしたというケースもあります。売却にあたっては弁護士がきちんと関与しました。
 
職業の関係で個人再生を選択するケースもありますね。
自己破産では一部の職業について制限があります。よく見ることがあるのは、保険外交員、警備員でしょうか。
個人再生では職業制限がないので、そのような職業の方は個人再生を利用するということです。
 
数は多くないですが、自己破産を申し立てた場合の免責不許可事由の程度がかなり重くて(これは破産管財人をやっている弁護士に判断してもらってください。)、とても免責許可が得られそうにない場合も、個人再生を選択しますね。
免責不許可事由の程度がある程度という場合であれば自己破産でもかまわないです。
よほどでないと免責不許可にはなりません。
ただ、ある程度の免責不許可事由が存在する場合、管財事件になる可能性を見越して、無難に個人再生を選択することも珍しくはありません。
 
後は、大きな保険など、特に維持したい財産がある場合も個人再生を選択するでしょうか。
自己破産では、自由財産あるいは自由財産拡張対象の範囲を超える財産は処分をされてしまいかねません(超える分のお金を別途用意する方法もありますが)。
個人再生であれば、清算価値が上がって最低弁済額が大きくなるだけで済みます。
 
特殊な例であると、自己破産の免責決定確定後7年以内の場合には、自己破産を申し立てても原則免責を受けることができません。個人再生を選択しないといけませんね。
その場合、個人再生でも給与所得者等再生は利用できません。小規模個人再生のみになります。
なお、過去の個人再生においてハードシップ免責確定後7年以内、給与所得者等再生の再生計画認可確定後7年以内の場合も小規模個人再生しか選択できません。
 
一方、個人再生での計画弁済額も支払い続けることはできないケースでは、自己破産を選択しますね。
 
上述のいずれにも該当しない場合には、基本的には自己破産でも個人再生でもいいということになります。
 
経済的更生の観点からは自己破産ができるのであれば自己破産の方をお勧めしたいところですが、依頼者の中には、自己破産は潔しとせず、個人再生を望まれる方もいらっしゃいます。少しでも返済をしたいという思いから個人再生を利用するケースがあります。
 
以上、五月雨式ですが、自己破産個人再生任意整理の選択についての考え方をお話ししました。

これまでお話したほかにも、債務整理の手続選択には様々なことを考慮する必要があるのは当然です。ケースバイケースの判断になりますからね。

皆さんご事情は異なります。生活状況等も含めて、じっくりお話をしないと決断できないケースも珍しくありません。

債務整理をして経済的更生を図ると決断していただいた以上、できるだけ良い方向で進めたいです。手続選択を誤ると非常にもったいないですね。
 
債務整理の際には、是非、信頼できる弁護士と話し合って、納得できる手続選択をしてください。
 
債務整理(任意整理個人再生自己破産等)のサポートはなかた法律事務所にご用命を。
 
広島の弁護士 仲田 誠一
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相殺の担保的機能と破産 [企業法務、借金問題]

広島市の弁護士仲田誠一です。
 
相殺の担保的機能と破産の相殺禁止との関係のお話をします。
企業法務の観点からは、相殺は債権保全の方策として重視されます。
ただ、破産手続との関係で無限定に相殺の効力が認められるわけではない。
というお話です。
 
【相殺の担保的機能】
相殺は、担保権と同じような機能を有します。
売掛先から別途仕入債務がある場合には、売掛先が債務不履行をした場合に少なくも仕入債務については売掛金債権を自働債権として相殺すれば実質的に回収ができることになります。
他の担保権よりも手続が簡単であり、強力な担保ですね。
業績が芳しくない売り先に対しては、仕入を立てることで一部債権保全をしておくということもお勧めをすることがあります。
 
銀行も貸付先に預金を積んでもらうことがありますが、相殺の担保的機能を意識しているのですね。弁護士から受任通知が銀行に届くと期限の利益喪失事由になりますので、即相殺をしてきます。
主債務者の預金だけではなく、保証人の預金も相殺してきますので、ご注意ください。
 
取引先が破産をした場合でも相殺権は有効です。
当職が法人の自己破産の代理をした際にも、売掛先から相殺の主張をされることが珍しくありません。
 
ただ、破産法を貫く債権者平等原則から、一定の場合には相殺が禁止されます。相殺禁止に該当すると、相殺は無効です。
破産管財人は相殺の無効を前提に債務の履行を請求することができます。
 
相殺禁止が定められている場面を説明していきますね。
 
【破産手続開始後に債務を負担したとき】
当然ですね。相殺を許すと、破産手続開始後に債務を負担することによって特別の担保権を付与することになってしまいます。
破産手続開始というのは、自己破産であれば、申立て後、予納金を納めて破産管財人が就任した時点です。
破産管財人との契約によって債務を負担した場合や破産管財人否認権を行使して返還債務を負担する場合等ですね。
通常の取引関係では出てきません。
 
【危機時期に債務を負担したとき】
破産債権者が破産者に対する債務を負担したときは、相殺の担保的機能から、担保が供与されたと等しいことになりますね。
危機時期の担保供与は否認の対象になります。それと平仄を合わせて相殺を禁止しているものです。
 
