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コラム 2ページ目

相続人がわからない、知らない人の場合 [相続問題]

広島市の弁護士仲田誠一です。

 

相続人がわからない場合はどうしたらいいのかのお話です。

 

相続人がわからないと言っても、いろいろなケースがあります。

 

勿論、相続人が誰かはすぐわかるケースがほとんどです。
しかし、稀に、戸籍を取ってみたら前婚時のお子さんがいたというような話も聞きます。どうせ銀行等の相続手続において被相続人の出生から亡くなるまでの戸籍を用意しないといけません。早めにとって一応の確認をする方がいいでしょう。

 

数次相続(父、母など相続が続いておりまとめて相続手続が必要な場合でなくなった順番により相続人が変わり得ます)、代襲相続(推定相続人が被相続人よりも先に亡くなっている場合)、養子縁組、相続放棄などにより法律上誰を相続人として扱っていいかわからない場合も簡単ですね。
戸籍を持って(できれば簡単でも相続関係図をお持ちいただいた方がいいですが)、弁護士に相談すれば教えてくれます。

 

戸籍上相続人の存在が確認できるが、交流のない人で連絡先もわからない、あるいは行方不明で生死もわからないというケースがあります。

 

遺産分割協議は相続人全員の同意がなければ成立しません。
遺産分割調停、審判においても相続人全員が当事者になることが必要です。

 

交流もなく連絡先もわからないというケースでは、遺産分割協議からお助けすることがありますね。
戸籍の附票を調べて住所を確認し、お手紙を出して交渉を始めます。

 

戸籍を調べてみると、相続人になるはずであった人が既に亡くなっているケースがあります。
その場合には、その方の相続人が当事者となります、数次相続ですね(戸籍により推定相続人を調べて連絡をさせてもらいます)。
稀に、皆さんが相続放棄をして誰も相続人がいないということもあります。そうであれば、理屈上、家庭裁判所に相続財産管理人の選任を申し立てて、相続財産管理人を相手に交渉、調停等をするしかありません。
基本的には法定相続分に応じたあるいは準じた解決しかできないでしょう。融通は利きません。

 

皆が皆住民登録をきちんとしているわけではありません。
調べた住所にお手紙が届かない場合もあります。その場合には、行方不明として扱うほかないですね(勿論、住所にお手紙が届かないというだけではなく現地調査等によりそこに住んでいないという疎明も必要になるケースが多いです)。家庭裁判所に不在者財産管理人選任の申立てをして、不在者財産管理人を相手に交渉、調停等をするしかありません。
基本的には法定相続分に応じたあるいは準じた解決しかできないでしょう。融通は利きません。

 

生死不明の場合もあります。前婚のお子様が住民登録をかなり前から更新していない、ご家族に確認しても行方不明と言われた事例を実際に経験したことがあります。

 

その場合には、失踪宣告の話になります。
家庭裁判所から失踪宣告を取得し(ご家族のご了解を得た上で事実上当方により手続をするほかありません)、ご家族を代襲相続人として遺産分割協議、調停等を進めることになります。

失踪宣告は、通常使う普通失踪の場合は、7年間不在者の生死が明らかではないときに認められます。
失踪宣告により、失踪期間7年間)の満了時に死亡されたものとみなされます。

ただ、後に、失踪者が生存すること、または死亡とみなされた時期と異なった時に死亡したことが証明された場合には、失踪宣告が取り消されます。
そういうことがないと見込まれるケースでの利用になるでしょう。

  

遺言、相続、遺留分減殺、相続放棄等、相続問題のご相談はなかた法律事務所へ。

 

広島の弁護士 仲田 誠一

なかた法律事務所

広島市中区上八丁堀5-27-602

 

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自己破産における破産管財人 [借金問題]

広島市の弁護士仲田誠一です。

破産管財人をご存知でしょうか。
当職も破産管財人を多数経験しております。しかし、一般的には馴染みがない言葉かもしれません。

 

今回は、自己破産をする、あるいは取引先等債務者が自己破産をした場合に接することがある破産管財人についてのお話をさせていただきます。

 

【破産管財人が就任する場合はどのような時でしょうか】

 

破産法上、破産手続のために破産管財人が選任されることが原則の建前です。

法人が破産をした場合には、原則どおり、破産管財人が裁判所によって選任されます。

これに対して、個人が破産をする場合には、同時廃止事件を除いて、破産管財人が選任されます。
同時廃止事件というのは、財産があまりなく(各裁判所によって基準があります)、破産手続費用を支弁できないと認められる場合に、破産開始決定と同時に破産手続が廃止される手続です。だから同時廃止と呼ばれます。建前と異なり、個人の自己破産の場合、多くは同時廃止で終了します。
ただし、財産がなくとも免責不許可事由があり、その程度が重大な場合と思われる場合には、破産管財人が選任されます(免責調査型の管財事件と呼ばれます)。

 

【破産管財人就任のタイミングは】

 

破産管財人が就任するのは破産開始決定のタイミングです。

自己破産を申し立てた場合は、裁判所からの補正連絡に対応して、指示された予納金を納めたタイミングか、あるいは債務者審尋にて破産管財人就任予定者と会ったタイミングですね。

 

【破産管財人は誰が就任するのか】

 

裁判所が、弁護士から選任します。自己破産申立代理人ではない客観的な弁護士が選ばれます。
法人の自己破産と個人の自己破産とを同時に申し立てる場合には、同じ弁護士が就任します。
割合大規模な破産の場合には、管財人代理の弁護士も選任されることがあります。

 

【破産管財人の仕事とは】

 

様々な仕事がありますが、大まかに言えば、調査、財産の管理処分、債権調査・配当(なお、配当が全く見込まれないと債権調査はされません)です。

 

まず、一番大きい仕事は財産の管理処分ですね。

破産開始決定後の破産者の財産(個人の場合には財団に組み入れる財産に限られます)の管理処分権は破産管財人に移ります。
個人の場合には、自由財産拡張(財団に組み入れない財産を決める手続)に対する意見も出します。


