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コラム 借金問題

自己破産の流れ [借金問題]

広島市の弁護士仲田誠一です。

 

しばらく租税法のお話ばかりしていました。久しぶりに債務整理関連のお話をします。

 

自己破産の相談の際、どれだけ時間がかかるのかといったスケジュール感を聞かれることが多いです。

そこで、今回は個人の自己破産の流れをお話します(広島本庁のお話だと思ってください)。

 

1契約、2受任通知、3申立準備、4自己破産申立後開始決定まで、5開始決定後免責決定まで、の流れでお話しします。

 

1 契約

まずは弁護士と契約をしていただきます。

ただ、法テラスの法律扶助を利用する場合にはすぐには契約ができません。
まずは法テラスの必要書類を持って来ていただき、法テラスに申請書類を出します。平均で2週間前後に弁護士の元に契約書類が届きます。

 

2 受任通知

契約をすれば、原則として、すぐに弁護士受任の通知を出します。

金融機関である債権者が弁護士受任の事実を認識すると本人宛の督促が止まります。

事情によっては受任通知を遅らせるケースもあります。

また、法テラス利用の場合は契約まで時間がかかります。その間に督促電話に出られた際には「弁護士に依頼しているが法テラス利用のため時間がかかる。」旨と弁護士名・連絡先を伝えてもらいます。金融機関はそれで待ってくれます。金融機関からは私のところに確認の電話がかかってくることもありますね。


なお、受任通知を出すと他に次のようなことが生じます。

・ 債権者である銀行の口座凍結、相殺

・ 保証会社への代位弁済

・ 所有権留保物件である車などの引き揚げ要請

などです。

 

3 申立準備

契約時に申立て予定日を決めます。通常2か月~3か月後でしょうか。

その間に、自己破産申立てに書類などを用意していただくことになります。広島本庁では自己破産の場合、2か月分の家計収支表が必要です。

弁護士はその間に債権調査等をすることになります。

2か月分の家計収支表の作成が完了し、かつ債権調査も終わった、というタイミングが申立てのスタンダードですね。

 

勿論、それよりも早く自己破産申立てをしないといけない場合もありますね。給与等差押えがなされている場合などです。
申立てを急ぐ事情がある場合には、家計収支表も1カ月分でいいとされています。

 

逆に、自己破産申立てを遅らせなければならない事情がある場合もあります。

弁護士費用の準備、予納金の準備、あるいは申立て前にすしなければならない整理のため時間が必要なケースです。

金融機関は受任通知後少なくとも半年ぐらいは訴訟をせずに待ってくれるのが通常です。半年ほど経ると進捗確認の連絡が来ます。
あまりにも申立てが遅いと訴訟提起などがされることになります。ただし、一部の債権者は動きが早いのでご注意を。

必要がない限り、自己破産申立てを遅らせることは避けたいです。

 

ご本人の準備がなかなか進まない場合もあります。稀に連絡が取れなくなることもあります。
申立てが遅れると訴訟提起のリスクが高まりますし、弁護士も一定期間を経た後は辞任をせざるを得ません。
弁護士から辞任されると百害あって一利なしなので、打ち合わせたスケジュールに沿って準備をしてください。

 

4 自己破産申立後開始決定まで

自己破産を申し立てると、裁判所から1~3週間後に補正連絡が弁護士に来ます。

宿題ですね。事情の報告や追加書類の提出を求めるものです。

 

同時廃止の場合、補正連絡に対応して報告書を出すと自己破産手続の開始決定が出ます。

補正連絡がないケースもあります。その場合には草々に開始決定が出ることになります。

 

管財事件の場合には、予納金を納めないと開始決定が出ません。
開始決定のタイミングは、債務者審尋(裁判所で破産管財人候補者と会います)を開くときはその日、開かないときには裁判所が予納金の納入確認をしたタイミングになります。

なお、予納金を一度に納められない場合でも分納は認められていません。申立時に用意をしておくことが基本です(事実上、一定期間待ってくれることはあります)。

 

5 開始決定後免責決定

同時廃止事件の場合には、開始決定時に免責審尋期日が指定されます。

だいたい3か月後前後でしょうか。複数の日程が提示され、選択できます。

その後は、免責審尋期日をひたすら待つだけです。

ただし、集団免責審尋ではなく個別免責審尋を指定された場合には、宿題が出されることがあります。
免責審尋のため裁判所に行った日に免責決定がでるのが通常です。
 

 

管財事件の場合には、単純な免責調査型では、第1回債権者集会が3か月後ほどに開かれ、その日に免責決定が出るということになります。
資産の処分に時間がかかる、配当がある等で時間がかかるときは、免責決定が出るのもその分遅れてしまいます。1年を超えるときもあります。

なお、法人破産と同時に申立てた場合には、通常、法人破産手続の進捗に合わせて事件が進行します。
法人破産手続きが廃止になるまで個人の破産手続きも続きます。

 

以上が簡単な自己破産の流れです。

同時廃止事件では、スタンダードなスケジュールとしては、受任から6か月~7カ月かかるイメージですね。
管財事件の場合は、ケースバイケースです、早くて受任から6~7カ月、遅い場合には1年以上ということもあります。

                   

債務整理(任意整理、民事再生、自己破産等)のサポートはなかた法律事務所にご用命を。

 

広島の弁護士 仲田 誠一

なかた法律事務所

広島市中区上八丁堀5-27-602

http://www.nakata-law.com/

 

http://www.nakata-law.com/smart/


法人破産のための準備など1 [借金問題]

広島市の弁護士仲田誠一です。

 

現在複数の法人破産申立て準備を並行して行っていることもあり、法人破産についてご質問が多い点などを五月雨式に説明させていただこうと思います。

 

法人の自己破産時の準備は多岐にわかります。かつ、ケースバイケースの判断が必要になります。

やるべきこと、やっていいこと、やってはいけないことの判断をしながら進めることになります。弁護士もスキル・経験が必要な分野ですね。

 

法人破産を決断される経営者の方々は非常に苦労をされてきています。
簡単に自己破産をしたいとおっしゃる方はいらっしゃいません。万策尽きて弁護士に駆け込まれる方が多いです。

 とはいえ、法人破産の準備は多岐にわたり大変です。経営者の方々にはもう一踏ん張りしていただくことになり恐縮です。

弁護士に早期に相談され、弁護士のサポートを受けながら頑張ってください。

 

2回に分けてお話ししますね(それでも話は尽きませんが・・・)。

 

◇ 従業員関係

(解雇・退職)

事業廃止日が決まれば、従業員の方々を解雇する、あるいは従業員の方に退職していただかなければなりません。
規模が割合小さい会社であると自主的に退職していただけるケースも多くあります。

 