1 支払不能を知った後の債務負担
債務者の支払不能状態を知って債権者が債権者に対して債務を負った場合には相殺が禁止されます。
支払不能とは期限の利益が到来した債務を一般的・継続的に支払うことができない状態です。
専らその契約によって負担する債務を破産債権と相殺に供する目的で破産者の財産を処分する契約を締結したときか、破産者に対する他人の既存の債務を引き受けた場合です。
前者のケースでは、少し要件が厳しくなっています。
 
2 支払停止があったことを知った後の債務負担
支払停止があったことを知った後の債務負担をした場合にも相殺が禁止されます。
ただし、破産者が当時支払不能ではなかった場合には相殺は禁止されません。ただし支払停止があった場合には支払不能が推定されます。
弁護士から自己破産を前提とする受任通知が届いたとします、受任通知は支払停止の通知です。その後は債務を負担しても相殺ができないということになりますね。
 
銀行が弁護士から受任通知後に口座に入金になった預金を相殺できない、相殺すると後に破産管財人から否認されると返還しないといけないというのはこの理屈からです。
 
3 破産手続開始申立てがあったことを知った後の債務負担
破産手続開始申立てがあったことを知った後の債務負担にも相殺禁止が及びます。
まあ、そうですよね。
 
例外が3点あります。
1 債務の負担が法定の原因に基づく場合
相続、合併、事務管理、不当利得にように当然に債務が発生しまたは帰属する場合です。
破産債権者が殊更に債権債務の対立状態を作出した場面ではないからです。
まあ、めったにないことでしょうが。
 
2 債務の負担が危機状態またはその兆表を知る前に生じた原因に基づく場合
危機状態またはその兆表を知る前に生じた原因に基づいて債務を負担する場合には、破産債権者の相殺への合理的期待を保護する趣旨です。
具体的な判断は難しい条文です。個々の事例における相殺の期待度の程度を検討するとされています。
 
3 債務の負担が破産手続開始申立ての時より1年前に生じた原因に基づく場合
破産債権者の予測可能性を害することのないようにしたという規定ですが、あまり想定できる場面がありませんね。
 
このように見ていくと、相殺の担保的機能は強いのですが、弁護士から破産申立てを前提とする受任通知が届いた後は債務を負担しても駄目なのが基本ですね。
相殺に限らず、債務者の状況をよく把握し、弁護士が受任するまでに債権保全を図らないといけないということですね。
 
企業法務サポート、顧問弁護士、債務整理(民事再生自己破産等)のサポートはなかた法律事務所にご用命を。
 
広島の弁護士 仲田 誠一
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破産等と保険の契約者貸付 [借金問題]

広島市の弁護士仲田誠一です。

債務整理と保険の契約者貸付のお話です。
 
債務整理のうち、自己破産個人再生のお話になると、保険契約があるかどうかを必ず確認します。
保険の解約返戻金が財産と評価されますからね。

自己破産の場合であると、管財事件同時廃止事件かの振り分けに直接かかわります。

個人再生の場合であると、最低弁済額を決める清算価値の問題にかかわりますね。

保険がある場合には、保険証券と解約返戻金証明書(証券上、解約返戻金の額あるいは解約返戻金がないことが明確な場合には保険証券のみで大丈夫です。)が必要書類になっております。
なお、県民共済あるいは月払いの自動車保険等は解約返戻金証明書が要求されません。
 
ところで、保険を長年かけているけど、契約者貸付を受けているというケースもあります。
今回は、保険の契約者貸付と自己破産個人再生手続との関係をお話いたします。
 
まず、契約者貸付をうけている保険会社は債権者なのでしょうか?
 
実は、契約者貸付を行っている保険会社は破産債権者、再生債権者とは見られません。
借入れではなく返戻金の一部払い戻しを受けているとみられるからです。
 
定期預金担保の貸越と同じ扱いですね。その場合も銀行を債権者としてみません。
まあ、通常は定期預金を解約して清算してもらうことが多いですが。
 
そのため、弁護士が保険会社に対して受任通知を送る必要はありません。
裁判所に提出する債権者一覧表にも保険会社の記載は必要ありません。
債権者として扱わないので、必ず保険を解約しないといけないということにはなりません。
 
次は、財産評価の方法です。
 
本来の解約返戻金から契約者貸付分を控除した金額が財産評価額となります。
保険会社から解約返戻金証明書を取得すれば、そのような金額が出てくると思います。
解約返戻金が50万円あっても契約者貸付が40万円あったら、財産評価額は10万円ですね。
 
自己破産の場合、広島本庁では、保険解約返戻金が20万円を超えると管財事件の扱いとなります。
上の例であると、何もしていなければ解約返戻金が50万円なので同時廃止基準を満たさず管財事件になります。手間暇費用が余分にかかりますね。
契約者貸付を受けていると、保険の評価額は10万円です。
同時廃止基準だけで管財事件になるということは防ぐことができます。
勿論、契約者貸付金をどう使うかは慎重に扱わないといけません。
 
ただし、中には契約者貸付ができない保険もあります。
また、契約者貸付は解約返戻金の全額について受けることはできませんね。
 
そういうことで、解約をしないと管財事件になってしまうケースはどうしても残ります。
どうしても残したい保険であれば、管財事件で破産手続を進めて、自由財産拡張手続の中で当該保険を拡張対象として認められるように働きかけることになります。
 