財産を換価して配当原資を作るということになります。

当職の経験でもいろいろなものを換価しました。

預貯金、株式、保険、ゴルフ会員権、保証金、不動産、車、機械工具類、在庫商品等々、様々なものを処分します。

工場内の機械工具一式等、場合によっては入札方式で売却をします(引取業者に声をかければ現地に来てくれます)。
不動産は、基本的には業者さんに仲介して売却しますが、流通性が乏しい不動産や賃借人、借地人がいる不動産では、近隣の方や賃借人・借地人にお声がけをしたこともあります。

特に苦労したのは農地の処分ですね。農地は普通には処分できません、農業委員会などに問い合わせる、あるいは近隣の農家さんに声をかけるなどしないといけません。
また、有害廃棄物がある場合は処理してからではないと売却できません、たまたま処分工場が閉鎖になっている時期に当たり一時保管場所の確保等苦労したことがあります。抵当権者や租税公課の差押権者との交渉も骨が折れる場合があります。
売却する場合には、現状有姿売買、境界確認義務免除、瑕疵担保責任免除の形で購入してもらいます。その分、ある程度安価になることは止むを得ないかもしれません。
 

 

なお、財産の管理処分に関連して、破産者の訴訟を引き継ぐこともありますし、換価回収のために訴訟を提起することもあります(敷金返還の訴訟を提起したこともあります)。

 

次は調査です。

破産管財人には調査権限があり、破産者には回答協力義務があります。

財産調査、負債調査、個人破産の場合には免責調査もします。
破産者宛の郵便物は破産管財人に転送され、開封してチェックすることになっております。

免責調査については、破産管財人から免責に関する意見書(免責不許可事由がない、免責不許可事由があるが裁量免責相当である、免責不許可が相当である)が裁判所に提出され、ほぼそのとおりの結論が出ます。

 

調査に関連して、否認権というものがあります。
破産管財人には、破産法に定められた否認対象行為がある場合、同法に定められた要件で、破産者が行った行為を否認し(法的効果を覆す)、散逸した財産を取り戻す権限があります。
よくあるのが、受任通知後あるいは破産直前の偏頗弁済(不公平な債務の弁済)や贈与などの無償行為ですね。破産直前の相続、離婚に伴う財産分与慰謝料支払、不動産や車の売却もよくよく吟味されます。営業譲渡、会社分割も否認の対象となり得ます。

通常、まずは交渉による解決を図りますが、解決できない場合には破産裁判所へ否認請求を申し立てる、あるいは通常裁判所へ否認の訴えを提起するということもできます。
和解的な解決ができるケースが多いのですが、当職が申し立てた否認請求が破産裁判所で認められた後に通常裁判所に異議訴訟を提起され、それが控訴審まで至って解決にかなり時間がかかったケースも経験しています。

 

なお、法人破産の場合、破産管財人が税務申告をすることもあります。
従前の税理士さんに頼める場合は頼むのですが、資料が散逸している、関係が悪くなっている、あるいは税理士さんにお願いする費用が出せないような場合には、破産管財人自ら申告作業をします。当職も何件か自分で申告をしました。そのため、法人破産の場合には、会計書類の保全、引継ぎも大事になってきます。

 

上述に限らず、破産管財人は開始決定から手続廃止・終結まで、破産手続の隅々に関与します。

破産管財人の経験がないと破産のことは完全にはわからないと言ってもいいかもしれません。特にどのような行為が問題となりそれがどの程度突っ込まれるかですね。
申立代理人を選ばれるときにも、破産管財人の経験が豊富な弁護士が望ましいですね。

 

今回は破産管財人についてご紹介をしました。いろいろ大変なので、接することがございましたら、ぜひご協力のほどよろしくお願いします。

 

債務整理(任意整理、民事再生、自己破産等)のサポートはなかた法律事務所にご用命を。

 

広島の弁護士 仲田 誠一

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法人の自己破産の相談ポイント [借金問題]

広島市の弁護士仲田誠一です。

 

法人の自己破産もお手伝いすることも割合多いです。法人の破産管財人もコンスタントに受けております。

 

法人の自己破産は、個人の自己破産と異なり、契約まで、あるいは受任通知までに、いろいろな整理をしていかないといけません。

時間があまりない中でご依頼者様にも頑張っていただかなければなりません。

 

そこで、法人の自己破産相談についてのポイントなどをお話します。

 

【方針として自己破産を選ぶかどうかの問題】

法人の自己破産をご相談に来られる理由は、

1 資金面で、今月あるいは来月の支払ができない。

2 業績面で、業績回復が見込まれず長期的に債務弁済の見込みが立たない。

3 後継者面で、後継者もおらず業績も不振が続いているためリセットしたい。

が多いでしょうか。

 

1の場合

慢性的な資金ショートか短期的な資金ショートかの見極めが大事ですね。

銀行の借入れの条件変更(リスケ)+協力仕入先の条件変更で対応できるのであれば、敢えて今自己破産を選択する必要はありません。
向こう数か月程度の資金ショートだけ乗り越えればいいですよね。

この点、借り換え資金が出ずに資金ショートをする会社さんが多いです。その際にはリスケも検討します。借換資金が借りられなくても返済を止めれば資金はその分余ります(最近は銀行からはリスケに当たって事業計画あるいは再建計画の提出を要請されることが多いです)。

これに対して、資金ショートが慢性的あるいは慢性的と予想される場合は、次の2の話になります。

 

2の場合

会社再建のイメージが掴めるかが大事です。

①リスケの上で一定額の弁済資金が捻出できる見込があり、②業績回復の上で多額の債務を弁済していける青写真が描けるか、ですね。この点の見極めが大事です。

現状維持だけのためのリスケは単なる時間稼ぎになってしまいます。仮に業績回復が見込まれないというのであれば、自己破産の資金手当てができるうちに自己破産をされる方が関係者に対する迷惑も最小限に抑えられることになるでしょう。