従業員さんの生活のことを考えるとできるだけ早くお話をした方がいいでしょう。解雇をする場合には30日間の解雇予告をするのが通常です。

一方で、あまり早く事業廃止のことを伝えると業務に支障を来すことも予想されます。
給与あるいは解雇予告手当を支払って最後まで働いていただくことが理想ではありますが、悩ましいです。
法人破産はある程度資金が必要であり、資金繰りとの関係でケースバイケースの判断になりますね。

 

なお、破産準備のため「この人がいないと困る。」という経理担当の方などがいらっしゃる場合もあります。
その場合には、引き続きお手伝いをいただき、ある程度の報酬を支払う、あるいは退職時期をずらしてもらうこともあります。

 

賃金等の未払いが残った場合にはどうなるのでしょうか。
破産財団からの支払いができるか、労働福祉事業団立替制度(約6か月分の未払い給与と退職金の80%かつ限度額以内を受けられる制度)の問題になります。
手続に時間はかかりますが、破産管財人に引き継ぐことになります。

なお、賃金台帳、対三カード、就業規則はきちんと弁護士に引き継いでください。

 

(その他)

社会保険の異動手続、住民税の異動手続、ハローワークの手続をしていただかないといけません。

 

◇ 税金関係

税金の支払いをどうすればいいかも悩みます。

差押えをされても困るところですが(破産をするといっても差し押さえてきます!)、資金繰りを睨んでの対応となりますね。

仮に資金手当てができるのであれば、税金の支払いは基本的にはOKです(一般の破産債権よりも優先される財団債権であればという意味です)。
弁護士と相談ですね。資金捻出状況との兼ね合いで決めています。

 

◇ お金の管理

法人破産の場合は、事業を廃止する以上、事業廃止のタイミングあるいはその直前かけて、弁護士が管理をすることが通常です。

もちろん、ある程度のお金は保管していただき、必要な支出に対応していただきます。

その場合、収支を明確にするため、現金出納帳を作成していただき、ごみ処理などの領収書なども保管していただきます。

資産を換価したお金も含めて、弁護士費用、申立費用、どうしても支払う必要がある費用に支出していきます。

 

◇ 売掛金の回収

売掛金台帳、納品書・請求書綴り、注文伝票綴りは整備・保管することを求められます。
ただ、そこまでできない場合も多いのです。

事業廃止時点での売掛金リストを作成してもらい、それで管理をしていくことが多いでしょう。
 

借り入れのある銀行の法人口座は受任通知により凍結されます。
法人破産の場合の凍結後の入金は金融機関が引き出しを拒むでしょう(破産法上相殺は許されませんし、破産管財人からの引き出しの要求は拒めないはずなのですが)。
振込先を借り入れのない銀行口座に変更してもらう、現金で集金する、あるいは弁護士口座に直接振り込んでもらうなどの対処をしなければなりません。
金融機関への受任通知のタイミングも弁護士とよくよく相談しないといけません。

 

◇ 買掛先への対応

買掛先リストを作成してもらい弁護士が受任通知を出します。

それでも仕入先からの返品要請などが来ることがあると思います。弁護士に回してもらい対応します。基本的には返品には応じられません。

取り付け騒ぎの可能性もあります(窃盗行為なのですが・・・)。営業所等のセキュリティーはきちんとしてもらいます。
弁護士名での張り紙をすることもありますね。

 

なお、買掛先に限らず、債権者はすべて弁護士に報告してください。
請求書などが来る都度報告してもらえれば受任通知を出します。

 

◇在庫の処理

事業廃止に向けて在庫は圧縮してもらいます。

棚卸台帳、納品書・請求書綴り、注文伝票綴りは整備保管することを求められます。
こちらもきちんとできない場合は珍しくなく、最終的には簡単な在庫リストを作成してもらうことが多いです。

 

破産申立て前に、弁護士関与の下、適正価格(もちろん通常の販売価格では処分できませんが)で在庫処分をすることもあります。
保管場所の明渡しのため、今すぐになら売却できる、といった事情がある場合などです。勿論、生鮮食品等、劣化するものは早期の処分が必要ですね。
破産管財人が最終的判断した方がよさそうなものはそのまま引き継ぎます。

処分をしたものについては、勿論記録を残さないといけません。

 ごみとして処分するべきものも記録を残した上で廃棄になります。

 

◇ その他各種契約

法人の営業をしていると様々な契約を伴います。
法人破産の場合は、申立て前にすべて契約関係を解消してもらうのが原則です(簡単に解約できるものはという意味です)。
契約書と解約関係書類は保管して弁護士に引継ぎます。

それにより違約金等が発生する場合には債権者に追加します。逆にお金が返ってくる場合にはそのお金はきちんと管理しないといけません。

 

◇ 公共料金

営業所の水道、ガス、電気、電話などですね。

ガスや電話は事業廃止に伴いすぐに止めていいことがほとんどでしょう。勿論、自宅兼事務所の場合は別です。
 

水道、電気はタイミングを図って止めます。
事業廃止後も整理などで立入りが必要です(倉庫のシャッターやクレーンが電動で整理するためには通電が必要というケースもありました)。

そのため、水道・電気は止めないままで破産管財人に引き継ぐことも多いです。

次回も続きをお話しします。

  

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債務整理と給与差押え [借金問題]

広島市の弁護士仲田誠一です。

 

債務整理と給与差押えの関係について改めてまとめておきたいと思います。

 

◇ 金融債務延滞と給与差押え

金融債務を延滞すると、まず督促状が来て、その後約款に基づいて期限の利益が喪失されます。

期限の利益の喪失とは、支払期限の約束(債務者の利益ですから期限の利益です)がなくなり、一括請求されることです。


保証会社がある場合には代位弁済をされた上で、支払督促あるいは訴状が届き、判決等の債務名義(強制執行ができる文書のこと)が取られ、給与等に強制執行がなされます(なお、執行認諾文書のある公正証書を作成されている場合には法的手続なしに差押え可能です)。


強制執行が申し立てられると、裁判所から勤務先に通知が届き、給与が差し押さえられます。その後は、給与から税金・社会保険を控除した額の4分の1(ただし、33万円を超える部分は全額)の支払いを受けられなくなります。通常、給与明細上控除されます。


なお、理屈上は、支払督促あるいは訴状提出の前に仮差押えという手続きを採ることも考えられますが、あまり見受けられません。


勤務先が知られている債権者に対して延滞が発生した場合には、できるだけ早く債務整理を行った方が得策です。給与差押えの危険が伴います。

 

◇ 任意整理と給与差押え

任意整理で解決することは困難です。

既に債務名義を取られているので、債務全額に加え執行費用の支払いをするしかないのが基本です。

分割払いの交渉に応じてくれる例はほとんどないと考えていいです。

 