個人再生の場合には、清算価値(財産評価額)に契約者貸付額を控除した金額を記載するだけです。
自己破産の場合と異なり神経質に考える必要はありません。
 
理屈上は、契約者貸付を受けて現金化すれば、自己破産における自由財産拡張対象として清算価値から控除しやすくなるということはあるでしょうか(個人再生では自己破産との均衡上、自由財産拡張対象相当財産分は清算価値から控除することができます)。もっとも、保険の形のままであっても、通常は自由財産拡張対象相当財産と認めてくれると思います。
 
債務整理(自己破産民事再生任意整理等)のサポートはなかた法律事務所にご用命を。
 
広島の弁護士 仲田 誠一
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破産と直前の現金化 [借金問題]

広島市の弁護士仲田誠一です。

 

債務整理のうち自己破産と直前の現金化のお話をさせていただきます。

 

自己破産で現金化というと、クレジット枠の現金化も頭に浮かんできます。
クレジット枠の現金化は免責不許可事由と扱われています。違法な行為ですが、宣伝されていることもあって、よく目にする行為です。

程度が軽いと同時廃止で済んでいる傾向にありますが、金額・回数によっては管財事件になります。

追い詰められてクレジット枠の現金化に走るぐらいなら、弁護士に債務整理を相談してくださいね。

 

今回お話しする現金化は、自己破産申立直前に、保険の解約、定期預金の解約、車の売却、不動産の売却等、資産を売却・解約して現金化したケースのお話です。

 

なぜ現金化が問題となるのでしょう。

財産を隠匿・費消しやすくなるからですね。

場合によっては、不当な財団価値減少行為として免責不許可事由となり得ます。

 

広島本庁では、自己破産申立ての際、2年以内の財産処分について報告を求められています。
処分の内容と処分代金の使途の報告ですね。
直前の現金化はあまりお勧めできない行為であることは確かです。

 

当該処分の妥当性はよくよく吟味されます。申立時にはきちんと説明をします。

説明が不十分あるいは合理的な説明ができない場合には、管財事件になり、破産管財人がその当否を判断することになります。

特に不動産の任意売却が絡むケースでは管財事件になるケースが多いですね。
勿論、何年か前に住宅ローン債権者に促されて自宅を売却して残債が残っているというようなケースでは同時廃止で済んでおります。

 

一方、有用の資として利用するための現金化は相当の範囲内で許容されます。

有用の資とは、破産申立費用(弁護士費用含む)、必要な生活費、医療費、転居費用、葬儀費用、学費、公租公課の支払いなどですね。

どうしても必要な費用、あるいは債権者共同の利益になる費用です。

 

特に、申立費用、転居費用、明渡し費用を捻出するために資産を処分するということはよくします。
勿論、弁護士に関与してもらい、お金も管理してもらった方がベターです。

当職の場合は、後に裁判所にきちんと説明するために、売買なら値段設定や契約書作成から関与し、換金額が大きければお金を当職が管理し、有用な資と確認できる限りで依頼者にお金をお渡しして領収書等をもらう、ということまでやっております。
処分の結果として、後述の同時廃止基準の適用により同時廃止事件での処理が可能になるケースもあります。

 

不動産、車など日常生活に必要な物は、親族間での売買をすることも多いですね。

その場合には裁判所への説明により神経を使うことになります。資産隠し、低廉譲渡ではないかと疑いの目で見られますからね。

適正価格であることを説明できる資料を用意して、お金の管理も必ず弁護士が行うようにしています。
弁護士が関与する以上、きちんと説明できるようにしていただきます。
弁護士と裁判所との信頼関係にも繋がります。弁護士があまり無茶なことをすると破産裁判所の信頼を失ってしまうのですね。
弁護士の信頼は依頼者のために維持しないといけません。

 

なお、同時廃止基準(同時廃止事件と管財事件の振り分け基準)には、財産評価額の基準があります。

広島本庁では現金・預貯金は50万円、個別の財産は20万円の評価額を各超えると、管財事件になります。
ちょっと前までは財産全体で60万円を超えるかの基準だったのですが、全国的に基準を合わせてきているようです。

例えば、保険ぐらいしか財産がない場合、保険の解約返戻金が30万円だと、解約して預金化すれば基準上は同時廃止、保険のままだと管財事件となってしまいます。
資産を換価して預金の形にして(かつ有用の資に充てて)、同時廃止事件として申し立てることを考えないわけにはいきません。

 

保険の解約や契約者貸付を受けて同時廃止事件として自己破産を申し立てることは許容される傾向にあります(あくまでも広島本庁です)。
他の財産はどこまで許容されるかどうかはケースバイケースでしょう。

なお、あくまでも現金化前の財産として評価する裁判所もあるようです(その場合でも前述のとおり弁護士費用等有用の資に充てれば評価額は下がります)。

破産法上財産の基準時は開始決定ですから、開始決定時の財産の形で取り扱うべきだとは思っておりますが。

 

自己破産も法的手続ですから、法的な申立て方によって、選択される手続や問題視される行為が変わってくることは致し方ないことです。
当職のスタンスとしては、あくまでも破産法で許容される範囲内ですが、依頼者に有利な行為が可能である限りはその実現をサポートしたいと考えています。

 

イレギュラーなことをする場合、余計な説明や手間がかかることは仕方がありません。
破産裁判所が
OKを出しやすいようにきちんと資料を添付して説明をすることが大事ですね。
「〇〇弁護士は変なことはしない。」と評価されつつチャレンジすることを心掛けています。

 

債務整理(任意整理民事再生自己破産等)のサポートはなかた法律事務所にご用命を。

 