この点は、社長様の意欲、ビジョンに負うことも大です。経営決断の最たるものですね。

勿論、自己破産の相談に来られても、打ち合わせの中で、事業継続を選択する社長さんもいらっしゃいます。
その場合には、銀行のリスケと個人債務の任意整理により資金繰りを落ち着かせて後は業績改善に頑張ってもらうことになります。再建計画策定や銀行等の交渉をお手伝いすることになります。
一方で、業績低迷が続く中、決断ができずに債務だけを増やしていっている例もあり(多くの場合、営業縮小に走りより身動きができなくなります。)、その場合には自己破産をお勧めせざるを得ません。法人破産の破産管財人をしているとそのような例が多いですね。もっと早く整理すればご苦労は幾分軽減されたのにと思うことがあります。

 

3の場合

基本的には自己破産をするべきということになるでしょう。多くは役員報酬も満足に取れていないケースです。
出口が見えない以上、経営を続けることをお勧めできません。
社長様の自己破産後の生活再建の方がより大事になります。

 

【法人自己破産相談のタイミングの問題】

法人の自己破産のご相談は、できるだけ早くされた方がいいです。

法人の自己破産では様々な準備をしなければなりません。弁護士に相談をしながら段取りを組んで準備を進めてください。

弁護士関与の下で、できるだけ混乱を生じさせないように、かつ後の自己破産手続で問題になる点が発生しないようにしたいところです。

 

通常は、事業廃止と同時に弁護士か債権者等へ受任通知を出します。

 

そのため、事業廃止のタイミングを検討しないといけません。タイミングを考えるにあたっては、

①資金繰り状況(自己破産の費用を支弁できるタイミングがベストです)

②従業員の状況(解雇予告をしてあるいは解雇予告手当を用意して解雇をすることになります)

③資産処分の状況(費用面で資産を処分して自己破産費用を支弁する場合など資産整理を先行する場合もあります)

などを考えるでしょうか。

 

タイミングが決まれば、事業廃止日をターゲットにして会社の整理について段取りを汲みます。

従業員解雇の段取り、賃借物件の明渡し等の段取り、売掛金の振込先口座の変更などの売掛金回収の段取り、取り立てに対する対応の段取り、売掛金リスト、買掛金リストの作成の段取り、資産保全の段取り、現金化すべき資産の売却の段取り、自己破産申立てに必要な書類等の保全の段取り、等々のさまざまな段取りを組まなければいけません。

 

個人保証をしている代表者の自己破産の段取りも組まないといけませんね。

 

勿論、急に事業廃止をしないといけないケースもあります。その場合には事業廃止後に段取りするしかありません。事業廃止のタイミングで受任通知を出すと、取引先からたくさんのお電話をいただきます。それの対応も弁護士の仕事になります。

 

【法人破産の費用捻出の問題】

法人の自己破産の費用捻出も気になるところです。

 

法人の自己破産において裁判所に納める予納金は100万円が原則です(場合によっては減額してもらえます、裁判所と交渉することになります)。

それに加えて、ケースバイケースの金額になりますが、実費と弁護士費用が必要ですね。できれば200万円は資金の準備がほしいところです。

 

通常はそれらを用意できるタイミングで事業廃止をします。

勿論、今後の売掛金の回収も見込むとそれらの費消が捻出できるタイミングでも事業廃止することはあります。
受任通知後に売掛金回収を図るということですね。

現金化できる資産がある場合には、それらを現金化して費用を捻出するということもやります。
勿論、弁護士の関与のもとに処分行為をすることが大事です。弁護士の関与のない処分行為は破産手続で問題視される可能性が高くなります。

 

なお、代表者さんが個人保証をすることがほとんどですので、同時に代表者さんの自己破産も必要となるケースがほとんどです。
代表者さんの自己破産も管財事件になりますので、予納金が必要になります。

弁護士費用は弁護士との契約次第で法人のみ費用をもらうということができるのですが、裁判所に納める個人の破産予納金は法人のお金から出すわけにはいきません。
20~30万円程度必要と思います。

仮に用意できない場合には、捻出方法を弁護士と一緒に考えます(法人である程度お金を詰むことができるケースでは、裁判所と交渉して個人の予納金をできるだけ小さくしてもらうよう働きかけます)。

 

【相談、依頼する弁護士の問題】

法人の自己破産は、様々なことを検討準備しないといけない故に、弁護士の力量が破産手続進行のスムーズさ等に反映されてしまいます。

 

早めにご相談されることは勿論、どうせなら、きちんと疑問点を解消してくれ、段取りを明確に示してくれる弁護士に依頼されるべきでしょう。

できれば、法人破産の破産管財人経験が豊富な弁護士の方がいいです。
法人破産を破産管財人の目から見たことがないと法人破産の本当の理解は困難ですから。

 

債務整理(任意整理、民事再生、自己破産等)のサポートはなかた法律事務所にご用命を。

 

広島の弁護士 仲田 誠一

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相続不動産を独占されている場合 [相続問題]

広島市の弁護士仲田誠一です。

 

相続が発生し遺産分割協議は終わっていない状態で、1人の相続人により相続不動産を勝手に使われているという相談をよく承ります。

 

相続が発生すると、遺産に属する不動産は、相続人間の遺産共有状態になります。遺産分割協議、遺産分割調停、遺産分割審判で確定的に遺産分割が決まるまでその状態が続きます。

遺言がある場合は別ですが、それでも遺留分減殺請求を行った場合にも共有状態が作出されることがありますね。

他の相続人からしてみると、単独で遺産である不動産を使用収益していることが納得できないことになります。

 

典型的な事例は、

賃貸不動産の管理を相続人の1人が独占し賃料も受け取って独占している場合、

あるいは

相続人の相続不動産に1人の相続人が住み続けている場合、

ですね

 

この2点についてお話ししようと思います。

 

【賃貸不動産の管理を相続人の1人が独占し賃料も受け取って独占している場合】

 