◇ 自己破産と給与差押え

(相談時に既に差押えがなされている場合)

できるだけ急いで自己破産を申し立てることになります。そして、裁判所からの宿題に答える等して破産開始決定を得ます。裁判所にできるだけ早い開始決定をお願いすることもあります。
 

破産開始決定が出て、それが管財事件の場合は、強制執行手続が失効することになります。
給与を全額貰えるようになるわけです(もちろん新得財産となり裁判所に取られることはありません)。


同時廃止事件の場合は、申立人側から強制執行の中止の申立てをすることになります。
ただし、強制執行が中止されても、差押え自体がなくなるわけではありません。免責許可が確定したときに強制執行が失効します。
勤務先はその間は、差押え額をプールして(債権者への支払いを留保して)、免責許可が確定したときにプール金を破産者に渡すことになります。複数の債権者から差押えがある場合には勤務先は供託をしないといけないので大変ですね。

 

もっとも、強制執行中止の申立てをすると(中には、受任通知時、あるいは破産申立て時のこともあります)、債権者は強制執行を取り下げることが多いです。弁護士からも取下げを促します。


(相談時にまだ差押えがなされていない場合)

弁護士が受任して自己破産の準備をしている間は、債権者は法的手続を取ることを待つのが通常です。

最近は、あまり待たずに法的措置をとるようになった債権者もいますので注意してください。そうでない債権者でも受任後半年経てくると問い合わせが弁護士のところに来ます。申立予定が決まっていないと、たいてい法的手続を進める旨伝えられます。
 

弁護士に依頼する場合には弁護士からスケジュールを示されるはずです。弁護士に自己破産申立てを依頼して受任通知を出してもらって安心してはいけません。きちんとスケジュールに従って準備をしてください!遅くなると給与差押えのリスクが高まります。


訴訟等がなされると弁護士が時間稼ぎをしてくれることもありますが、限界があります。
また、差押えは受任通知後の偏頗弁済となり(破産管財人が否認することもできる行為になり)、金額によっては管財事件になる可能性が高まります。


なお、訴訟等がなされる段階になってまだ準備が進んでいないとなると、弁護士から辞任をさせることも多いでしょう。弁護士も依頼者さんが準備をしてくれないと困りますから。

 

◇ 個人再生と給与差押え

(相談時に既に差押えがなされている場合)

個人再生の場合、再生手続開始決定により強制執行は中止されます。

そして、最終的に再生計画の認可決定が確定した場合に失効します。
 

なお、申立て後に強制執行の中止命令を裁判所が出せる制度、差押えの取消しにより留保分を受け取れる制度もあります。裁判所に認められる必要がありますが。


個人再生の場合には、差押え分を偏頗弁済として清算価値(清算価値保障原則により最低弁済額を画するものです)に計上されて、他の財産状況によってですが最低弁済額が大きくなるリスクがあります。。
 

給与差押えとは違いますが、給与天引きでの共済借入金弁済などは天引きが開始決定まで止まらないことがほとんどです。この場合も清算価値に計上するということがあります。

 

(相談時にまだ差押えがなされていない場合)

自己破産の場合と同じです。弁護士に示されたスケジュールに従ってきちんと準備をしてください。遅くなると給与差押えのリスクが高まります。
 

なお、差押えをされている場合、弁護士費用に困ってしまう場合があります。よく弁護士と相談してください。法テラスの基準を満たしていればいいのですが、収入基準を超えていて法テラスは利用できない、しかし給与差押えにより弁護士費用を捻出することが難しい、という事態もあり得ます。その場合は弁護士費用の支払い方法も柔軟に考えないといけません。

 

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自己破産等と自動車 [借金問題]

広島市の弁護士仲田誠一です。

 

債務整理(個人の任意整理、自己破産、個人再生)における自動車の扱いを改めてまとめておこうと思います。
バイクも同じような扱いです。

 

【任意整理】

任意整理の場合には自動車を残せるのが基本ですね。

車のローンを任意整理の対象としなければ関係がありません。

なお、車のローンを任意整理の対象とした場合でも、残せた例もあります。債権者の対応次第かと思います。

 

【自己破産】

自己破産の場合は複雑になります。

まずは自動車が所有権留保物件かどうかですね。

 

◆ 所有権留保物件ではない場合

自動車が所有権留保物件ではない場合には単なる財産としての扱いを考えればいいだけです。

同時廃止と管財事件によって分けて説明しないといけません。
(同時廃止の場合)

初年度登録から(購入時からではありません)6年を経ている自動車では、少なくとも広島では(全国的に基本的に同じような扱いですが)、価値がないとして扱うことが許されています。そのため申立時に自動車の価値を報告する必要もありません。
したがって、自動車は残ることになります。
例外は、外国車や高級車ですね。その場合には、価値の報告を求められます。

初年度登録から6年を経ていない自動車の場合には、査定書(最近はなかなか取れないですが)あるいはレッドブックなどで車の価値を報告します。
その価値によっては(20万円を超える場合など)、次の管財事件の扱いとなります。

(管財事件の場合)

初年度登録から(購入時からではありません)6年を経ている自動車の場合に価値がない物として扱うのが多いと思いますが、古い車の査定を取り財産額に計上する破産管財人もいます。

自動車を残す方法は、自由財産拡張手続(裁判所の許可を条件に最大99万円の財産を手元に残す手続)あるいは金銭での財団組み入れです。

自動車が自動的に自由財産拡張対象となるわけではありません。自動車が生活あるいは仕事に必要で残すことが相当であることは説明しないといけません。
自由財産拡張対象と認められないあるいは自由財産拡張限度を超える財産がある場合には、車両価値に相当する金銭あるいは自由財産拡張対象外財産分の金銭を財団に組み入れる(破産管財人に引き渡す)ことで自動車自体を残すことも可能です。

なお、イレギュラーですが、合理的な理由が説明できる限りで、親族などに相当額で売却するケースもあります。所有者を変えて利用を続けるということですね。例外的な扱いなので、弁護士と相談しながら進めないといけません。

 

◆ 所有権留保物件の場合

自動車が所有権留保物件(典型は所有者登録がローン会社名義になっている普通自動車)の場合には、理屈上、返却が必要です。自己破産の場合は(正確に言えばその前段階の弁護士が受任通知を出したとき)は、債権者から引き揚げ要請(返却要請)が来ます。借り入れの担保なので返却しないといけないのですね。

なお、銀行・信金などのマイカーローンの場合には所有権留保物件ではないことが多いようです(銀行が所有権留保を主張してきたことは経験ありません)。

 