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破産と否認 [借金問題]

広島市の弁護士仲田誠一です。

 

債務整理のうちの自己破産における否認についてお話をします。

 

否認とは破産管財人否認対象行為の効力を否定して財産を取り戻すこととイメージしてください。

 

否認権は破産管財人が行使するものですが、自己破産申立て準備の際には、否認対象行為と見られる行為があるかどうか、あるいは否認対象行為と見られないようにはどのような説明・準備をするべきか、よくよく吟味しなければいけません。

当職も、破産管財人として否認権を行使することはありますし、申立代理人としては否認対象行為と見られないように財産処理や説明を工夫することはよくしていることです。

 

否認の要件は細かいので、機会があればまた説明しますが、弁護士に自己破産個人再生を相談する場合には、資産を譲渡、贈与等移転している事実があれば必ず報告してくださいね。
また、親御さんが既にお亡くなりになって遺産分割が済んでいない場合、離婚をしたい場合、資産の整理をしようと思う場合などにも、必ず弁護士の意見を聞いて進めるようにしてください。
否認対象行為になるかどうか判断してもらわないといけません。

 

個人破産の場合、否認対象行為が疑われる場合には、それ自体で管財事件の扱いになることがある点にも注意してください。
なお、法人破産あるいは経営者の個人破産は管財事件になります。

 

否認には、狭義の詐害行為の否認と、偏頗行為の否認とがあります。

 

狭義の詐害行為否認は、その行為による破産財団の減少分取り戻す趣旨の否認です。

破産法160条、161条に規定されています。

①破産者、受益者とも債権者が害することを知ってした行為、②支払停止または破産手続開始の申立て後にした債権者を害する行為(受益者が当該事実を知っていたときに限ります)、③過大な代物弁済、④無償行為、⑤破産法161条規定の要件のもとでの相当な対価を得てした財産の処分行為、です。

 

偏頗行為の否認は、債権者間の平等を図る趣旨の否認です。

破産法162条に規定されています。

 

問題となることが多い点をかいつまんでお話していきます。

 

【経済的危機状態での資産処分行為】

破産直前の財産処分が問題となるのが破産法162条です。

勿論相当対価を得ているということが前提となっています。

財産の隠匿、無償の供与その他債権者を害する処分に該当しないか吟味されます。
破産者の特定関係人が取引相手である場合には、要件の推定規定があり否認しやすくなっています。

 

不動産、車、機械、事業譲渡、保険名義変更など、法人破産の会社整理の過程でよく出てくる話です。
勿論、個人破産の場合も例外ではありません。様々な相談を受けます。
破産法上問題なしと判断される見込みが相応にある限りで(そういう形で行えるのであれば)協力もさせていただいております。

 

後の破産手続を考えると、破産直前の財産処分は、弁護士に関与をしてもらって、相当な価格であること、有用の資に充てる目的等合理的な行為であることを弁護士が説明できるように行うべきです。

かつ、処分代金は散逸しないように弁護士が管理し、有用の資(破産申立費用、生活費、医療費、転居費用、学費、公租公課の支払、資産整理費用等)に充てるだけとするのが基本となります。

 

離婚に伴う財産分与慰謝料もこの点に絡んでくるでしょうか。

抽象的には、相当な財産分与慰謝料否認の対象とはならないと言えるでしょう。
相当な範囲を超えると否認され得ます。
しかし、具体的な進め方も大事です、必ず弁護士に相談して進めてください。

なお、偽装離婚ではないかと必ず疑われます。個人的には経済的破綻を機に離婚をするということは決して不自然ではないと思っていますが。

 

【贈与等無償行為】

無償行為の否認もよく出てきます。

無償行為は、基本的に債権者を害する行為ですから、

破産者の詐害性を要件としない、

支払停止等の前6か月まで否認の対象が拡大されている、

受益者の悪意を要件としない、
など
軽減された要件で認められます。

 

親族への贈与行為、無償の営業譲渡などが問題となります。

仮にどうしても行う必要がある場合にはそれなりの理由があるはずです。

法的に問題がないと説明できるかどうか弁護士と事前に打ち合わせをして実行しなければなりませんね。

 

この点では遺産分割協議も問題となりますね。
遺産分割は財産行為ですから、否認の対象となります。
遺産分割が終わらないまま放っておいた事例を何件も扱っております。問題視は確実にされますが、説明の仕方によってはセーフの場合もあります。
必ず弁護士に相談して進めてください。

これに対し、相続放棄否認の対象とはなりません。

 

【偏頗行為】

偏頗行為の否認は破産法162条です。

偏頗行為は、不公平な弁済、担保提供行為等です。典型的なものは一部の債権者だけに弁済をする偏頗弁済行為です。

支払不能状態または自己破産申立後の弁済行為等は、否認の対象となります。

支払停止後行為があった場合には要件が緩和され(受任通知が出された後はこれに該当します)、支払不能であったと推定されます(申立前1年以内のものに限ります)。

また、受益者が支払不能等について悪意あることが要件ですが、受益者が一定の関係者である場合には悪意が推定されます。

 

なお、所有権留保自動車の場合、所有者名義登録の仕方によって債権者に返すと否認対象行為として問題になることがあります。
かといって、財産として計上すると管財事件になるケースもあり、悩ましい問題です。

 