遺産から生じる賃料は、法律上、遺産の果実との扱いを受けます。遺産の管理や利用等によって生じる収益ですね。

 

遺産である賃貸不動産を使用管理した結果生ずる金銭債権たる賃料債権は、遺産とは別個の財産というべきであって、各共同相続人がその相続分に応じて分割単独債権として確定的に取得することになっています(最判H17.9.8)。

 

確定的に取得するのですから、後に遺産分割がなされても影響がありません。相続分というのは遺言がない限りは法定相続分と思っていただいて構わないでしょう。

 

賃料を独占している相続人に対しては、(賃料額-経費)×相続分を請求できることになります。経費は遺産管理費用と呼ばれますが、どこまでが算入されるか自体争いになることが多いでしょう(経験上、その相続人が払った所得税が難しいですね。他の所得もあるわけですから)。

 

遺産の果実の分配は、理屈上、遺産分割ではありません。

相手方が請求に応じなければ訴訟で解決することになるのが基本です(ただし、調停を先に起こすという調停前置主義の対象にはなります)。訴訟する理屈は、不当利得返還請求あるいは不法行為に基づく損害賠償請求になります。

 

ただし、それでは面倒ですね。遺産分割協議においては勿論、相続人全員の同意があれば調停等の遺産分割手続で解決することもできます。

 

遺産分割の段階では、預かり敷金・保証金の扱いも忘れてはいけません。物件を引き継ぐ=賃貸借契約を引き継ぐ=敷金返還債務を引き継ぐ、相続人との調整が必要ですね。

 

【被相続人の相続不動産に1人の相続人が住み続けている場合】

 

明渡請求ができるかどうかが気になるでしょう。

 

まず、使用貸借(無償での貸借)契約の成立が問題となります。成立したと認められるケースであれば、当然、使用貸借の期間満了まで明け渡しを請求することはできません。

 

判例(最判H8.12.17で、相続前から被相続人の許諾を得て遺産である建物において被相続人と同居してきたときは、特段の事情のない限り、被相続人と同居の相続人間で、被相続人が死亡した後も遺産分割により上記建物の所有関係が最終的に確定するまでの間は、引き続き同居相続人に無償で使用させる旨の合意があったものと推認されるとされています。

 

判例のようなケースだと原則遺産分割までには明渡請求が認められないことになります。
使用貸借が認められるかどうかはケースバイケースの判断なのでしょう。当然認められるわけではありません。

 

使用貸借契約の成立が認められない場合でも、理屈上、無条件に明渡請求は認められません。

 

居住している相続人にも共有持分がありますね。民法上、共有者はその持ち分に応じて共有物の全部を使用することができます。
共有物の管理行為は持ち分の過半数で決定されるので、過半数持分の相続人による明渡請求は認められそうだとは思いますが、裁判例では認められていません。
共同相続人の間の占有の変更は管理行為ではなく給油者全員の同意が必要な変更行為(民法251条)と考えられているようです。

 

そうであれば、明渡請求ができないので(勿論遺産分割等で所有関係が確定する前のことです)、他の相続人ができることは金銭請求の途しかないということになります。

 

使用貸借が認められるケースでなければ居住相続人は他の相続人の持ち分について無権原占有者です。
共有不動産を使用=居住することはできるが、無権原で使用する部分についてはその利益を賠償・返還するべきとういうことになります。


具体的には、不動産を単独で占有する共有者に対しては、不当利得返還請求権あるいは不法行為に基づく損害賠償請求権として、賃料相当額×相続分を請求することができます。
勿論、賃料相当額がいくらかということはなかなか難しいのですが・・・。

なお、居住相続人が遺産の管理費用(固定資産税等)を支払っている場合には、賃料料相当額からそれを控除して請求する、あるいは控除するよう反論されることになります。

 

先にも書きましたが、遺産収益に関する訴訟は、調停前置です。まずは家事調停を申し立てることが原則です。
ただ、既に揉めているケースがほとんどでしょうから(遺産分割の話がまとまらないから単独占有の問題が顕在化します)、話し合いの余地がないとしていきなり訴訟をすることも認められるケースもありますし、実際に裁判所から何も言われなかったこともあります。

 

遺産分割協議、調停・審判は出来るだけ早く進めるべきです。それと並行して、遺産の果実の問題等が出てくるというお話でした。

 

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自己破産、個人再生と給与明細 [借金問題]

広島市の弁護士仲田誠一です。

 

債務整理のうち、自己破産や個人再生の場合にはご相談時に給与明細をお持ちいただいた方がいいかもしれません。

 

自己破産や民事再生の申立準備のためには給与明細をお持ちいただくのですが(給与明細は必要書類になります)、その際に、依頼者様がご認識されていない事実が判明してしまうことが時々あります。給与明細には自己破産や個人再生の準備にあたって重要な情報が載っている場合があるのです。

 

特に、給与明細の控除(給与天引き)の欄の問題です。裁判所もかならずチェックをしているところです。

 

まず、債務、債権者の面です。

 

自己破産、個人再生では、債権者を一部外して手続をすることはできない原則です。
債権者はすべからく債権者として扱わないといけません。

 

給与明細の控除欄を見ると、稀ではありますが、勤務先からの借入金や労働組合・共済組合からの借入金があることが漏れていたことが判明する場合があります。

 勿論、勤務先からの借入れや組合からの借入金があると、勤務先等を債権者として扱わないといけません。

 

そうすると、自己破産、個人再生を申し立てるということが勤務先等に判明してしまいますし、何よりも弁護士からの受任通知や裁判所からの通知が届いてしまいます。

理屈上、そのことにより勤務先が従業員を解雇することは難しいですし、その事実をもって解雇された例も経験がありません。ただ、困ってしまうのは当然ですね。

場合によっては、後々偏頗弁済として問題になる行為であることを承知の上で、勤務先に対する返済を手続に先行して行うケースもあるでしょう(勿論、弁護士が推奨できる行為ではありませんが)。

 