ここで気を付けないといけないのが、所有者登録名義です。
所有者登録しているのがローン会社であれば問題がないのですが、販売店名義の場合はそのまま返却することが理屈上はできません。所有権留保の対抗要件(主張できる要件)が登録なので、きちんと登録されていない車を返すと後で問題視されます。弁護士に確認してもらう方がいいですね。価値によってはそれだけで管財事件になる可能性があります。

 

軽自動車の場合は、対抗要件が登録とはなっていません。登録如何に関わらず、難しい言葉ですが、占有改訂が対抗要件となり所有権留保が認められます。そのため、軽自動車については引き揚げ要請が来ると返却をしても問題がありません。当職は一応契約書を確認して引き揚げ要請に応じることにしておりますが。

 

自己破産をしても所有権留保物件の自動車をどうしても残したいケースはあります。

保証人あるいは親族等にローン残債額で売却してローンを返済するなどの方法が考えられます。自己破産手続の前に債権者との関係を整理しないといけないわけです。イレギュラーなことで後で問題視されることもありますので、弁護士の関与の下進めることをお勧めします。

 

なお、稀に価値が明らかにない車の場合には、債権者が所有権放棄をしてくれて残ることもあります。

 

【個人再生】

◆ 所有権留保物件ではない場合

個人再生の場合には、財産は処分されません。

所有権留保が付いていない車は、その価値が、清算価値に計上されるだけです。

個人再生には清算価値保障原則があり、清算価値が最低弁済額を決める基準の1つになります(自己破産した場合よりも多い返済をしなさいという理屈です)。
車の価値が大きい場合には、それだけ返済額も大きくなる可能性があるということになります。

なお、個人再生における清算価値の計上の際には、自己破産における自由財産拡張対象相当の金額を控除することが認められています。最大99万円まで清算価値を落とせるということですね。自己破産で述べたような注意的も同じく当てはまります。
 

◆ 所有権留保物件の場合

所有権留保物件である場合には、自己破産の場合と同様です。担保になっていますから引き揚げに応じなければなりません。その際の問題点も自己破産と同様です。

なお、自己破産と同様、自動車を残すには、所有権留保債権者との関係を決着しないといけません。

 

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倒産手続とM&A  [企業法務]

広島市の弁護士仲田誠一です。

 

自己破産などの倒産処理をする前に、事業譲渡MAの出口を探ることがあります。

 

ただ、債務を引き継いでしまうMAは(株式譲渡、合併が典型ですね)、破産を考えるほどの負債を抱えている場合には難しいでしょう。
そこで、考える
MAは、事業譲渡が基本になるのでしょうか。


売り手が借金を整理できるだけの譲渡代金が確保できるMAを目指すことになりますが、債務が残るケースでは、自己破産などの出口が必要になります。
勿論、役員からの借入れだけが残るといいうケースでは問題はそれほど大きくありません。役員さんが会社清算手続の中でタイミングよく債権を放棄すると無駄な法人税がかからないで消すことができます。あるいは、清算手続をしない場合でも、会社の休眠状態が続くと役員さんの相続時に会社に対する債権の価値がないものとみなされ無駄な相続税もかかりません。
会社の破産を考えなくて済みますね。

 

自己破産を申し立てることを前提として(債務は残すことを前提に)、その前に、事業譲渡、会社分割などのMAを図る場合は、勿論、買収者は債務を引き継がない形を取ります。

契約をきちんと整えることは勿論、商号の続用と見られないように気を付けないといけません(例えば事業譲渡において債務を引き継がない旨定めていても、商号続用と見られる場合には名板貸責任を追及されて債務を引き継ぎかねません)。

 

倒産手続前のMAは、事業の引継ぎや従業員の引継ぎを図ることが目的ですね。
何もしないで自己破産をすると基本的に事業はなくなり(破産管財人が譲渡することをあり得ますが)、また従業員も困りますからね。

勿論、代金により申立費用を捻出する効果もある場合もあります。

  

ただ、経済的危機状態でのMAは、倒産手続等との関係で問題になることがあります。慎重に進めないといけません。売り手だけではなく、買い手も気を付けないといけません。

 

資産隠し、債務飛ばしと見られる行為はやはり対抗策が存在するのです。一時期、新設分割により優良な事業を新設会社に承継し、新設会社の株式を採算者に譲渡するという濫用的な会社分割が流行ったことがあります。会社分割により債務を飛ばすわけですね。これは、民法上の債権者取消権(詐害行為取消権)に該当しうる行為ですし、破産法上の否認の対象にもなり得ます。

 

経済的危機状態においてMAをする場合には、債権者取消権や破産法上の否認等のリスクがあるのです。MA自体は事業の廃止に伴う社会的損失を回避し、従業員等関係者の利益を守れる行為なのですが、対債権者との関係で詐害的な行為と見られる場合には効力を否定される可能性があるのです。

 

経済的危機状況に限られませんが、MAは弁護士の関与の下で行うべきでしょう。対価の相当性と対価の使いみちがよくよく吟味されます。単に会計上の財産額の変動の有無を基に判断するものではなく、会社の状況、換価の困難性等も考慮されます。
弁護士が関与する場合には、そこら辺をチェックして後で説明がきちんとできるようにします。自己破産を前提とする場合には、対価は弁護士が管理し、後で問題にならない使途にのみ使用します。

 

任意整理の場合は(リスケですね)、銀行の了承を取り付け、対価については事業継続に必要な事業資金を除き債務額に応じて債権者にプロラタ返済をすることになるでしょう(担保を外してもらう債権者は別途考慮しないといけませんね)。事業計画とセットで銀行の理解を得られるかという話です。

 

スポンサー企業を見つけて民事再生で事実上MAを行うという方法もあります。
そもそも民事再生手続をして事業を継続できるケース、スポンサー企業を見つけるのが難しく、なかなかお目にかかれません。

 

なお、事業そのものではなく事業用資産の売却の話もあります。規模の大小は別としてよくやりますね。
申立費用捻出のための売却や廃業に伴う事業の整理のための売却ですね。

こちらも当然、リスクがある行為ですので、後できちんと説明できるように計画し、資料を残して、進めなければいけません。

 

顧問弁護士、企業法務サポートのご用命は是非なかた法律事務所に。

 

広島の弁護士 仲田 誠一

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自己破産等の申立て直前の財産処分 [借金問題]

広島市の弁護士仲田誠一です。

 

債務整理のうち、自己破産、個人再生(法人の民事再生)で問題となり得る申立て直前の財産処分についてお話します。

 

破産や個人再生等をする場合には、様々な理由で処分行為を行うことがあります。身辺整理も必要ですからね(特に、法人破産の場合には、いつもどこまで処分をして整理するか悩みます)。
処分行為の中には自己破産等手続の中で問題視されることもあります。今回はそのようなお話です。

 