一方、個人再生では否認というものがありません。

ただし、否認対象行為がある場合、典型的には偏頗弁済がある場合には、その金額を清算価値に計上することになっております。
最低弁済額が大きくなることがありますね。
個人再生委員が選任されてその辺を吟味することもあります。

 

破産には細かいルールがあります。できるだけ早めに、破産に詳しい弁護士に相談をして準備を進めてください。

 

債務整理(任意整理民事再生自己破産等)のサポートはなかた法律事務所にご用命を。

 

広島の弁護士 仲田 誠一

なかた法律事務所

広島市中区上八丁堀5-27-602

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破産弁護士 [借金問題]

広島市の弁護士仲田誠一です。

 

三菱UFJ銀行が通帳の発行を原則取り止めるというニュースがありましたね。

破産にあたっても通帳がないネット専用口座を見ることが多くなりました。

自己破産申立てにあたっては、通帳の写しを出すことになっています。ネットで取った取引明細を出すようにしていますが面倒ですね。
特にスマホでしか見ていない方では、なんとか紙ベースで打ち出してくれとお願いをしないといけません。
また、借入のある銀行は受任通知後インターネットバンキングが使えないようになることも多く、銀行から取引明細書を取ってもらわないといけないこともあります。

 

さて、離婚弁護士、刑事弁護士っていう言葉は聞いたことがあるのではないでしょうか。

離婚事件、刑事事件を専門的に扱っている弁護士ですね。

もっとも、弁護士の数が相対的に少ない地方の弁護士はいろいろな仕事を扱わなければなりませんので、特定分野だけを扱っている弁護士は稀でしょう。

個人的には、いろいろな分野を扱ってこそ、専門的な分野についても造詣が深くなるのだろうと思い、様々な案件を扱わせてもらっています。

 

ほかにも〇〇弁護士という言葉は耳にします。

 

業界用語かもしれませんが、「破産弁護士」という言葉もあります。

あまり馴染みがないかもしれませんね。

破産等手続を業務の柱の1つにしている弁護士のイメージですね。

 

自己破産事件、民事再生事件の申立代理人、あるいは破産管財人、再生委員の仕事は職人的です。倒産法では独特なルールや段取りがあります。

また、資産の整理等、弁護士がいつもしている訴訟代理行為と色彩の違う業務もこなす必要が出てきます。豊富な知識と経験を要するのですね。

 

さらに、その時々の破産裁判所の傾向、考え方も事件処理の方向性に影響すると感じています(やや言い過ぎかもしれませんが)。
少なくとも、その辺も把握しなければ適切な対応ができません。

 

職人技の典型例は法人破産の申立代理業務、あるいは法人破産の破産管財業務ですね。

 

法人破産の申立代理であれば、申立準備は勿論のこと、資金繰り、事業廃止・受任通知のタイミング、資産・契約関係の整理等、様々な段取りを考えないといけません。
いたるところで決断を要します。決算、会計に関する知識も必要ですね。

利害関係人も多く色々な課題が出てきます。それらの問題を紐解きながら、最終的にシンプルに整理した形で申し立てるイメージですね。

法人破産の破産管財人も、細かい手続に則りながら、資産の把握・整理、契約関係の解消等、整理に向けた様々な活動をしなければなりません。税務申告をすることもあります。
一通りの業務を経験するためにはたくさんの管財事件をこなさないといけません。

 

勿論、個人破産、個人再生においても、職人技が発揮されます。

近年は個人破産等も細かく吟味される傾向にあり、ポイントを外すと大失敗しかねない点が増えた感があります。否認の問題、相続の問題、離婚の問題、免責不許可事由の問題等、事前に対策、見通しを立てないと受任できない案件は珍しくありません。

破産管財人個人再生委員をやっていて、「申立代理人弁護士等がもう少し上手くやっていればOKだったのになあ」と思うこともあります。

個人破産の破産管財人個人再生委員も、場合によっては法人破産よりも大変なケースがあります。破産管財人個人再生委員が選任された理由に依ります。

 

また、破産等では生活設計のご相談にも乗ることになりますね。

経済的更生のための自己破産個人再生ですからね。そうした経験も必要になります。

 

なお、破産管財人個人再生委員を豊富に経験すると、申立方がわかってきます。ポイントを押さえて、「準備はここまでで十分だろう。」、あるいは「このような説明をすればこのような行為をしても大丈夫だろう。」、という勘所ですね。

申立ての際にある程度の見込みを立てて準備をしないと、申立後に裁判所から宿題をたくさん出されて混乱を来す、あるいは問題視をされる可能性が高くなってしまいます。

 

手前味噌ながら、当職も、広島市の破産弁護士と言えると思います。

自己破産個人再生も申立件数が相対的に最も多い部類に属しますし、法人破産の申立てもコンスタントにしております。破産管財人個人再生委員も継続的に受けており、裁判所からややこしい案件も頼んでいただいているのではないでしょうか。破産裁判所と弁護士会の定期的な協議会のメンバーとして様々な意見交換も行っております。

 

自己破産等をお考えの場合には、実際に弁護士と会って、色々な疑問点や不安点をぶつけてみてくださいね。
その上でご依頼された方が後悔がありません。
なお、複数の弁護士とお話するとどの程度の知識経験を有しているかよりおわかりになるのだろうと思います。

 

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広島の弁護士 仲田 誠一

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個人再生の流れ [借金問題]

広島市の弁護士仲田誠一です。

 