なお、共済組合等からの借入金など保証会社が付いているケースでは、割とすんなり受け入れられる傾向があります。
ただし、通常、破産開始決定あるいは個人再生開始決定まで給与天引きは継続されてしまいます、開始決定時に保証会社による代位弁済がなされ給与天引きがなくなります。
これを偏頗弁済として突っ込まれるケースもなくはありません。管財事件だと否認の対象になり得ますから(当職も破産管財人として否認し勤務先に返還してもらったことがあります)。

 

問題は勤務先等に「債務」があるかどうかです。
勤務先での事故や何かの手当の返戻があるなどの事情で、「弁償金」、「返納金」、あるいはただ単に「その他」などの名目で天引きされていることがあります。
勤務先からの借入金は忘れなくても、それら支払債務を「債務」だと認識されていないケースもあります。
借入金でなくとも勤務先に対して債務を負っていれば勤務先を債権者として扱わないといけないことにご注意ください。

 

次に財産の面です。

 

控除の欄に、団体保険や共済保険の給与天引きの記載があることがあります。けっこう、忘れてしまうケースがあります。
自己破産、個人再生では、保険契約がある場合、保険証券と解約返戻金証明書(あるいは解約返戻金がない、ある場合は金額がわかる資料)が必要書類の中にあります。
団体保険は書類が残っていないことが多く、慌てて問い合わせや再発行をしてもらうことがあります。事前に確認しておきたいところです。

 

また、〇〇金、〇〇積立、〇〇会等の項目で給与天引きがある場合もありますね。

資産性の有無(解約したらお金が返ってくるのか)、資産性がある場合には残高がわかる資料の報告を求められます。

 

組合費や親睦会であれば資産性はないという説明ですんなり通るのですが、旅行積立等「積立」は説明に困りますね。
旅行積立は会費みたいなものでお金は帰って来ないということも多いのではないかと思いますが年金等他の積立は通常資産性があるのだろうと思いますから資料あるいは説明が必要になりますね。

 

財形預金、社内預金の天引きがある場合には、それらは勿論資産性があるものでしょう。残高がわかる資料が必要ですね。

 

なお、給与天引きの控除欄ではないですが、保険料の所得控除の欄も要チェックです。
控除があるのに保険契約の資料がないこと、あるいは金額的に保険契約が一部漏れていることがわかるケースもあります。勿論、被扶養者契約の保険料もあるかもしれませんが。

 

このように、自己破産や個人再生の検討・準備をする際には、給与明細は、その控除欄(給与天引きの欄)を中心に早めにチェックをしておかないといけない書類です。

 

債務整理(任意整理、民事再生、自己破産等)のサポートはなかた法律事務所にご用命を。

 

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租税法とは [税法の話1]

広島市の弁護士仲田誠一です。

 

広島大学大学院法務研究科にて平成27年から租税法の講義を担当しております。客員准教授と固い肩書ですが、司法試験を目指す生徒さん相手にざっくばらんなお話をさせていただいております。

 

租税法は本当にわかりにくいです。

 

租税法は、申告納税制度を採用しています(制度上は確定申告をしないでいい給与所得者は例外扱いです。)。
したがって、租税法は国民の申告マニュアルの機能を有しているはずです。

本来は誰が見てもわかるようにわかりやすくないといけないのですね。

租税法は国民の予想可能性、法的安定性を保障しないといけないのです。

 

しかし、わが国の租税法は特にわかりにくいと言われています。

所得税法、法人税法、祖相続税法等の法律自体、専門家が読まないとわからないものですし、租税特別措置法等の特別法が絡んでくるともう厳しいですね。
正直、私も把握しきれません。

 

なお、租税法がわかりにくいこともあって、通達というものがあります。租税の世界は通達行政の代表選手です。

でも、よく誤解があるのですが、通達は行政機関内部の連絡等文書であって租税法ではありません(税理士さんとよくお会いしますが、税理士試験は通達を勉強するもので法律を勉強するものではないと自嘲気味におっしゃいます)。

 

わかりにくい租税法ですが、経営や生活に直結する世界です。少しでもご紹介していこうと思います。
どれだけ書けるかわかりませんが、授業の進行に合わせて投稿しようかなと思っています。

 

今回は、租税法の世界の大きな特徴2つをお話しします。

 

まず1つ目は租税憲法です。

 

租税法の解釈は、憲法が強く反映されます。
法律なので憲法に則らないといけないのは当然ですが、ボストン茶会事件の「代表なくして課税なし」に代表されるように、近代憲法制定の大きな動機の1つが国王の徴税権を制限するということだったのです。市民が闘争を経て勝ち取ったのが徴税権の制限なのです。

その流れを汲む日本国憲法も、租税には気合が入っており、少ない条文の中で2条も租税関係に費やしています。憲法84条と30条ですね。
国民の財産権を直接侵害する租税については気を遣っているのです。

そのため、租税法は常に憲法に立ち返って解釈されることになります。租税憲法と言われるゆえんです。

 

その憲法も、時には相反する要請を内在します。

 

まず、租税法律主義です。「代表なくして課税なし」です。

国民の代表である議会が制定した法律でなければ租税を課すことはできないということですね。

なんでも法律で明確に決めるということが要請されます。

 一方、法の下の平等を定める憲法14条からは、租税公平主義が導かれます。

法律を柔軟に解釈して公平な課税をすることを要請されます。

 この2つの要請は相剋することがあるのです。租税法の解釈の争いは、この2つの要請が対立する場面でよく起こります。

勿論、基本は、租税法律主義が優先します。憲法にはっきり書かれていますからね。

 

2つ目は、租税法のスタンスです。視点といってもいいかもしれません。

 

民法、商法等、いわゆる私法は、私人-私人間の法律関係を規定しています。

 

一方、刑法、行政法等、いわゆる公法は、国-私人間の法律関係を規定しています。

 