直前の財産処分が問題となるのは、否認対象行為かどうか(個人再生において否認相当行為として清算価値に処分した財産が計上されるのか)、あるいは個人破産における免責不許可事由に該当するか、という点になります。
不当に廉価な財産処分をして贈与行為、財産逸失行為に該当しないか、費消しやすい財産に形を変えて費消し財産逸失行為をしたのではないか、特定の債権者に対する弁済行為になっていないかなどが問題となります。

 

贈与行為等無償行為、偏波弁済(特定の債権者だけに対する弁済)行為は、基本的に、否認対象行為あるいは免責不許可事由になります。
できるだけ避けなければなりません。

贈与行為でよく問題になるのは交際相手への贈与、偏頗弁済でよく問題になるのが親族への弁済ですね(よくあるので気を付けてください)。

なお、偏波弁済では、給与天引きの弁済も問題となります。弁護士が受任通知を送っても破産開始決定等がないと天引きを止めないケースが結構あります。
本来は否認対象行為になり破産管財人から弁済額の返還請求をされるのですが(実際に破産管財人として請求をしたこともあります)、理屈上は偏波弁済行為に当たり得るのです。

 

勿論、贈与行為でも、扶養義務者の被扶養者に対する扶養義務履行行為とみられる行為は大丈夫です。程度問題です。

 

不動産の処分はよくお手伝いします。

自己破産申立費用を捻出するための売却、抵当権者に促されて行う任意売却のケースが多いでしょうか。

中には、なんとか不動産を残したいということで、親族間で売買をすることもあります。

積極的に問題がない行為ですとは申し上げられない行為ですが、処分行為があったこと自体で、即、管財事件になったり、あるいは免責不許可事由、否認対象行為となったりするわけではありません。

妥当な内容の売買で、かつ金銭の管理・費消も妥当であると認められれば問題はありません。裁判所に必ず妥当性を確認されますので、できれば弁護士が関与した方がいいです。

適正な売買価格かどうか、

売買代金を破産者が受け取る場合にはどの金銭をどのように管理するか(弁護士が管理した方がベターです)、

何に費消していくら残っているのか、

などをきちんと説明できなければいけません。

なお、換価した結果の金銭の費消は、弁護士費用、申立て費用、必要最小限度の生活費などに対するものが許されます。自由に使っていいわけではありません。

 

車の処分もありますね。

駐車場や税金の問題で維持できないケースが典型でしょうか。
こちらも適正価格か、売買代金額の管理が肝要です。売却する前に車検証の写しを取っておくこと、走行距離等車の状態を写真に残しておくこと、できれば査定書を取っておくことも大事です。

中には、なんとか車を残したので親族間で売買をするということもあります。

単純な売買や、所有権留保債権者から名義変更を受ける形での売買もあります。

車の処分も裁判所に妥当性を確認されます。説明が必要なので、弁護士に相談しながら進めた方がいいでしょう。

なお、管財事件にならないために車を現金化するという目的(現金化すると同時廃止・管財事件の振り分け基準によると同時廃止の可能性が高まり得る。)もある場合もあるかもしれません。
必ず突っ込まれる行為なので、それで大丈夫とはなかなか申し上げられません。きちんとした理由の説明が必要でしょう。

 

車に限らず、直前の現金化は、管財事件になるかどうかの基準の適用如何は別に措いても、財産の性質をもともとの財産として見て自由財産拡張対象の判断を行われるリスクがあります(そもそも自由財産拡張対象財産して認められない財産を現金化しても現金として見ずにもともとの財産の形で残っていると仮定して自由財産拡張対象から外されるリスク)。ご注意ください。

 

保険の解約、保険契約者貸付も最近よく見ます。

こちらは少なくとも広島ではある程度許されているようです。管財事件にならないよう保険解約返戻金を減らして、現金を多くするということです。
保険の財産評価は解約返戻金額で行うのですが、契約者貸付を受けているとその額を控除した金額になります。

 

財産処分のお話をしてきましたが、具体的に当該財産の処分をする方がいいのかどうか、する場合の妥当性を保つにはどうしたらいいかの判断は、ケースバイケースで行う必要があります。
一概にこのような行為はよいと判断することができず、処分の必要性と考えられるリスクを考量して判断しなければいけません。

 

お早めに弁護士に相談し、計画的に物事を進めることをお薦めします。

 

債務整理(任意整理、民事再生、自己破産等)のサポートはなかた法律事務所にご用命を。

 

広島の弁護士 仲田 誠一

なかた法律事務所

広島市中区上八丁堀5-27-602

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個人再生のお話 [借金問題]

広島市の弁護士仲田誠一です。

 

債務整理のうち、個人再生のことを改めてまとめたいと思います。

個人再生は、少し理解がしづらいこともあって、制度自体の質問をよく受けます。

 

【個人再生とは】

簡単に説明しますね。

個人再生とは、裁判所から認可された再生計画に基づいて、原則3年間(最長5年間)で一定の債務を弁済し(計画弁済額)、弁済し終わったところでその余の債務の免責を受けられる手続です。

元金カットが想定できない任意整理と、債務弁済責任を全て免れる自己破産との、中間的な効果のある制度だと思ってください。

 

【支払不能のおそれ】

個人再生は、支払不能のおそれが要件になります。おそれなので、ある程度の債務があればここが問題となることはありません。これに対して破産は支払不能が要件ですね。

支払不能というのは、期限の到来した債務を一般的・継続的に弁済できない状態をいいます。弁護士が受任通知を出せば期限の利益は喪失されそれら債務の弁済期が到来します。債務整理を受任する場合には、支払不能か支払不能のおそれは通常認められるわけです。

 

【どのようなときに個人再生手続を選択するか】

大きなくくりで5つ挙げられます。

 

1 支払不能の要件を満たさない場合

債務の額と収入の兼ね合いによります。自己破産ができないから個人再生を利用するという例です。この観点から個人再生を選択する例はあまりありません。

 

2 住宅ローン付の自宅を維持したい場合

自己破産では住宅ローン付自宅を維持することはできません(残す方策が取れるケースは少ないです)。個人再生では住宅資金特別条項(所謂住宅ローン特則)を利用すれば、住宅ローンの支払いを継続して自宅を維持しながら、他の債務の整理ができます。

個人再生の利用はこのケースが一番多いですかね。

ただし、別のコラムで詳細は説明しましたが、住宅資金特別条項はどんなときでも利用できるわけではなく、条件があります。自宅の登記簿謄本とローンの契約書をお持ちになって弁護士に相談してください。

 

3 免責不許可事由の程度が重い場合

免責不許可事由の程度が重い場合も個人再生を利用する典型的な例です。

自己破産には免責不許可事由があります。ギャンブル、浪費などですね。最近相談が多いのがショッピング枠の現金化でしょうか。

そのような問題行動の程度が重いと思われる場合には管財事件の扱いとなる可能性が高まります。最終的に免責不許可決定が出る例は稀ですが、手続が煩雑となり、申立費用は嵩みます。これに対し、個人再生では、免責不許可事由はありませんし、個人再生委員が選任されて予納金が高額化する可能性も小さいです。