前回、債務整理のうち、個人の自己破産の流れ、スケジュール感をお話しました。

今回は、個人の民事再生個人再生)のお話をさせていただきます。

自己破産のお話と同じく、広島本庁での申立てを前提としていると思ってください。

 

自己破産にならって、1契約、2受任通知、3申立準備、4申立後開始決定まで、5開始決定後支払開始まで、の流れでお話しします。

 

1 契約

2 受任通知
 

契約、受任通知の流れは、自己破産でお話したところとほぼ同じですね。

そちらをご覧いただければ幸いです。

 

法テラスの民事法律扶助をご利用される場合には、弁護士費用が自己破産よりも設定金額が高めになっています。手続が煩雑なためでしょうか。

個人的には、自己破産の方が弁護士の負担が大きいのではないかとは思っておりますが。

 

給与天引きで共済借入等が控除されて返済になっている場合がありますよね。受任通知を出しても通常止まりません。

自己破産の場合はあまり言われないのですが、理屈上は偏頗弁済となります。個人再生の場合には、清算価値(個人再生には清算価値保障原則というルールがあり財産=清算価値以上の金額は弁済しなさいということになっています。)に弁済分を計上するルールです。受任通知後はできるだけ早く申し立てないといけない場合がありますね。

 

なお、住宅資金特別条項(住宅ローン特則)を利用する場合には、住宅ローンは従前どおりお支払い続けていただきます。

 

3 申立準備
 

個人再生の準備期間は、通常、自己破産よりも1カ月ほど延びます。家計収支表を3か月分提出しないといけないからです。

また、個人再生を選択する場合には、収入がある程度あり、自己破産のケースよりも法テラスを利用できない方が多いですね。
分割で弁護士費用をお支払いいただくために準備期間が長くなる傾向もあります。

 

申立準備期間は、本当に個人再生ができるか見極める期間でもあります。

数か月いくらお金が残るか試してみて、やはり一定の弁済原資が確保できそうもないという場合には、自己破産に方針を変更せざるを得ないことになります。
個人再生認可決定を得ても、途中で弁済を継続できなければ債権者の申立てにより取り消されてしまいます。
もし確実に支払いを継続できる自信がない場合には最初から自己破産を選択する方がベターです。申立てまで方針は変更できますから。

 

個人再生申立ての場合、滞納租税公課があるのであれば、役所と弁済方法について協議をしていただかなければなりません。その結果と履行状況は報告します。

税金を払った上で、再生計画どおりの弁済を継続できるか見られるわけです。

 

他の必要書類などは、自己破産とほぼ同じになります。

 

4 申立後開始決定まで
 

こちらも自己破産とほぼ同じですね。

宿題のような補正連絡が来て(来ないこともありますが)、補正報告に答えて予納金を納めれば開始決定です。

予納金等申立費用は3万円以内で収まるかという感じで、自己破産よりも高くなっています

自己破産でいう管財事件と似たようなものとして、個人再生では、個人再生委員という弁護士が選任されることがあります。

その場合、予納金が別に20万前後(最近は21万6000円でしょうか)かかります。

個人再生委員のお仕事は以前のコラムでも書かせていただきました。簡単に言えば、個人再生開始要件のチェック、及び再生計画案等に対する助言とチェックをする役割でしょうか。

個人再生委員が選任されるのは、書類上さらりと流して手続を進めることに躊躇がある場合ですね。

破産でいう否認対象行為が顕著で清算価値に計上すべき金額の判断が必要なケース、財産の評価が正しいか吟味する必要があるケース、本人申立や弁護士が代理人となっていない場合にきちんとした報告が裁判所いなされないあるいは本人が手続を理解できていないケース、などでしょうか。

個人再生委員が選任される場合には、開始決定に際して意見を貰う等のために開始決定が遅くなります。

 

5 開始決定後支払開始まで
 

開始決定が出ると手続進行予定表がもらえます。

大まかにいうと 開始決定 ~ 再生計画提出 ~再計計画認可 ~支払開始の流れです。

 

再生計画案提出期限は、開始決定から2か月ちょっと先のイメージです。

それに合わせて、家計収支表の作成継続(必ずしも指示されるわけではないですが)と試験積立(計画案どおり弁済できるかテストするための毎月の積立)を行ってもらいます。
再生計画提出時に家計収支表や積立通帳の写しを裁判所に提出します。

 

試験積立というのは、将来の再生計画案どおりの弁済ができるかどうか(履行可能性)のテストのため、通帳に毎月一定額を入金し貯めてもらうものです。
試験積立のタイミングですが、申立前、申立後、開始決定後のいずれでも大丈夫です。

わたしは、開始決定後にお願いすることが多いでしょうか。開始決定後の試験積立は清算価値に計上が必要ないからです。

 

再生計画を提出してから認可決定までは1カ月ちょっとのイメージです。

 

小規模個人再生の場合、債権額の過半数、あるいは債権者の頭数の半分以上が反対してきたら、不認可決定が出ます。
債権者数が少ないとき、あるいは一部の債権者の債権額が突出しているときには注意ですね。

その際には、改めて自己破産あるいは給与所得者等再生を申立てします(勿論私はそこまで付き合います)。
債権者も経済的には反対しない方がいいような気がするのですが(自己破産されるよりは回収できるという意味です)、少数ながら反対をしてくる債権者がいます。

 