租税法はどうでしょうか。少し特殊です。

税金を賦課する場面では国-私人間の法律関係を規律するものであることは勿論です(租税法律関係)。

しかし、物が人から人へ動いただけでは、税金はかけられません。

例えば、売買には所得税、贈与には贈与税(贈与税は相続税法に規定されています)と、私人間の法律関係でどのような契約が原因で物が動いたかによって税金が違います。
売買なのに贈与税を課税してはいけませんよね。

このように、私人-私人間の法律関係を規定する私法上の法律関係を前提に、国-私人の租税法律関係が構築されるのです。

従って、租税法の解釈(課税関係の分析)についても、第1次的には私法の解釈が必要です。
経済取引事実の発生があり(モノとカネが動いた)、それを私法上の要件事実(モノの所有権移転約束と代金支払約束)に当てはめて法律構成し(売買契約)、当てはめるべき租税法(所得税法)を解釈運用する、ということです。

 

結局、租税法は、(私人-私人)-国の関係が上から見ているイメージでしょうか。

 

租税法のお話にニーズがあるのかどうか不安ですが、これからも投稿していこうと思います。

 

お悩み事がございましたらなかた法律事務所にご相談を。

 

広島の弁護士 仲田 誠一

なかた法律事務所

広島市中区上八丁堀5-27-602

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給与口座、年金口座の銀行が債権者の場合 [借金問題]

広島市の弁護士仲田誠一です。

 

債務整理をしないといけない場合に、給与口座がある、年金受取口座がある銀行が債権者である場合があります。

その場合は注意をしないといけません。軽々に弁護士に受任通知を送ってもらってはいけません。

 

銀行に債務整理の受任通知を送ると、届いた時点で借り入れについて期限の利益が喪失され(直ちに一括請求されるという意味です)、預金口座は凍結され、口座の預金債権は借入債務と相殺されてしまいます。

なお、任意整理のケースでは銀行ローンは手を付けないことが多いです。自己破産、個人再生の場合はそうはいきませんから、銀行に受任通知を送らないといけません。

 

給与口座、年金受取口座を凍結されてしまうと、勿論、預金を引き出すことができません。

一方、給与口座指定を変更しない限り、給与が入金されます(口座凍結がなされても振込入金は入ってしまいます)。年金も同様です。

給与、年金が引き出せないと困りますね。

 

そのため、給与口座、年金受取口座のある銀行が債権者であるときは、受任通知を出す前に、給与口座あるいは年金受取口座を借り入れのない銀行の口座に変更してもらいます。

 

年金口座の変更には時間がかかります。また、給与口座の変更にも大きな企業だと時間がかかることがあります。

 

そのため、相談を受けた時点ですぐに変更をするようアドバイスしております。
銀行が債権者であるかどうかは相談時にわかっていることがほとんどですが、預金口座とセットのカードローン契約やクレジット契約がある場合に銀行が債権者であることを認識されていないケースがありますのでご注意ください。

 

ただ、中にはメイン銀行の口座しか給与振込口座に指定できない勤務先もあり、その場合は困ります。その場合はなんとか勤務先に掛け合ってもらいます。

 

残念ながら口座凍結がされた後にその口座に給与、年金が入ってしまった場合にはどうしたらいいのでしょうか。

 

まず、キャッシュカードが使えませんから窓口で引き出しをしないといけません。

かつ、口座凍結されている以上、簡単には引き出せません。

銀行に予め連絡して承諾を得ておく必要があるでしょうし、債務者の方が窓口に行った後に弁護士に確認の連絡が来ることもあります。

 

ただ、給与、年金の場合には、最終的には銀行が引き出しに応じるのが通常です(広島の地場の金融機関、都市銀行には断られたことがありません。ただし、ネット銀行は経験がありません)。

 

勿論、銀行の判断によりますが、受任通知後の入金による預金債権と借入金を相殺することは破産法でいう否認対象行為になるということと、債務者の生活のために必要なお金だということかた応じてくれているものだと思います。

中には、受任通知が届いたら「給与口座が指定されていますが大丈夫ですか。」と確認の電話をしてくれる銀行もあります。

 

なお、口座凍結絡みですと、借入のある銀行に対し保証人となっている方の口座が当該銀行にあるケースも怖いです。

主債務者の受任通知により、同じように保証人の口座が口座凍結されて相殺される恐れがあります。
契約書を探して保証人がいるかどうか確認した上で、正確に弁護士にご報告いただかなければなりません。

 

個人の給料、年金と異なって、法人の売掛金が口座凍結後に入金されたケースだと、引き出しを拒む金融機関があります(基本的には断られるイメージです)。

自己破産開始決定後の破産管財人による引き出しには応じるが現時点では応じないといった対応です。

債務整理を考える場合に銀行が債権者であるときは注意をしてください。

 

債務整理(任意整理、民事再生、自己破産等)のサポートはなかた法律事務所にご用命を。

 

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自己破産における自由財産の拡張 [借金問題]

広島市の弁護士仲田誠一です。

 

債務整理を考えている方の中には、自己破産をすれば生活ができないと思っていらっしゃる方もいらっしゃいます。
しかし、自己破産は経済的更生のために法律で用意された制度ですから、経済的な更生を図ることができる制度になっております。
特別な場合を除いて、自己破産をしたら生活ができないということはありません。

 

生活面でよく質問される点の中に、財産は全部取られてしまうのかというお話があります。自由財産拡張の制度のお話になります。

 

自由財産拡張というと難しい名前ですが、破産者の経済的更生のために必要な財産を破産者の手元に残す手続です。
自己破産をしても身ぐるみを剥がされるわけではないのです。

 

自由財産拡張は、管財事件の時に出てくる手続です。

これに対し、同時廃止事件では財産の換価処分が問題になりません。
同時廃止では、破産手続(債権債務の整理だと思ってください)は手続開始と同時に手続廃止となり、後は免責手続(債務の弁済責任を免れさせる手続だと思ってください)だけになります。当然、破産者の保有財産はそのまま残ります。

 