そのため、免責不許可事由の程度が相応に高いと考えられるケースでは、自己破産を選択するか個人再生を選択するか検討をしてもらっています。

 

4 資格制限に該当する場合

自己破産には保険外交員、警備員など、破産手続中に付けない職業が限定して規定されています。資格制限にひっかかってしまうケースでは、そのような資格制限のない個人再生を利用して債務を整理することもありますね。

 

5 個人再生を望まれる場合

このケースも少なくはありません。依頼者さんが可能な限り債権者さんに支払いたいと希望されるケースですね。

 

【個人再生の種類】

これを説明すると長くなりますので簡単に。

個人再生には、給与所得者等再生と小規模個人再生の2つがあります。

小規模個人再生を利用することが多いです。なぜなら給与所得者等再生よりも返済額が少なくて済むケースがほとんどだからです。

個人再生は計画弁済額が重要です。いくら弁済してその余を免責してもらうかの話です。

小規模個人再生での最低弁済額のルールは、

1 債務額の5分の1(と100万円の大きい方)

2 清算価値

の大きい方となります。

弁済額は最低100万円ですね。それを原則3年で弁済します。

債務が500万円超ある場合には、最低弁済額は債務額に応じて増えるわけです。

ここで債務とは遅延損害金も含む債務と思ってください、申立てが遅くなると最低弁済額も増えるケースにご注意を。

一方で、財産が100万円あるいは債務の5分の1より多いと評価される場合にはその財産評価額(正確には清算価値)以上の弁済を計画しないといけません(清算価値保障原則)。ただし、自己破産における自由財産拡張対象と認められる財産の額は清算価値から控除できます。清算価値が自由財産拡張対象と認められる金額を削っても150万円の評価額があれば、債務が400万円(この場合は100万円が最低弁済額)であっても100万円ではなく150万円を弁済します。

これに対し、給与所得者等再生は、最低弁済額を算出する計算式が定められています。収入から必要生活費を差し引く計算なのですが、必要生活費は固定的に定められているため、収入が割合あると思ったより最低弁済額が大きくなることが多いです。

 

【個人再生で注意をしておいた方がいいこと】

1 継続収入がないと個人再生は選択できません。

勿論、派遣や定期雇用でも、途切れなく稼働されている場合は使えます。

年金収入でも使えないことはありません。

ただし、給与所得者等再生は安定的な収入をより厳格に吟味されます。

 

2 先ほども述べましたが、住宅資金特別条項(住宅ローン特則)が使えないケースもあります。その際には、別の方策を弁護士が捻りださないといけません。

 

3 小規模個人再生の場合、債権者の頭数、あるいは債権額の過半数の債権者が反対をすると再生計画が認可されません。債権者が1社のみ、あるいは過半数を占める債権者がいるなどの場合は小規模個人再生の選択に躊躇します。通常は反対されないのですが、最近反対意見を出す債権者が増えてきたような気がします。名前は出しませんがショッピングサイト系とかです。昔は反対されても政府系金融機関ぐらいでしたが。

反対されて再生計画が認可されなかった場合、自己破産か給与所得者等再生を申立てし直します。実際にそのような経験があります。

なお、給与所得者等再生は債権者の意見は関係なく裁判所が認めればいいのですが、上述のように要件効果が厳しいところです。

 

4 破産での否認対象行為(申し立て直前の贈与行為などですね)がある場合には、否認された際に破産管財人が取り戻すべき財産の額を、清算価値に計上することになっております。清算価値が上がると最低弁済額が大きくなりますね。

免責不許可事由の程度が大きいために個人再生を利用するケースでは、否認対象行為にもなるケースがあります。その場合には弁済額がどれくらいになるのかをよく吟味しないといけませんね。

 

【個人再生委員が選任される場合】

自己破産であれば管財事件の可能性がある場合に個人再生を選択する可能性があることも述べました。

ただし、個人再生でも、個人再生委員が選任された場合には、高額の予納金が必要になります。20万円がスタンダードでしょう。

どのような場合に個人再生委員が選任されるかですが、弁護士が代理人についているケースでは、特に財産調査や否認対象行為の判断が必要とされない限り、個人再生委員が選任されることはないでしょう。弁護士が代理人としてきちんと説明するためです。これに対し、個人申立て(司法書士書類作成代理の場合も含め)の場合には。事実上、個人再生委員が選任される可能性が高まる傾向にあります。

 

個人再生の話は尽きませんが、長くなりました。今回はこの程度にさせていただきます。

                   

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広島の弁護士 仲田 誠一

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自己破産と相続、離婚 [借金問題]

広島市の弁護士仲田誠一です。

 

【初めに】                         

債務整理のうち自己破産と相続、離婚との関係です。

前にも説明はさせていただいたことがありますが、最近何件か自己破産と相続、離婚が関係する案件をお手伝いしたので、改めてお話しようと思う次第です。

自己破産のお話をしますが、勿論個人再生もパラレルに考えられます。
否認という問題は直接には出てきませんが、清算価値の関係で個人再生も同じように考えればいいことになります。

 

【自己破産と相続】

自己破産の申立て時には、相続の有無の報告をしないといけません。
広島ではご両親がなくなっている場合には必ず報告を求められています。

 未分割遺産の報告漏れが多かったからです。

未分割遺産については、相続分に応じた持ち分が財産として評価されるのが原則です。
それが不動産であれば、即管財事件になることが基本です。
他の財産である場合には、その評価額次第で管財事件になるかが決まります。

 

未分割遺産がある場合に破産管財人がどうするかというと、基本的には他の共同相続人に持ち分の買い取りをお願いする、あるいは共同で売却・解約し換価することを要請します。
他の共同相続人がそれに応じない場合は困りますね。破産手続が進みません。持ち分のみを市中で売却することは困難です。
また、破産管財人が遺産分割協議をしてその後に共有物分割請求を行えるかどうかは議論があります。そもそも時間もかかります。破産管財人からは他の共同相続人に粘り強く協力要請が来るでしょう。

 

例外もあります。未分割遺産(多く場合は田舎の不動産でしょう)の売却可能性が乏しく財産価値があると評価できないケースです。
そういう場合は、きちんと説明をすれば、管財事件にならず、同時廃止事件として処理してくれる例も何件か経験しています。

 