再生計画の認可決定がでたとして、実際の支払開始は、認可決定の1か月後から2か月後です。
官報掲載のタイミングによります。

 

弁済方法は、通常、3か月ごとの返済にしています。毎月弁済だと手間と振込手数料が大変ですからね。

試験積立をしているはずですので、第1回の返済(3か月分)は問題なくできるはずです。

 

まとめ

個人再生自己破産よりも手続がいくらか煩雑ですが、それは主に弁護士事務所にとってです。依頼者さんにとってはそうでもありません。

ただ、同時廃止自己破産と比べれば長丁場でしょうか。申立てから再生計画認可まで5カ月前後、受任からだと8カ月程度かかるのがスタンダードでしょう。

 

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自己破産の流れ [借金問題]

広島市の弁護士仲田誠一です。

 

しばらく租税法のお話ばかりしていました。久しぶりに債務整理関連のお話をします。

 

自己破産の相談の際、どれだけ時間がかかるのかといったスケジュール感を聞かれることが多いです。

そこで、今回は個人の自己破産の流れをお話します(広島本庁のお話だと思ってください)。

 

1契約、2受任通知、3申立準備、4自己破産申立後開始決定まで、5開始決定後免責決定まで、の流れでお話しします。

 

1 契約

まずは弁護士と契約をしていただきます。

ただ、法テラスの法律扶助を利用する場合にはすぐには契約ができません。
まずは法テラスの必要書類を持って来ていただき、法テラスに申請書類を出します。平均で2週間前後に弁護士の元に契約書類が届きます。

 

2 受任通知

契約をすれば、原則として、すぐに弁護士受任の通知を出します。

金融機関である債権者が弁護士受任の事実を認識すると本人宛の督促が止まります。

事情によっては受任通知を遅らせるケースもあります。

また、法テラス利用の場合は契約まで時間がかかります。その間に督促電話に出られた際には「弁護士に依頼しているが法テラス利用のため時間がかかる。」旨と弁護士名・連絡先を伝えてもらいます。金融機関はそれで待ってくれます。金融機関からは私のところに確認の電話がかかってくることもありますね。


なお、受任通知を出すと他に次のようなことが生じます。

・ 債権者である銀行の口座凍結、相殺

・ 保証会社への代位弁済

・ 所有権留保物件である車などの引き揚げ要請

などです。

 

3 申立準備

契約時に申立て予定日を決めます。通常2か月~3か月後でしょうか。

その間に、自己破産申立てに書類などを用意していただくことになります。広島本庁では自己破産の場合、2か月分の家計収支表が必要です。

弁護士はその間に債権調査等をすることになります。

2か月分の家計収支表の作成が完了し、かつ債権調査も終わった、というタイミングが申立てのスタンダードですね。

 

勿論、それよりも早く自己破産申立てをしないといけない場合もありますね。給与等差押えがなされている場合などです。
申立てを急ぐ事情がある場合には、家計収支表も1カ月分でいいとされています。

 

逆に、自己破産申立てを遅らせなければならない事情がある場合もあります。

弁護士費用の準備、予納金の準備、あるいは申立て前にすしなければならない整理のため時間が必要なケースです。

金融機関は受任通知後少なくとも半年ぐらいは訴訟をせずに待ってくれるのが通常です。半年ほど経ると進捗確認の連絡が来ます。
あまりにも申立てが遅いと訴訟提起などがされることになります。ただし、一部の債権者は動きが早いのでご注意を。

必要がない限り、自己破産申立てを遅らせることは避けたいです。

 

ご本人の準備がなかなか進まない場合もあります。稀に連絡が取れなくなることもあります。
申立てが遅れると訴訟提起のリスクが高まりますし、弁護士も一定期間を経た後は辞任をせざるを得ません。
弁護士から辞任されると百害あって一利なしなので、打ち合わせたスケジュールに沿って準備をしてください。

 

4 自己破産申立後開始決定まで

自己破産を申し立てると、裁判所から1~3週間後に補正連絡が弁護士に来ます。

宿題ですね。事情の報告や追加書類の提出を求めるものです。

 

同時廃止の場合、補正連絡に対応して報告書を出すと自己破産手続の開始決定が出ます。

補正連絡がないケースもあります。その場合には草々に開始決定が出ることになります。

 

管財事件の場合には、予納金を納めないと開始決定が出ません。
開始決定のタイミングは、債務者審尋(裁判所で破産管財人候補者と会います)を開くときはその日、開かないときには裁判所が予納金の納入確認をしたタイミングになります。

なお、予納金を一度に納められない場合でも分納は認められていません。申立時に用意をしておくことが基本です(事実上、一定期間待ってくれることはあります)。

 

5 開始決定後免責決定

同時廃止事件の場合には、開始決定時に免責審尋期日が指定されます。

だいたい3か月後前後でしょうか。複数の日程が提示され、選択できます。

その後は、免責審尋期日をひたすら待つだけです。

ただし、集団免責審尋ではなく個別免責審尋を指定された場合には、宿題が出されることがあります。
免責審尋のため裁判所に行った日に免責決定がでるのが通常です。
 

 

管財事件の場合には、単純な免責調査型では、第1回債権者集会が3か月後ほどに開かれ、その日に免責決定が出るということになります。
資産の処分に時間がかかる、配当がある等で時間がかかるときは、免責決定が出るのもその分遅れてしまいます。1年を超えるときもあります。