「自由財産」とは何でしょうか。

自由財産は、破産財産に組み入れられることなく(破産財団に組み入れられたら換価・処分されることになります)、破産者が自由に管理処分できる財産です。

これまたややこしいのですが、自由財産には、「本来的自由財産」とそれ以外のものがあります。自由財産拡張制度は、本来的自由財産以外の財産まで自由財産の範囲を拡げる手続だから、「拡張」なのです。

 

本来的自由財産は、破産法で定めた自由財産です。

本来的自由財産は原則として金額の制限なしに全額について破産者の保有が認められます。
99万円以下の現金及び差押禁止財産だと考えておけば十分です。

 

差押禁止財産は、
生活に欠くことができない衣服、寝具、家具、台所用品、畳及び建具(そのため家の中の通所の生活用品等は取られることはありません)、
退職金の4分の3(実際は退職間近でない限り財産評価されるのは退職金支給見込額の8分の1だけの運用です)、
小規模企業共済、中小企業退職金共済、建設業退職金共済(退職金の性質を有するものですね。実務上よく出てきます)、
生活保護、年金・各種手当の受給権
などですね。
勿論ほかにもあります。民事執行法やその他法律に差押禁止財産だと定められている場合です。差押えが禁止されているから債権者はその財産から回収を図ることが期待できないはずだ、だから破産の場合も差押えができない財産は残す、という理屈です。

 

本来的自由財産は、元々自由財産なのですから、自由財産拡張手続は必要ありません(現金は手続に乗せますが)。

自由財産拡張の制度は、本来的自由財産ではないけれども、破産者の生活の再建に必要な限りで財産を残してあげようという制度です。

 

破産開始決定後、一定の期間内に(通常1カ月以内)、破産管財人の意見を聴いて、裁判所により決定されます。
通常は申立人側からの申立てをしますが、必ずしもその必要はありません。管財人主導で行うこともあります。

 

拡張判断にあたっては、まずはその財産が自由財産拡張の対象としていい財産かということが問題となります。経済的更生に必要な財産かどうかで判断されています。

 

不動産は拡張対象とならない扱いです。投資金(株、債権、投資信託)も対象とならないと考えてください。生活再建に必要相当な財産とは見てくれません。

 

車や生命保険にも気を付けないといけません。車についても趣味のための車は対象外でしょう。保険は投資性の強い保険でない限り対象となると考えていいですが、相当性についての意見を求められることがあります。

 

申立時に報告しておらず破産管財人の調査で判明した財産も拡張の対象とならない可能性が大きいです。財産の報告が漏れていたことに気付いたらすぐに追加報告しないといけませんね。

 

財産が自由財産の拡張対象となるとして、次に問題となるのはその範囲です。

 

金額にして99万円の範囲内です。本来的自由財産である現金も含めて99万円ですので気を付けてください。

 

勿論、無条件で99万円まで残せるわけではありません。経済的更生に必要かつ相当と見られる範囲です。一般的には99万円まで認められるのですが、財産によっては破産管財人に突っ込まれます。なお、ここで本来的自由財産(小規模共済等)の金額の多寡も関係してきます。

 

また、制度上は、それ以上に拡張することが不可欠だと考えられる場合に99万円を超えて拡張を認めることも可能です。しかし、実際は99万円を超えて自由財産の拡張が認められるのは難しいと思ってください。

 

自由財産拡張対象外の財産(99万円まで認められた場合はそれを超える財産)は、財団に組み入れられ、管財人により換価処分されます。管財人に引き渡すわけです。

 

ただし、例えば現金が100万円・保険解約返戻金合計額が30万円ある場合、99万円を超えるから保険は解約しないといけないかというとそうではないです。
この場合には、99万円を超える分を現金で財団に組み入れる(破産管財人に引き渡す)ことで保険契約を残すことが認められるでしょう。

 

なかなかややこしい話で失礼いたしました。自己破産をしても一定の財産を残すことができる、財産の種類によって扱いが異なるということです。

 

債務整理(任意整理、民事再生、自己破産等)のサポートはなかた法律事務所にご用命を。

 

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親族間での不動産売買の注意点 [不動産]

広島市の弁護士仲田誠一です。

 

親族間の不動産の売買をお手伝いすることがあります。
相続絡み
自己破産をしなければならいがどうしても自宅不動産を残したい場合
事業承継対策
などですね。

 

そこで、親族間での不動産売買の注意点をお話しようと思います。

 

親族間の売買でも第三者間の売買でも流れは基本的に同じです。

売買契約を締結し、
代金の支払いと所有権(あるいは持分権)移転登記
をするということになります。

 

代金ですが、勿論、法律上は自由に決められます。双方が合意した金額でいいのです。

 

ただ、親族間の不動産売買では、時価よりも価格を安くすることがよくあります。
親族間の売買にはいろいろな事情が絡みますからね。

 

ところで、不動産の時価とはなんでしょうか。

 

時価とは、流通価格、交換価値というべきでしょうか。

 

不動産の価値を示すものとしては、固定資産評価、路線価、公示価格がありますね。

一般的にはその並びで金額が上がっていきます。

固定資産評価は固定資産税等のための評価額です。時価とイコールではありません。昔は時価の7割と言われていましたが、ケースバイケースです。中には時価よりも高いケースもあります。

 

路線価とは相続税、贈与税のための評価額です。これも時価とイコールではありません。昔は時価の8割と言われていました。こちらもケースバイケースです。
路線価評価は国税庁のホームページで簡単に調べることができます。
設置道路毎に価格が出ているのです。ただし、路線価が出ていない地域もあります。その場合は、倍率表というものがあって、固定資産評価×〇倍の評価をすることになっています。

 

公示価格は時価に最も近いものです。ただ、基準点の価格しか出ていないので、個々の不動産の評価には役にたつことは稀です。たまたま基準値と近似した不動産だったりする場合には参考するという程度です。

 

結局、時価は簡単に調べられるものではありません。不動産業者に売買事例等を基にした評価をしてもらう、鑑定士に鑑定をしてもらう必要があります。鑑定費用はかなりかかるので、査定書をとることが多いでしょう。