田舎の不動産で、遺産の分け方は跡取りあるいは母が相続することが決まっていたが、相続登記をするのが面倒かつ費用がかかるということで、相続登記をしていないケースもあり得ます。
対抗要件に登記が必要という点を除けば、理屈上は他の相続人が受け継ぐことに合意した破産者の財産ではないですね。
価値がない、あるいは小さいケースでは、既に遺産分割は終了しており破産者の財産ではないと認めてくれるケースもあります。
ただし、価値が相応にある不動産の場合には裁判所の対応も厳しいでしょう。経験上、未分割遺産があるケースではそもそも価値がない不動産であることがほとんどです。その場合、遺産分割が終了しているという理由で同時廃止になるのではなく、価値がないという理由で同時廃止を認めてくれる傾向があると感じています。価値がある不動産の場合にはハードルが高いかもしれません。

 

いずれにせよ、戸籍、相続関係図、登記、固定資産税評価証明書、写真、査定書(取れないならその事情を説明)、他の相続人の事情説明書などを揃えて申立てをすることになります。

 

経済的危機状態あるいは破産申立て直前の遺産分割あるいは相続放棄ということもあります。最近も何件かお手伝いしました。
経済的危機状態あるいは破産申立て直前の場合は、否認対象行為になるかという問題が出てきます。破産管財人は、一定の要件の下で、支払不能状態等での財産散逸行為、無償行為等の効力を否定し、財産を取り戻すことができるのです。

 

相続放棄は破産直前であっても基本的に大丈夫です。財産処分行為ではなく、身分行為だからという理由です。裁判所に突っ込まれたことはありません。

 

遺産分割は、相当な内容だと大丈夫ですが、不相当な内容であると(正当な理由がなく破産者の取り分を少なくする内容であると)、否認の対象となります。必ず説明を求められるため、合理的な説明を用意しておかなければいけません。

 

【自己破産と離婚】

離婚自体は自己破産申し立ての有無は関係ないです。
離婚を自己破産後まで待つ必要はありません。

 

破産申立て直前の離婚時給付と否認の問題があります。
離婚時給付というと、財産分与慰謝料ですね。養育費はあまり問題視されることはありません。
理屈上は相当の財産分与慰謝料
OKです。不相当な部分は否認の対象となります。
この相当性という説明が問題です。必ず突っ込まれるところなので、説明は慎重に期します。
自己破産をお手伝いするときは、相当性のある財産分与等の組立てをします。慰謝料については原因の証拠も提出することが多いです。

 

離婚時給付を分割でお支払いされているケースもあります。
財産分与の分割払いを見たことがありますが、これは破産債権として免責の対象になってしまいますね。慰謝料は内容によりますが、非免責債権として扱うことも可能です。

 

今回のお話はここまでとなります。

 

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自己破産に必要な費用 [借金問題]

広島市の弁護士仲田誠一です。

 

債務整理のうち、自己破産に必要な費用をご説明しようと思います。弁護士費用と裁判所に納める費用ですね。

 

まずは弁護士費用です。

 

弁護士に自己破産申立て代理を委任するならば弁護士費用が必要ですね。

個人申立て(司法書士関与も含めて)もあります。
基本的には弁護士に依頼した方がいいでしょう。それにより後にお話しする管財事件になる可能性が小さくなりますし、破産管財人を経験することにより手続に精通している弁護士に依頼する方がスムーズに事が進みます(破産管財人の経験がないと破産手続に精通はできません)。
勿論、すべての手続に代理人として同席できる弁護士がいた方が気持ち的にも安心でしょう。

 

弁護士費用は弁護士によっても案件によっても異なります。WEBページに事務所の費用目安が記載しています。

当事務所は25万円プラス消費税の金額を掲げています。広島では安い事務所だと言われたことが何度かあります。

勿論、安ければいいというわけではないです。自己破産に関する疑問をすぐに解消してくれ、問題点等を的確に指摘してくれる弁護士に依頼してくださいね。

 

弁護士費用を一度でお支払いできない場合には、通常、分割でお支払いいただく等の便宜を図ってくれます。弁
護士が受任すると債権者に受任通知を出し支払いを停止します、支払停止中に費用を用意していただくわけです。ボーナスで調整するという方も多いです。

勿論、個人事業主で手間がかなりかかる場合や、自由財産拡張対象可能範囲内に財産が収まらない場合には、もう少しいただくこともあります。
管財事件になるからといって自動的に金額を上げることはしていません。

弁護士費用のいただき方は、その方に応じて決めるしかありません。皆さんご事情が異なりますからね。依頼される弁護士とよく話し合ってください(時々、費用が払えないから弁護士に辞任されたと当職に改めて依頼される方もいらっしゃいます。支払可能な約束をしないといけません)。

ちなみに、個人再生も基本的には自己破産と同じ金額にしています。こちらも安いと言われますが・・・

 

法テラスの民事法律扶助制度を利用される方は、そちらで承ります。

法テラスの民事法律扶助とは、一定の資力要件を満たせば、弁護士費用を立て替えてくれ、立替金を5000円からの分割で償還できる制度です。

個人の自己破産の場合には、こちらを使われる方が多いです。費用が安いですから。債権者数によって金額が決まっているのですが、152,600円からです。
夫婦の同時申し立ての場合には夫婦割引もあります(夫婦でなくとも同一世帯である場合には夫婦割引と同じ扱いをする例もあります)。

ただ、弁護士費用を支払ってもらうことによって財産を少なくしておいた方が管財事件にならずトータルの支出が安くなる場合もありますのでご注意を。
また、法テラスを利用する場合には、すぐに弁護士が受任することができません。まずは法テラスへの申請に必要な書類を持って来ていただき、弁護士が申請書を作成して提出し、審査を経てから契約書をもらうため、通常2週間前後は受任が遅れます。早く受任通知を送ってもらって督促を止めたい場合には弁護士に相談しないといけません。

生活保護を受給されている方は、さらに使い勝手がいい制度になっております。
生活保護受給者は、法テラスへの償還が事件終了まで猶予されます。終了時にも生活保護を受給していた場合には償還の免除申請をすれば免除されます。おまけに官報代や管財事件になった場合の予納金まで法テラスの援助を受けることができます。自己破産の費用がほとんどかからないのです。

なお、免除申請には時間がかかります。それまでに生活保護受給者で亡くなった場合には償還をお願いされるケースも耳にしております。

 

次は裁判所の費用ですね。

自己破産には、同時廃止事件と管財事件があります。

破産法上は、管財事件が原則ですが、個人破産の場合には、割合的には同時廃止事件の方が多いです。
広島本庁では同時廃止が6割強から7割弱でしょうか。

 

同時廃止事件は、管財人が選任されない破産手続です。
その場合の費用は、官報掲載のための予納金と、債権者の数に応じた郵券(切手代)になります。

通常は15000円あれば足りるでしょう。

なお、個人再生の場合は30000円を用意してもらっています。

 