なお、法人破産と同時に申立てた場合には、通常、法人破産手続の進捗に合わせて事件が進行します。
法人破産手続きが廃止になるまで個人の破産手続きも続きます。

 

以上が簡単な自己破産の流れです。

同時廃止事件では、スタンダードなスケジュールとしては、受任から6か月~7カ月かかるイメージですね。
管財事件の場合は、ケースバイケースです、早くて受任から6~7カ月、遅い場合には1年以上ということもあります。

                   

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法人破産のための準備など2 [借金問題]

広島市の弁護士仲田誠一です。

 

法人破産の準備はどうするべきかの続きです。

 

◇ 財産処分・整理

(決算書記載資産)

決算書に記載されている資産項目については、すべて説明をして、現金化できるものはしておくということが基本です。
破産管財人の手間を少しでも削減する意味もあります。
すぐに現金化できないものは破産管財人に引き継ぐことになります。

 

(銀行関係)

借入のある金融機関が絡む保険、共済、定期預金等は解約できるうちに早めに現金化します。申立費用等を捻出する必要がありますしね。
現金化債権者平等原則に従って破産手続により平等に弁済する、あるいは債権者共通の利益に費消するということですので、後ろめたいことはありません。


借入のない金融機関の預金については、もう使わなくていいというタイミングで解約していただきます。


当座取引があり手形帳、小切手帳がある場合には弁護士に預けてください。


貸金庫契約がある場合もあります、中身を空にして解約をしていただきます。

 

(機械・工具、什器・備品)

まずは固定資産台帳の確認です。台帳記載資産のチェックをします。

台帳記載以外の一括償却資産、償却済み資産については、最終的にリストは作成していただきます。

処分をするかどうかはケースバイケースの判断ですね。実際に現場を拝見してからの判断になります。
賃貸物件の整理の必要性からは処分を急ぐ場合もあります。破産管財人の立場ですが、工場内の機械類一式を競争入札で売却したことがあります。

自動車については、使わないタイミングで鍵を預かります。自動車保険についても使わなくなったタイミングで解約をしてもらいます。

 

(既に処分した資産)

法人破産を決断する前には資金繰りのために様々な資産を現金化していることが多いです。
少なくとも半年前、かつ直近決算後の売却、解約等の現金化については説明をしないといけません。
解約関係書類を探していただくことになります。使途も説明しなければなりません。

 

(保証人の銀行資産)

受任通知を銀行に出すと、保証人の口座も凍結され、相殺されることになります。
受任通知を出す金融機関には、法人・個人とも資産がない状態が理想です。忘れることがあるので気を付けてください。

 

◇ 賃貸物件

明渡しをしないといけませんね。弁護士が受任通知を出した上で、弁護士が折衝をすることになるでしょう。

中のものを処分整理して明渡しが可能なら明渡しをします。

中にある物の処分が難しい、あるいは処分費用がかなりかかる等の理由で、明渡しを破産管財人に引き継がなければならないケースも多いです。

勿論、家主と和解的な解決により(原状回復費用が払えないという前提で)、早期の明渡しが可能な場合もあります。

 

◇ リース、所有権留保物件

リース物件、所有権留保物件は返却します。弁護士が受任通知を出せば返還の要請が来ます。確認のため契約書は弁護士に渡してください。

自動車では、予め弁護士に車検証を確認してもらってください。きちんと所有権留保の形の所有者登録ができていない場合には、そのまま返却することができません。

場合によっては、債権者から所有権を放棄される、無償譲渡される場合もあります。そうなるとこちらで処分するか破産管財人に引き継ぐかをしないといけません。

 

◇ 帳簿、税理士

事業廃止までの帳簿はきちんとつけていただきます。

事業廃止後ですが、少なくとも領収書や請求書など帳簿作成に必要な資料を整理・保管してもらいます。

資金がある場合には、税理士への依頼を継続してもらうこともあります。

 

◇ 不動産

不動産については、処分が可能(担保に入っていない)かつ売却をしないと破産申立資金が捻出できない場合には、弁護士関与の下で適正価格にて売却します。
売却資金の使途はきちんと説明しなければなりません。

それ以外はそのまま破産管財人に引き渡します(鍵を弁護士に預けることになります)。

勿論、お邪魔して、写真を撮り、状況を報告します。

 

◇ 許可、認可、登録

法人破産をすれば最終的に法人はなくなります。営業を廃止した後に、営業に必要な許可、認可、登録などは抹消等を届けてもらいます。

 

◇ 仕掛の仕事

基本的には営業廃止にかかる仕事は受けないようにしてもらいます。

それでも残ってします仕掛仕事は、契約書を基に一覧表を作成します。対応ができるものはしていただくこともあります。

賃貸管理会社の破産の場合にもそうでしたが、継続的な仕事についてもリストを作成し、顧客に営業廃止後の対応を説明しないといけないですね。

 

まだまだ法人破産の準備の話は尽きませんが、この辺までにしておこうと思います。法人破産はオーダーメイド色が強いです。できるだけ早く弁護士の助けを得て、ご準備ください。
本格的な準備は営業廃止後ですが、その前にやっておかないといけないこともあります。

ざっと法人破産の準備についてお話いたしました。
勿論、個別の問題毎にもう少し掘り下げて説明しないといけない点が多々あります。機会を見て説明していきますね。

 

債務整理(任意整理民事再生自己破産等)のサポートはなかた法律事務所にご用命を。

 

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