 

自己破産絡みの売買であれば、時価相当額でなければ後に破産管財人に否認されるおそれがあります。時価相当額での売買でなければなりません。査定を取っておいた方がいいでしょう。
持分権の売買の評価は難しいです。時価を基本として、一定程度減価することも許されるのではないでしょうか。事実上、持分だけを売ることはできないですからね。

 

 

自己破産絡みでない場合でも、時価は気にしなければいけません。廉価売買は贈与税の課税対象となり得るのです。購入者に対して贈与をしたとみなされるのです。

 

基準は、時価の2分の1だと思ってください。ただ、時価がいくらかを考えるのは難しいのは上述のとおりです。
税務調査がなされた場合にきちんと説明ができるように、価格算定の根拠は残しておかなければいけません。
時価の2分の1ぎりぎりでの売買は、税務署が考える時価がいくらか分からない以上、危険です。
事情があって安くする場合でもある程度余裕を持った金額、説明がきちんとできる金額で売買をした方が無難です。
後から税務署が高い時価評価をして課税してくることもあり得ます。

 

この点で、親族間の売買であっても不動産仲介業者を介入させることや、弁護士や税理士の価格算定に関する意見書を作成することもあります。

親族間の不動産売買は、このような税金面で慎重に検討しなければなりません。

 

なお、不動産を売買で取得すると、後から不動産取得税を支払わなければいけません。
不動産業者が絡む売買(新築戸建ての購入等)だと、不動産取得税の申告(そんなに難しいものではありません)の申告を代行してくれたりすることもあり、申告が必要なことをご存じないケースがあります。購入者は不動産取得税の申告が必要である点にもご注意ください。

 

親族間だからといって、簡単に売買をしてしまうと、足元をすくわれることがありますのでご注意を。

 

不動産に関するご相談はなかた法律事務所にご用命を。

 

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退職・退任後の競業避止義務 [企業法務]

広島市の弁護士仲田誠一です。

 

企業法務関係でよく相談される退職後の競業避止義務のことについてお話します。
関係が悪くなった中で従業員が退職する、取締役が退任するが、ライバル企業に就職されたら困る、競合会社を設立されたら困るなどのご相談ですね。

 

競業行為とは、会社法的に説明すると、自己または第三者のために株式会社の事業の部類に属する取引をすることです。従業員も含めて言うと、競業会社への就職まで含むもう少し広い意味で使われていますね。

 

在職中の従業員、取締役の競業避止義務は勿論認められます。

 

従業員の場合、就業規則に定めがある場合は当然ですが、それがない場合でも労働契約上の義務として認められています。
就職という意味では、通常、就業規則で職務専念義務や兼業禁止なども定められていますね。


取締役の場合は、法律で競業避止義務が定められています。会社法356条1項1号で、競業行為を行う場合には取締役会(取締役会非設置会社では株主総会になります、会社法365条)の承認が必要とされています。従業員と異なり取締役の兼任自体は制限されていないのでしょうが、競業行為をする場合には承認が必要なのですね。

 

実際に問題となるのが従業員の退職後、取締役の退任後の競業避止義務です。

 

まず、憲法で職業選択の自由(憲法22条1項)が定められています。退職した従業員、退任した取締役が、その後にどのような職業を選んでもそれは個人の自由です。

そのため、なにもなければ退職後、退任後の競業避止義務はありません。
もっとも、不法行為に該当するような行為(従業員の大量引き抜き等)、不正競争防止法違反になる行為は、退職後、退任後であっても損害賠償や差し止めの対象になり得ます。

 

従業員あるいは取締役が退職後・退任後の競業避止義務を負うのは、契約上(従業員の場合は労働契約、取締役の場合は委任契約)、競業避止義務が成立している場合に限ります。

 

就業規則等で明確に定められている場合あるいは誓約書等の合意書がある場合でしょうか。

 

ただし、職業選択の自由との関係からそのような取り決めの有効性は制限されます。憲法は国と私人の関係を規律するもので私人間の法律関係には直接適用されないのですが、民法の解釈において憲法の趣旨が及ぼされます。職業選択の自由を過度に制限するような合理性のない競業避止義務は、公序良俗(民法90条)に反して無効とされます。

 

具体的には、競業避止義務合意の効力は、従業員の場合の裁判例の言いまわしを借りると、使用者の利益、労働者の不利益、制限期間、場所的範囲、代償の有無を検討し、合理的な範囲で認められます。
 

どんな従業員、取締役に対しても競業避止義務がかけられるわけではありません。企業に機密情報、営業秘密を守るべき利益がなければなりません。

 

その関連で、従業員の地位、取締役の担当職務などがメルクマールになります。
従業員、取締役が会社の機密情報、営業秘密に接している場合には競業避止義務合意が有効の方向に傾きます。

 

地域的な限定の有無もメルクマールです。さすがに地域的な限定がないと有効とは認められないでしょう。

 

存続期間は、ケースバイケースなのですが2年間ぐらいから危なくなると言われているようです。

 

禁止される競業行為の範囲の制限も必要です。
競業企業への転職を一般的・抽象的に制限する場合には無効の方向に、業務内容・職種等が特定される場合には有効の方向に判断されます。

 

代償措置も必要です。
退職後、退任後の競業避止義務を課しても著しく従業員、取締役の不利益はないと言える場合ですね。
対価自体の支払いだけではなく、退職金の加算、在職中の高額な賃金や特別な奨励金等も勘案されます。

 

総合的に判断されるので、これがあったら有効あるいは無効というわけではないのですが、このような点に気を付けて競業避止合意をする必要があります。

 

なお、会社を辞めた人を雇う方も気を付けないといけません。
前職の地位や職種によっては、競業避止義務の有無は確認した方がいいでしょう。場合によっては共同不法行為などの責任を追及されることもあり得ます。

 

顧問契約、契約トラブル、企業法務サポートのご用命は是非なかた法律事務所に。

 

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