管財事件は多額の予納金が必要です。
なぜ多額の予納金が必要かというと、裁判所から選任される破産管財人に対する報酬を裁判所が支払わないといけないためです。

広島では、20万円(免責不許可事由が重大な場合の免責調査型管財事件や退職金の評価などが単純に基準を超えている場合)から30万円(不動産がある場合)がスタンダードです。

予納金は、申立時に用意しておくのが原則です。そのため、予納金の用意のために申立てが遅くなる例もあります。事実上数か月は待ってくれる場合もありますが、その間は破産開始決定が出されずに中途半端な状態が続きます。売却・解約できる資産を売却・解約して費用を捻出してもらうこともあります。

なお、個人再生において個人再生委員が選任される場合(こちらも弁護士が選任されます)の予納金は20万円がスタンダードかなと思います。

 

財事件になるケースが増えてきたように思います。
広島本庁では、現預金は50万円、その他各財産項目の評価額が20万円という基準があり(なお、価値が明らかに乏しい不動産以外の不動産がある場合には無条件に管財事件です)、退職金(現在自己都合退職をした場合の退職金支給見込額の原則8分の1が財産として評価されます。)や保険解約返戻金でひっかかるケースがあります。
5年以内に会社経営あるいは個人事業をしている方も管財事件になります。

申立時には、管財事件の扱いを受けないような方策を許される限りで工夫しているところです。

自己破産の費用面で心配をなされている方は、費用も含めて弁護士によくご相談くださいね。

 

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家計収支表の作り方など [借金問題]

広島市の弁護士仲田誠一です。

 

債務整理のうち、自己破産、個人再生では、家計収支表の裁判所への提出が必要です。
広島では、自己破産では申立て直近2か月分、個人再生では直近3カ月分です(個人再生の場合には通常申立後も再生計画提出まで作成して提出します)。

家計収支表は、家計簿を月単位でまとめたものです。

 

家計収支表はなんのために提出するのか?

自己破産、個人再生の目的は、経済的更生です。経済的に立ち直るための制度です。そのために債権者の財産権を奪う制度が正当化されるのです。
そのため、家計収支表を経済的更生が図られるのかという観点で見られます。単月収支が赤字の場合には、自己破産、免責決定によって本当に経済的更生が図られるのかが吟味されます。

また、免責不許可事由(浪費等)のチェックにも利用されます。支出金額が大きい項目については内訳等を聞かれることがあります。個人再生の場合は弁済計画の履行可能性を見られることになります。
さらに、財産に報告漏れがないか、債務の計上漏れがないかのチェックにも利用されます。
加えて、破産の要件である支払不能状態、個人再生の要件の支払不能状態への危険の確認にも使われます。

 

なお、家計収支表は、家計を見つめなおしていただくツールとしての機能もあるでしょう。自己破産や個人再生に至る方の中には、家計管理が杜撰であった点が否めない方もいらっしゃいます。家計収支表を作成すると、自分が何にいくら使っており、毎月これだけの支出があるということに気付きます(依頼者の方にも毎月こんなにお金がかかっているんだと反省される方が多いです)。家計収支表を見ながら、さらに、この点は使い過ぎだ、ここを改善しようと考えることができますね。
このように、自己破産、免責決定後あるいは個人再生計画認可後の経済的更生のために家計管理を見つめなおしていただく意味も大きいです。免責あるいは個人再生計画認可を得られたら5年あるいは10年金融機関の審査が通りません。収入の範囲内で堅実に生活していただかなければなりません。

 

家計収支表には家族の誰まで入れるのか?

同居の親族の収入と支出をどこまで入れるかの問題です。同居の親族の収入証明資料は必要書類に入っていますが、支出を把握することが難しい場合もありますね。

同居の親族分の収支は、基本的に記載することになります。同居をしていたら通常は家計が一緒ですからね。家計が一緒とは財布が一緒といってもいいです。

ただ、いざ作成しようと思うと悩みます。

ケースバイケースの判断になるのですが、説明ができるように記載するということになります。説明がきちんとつけばどのように記載しても書き直せとは言われません。

財布が完全に別の場合には、単独の家計収支表を作成することもあります。

家計は別であるが、お金の授受(家賃代わりの〇万円など、援助など)がある場合には、それだけ家計収支表に組み入れて作成するということもあります。

どういう風に作成するのかは、自己破産申立て準備の前に弁護士と相談しておいた方がいいですね。

 

金額をどこまで正確に書くのか?

食費などいちいち記録することが難しいものは60,000円等丸まった数字(ラウンドナンバー)で記載しても問題ありません。

これに対し、公共料金など通帳あるいは領収書を保管していれば正確な金額が記入できるものは正確に記入してもらいます。通帳や公共料金の領収書は提出書類にもなります。

なお、あくまでもお金(通帳も含めて)の動きの報告です。水道料金、年金、児童手当など〇カ月に1回支出あるいは収入があるものは、該当月に支出額あるいは収入額(入金額)をそのまま書きます。月平均で書くわけではありません。給料は手取り額(入金額)を記載します。

後から作成するのは面倒くさいですので、少なくとも準備期間中は家計簿を作成することをお勧めしております。

 

その他注意点は?

電話代は抑えるようにお願いしております。金額が高いと、利用明細などの提出を要求され支払の内訳を確認される可能性があります。1台当たり1万円をちょっと出るくらいなら何も言われませんが、3万円とかであると裁判所から補正連絡が来ます。その際に端末料金の割賦払いが入っていると、それは債務なのではないのかと突っ込まれ、破産債権者として扱えと言われたら困ります。

 

保険料は契約者名義を記載することになっております。同居の親族契約の保険料が載っていると(あれば載せないといけないのですが)、保険証券を確認したいから提出しろと言われることがあります。ガソリン代も同様ですね。車両名義を記載することになっております。こちらは親族所有車両かどうか確認するために、ほぼ確実に車検証の提出を求められるので、最初から出すようにしています。

 

駐車場代を記載する場合、駐車場を借りているのであれば、賃貸借契約書が提出書類になります。お気を付けください。

 

交際費、娯楽費については、その内容を弁護士に説明できるようにしておいてください。内容の記載あるいは説明が求められます。

 

返済欄については、受任通知後にご自身の債務の返済があったらおかしいことになります。必ず突っ込まれると思ってください。同居人の返済の記載がある場合も、同居人の債務額を聞かれることが多いです。

 

なお、家計収支表の各項目の名称は変えてもかまいません。きちんと説明ができればいいわけですから。

今回は、自己破産、個人再生で提出しなければならない家計収支表のことについてお話ししました。

 

債務整理(任意整理、民事再生、自己破産等)のサポートはなかた法律事務所にご用命を。

 

広島の弁護士 仲田 誠一

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